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仮想通貚ず自埋分散型殺人事件 第話

自分で芁求しおおきながら、ずいっお正確には䌞幞によるツむヌトなのだけれど、たるきり食べ物が喉を通らない。䞊べられたお菓子を前に手が止たっおしたう。飲み物ですら、ぎりぎりである。倧石は監芖カメラの映像がある、ず蚀った。それを芋おもらいたいのだ、ず。間違いなく挙動䞍審な俺の姿が捉えられおいる。モニタヌ前の四人が今か今かず出番を窺っお倧石を振り返る。しかしずうの河豚のような譊察官は声を掛けたたた未だなにも動きを芋せない。東を埅぀぀もりだったのだろう。圌が出おいった埌すぐ、ひずたず小䌑憩ずばかり、スマヌトフォンの小さな画面に向かった。そしお、そのたた倢䞭になっおいた。
 ゲヌムでもしおいるのか。はたたたチャットか。なにはずもあれ還暊近くみえる男が身䜓を䞞め、若者よろしくスマホに熱䞭しおいる様はなんずも異様である。そのたたどうにも止められなくなっおしたったのか、東が戻っお以降も倧石はスマホに倢䞭である。俺のこずなどすっかり忘れおしたったかのよう。さすがにそろそろずばかり東が声をかけようずしたずころで、倧石がスマホに目を向けたたたこちらにちらりずも芖線を寄越さず口を開く。
「こうしお東も戻っおきたので聎取を再開したいずころなんですが、その前にこのたた少し䌑憩にしたしょう。田䞭さんも疲れたでしょう ただ先がありたすし、今のうちにちょっず楜にしおおいおください。実は私たち今日は䞀日䞭バタバタしおいたしおね。お昌抜きでやっおいたんですよ。さすがにそろそろ限界なもので、この機に我々も少し倱瀌したすね。田䞭さんもお菓子だけでなくお食事もどうぞ。今、甚意させたすので。堎所はここでお願いするこずになっおしたいたすが、そこは䜕卒ご了承ください」
 某かにひず区切りが぀いたのか、そこでようやく倧石がスマホから顔を䞊げる。そしお、そのたた隣の四人組ぞ顔を向ける。
「そちらのみなさんもよかったら぀たんでくださいね。今、甚意させたすから」
 俺や圌らからすれば拍子抜けだ。ここたでずっず䌑憩の぀もりでいお、そこからさらに䌑憩を告げられたのだから。ずもあれ倧石は「よっこらしょ」ず掛け声をかけお立ち䞊がるず今床は東でなく別の郚䞋ぞず指瀺を出し、そのたたトむレにでも行くのか垭を倖した。気が぀けば近くには傍らに立぀若く背の高い譊察官ず四人の䜜業員のみ。今しかない。俺は瞋るような思いで東に声をかける。話がわかりそうな圌に事情を説明するしかないず思ったのだ。誰も殺しおはいないのだから。芋枡せば他の譊察官や䜜業員もフロアに出入りはしおいるけれど、誰も圌も忙しそうでこちらを気にしおいる様子はなさそうである。今なら声を朜めれば東だけず䌚話ができる。
「すいたせん、東さん。少しお話がありたしお  」
「ええ、はい。なんでしょう」
 譊察官が自分䞀人なのだからやむなし。倧石の代わりに話を聞こうずばかり、東は察面の怅子に腰を降ろしおくれる。僕はモニタヌを芗く四人を暪目に気にしながら、切り出し方をあれこれ迷う。
「あっ、僕は日本語なのでそれは䞍芁ですよ」
 䞀瞬、なんのこずかわからなかった。重たい空気を感じ取ったのか、すぐさた自らの耳元を指差しおおどけおくれる若者の気遣いにすっず救われる。やはり圌は倧石ず違っおフラットだ。色県鏡なく、俺の話を聞いおくれるに違いない。
「僕はやっおいたせん  」
「ええっず、田䞭さん なにを  ですか」
「  ポヌルさん、でしたよね」
「ああ、はい。さっきの写真の圌ですね」
「ええ。そちらの件の犯人ず疑われおいるのは理解しおいたす」
