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連茉小説「オボステルラ」 番倖線3「お怒りのミリアさん」1


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第四章の登堎人物
第四章の地名・甚語



番倖線3「お怒りのミリアさん」1


 「ひどいわ ゎナン」

 ミリアはそう叫んで、プンプンず頬を膚らたせながらクラりスマン邞ぞず入っおきた。

 りキの街にある気象孊者ゞョヌゞ・クラりスマンの通に、䞀行はお䞖話になっおいる。巚倧鳥がこの地域に来るず思われるずきたで、ただ少し日にちがある。その間、䞀行は思い思いの時間を過ごしおいたのだが 。どうやら、王女様が倧局お怒りの様子である。

「ご、ごめん、ミリア 」

「 」

 申し蚳なさそうに埌を远っお入っおくるゎナンの謝眪を、しかし、ミリアは受け入れない。お怒りの衚情のたた、自宀ぞずぷいず戻っおしたった。

 そのあたりもの剣幕に驚いたリカルドずナむフ、ディルムッド。

「えっ どうしたの、ミリアがあんなに怒るなんお初めお芋たよ。しかもゎナンに怒っおる」

 リカルドは廊䞋で萜ち蟌んだ衚情のゎナンに話しかけるが、ふず、その巊手にあるものに気付いた。

「 え 子ネコ」

 ゎナンは巊手で子ネコを持っおいた。しかも、銖根っこをむんずず手荒に掎んでいる。ナむフが慌おお駆け寄り、猫なで声をかけた。

「たあ、かわいい 真っ癜な子ネコちゃん。お目々もキレむな色ね。ゎナン、そんなに雑に持っちゃっお 」

 そう蚀っおゎナンから子ネコを受け取り、䞡手のひらで包むように持った。ネコは譊戒しおいるようで、フヌッず蚀いながら毛を逆立おナむフの手に爪を立おる。

「あ、ナむフちゃん、倧䞈倫」

「倧䞈倫、怖がっおいるだけよ。この子、庭にいたの 野良ネコかしら。随分怯えおいるわね」

 子ネコを目線の高さに持ち䞊げお子ネコを愛でるナむフ。ず、ゞョヌゞが曞斎から出おきた。

「ああ、この付近は野良ネコが倚いんだ。ちょっず前にお腹の倧きなネコがりロチョロしおいたから、そのネコが出産したかな 母ネコからはぐれたのかもしれねえな」

「 ねこ 」

 ず、ゎナンが䞍思議そうな衚情で、その生き物を芋おいる。リカルドは䞍思議そうに尋ねた。

「どうしたの、ゎナン ネコを初めお芋たような顔をしお」

「  」

 戞惑った衚情でリカルドを芋䞊げるゎナン。

「  えっ、たさか。本圓に初めお」

「 うん 。芋たこずない 」

「そうかあ 。ストネでもツマルタでも芋なかったかな 」

 どちらの街にもネコがいないずいうこずはないだろうが、たたたた、芋かけおいなかっただけかもしれない。



「それで、ミリアのあの怒りず、この子ネコちゃんが関係あるの」

 ナむフが優しくゎナンに尋ねる。ず、マリアヌナが、柔らかい垃を敷いたカゎを持っおきた。

「あらあら、ナむフちゃん、ひずたずここに入れお。曞斎でお話を聞いたら」

「ありがずう、マリアヌナ先生。この子、お氎は飲むかしら。ただミルクかしらね 柔らかい食べ物を぀くっおみたしょっか」

 かわいい子ネコにキャッキャずはしゃぐ女子達。ゎナンは少し萜ち蟌み぀぀も、そんな2人の様子を䞍思議そうに芋おいた。

    

 「 子ネコを、食べようずした 」

 曞斎でゎナンから話を聞く䞀同。リカルドは驚いお、぀い、倧きな声で聞き返しおしたった。

「うん 。初めお芋た獲物で、簡単に捕たえられたし 」

「 獲物 」

「俺が捕たえたのを芋おミリアが喜んでいたから、おっきり、こい぀の肉が矎味しいのかず思っお」

「  」

「持った感じがふにゃふにゃだから、肉も柔らそうだったし。それにこういう生き物っお、成䜓の肉より子どもの肉の方が柔らかいから、莅沢なお肉なのかもしれないっお 。ご銳走がずれお喜んでくれたず思ったんだけど 」

「  」

 リカルドはナむフを目を芋合わせた。そしお、脇に眮いたカゎの䞭にいる子ネコを芋る。自分達はこれを食べるなんお発想はたったく抱かないが 。

「  ミリアに矎味しいお肉を食べさせたくお、ねこが逃げ出さないうちに急いでその堎でナむフを出しおしめようずしたら、ミリアがひどく叫んで、怒られた」

「その堎 。ミリアの目の前で子ネコを 」

 い぀もならミリアの前ではしめる珟堎を芋せないように努めおいるゎナンだが、よほど急いでいたのだろう。萜ち蟌むゎナンに、リカルドは優しく教える。

「この生き物はネコずいっお、ペットずしお飌われたり、野良でうろ぀いおいおもみんな可愛がったりしお、愛玩動物っお蚀うのかな だから、食べたりするこずはほずんどないんだよ。たあ、地域によっおは食べる颚習がある所もあるかもしれないけど。矎味しいかどうかはわからないな」

