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家事のみかた

私は不器用だ。

図画工作の授業で、釘を真っすぐ打てたこともない。
お祭りの縁日にある型抜きだって成功したことがない。

一人暮らしをするようになって
私を苦しめているのは
野菜の、みじん切りだ。

細かいものを、さらに細かく刻む作業は
不器用な私には難易度が高く
何度も指を切った。

大人になると、出来ることが増えていくと思っていた。

逆じゃないか。

出来ないことが、より輪郭をハッキリさせて
私に迫ってくる。

仕事も、うまくいかない。

後輩の方がエクセルも早いし
電話対応も上手い。

私だけ、ずっと新卒みたいな顔をしている。

「大丈夫だよ」

上司にそう言われるたびに、
一体何が大丈夫なのだろうと思う。

ある夜、玉ねぎのみじん切りをしていると
涙が出てきた。

玉ねぎが目に染みたせい。
あとは、うまく刻めない自分が情けなくて。

家と職場の往復。

夢見ていた東京の生活ではなかったな。

なるべく周りに迷惑をかけないように
目立たず過ごそう。

そんな諦めの気持ちで、新卒2年目を過ごした。

きっかけは、料理研究家のYoutubeを見ていた時だ。

料理の工程を説明する中で
見たことのない機械が現れた。

「ぶんぶんチョッパー」

名前の通り
紐を引くと、器の刃が回転し
中の野菜が刻まれていく。

コツもテクニックもいらない。

私は近くのホームセンターへ自転車を走らせた。
ぶんぶんチョッパーを購入し
スーパーで玉ねぎを買った。

さっそく台所で使ってみる。

ぶーん!ぶーん!

勇ましい音を立てて、玉ねぎが刻まれていく。

ぶーん!ぶーん!!

履歴書に書くほどでは無いけれど
私を悩ませていた弱点が
ゆっくり消えていった。

その夜はハンバーグを作った。

今まで作った料理の中で
一番おいしくできたと思う。

帰省した時に、
お母さんに作ってあげよう。

いつも弱気な私を、
電話で励ましてくれているお礼に。

もう少し東京でがんばれる気がする。

私には、ぶんぶんチョッパーがついているのだ。


#家事のみかた

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