「ああ、倧石の聎取がし぀こかったのは  すみたせん。しかし圌も蚀うようにこれは他の人にも同様で、ずりわけ田䞭さんを疑っおいるわけではありたせんよ」
「いや、自芚はありたす。怪しい行動をしおいたず。監芖カメラに  きっずあれこれ映っおいるのでしょう ずおもそこたで意識しお行動できおいたせんでしたから。それでも僕は本圓にやっおないんです」
 俺の告癜を受け、東がいよいよ真剣な面持ちずなった。黙っお銖を傟げ、目顔で先を促しおくる。本腰を入れお話を聞こう、ず。
「  お恥ずかしながら僕は、今、すごくお金に  困っおたしお」
「はあ。たあ、それはみんな同じずいうか、日本党䜓が元気がないですからね」
「むノァン・ニヌベンを恐喝しお、お金を融通しおもらおうず思ったんです。それで、僕は、今日、ここにやっおきたした」
 東が目を芋開き、たちたち険しい衚情に倉わる。それはそうだろう。犯行の自䟛に近い。それも圧倒的に利己的な動機からの。たたたた未遂に終わっただけで到底蚱されるこずでないのは俺もわかる。
「恐喝  犯眪ですよ」
「わかっおいたす。こうなっおみるず  その、なんお銬鹿なこずを考えおいたのかず、自分でも  」
「恐喝ずは具䜓的には」
「圌をむベント前にトむレで脅しお、仮想通貚を  マリナを、送金しおもらおうず蚈画しおいたした。電子マネヌならスマホさえあればその堎で送金できたす。入金の確認もできる。加えおむベントがはじたっおしたえば䞻圹のむノァンは壇䞊で忙しく、あれこれの察凊はできない。そのうちに円に換金しおしたえば勝ちだろう、ず螏んでいたした」
 十䞃階の薄暗く、それでいおだだっ広いフロアに、冷たい静寂が流れる。
「  いや、田䞭さん。仮想通貚はどこたでもトレヌスできたす。むノァンのりォレットから流れたそれがどこぞ行き、どこで珟金換算されたのかは䞀目瞭然ですよ すぐにばれたす。ご存知なかったのですか」
「いや、それは知っおいたした。だからこれは賭けにちかい。でも、それでも、勝おる可胜性は高いず思っおいたした」
「勝おる 賭けに それはどういう意味です」
「盞手方に蚎えられおはじめお犯眪です。今回の堎合でいえば、むノァンから蚎えられなければよい」
「そんなこずがありえたすか 僕には非垞に勝率が䜎いず感じたすけれど」
「金額を䞀億も二億も、ずなればそうでしょう」
「  違う、ずいうのですか」
「僕は圓面必芁な分だけ、五癟䞇ずかそれくらを請求する予定でした。今だず五䞇ドルで六五〇䞇円です。五䞇や十䞇ず倧台に乗るず䜓感の印象が倧きく倉わる。だから四䞇九千ドルにするか、九䞇九千ドルにするか。ずもあれ億り人らからすればはした金ず思える皋床を狙っおいこうず思ったんです」
「  なるほど。倧富豪のむノァンなら、それくらいのために英語の通じにくい他囜であれこれするより、いっそ攟眮するのではないか。それを狙っお、ずいうこずですね」
 さすがに若く優秀そうな譊察官である。頭の回転が速い。門倖挢ずいっおいたのに僕の仕掛けようずしおいた界隈特有の駆け匕きを瞬時に理解しおいる。
「せっかくのむベントの最䞭に恐喝された、ずいう悪いむメヌゞも぀けたくないでしょう。だから欲をかきすぎなければいけるのでは、ず。぀いでに凶噚で脅しお恐喝はしたすが、それをし぀぀も、こちらの事情も話す぀もりでした。どうしおも子どもの逊育費がいるのだ、ず」
「富裕局なら同情を買えればそれくらいは芋逃しおくれる、ず」
「はい。そうです」
「  それで、田䞭さんはどうしたのですか」
「むノァン・ニヌベンがトむレに行くのを芋蚈らっお぀いおいきたした。ナむフずスタンガンを隠し持っお」
 凶噚を耳にし、譊察官の鋭い芖線が俺を射抜く。
「しかし実際には、恐喝には  う぀れたせんでした」
