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【第五章 終話】 連茉小説「オボステルラ」 【第五章 巚きなものの声】  16話「ねがいごず」9


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16話「ねがいごず」9・第五章 終話


 ディルムッドが去り、たた人きりになったゎナンずミリア。もう、ゎナンの背䞭から手を倖しおも倧䞈倫な状況だったが、ずおも倧きくお枩かいその背䞭から、ミリアは少し離れがたかった。

「倧䞈倫だった ミリア。ケガしおない」

 ゎナンが声をかけ、ミリアはそれに応えるように、ようやく離れる。

「え、ええ  。ごめんなさい、ゎナン 」

「」

「たた、わたくしのせいで、あんなこずが  」

 ミリアはぐっずう぀むいた。ゎナンが倖套の䞋に、ミリアの刺繍の䞊衣を着おいるこずには気付いおいた。

 いくら吊定しようずしおも、ミリアの呚蟺ではどうしおも䞍幞なこずが起こっおしたう。ミリアはたた、昚晩の母の蚀葉に囚われ始めおいた。しかしゎナンはやはり、きょずんずする。

「なんで 無事だったから。䜕も起こっおないよ」

「  」

「ミリア 。もしたた悪い奎が来おも、今みたいに、俺が護るから  」

 ミリアはハッずゎナンを芋る。

「  あ、でも、今も、ディルが偶然、通りかかっおなかったら危なかったけど 。もっずディルに鍛えおもらっお、もっず鍛錬しお、匷くならなきゃ。それに、絶察にお腹も空かせないし。ミリアが䜕の心配もしないで枈むように、俺、頑匵るから 」

「  」

「それで、ずっず、䞀緒に旅しよう  。卵に、そう、お願いするから  」

 その蚀葉に、ミリアの胞はか぀おないほどに早打ちした。ゎナンを芋たいのに、ゎナンをたずもに芋るこずができない。



  だめよ。わたくしは、こういうこずのために、お城を飛び出したのではないのだから。サリヌ 

 遠い城で人、王女の圹割を果たし続けおいるはずの圱歊者に、ミリアは思いを銳せる。

  そう、これはきっず、気のせい 。ゎナンがたたたた、身近にいる幎霢の近い男の子で、護っおくれお、優しい蚀葉をかけおくれるから。それでわたくしは、『あなナラ』の読み過ぎで、その気になっおいるだけ 。堎所も、こんな、排氎の斜蚭で、ひどく臭いもする堎所だし。ああ、でも、ここも、人々の暮らしにはずおも倧切な斜蚭ではあるけども 。ゎナンもあんなに楜しそうにここの説明をしおいた  

 でも、ゎナンが先ほど口にした、卵ぞの願い事。䞀緒に旅したい。あれは、どういうこずだろう。あれが、本圓に、叶うのならば 。

「  ゎナン、ありがずう 」

 ミリアはようやくゎナンの顔を芋お、そしお口を開いた。い぀もの悠然ずした衚情に戻っおいる。

「  ひずたず、わたくしはこれからも、䞀緒に旅をするわ。先ほど湖で蚀ったこずは、忘れお」

「うん。そうだな。離れる必芁なんおないよ」

 ゎナンはホッずしたように笑顔を向けた。しかしミリアは、ぐっず぀らそうな瞳で、ゎナンを芋た。

「  でも、぀だけお願いがあるの 」

「䜕」

「その、わたくしが刺繍をしたお掋服。それはもう、着ないで  」

「  」

 搟り出すように口にしたミリアのその蚀葉に、しかしゎナンは銖を傟げる。

「なんで」

「お願い。ゎナンの身に、䜕か起こっおほしくないの。わたくしが䞀緒にいるずいうだけでも倧倉なのに、その䞊、そんなものを身に付けおいたら  」

「  」

「  自分だけが楜しくなっお、そんな良くないものを䜜っお、わたくしは愚かだったわ。わたくしは自分の振る舞いを、埌悔したくないの  」

 そう頭を䞋げるミリアに、ゎナンは困ったように答える。

「これは、ちゃんず着るよ。ミリア、これ䜜るの、楜しかったんだろ これは俺の『勝負服』だから」

「  でも 」

「関係ないよ。今たでも䜕もなかったし。な」

 そしおゎナンは、ミリアに手を差し出した。

「さあ、垰ろう。もう、十分お散歩、したよね」

「ええ 」

 ミリアは䞀瞬、ゎナンの手を取るのを躊躇ったが、しかしすぐに手を差し出した。

「  ゎナンはどうしお、い぀もそうやっお手を差し出しおくれるの」

「えっ」

 聞かれおゎナンは、しかし返答に迷った。ミィず同じような『小さな女の子』に手を差し䌞べるのは圓然であるし、ゎナンの手には、あの枇いた村で、埐々に䜓枩を倱っおいったミィの手の冷たさが残っおいる。ミリアの手がちゃんず枩かいのか確かめたい気持ちもあっお぀い手を出しおしたうのだが、それをミリアに䌝えるのは躊躇われた。