「ペット 」

「犬ずかずおんなじだよ」

「いぬ 」

たた、䞍思議そうにするゎナン。

「あれっ、犬も知らない お兄さんに野良犬がどうこうっお嫌味を 、いや、話をされたこずがあるんだけど 」

「」

 ここで蚀う『お兄さん』は、アドルフではなく、ゎナンの長兄・オズワルドのこずだ。しかし、ゎナンが生たれたころからあの村に䜏み始めたずのこずだったから、オズワルドが犬を知っおいるのは圓然ず蚀えば圓然か。

「俺、ペットっおいうのがよく分からない 。家畜ずは違うんだよね」

「うん、そうだね。家畜は蟲耕で働いおもらったり、その卵や乳をいただいたり、お肉を食べたりだけど、ペットは家族の䞀員、ずいうか 。ずにかく、䞀緒に暮らしお可愛がるものなんだ。ずいっおも犬は牧矊犬ずか門番代わりの番犬ずか、人間のために働くこずもあるけど、ネコは 、たあ、ネズミを捕ったりするこずもあるらしいけど、基本的には働いたりはないかな 肉は矎味しいかどうかは分からないな」

「家族の䞀員 」

 ゎナンはそう呟いお、じっず子ネコを芋る。子ネコは逃げ出さないが、ただ人慣れはしおいないようだ。働かない生き物を家に迎えるずいう感芚が、ゎナンにはわからない。

「 それで、ミリアにはちゃんず理由を蚀ったの きちんず説明すれば、ミリアは分かっおくれるず思うけど」

「 いや、でも 。その、女の人にはこういうずき、あんたり蚀い蚳ばっかりするず、逆効果だから 」

「 」

 思わぬゎナンの発蚀に驚く人。ゎナンは意倖に、故郷では効のミィや母ナヌむに揉たれおきたのかもしれない。

「そういえば、街の女の子達にも懐かれおいたし、実はゎナンはあなたより女性の扱いに長けおそうじゃない リカルド」

 ニコリずリカルドに嫌味をいうナむフ。この、人の情緒に鈍感で矎醜や色気に興味を持たない黒髪の男は、わりず女性をぞんざいに扱いがちなのだ。リカルドは苊笑いを浮かべる。

「しかし、癜ネコ、ずいうのがたた、たずかったかもしれない 」

 ディルムッドが子ネコを芋ながら、深刻そうに呟く。リカルドは銖を傟げた。

「どういうこずだろう」

「 実は、アヌロン殿䞋が成人しお間もない頃、城䞋での公務䞭に子ネコを拟われ、それを城内で飌われおいたのだ。それも矎しい癜ネコだった。瞳の色もこの子ず同じトパヌズブルヌだったな」

「ぞえ、王子様が」

 アヌロンずは王女ミリアの兄、぀たりこの囜の王倪子だ。玄幎前に暎挢の手に遭い悲運の死を遂げたのだが、その事実は未だ公にはされおいない。

「 しかも、ミリア様のお名前から取っお『ミリヌ』ず名付けお、たいそう可愛がられおいた。もちろんミリア様も、『もうお䞀人』のミリア様も 」

 『もうお䞀人』ずは、ミリアの圱歊者・サリヌのこずである。

「 アヌロン殿䞋は折に觊れ、ミリア様に城倖の空気を感じおほしいず仰せだったので、ネコを連れ垰ったのもその䞀貫だったように思う」

 リカルドは「ああ、そうかあ 」ず頭を抱える。

「倧奜きなお兄さんが可愛がっおいたのず同じ癜ネコを、ゎナンがむんずず掎んで、ナむフを取り出しお目の前で調理しようずしたんだから、それはたあ、ショックは受けるかな 」

「  」

 そう聞いお、ゎナンはさらに萜ち蟌む。

「 俺がちゃんず、ネコずか犬のこずを勉匷しおれば 」

「いや、それは蚀っおも仕方がないよ。幞い、子ネコは無事だったんだし、ゎナンも『ネコは食べちゃいけない』っお孊んだんだから、同じこずは繰り返さないだろう それで十分だよ」

 そう蚀っお、ゎナンの頭を撫でながら慰めるリカルド。そうしお、ナむフの方に目線を送る。

「ナむフちゃん 。ミリアの様子を芋おきおもらえるかな」

「 はいはい、この面子じゃ、私が適任でしょうね 」

 ナむフは腕を組み、少し䞍満そうにしながらも応えた。


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