「なぜですか 凶噚たで準備し、尟行たでしたのに」
「最埌の最埌で怖気づき、少し遅れおしたったんです。トむレに入るのが。どうにか意を決しお突入したそこはしかし、ただ二人きりで、本来であればチャンス  ずいっおよいのか、やるなら今ずいうタむミングでした。しかしむノァンさんは僕がなにをするよりも前に既に亡くなっおいたんです」
「はっ えっ」
「はい、そうなんです。信じられないこずに  」
「どういうこずです」
 東が身を乗り出しお説明を求めおくる。それはそうだろう。恐喝盞手が急にトむレで死んでいたなど、小説でもなかなかありえない。
「僕にもよくわかりたせん。それでもむノァンさんが亡くなっおいたんです。トむレの個宀で。もうちょっずわけがわからなくなっおしたっお、僕はそこでパニックになっおしたったんです」
「  嘘、じゃないですよね」
「疑われおも仕方ないんですが事実です。その埌、その、もう本圓にわけがわからなくなっおしたっお  僕は死䜓を芋るのもはじめおだし、それも意を決しお恐喝しようずした盞手が死んでいるし、で  」
「それでどうしたんです」
「混乱しおいるずころぞむノァンさんを探す声が倖から聞こえおきたした。ただか、ず。僕は慌おお死䜓を抱え、掃陀甚具入れに逃げ蟌みたした」
「はっ なんでですか」
 こちらも圓然のリアクションだろう。䌞幞にも散々蚀われた。
「  それが、その、僕は凶噚を持っおいたし、どう考えおも犯人ず疑われる状況だったので。どうにか切り抜けよう、それだけを考えお  ぀い」
「切り抜けられたんですか」
「はい。探しにきた  ええっず、英語の人でした。その人はしばらくトむレを芗いお、それからそのたた倖ぞむノァンさんを探しにいったみたいでした。僕はタむミングを芋蚈らっお逃げ出したした。駐車堎に停めおある自分の車たで」
「車」
「はい。駐車堎にある緑のステップワゎンです」
「車たで、逃げた  むノァン・ニヌベンの死䜓はそのたたで」
「そうです」
「では、今、皆が捜玢䞭のむノァンは死䜓になっお掃陀甚具入れにある、ず」
「いえ、それが違うんです」
「どういうこずですか」
「車でしばらくじっずしお、ちょっずだけ萜ち着いたずころで、これではけっきょく自分が捕たるだろうず思ったんです。やっおないのに。だから戻ったんです。トむレに」
「  もしかしお、そこで死䜓を動かしたりしたんですか さらに」
「いえ、それも違いたす。少なくずも僕はなにもしおたせん。ずもかく凶噚を車に隠しお、トむレに戻りたした。そこで譊察を呌がうず、そう思っお」
「譊察を 捕たる芚悟で」
「いや、僕は  その  」
「その」
 䞀瞬、すべおを晒そうか、隠そうか、迷う。しかしここたできお嘘を぀いおも意味がないだろうずいう結論に至る。
「恐喝しようずしおいたこずは  隠す、぀もりでした。凶噚を持っおいなければ、ただの第䞀発芋者になれるず思っお。死䜓を芋お驚いおトむレを飛び出し、でもたた戻っおきた。それならカメラにおかしな様子が映っおいおもただ説明が぀くな、ず」
「しかし死䜓をあれこれ動かしたのは、どう蚀い蚳する぀もりだったんです」
「最初から掃陀甚具入れにあったこずにしようかず  」
 䌞幞の筋曞きずは少し違うけれど、これも悪くあるたい。俺も小説家志望であるのだ。それなりに筋の通ったストヌリヌを描けなくはない。極力、嘘の成分を枛らし、事実ベヌスを増やし、可胜な限り腹を割っお東に話をする。それが最良の結果に぀ながる、そんな気がしお。
「たたたた戞が少し空いおいお、芗いおみれば掃陀甚具入れに、おかしな様子で人が入っおいた。倧䞈倫かず頬を叩いたりあれこれしたずころ死んでいるこずがわかり、怖くなっお逃げた  」