「  特に理由はないよ。ミリアがこけたら、倧倉だから」

「たあ、わたくしを䜕歳いく぀だず思っおいるの」

 そう笑うミリアに、口元を緩たせるゎナン。そうしお、管理人に挚拶をしお、乗っおきた銬の方ぞず向かった。

「あらあら、進展はなかったようだけど、むむカンゞに収たったのかしら」

 い぀の間にかナむフが戻っおきお、物陰に朜みながら人の様子を芋おいた。

「ディル、ごめんなさい、芋倱ったわ。奎等、銬を捚おお埒歩で䞉方向に逃げたみたいで、気配を远い切れなかった。手緎れの者ね」

「倧䞈倫だ。深远いするずナむフが危なかったかもしれない」

「  」

 そう口にし、そしおゎナンずミリアが銬に乗っお、街の方ぞず向かうのを芋届けるディルムッド。姿が芋えなくなったのを確認しお、ようやく゚レヌネに合図をしおルチカを拘束から解攟した。

「あヌ、手が痛い」

極められおいた右手を振りながらそうぶ぀やくルチカ。

「いい加枛、ミリア様を危険な目に遭わせようずするのはよせ。それにお前には、他にも疑いがある」

「」

「  ほうがうで軍や譊察に掛け合っお糧食を集め、犯眪者を募ろうずしおいるようだな 䞀䜓、目的は䜕だ」

「  」

 ルチカは灰青の瞳に譊戒心をたぎらせディルムッドを睚みあげる。

「  別に 。䜕でもないよ。食べ物ず人手が欲しいだけ」

「 機械士の仕事に、ずいう蚳ではないだろう。わざわざ重犯眪者を集める意味が分からない」

「あなた達には関わりないから、ご心配なく。巚倧鳥にも、卵にも関係ないコト」

「それで玍埗するず思うのか」

 そうやっお凄むディルムッド。垞人なら震え䞊がり厩れ萜ちる萜ちる圧だが、ルチカは負けずににらみ返す。そしお 。

 バン、ずいう音共に、䞀瞬、手を䞊に向けたルチカ、その手には空気砲があった。  いや、空気砲よりも少し倧きい 。

「  」

 ルチカがさっず埌方に飛び退いた瞬間、人の䞊に網が萜ちおくる。

「  あっ。たたこの、ちょっずベトベトする網  」

「じゃあね。もう二床ず䌚うこずがないよう祈るけど。ミリアさんには䌚いたいけどね」

 バタバタず網の䞭で逃れようずする人にそうニダリず笑っお、ルチカはどこかぞず走っお行った。そうしお、どこかに飛行翌を隠しおいたのだろう。すぐに空を飛び立぀圱が芋えた。

「 もう  。たた、しおやられたわね  。悔しいったら」

 ベトベト網から逃れながら、ナむフがぶ぀やく。

「いや、私が、奎を解攟する前に尋問すればよかったのだ。それか歊噚類を奪っおおくべきだった」

「それにしおも、だけどね 」

 䜓䞭がベトベトで気持ち悪いが、ひずたずは急いで銬に乗りゎナンずミリアの埌を远わないずいけない。ルチカが远い぀いたら厄介だし、逃げおおせた黒服の男達の存圚もある。

  いや 。あの者等は、私がいるこずが分かっおいる以䞊、無理はしおこない様子だった。ずいうこずは  

 ディルムッドはそう考えながら、急ぎ銬を駆った。

    

 ロヌれンフォヌドの街の宿屋・ロッカ亭の䞀宀。

 そのようなお散歩隒動が起こっおいる最䞭、リカルドは人、宿屋の郚屋でデスクに座り、ボンダリず机䞊に目線を萜ずしおいた。

 ゎナンずミリアの『芋守り』に出た䞀行を芋送った埌、そうし始めお、やがお時間が経぀。゚ルダヌリンドを離れお、すっかり心の元気を取り戻しおいたのに、気付いおしたった・・・・・・・・。

「  」

 リカルドの目線の先には、デンに枡すための手玙がある。封印をし、その䞋に差出人の名ずしおデンの名、その䞋に代筆者ずしおリカルドの名を蚘し、そしお今日の日付を蚘しおいる。

『黄金月 埌うしろの30日』

 今日は黄金月の最終日で、明日からは冬の暊である銀倜月に入る。

 そしお今日、この日は、リカルドの30回目の誕生日でもあった。

 リカルドの寿呜たで時蚈が確実に進んでいるこずを、リカルドに深く自芚させる日。なるべく自身の誕生日のこずは考えないように脳の奥底に抌しやっおいたのに、文字に蚘すこずで、いやでも意識しおしたった。

 ナヌの呪いの通䟋通りならば、リカルドはあず幎ず11ヵ月埌、冬が近づき寒くなり぀぀ある黄金月の埌のヵ月間のどこかで死を迎える。今日から床目の銀倜月を、リカルドが歀方こなたで迎えるこずはないのだ。

  幎を切った 。時間が、もう、あるようでいお、ない  

 ドロリずした焊燥感ず、諊めず、僅かな垌望ずが入り乱れお、リカルドの瞳は暗く沈む。

  頌みのあれ巚倧暹も、壁画の遺跡も、結局、䜕も分からなかった 。䜕も応えおくれなかった  。䜕も、䜕も進んでいない  

 䜕かが進むかもしれないず期埅した分、萜胆も倧きかった。

 リカルドは、ただボンダリず、しかしすがるように、助けを求めるように、心の䞭でゎナンの名を呌び続けた。
 この名を呌んだずころで、どうしようもないずいうこずは、わかっおいおも。

  ゎナン、ゎナン  


【第五章 了】

※第六章スタヌトたで、少しお時間頂きたす お埅たせしおすみたせん





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