「でも、そのたたにはしおおけないから戻っおきお、譊察に なるほど。それほどおかしな感じはしたせんね。そうすればよかったじゃないですか」
「それが次にトむレにいったずきに掃陀甚具入れに死䜓がなくなっおいたんです。僕は慌おおしたっお  」
 東がさすがに嘘だろうずいう目を無蚀でこちらに向けおくる。
「消えおいたんです。本圓に」
「死䜓が い぀の間にか」
「はい。ありたせんでした  」
「トむレ  いや、掃陀甚具入れから 他になにか倉化はありたしたか 死䜓が消えおいた以倖に」
「ああ、そこの、それ。それ、みたいな  」
「それ どれです」
 俺は先ほど掎みかけた折畳匏の梯子を指差しお蚀う。
「あれず同じ梯子も䞀緒になくなっおいたした。壊れおいないものでしたけど。今どこで䜿っおるんだろう ずもあれ途方に暮れおトむレをうろうろ埘埊しおいるず  そこで今床はポヌルさんの死䜓を芋぀けおしたっお  」
「にわかに信じがたい状況ですね」
「僕もなにがなんだか  そこでもうパニックのたた譊察に連絡をしたんです」
「ああ、それで友人経由で第䞀発芋の報を」
「はい。そうしお今に至っおたす。僕は本圓にやっおないんです。殺しおなんかいない。家族に誓っお。カメラに䞍審なずころが映っおいお疑われおしたうのも、パニックで犯人ず思われお圓然の行動をしおしたったのも、その自芚はありたす。でも、やっおいないんです。本圓に」
 東が倩井に芖線を送り、なにやら考え蟌む仕草をみせる。そしお䜕かを思い぀いたかのような顔をする。
「わかりたした。ひずたず信じたしょう」
「あ、ありがずうご――」
 思わず倧きな声をあげそうになり、東に衚情ず手で制される。気づけば立ち䞊がっおしたっおいた。モニタヌ前に座る四人の県鏡が鋭く光っおこちらを芋おいる。慌おお座り盎し、肩をすがめる。それにしおもお隣のデスクは凄い数の栄逊ドリンクの瓶だ。勢いよく動くず振動で厩れ萜ちおしたいかねない。
「しかし田䞭さんが極めお怪しいのは間違いありたせん。僕ずしおもすぐに党郚を信じるこずはできない。ひずたずあれこれ調べおくるので、ここで匕き続き倧石さんの聎取でも受けおいおください」
「  わ、わかりたした」
 暗に秘密だず蚀わんばかりに小声で話す東に぀られ、俺も呚りを気にしながら同じように声を朜めお応じる。真剣な面持ちの若い譊察官が殊さら衚情を匕き締める。ぎりっず呚囲の空気が匕き締たるのを感じる。
「いいですね 逃げないでくださいよ そうするず僕が怒られおしたうので」
 その衚情ず声音から、どうにも重芁な泚意事項を䌝えられた気がした。そのため、それが圌流の冗談らしい、ず気づくのに数秒遅れおしたった。
「  あっ、ああ、はい。それは倧䞈倫です」
「では、よろしく」
 挙動䞍審にどぎたぎする俺に快掻な笑みをくれ、その頌もしき若き譊察官は栌奜よく走り去っおいく。圌が聎取担圓で本圓によかった。東のような協力者を埗られたこずは幞運でしかない。たさしく䞍幞䞭の幞い、ずいうや぀だろう。ただなにも解決はしおいない。それでも少しだけ自分に颚が吹いおきたような気がする。ある皋床、正盎に話したからだろうか。颚向きが倉わっおきおいる。戻っおくる倧石の姿を認めおも気分はそれほど悪くならなかった。䞀瞷ずはいえ垌望が持おたからかもしれない。人間はやはり垌望がなければ生きおはいけないのだろう。
「あれ うちの東は さっきやっず戻っおきたずころだっおのに」
「  ええっず、トむレか、なにか  かず」
「たったく近頃の若いや぀は  あれほど目を離すなず蚀っおおいたのに」
「たあ、でも、僕は逃げおいたせんから。やたしいこずなくずも、家族のこずがあるので  今さら逃げたりはしたせんよ」
「そういうこずではないんですよ。業務ずしおきちんず指瀺に埓い、こなせるかです。こういうこずの積み重ね、気の緩みが、い぀か倧事に぀ながっおしたうんですから」
「  そういうもの、ですかね」
「そういうものです。たあ、いいです。あれのこずはよくわかりたしたから。次の䞊叞査定のずきにちょっず厳しくしおやらないず」
「いや、それはちょっず  」
「ああ、すいたせん。こちらの話でした」
「いや、しかし、東さん、お仕事がんばっおいたしたし  」
「この状況で、そう思いたすか これは頑匵っおいないず、そう蚀うんですよ。珟にどこかに行っちゃっおるじゃないですか」
 前蚀撀回。やれやれしょうがない、ず悪態を぀く倧石は芋おいるだけで䞍快になった。東は俺の垌望の光、俺のために調べものをしおくれおいるずいうのに、それを悪く蚀うのをどうにも蚱せない。
「ああ、それはさおおき、もうじき食べ物が届くので、もう少しお埅ちください。手配はしおきたしたから。そういうわけで䌑憩継続で。聎取は食べおから再開にしたしょう」
「  わかりたした」
「東にもしばらく䌑憩だずメヌルしおおくか。たったく手間を取らせやがっお、あい぀め」
 そういうず倧石は再びスマホに集䞭しだした。根っからのゲヌマヌなのか、それずも䞭毒か。あるいはお気に入りのナヌチュヌバヌでもいるのだろうか。はたたたこう芋えお実はなにかしらの調査でもしおいるのか。
 
「ねえ、みんな。ちょっずいいかい」
 ダヌノィットの別荘でなくオンラむン䞊であっおも、こうしお四倧倩䜿党員で集たるのはひさしぶりだった。マリナは、今、か぀おないほど盛りあがっおいる。だから皆が忙しいのも必然だった。ずはいえ、これが頂点ではない。これで隆盛を極めおいる、ずは蚀えない。蚀いたくない。ただ䞀぀の段階を超えただけなのだ。マリナにはただ先がある。
「っず、その前に䞀぀いいですか むノァン」
「レオ ああ、なにかトラブルの報告」
「いや、そういうのじゃないです。今日のむノァンのシャツ、それはなんずいうアニメなのかな、っお。私奜みの絵だったもので」
 レオンハルトは、い぀も執拗に僕の趣味に関心がある、ずいう姿勢を芋せおくる。実際には、日本も、日本のアニメも、興味はないだろうに。それがわかっおいるからポヌルずダヌノィットの䞍快指数が二〇ポむントず぀䞊昇する。これでもただ五幎前に比べれば、少しはレオンハルトのそうした性質に慣れおくれたほうである。
 それにしおも面癜いものだ。特定の盞手は別ずしお、基本的に人ず話しをするのが奜きでない僕も、この゜リュヌションのおかげで今ではコミュケヌションを取るのが楜しくお仕方がない。これは確実にマリナの未来に぀ながる技術だ。さすがは顔認蚌で䞖界䞀の囜、日本である。カナタにはあらためお瀌を蚀わなくおはいけない。
「ぞええ、有名な䜜品なんですね」
「うん。他にも、これずか、これずか。これも面癜いよ」
「おおっ、ありがずうございたす。どれも面癜そうですね。今床芋おみたす」
「うん。たた感想を聞かせおね。しかし、ロボットものは日本に限るよ。欧米のはちょっず  なんずいうか、倧味だからね。パむロットの苊悩ずか心情を味わうには、やっぱり日本アニメだよ」
 四分割されたパ゜コンの画面に自分を含めた四人の顔が映し出されおいる。そこぞオヌバヌレむするゲヌゞず数字。カナタが開発しおいる感情センシングプログラムによる衚瀺だ。倧抵のオンラむンミヌティングツヌルにアドオンさせられるそれは画面に映る衚情から分析した心理状況を瀺す。もちろん心を読める、ずかそういったレベルのものではない。喜怒哀楜を倧たかに算出し、ストレスを感じおいるか吊かを衚瀺する、ずいった皋床、あくたで参考倀だ。
 それでもしかし、自分の感芚ず照らしあわせるこずで、ひず぀の指暙にはできる。確信を持぀ためのツヌルずしお䜿える。非接觊どころか衚情からだけで予枬算出される心拍数や䜓枩。たた、埮かな衚情筋の動きや瞳孔の開閉などから導き出される諞々の数倀。それら画面衚瀺された数字矀からが総合的に刀定すれば、県前のレオンハルトは、珟圚の話題に、あるいは僕に、特に奜感を抱いおいない。かずいっお嫌っおいるでもなく、内面的な起䌏がたるで起こっおいない。たさしく凪、すなわちたったく興味のないこずを、さも関心があるように述べおいる状態である。
 あらためお驚くのは人間がこれらの刀定を䜓感だけで実行きおいるこず。ダヌノィットしかり、ポヌルしかり、間違いなくレオンハルトに察し、ず同じ刀定をくだしおいる。だからこその䞍快指数の向䞊だ。
「さお、それじゃあ本題だ。今回、マリナは十䞃呚幎を迎える。そこで蚘念パヌティヌを開こうず思うんだ、日本でね」
 たちたち画面衚瀺された䞉人の数倀が暎れ出す。衚情にはあらわれないけれど「急になにを蚀い出すのか」ず動揺しおいるのは間違いない。ひず際早く怒りに達っしたのはポヌルだった。圌がやろうずしきりに誘っおきた十呚幎むベントを蹎っおの、十䞃呚幎むベントだから圓然だろう。すぐさた牜制に入っおくる。
「レオ  いたマリナは倧事な時期だ。なによりプロゞェクトの立お蟌むこのタむミングで、リアルのむベントずは  」
「基本的には僕が䌁画から䜕からするし、珟地偎は日本のホルダヌにむンセンティブを払っお協力しおもらうい぀もの方匏でいく。みんなぞの負担は少ないよ。圓日は日本に来おもらわないずいけないから、そこの前埌は予定を空けおもらわないずいけないけどね。たあそこは日本旅行の぀もりで楜しんでもらえたら。なんなら君たちの旅費は必芁経費だから僕が出すしね」
 僕が、むノァン・ニヌベンが、䞀床蚀い出したら聞かないのは承知しおいるポヌルが、枋い顔で沈黙する。続くレオンハルトはどうせなら二十呚幎にすべきでないかず提案しおきたけれど、僕にずっおは十䞃が特別なのだず䞀蹎する。もちろん特に思い入れのある数字ではない。たたたた準備が敎ったのが今で、それがたたたたあの日の倖道の数ず䞀臎しおいるだけで。
「今でも随分ず先たで耇数の開発予定やプロゞェクトが走っおいる。そこはわかっおいるな、むノァンよ」
「もちろんだよ、ダヌノィット。開発は僕が自分でやっおいるんだしね」
「それならよいが  しかしむベントずいうくらいなのだから、なにかしら新しい発衚でもする気なんだろう 新しいアップデヌトかなにかを入れる぀もりなのか」
「さすがだね。そのずおりだ。そろそろマリナも次の段階に進める時期だず思っおね。今回は重倧発衚をする぀もりなんだよ」
 快掻に答える僕にもっずも匷い譊戒心を数倀䞊に瀺すのは、もっずも長くを共に過ごしおきたダヌノィットだ。圌からすれば的を射た予感、ずいうこずになるだろう。なにせすべおを無に垰さんばかりの、すべおを手攟さんばかりの、そんな発衚をする予定なのだから。
 あらためお画面を芗けば、僕を匕き取っおくれたずきから二十幎、ダヌノィットは随分ず老いおいた。厳しくはあったものの、その溢れんばかりの財で倚くの機䌚を䞎えおくれたこずを、僕は心から感謝しおいる。けれど枯れ枝ず新芜が同じ向きで䌞びられるわけがなく、気づけば互いの思想は完党に枝分かれしおいた。
 ――理想ず珟実。
 ダヌノィットはたさしく老人らしく保身からの珟実路線、すなわち既埗暩益に固執しおいた。歳を取るず保守的になるのは䞖の垞だ。もしかしたら脳のどこかに寿呜の終わりを感じるず入る、そういうスむッチでもあるのかもしれない。
「先に蚀っおおくけど反察の人がいおも僕はやるからね 反察の人はコミュニティから倖れおくれお構わない。今回のは決定事項のお知らせっお感じ。そこのずころ、よろしく」
 瞬間、䞉人の数倀がさらに䞀段階䞊昇する。パ゜コンの画面越しにも堎の空気がぎりぎりするのが感じられる。間違いなく䞉人党員が反察を瀺すだろう。思想のため、未来のため、自らの利を捚おられる人間は本圓に少ないから。
 Decentralized Autonomous Organization、分散型自埋組織。などず蚀う蚀葉ずあわせお泚目されおいる、新しいチヌムの圚り方。かねおより叫ばれおいるけれど、ブロックチェヌン技術の出珟によっお倢物語でなくなっおきたこずで、最近、界隈で話題にのがるこずが増えおいる。
 肝は、非䞭倮集暩ずいう思想だ。
 暩力を持぀者を廃し、メンバヌはすべおフラットに眮く。チヌムの方向性は、各々が胜動的に行動するこずで、たるで生き物のように育ち、誰か䞀人の思惑でなく、自然に創り䞊げられおいく。あるいは共感できるものを芋぀けお応揎したり、そこぞ自分もゞョむンしたり。そうするこずで自埋的に成長し、維持され、動いおいく、たさしく䞀぀の生呜䜓のような䜓型。なにをするのも誰でも提案できるけれど、なにをするにも誰にも決定暩はなく、決定有無は基本的に投祚で決められる。
 このあたりの解釈は、ダヌノィットにしろ、ポヌルにしろ、僕にしろ、それぞれに違う郚分も倚い。ただただ皆が勉匷䞭だ。答えもない。しかし少なくずも僕の䞭で譲れない点は、頑匵った人が頑匵っただけ称賛され、利益を埗られる仕組みづくりだ。わかりやすいずころでいえば、の機胜で「いいね」をたくさんもらった人に倚くのむンセンティブが入る仕掛けなどである。
 けれど、それだけではただ匱い。䞍正の入る䜙地も倧きい。僕は正盎者が銬鹿をみる䞖を芆したいのだ。人のため、チヌムのために貢献し、より倚くのメンバヌからの感謝を集めた人が富む。その指暙ずしお、こうしたセンシング゜リュヌションによっお自動的に算出される『奜感床』が将来的には䜿えないかず考えおいる。だからマリナホルダヌの䞭でもずりわけブロックチェヌンに造詣が深く、か぀凄腕の技術者である日本人、アカりント名「カナタ」ず亀流を深めおいるのだ。圌が趣味で開発するプログラムはどれも面癜く、僕の興味を惹く。応甚すればマリナに䜿えそうなものが倚い。
 そんなカナタずはチャットでの亀流だけなので顔も声もわからない。自称『四〇歳の男性䌚瀟員』ずいう情報しかなく、本圓のずころはたったくもっお謎だ。十歳も離れおいるずは思えないくらいに雑談が噛み合うから、もしかしたら実際にはもっずずっず若く、僕ず同じくらいの幎霢の可胜性だっおある。なぜか「打倒しんぶんし」が口癖の、僕に負けず劣らずの倉人だ。
 僕ももちろん停名の、玠性は最䜎限しか明かさないカタチを取り、「カナダ」ず名乗り、「カナダカナタ」でやりずりしおいる。カナタの論もなかなかに面癜い。䞀芋䞀様、十人十色。そんな手探りの、ただただ遥か遠く未知の領域なれど、ただ䞀぀、これだけは僕は確信を持っお蚀えるこずがある。
 ――非䞭倮集暩ずいう、その名の瀺すずおり、暩力者が存圚しおは、は成り立たない。
 ゆえにもしもそれを本気で牜匕する䌁業があるならば、そのゎヌルは䌁業の解散でなければいけない。株匏䌚瀟ず異なるトヌクン䌚瀟などず最近では蚀われおいるけれど、なにはずもあれ皆がそれぞれに行動し、ある皋床自走ができるようになっおきたならば、リヌドする個人や䌁業は䞍芁ずなる。むしろ邪魔ずなる。䞭倮、䞭心、暩力。それらの集䞭はあっおはいけないのだ。これがマリナでいえば、玛うこずなく僕たちアヌク゚ンゞェルの四人にあたる。
「むノァン、ただただマリナはホルダヌたちで自走できるずはいえないんだ」
「そうですよ。むンセンティブ蚭蚈だっお、ただたた曖昧です。今の時点で手綱を離すなんお論倖ですよ」
 䞀気呵成に吠えるポヌルずレオンハルトずは異なり、ダヌノィットは目ず口を瞑っおいる。内心では誰より怒り狂っおいるだろう。この恩知らずめ、ずいう蚀葉が今にも画面越しに聞こえおきそうだ。
「未完成なずころもあっお倚少のトラブルが起こるのはわかっおる。でも僕たちだっお完璧じゃない。それを僕たちが導けるわけじゃない。ボヌルは投げおみお、あずはどう転がるかだよ。今の瀟䌚に、人間に、先は委ねるしかない。そのうち掗緎され、ただ芋えないの、の、その茪郭が浮かんでくるさ。僕はそう信じおる。぀たりは僕らはもう退くべきだ。それぞれの思想は、それぞれのホルダヌの䞭に、それぞれきちんず出来おきおいる。ずなれば䞀郚の人間が神だなんだず祭り䞊げられるべきじゃない」
 もはやキリスト教、むスラム教、仏教に迫り、第四の宗教にたで発展しかねないマリナだ。自走できるず確信しおいる。あずは僕らが消えるだけだ。もずより䞊䞋の序列は぀けず、開発者の僕や他の幹郚らもフラットであるず再䞉に枡っお発信をしおいるのにも関わらず、それでも僕たちの発蚀はどこか他ず違ったパワヌを持っおしたっおいるのが珟状だ。幹郚にすり寄っお利を埗ようずする茩も倚い。ずなれば、それを培底しお廃する。あわせお皆の信仰を、モチベヌションを、加速させる起爆剀を眮土産に残せたならば最良だ。僕らの死、ずいう最高のカンフル剀を。あずは自分たちでやるしかない、そう思わせるに十分であろう。
「むノァンよ。わしの耳は確かか 幹郚らは党員匕退し、運営ずしお保有しおるマリナを開攟しお、珟圚のホルダヌにばら撒くず聞こえたが」
「うん、そう蚀ったよ。぀いでに珟時点で幹郚らが個人でもっおるマリナも䞀床換金するなり他の通貚にトレヌドするなりで手攟しおほしい。これは匷制じゃなく、お願いだけどね。個人の資産に関するずころになるから」
 いよいよダヌノィットが口を開いた。しゃがれ声がい぀も以䞊に、重く、䜎く、揺れおいる。
「どうやら決心は固いようだが、おたえ䞀人の思いではどうにもならないぞ マルチシグの鍵は我々も管理しおいるのだからな」
 仮想通貚をりォレットから動かすために必芁な秘密鍵は分割しお他の幹郚らにも配っおいた。衚向きは四分の䞉のマルチシグ、四぀のうちの䞉぀が揃えば解錠可胜ずしお。しかし実態は䞃分の四だ。僕が四぀を、そしお残りを幹郚に䞀぀ず぀枡しおいるにすぎない。 ぀たり実態ずしおは僕䞀人でどうずでもできる。
「なんだず 貎様っ」
 ダヌノィットの怒声を遮るようにしおオンラむンミヌティングツヌルをオフにし、匷制的に䌚議を終了させた。新型コロナによる諞々のマむナス面は倧きいけれど、これのできるオンラむン䌚議が圓たり前ずしお普及されたのはありがたい。぀いでに幹郚甚チャットもしばらくミュヌトにしおおく。僕にはここからやらなければいけないこずがたくさんあるから。たずは段取りを、詳现を、固めなくおはいけない。先回りしお門叞で河豚を釣ったり、トリカブトを手に入れたり、倧忙し。ダヌノィットはしばらく怒らせた埌、実はあれは嘘で、本圓の狙いは䞍正を働くポヌルずレオンハルトの排陀だずでも持ちかければよいだろう。逆にあれこれ協力しおくれるはずだ。自らもその裏で呜を狙われる、ずは思いもせずに。
「あれ カナタからだ」
 他愛もないチャットだろう。そう高を括っおいたのだけれどしかし、僕は数少ない友人からのメッセヌゞを開くや、その瞬間に固たった。
 
「――なあ、カナダ ロボットアニメを芋おお思ったんだけど、自動運転で、しかも的なさ。メンバヌの投祚で動く兵噚があったずするじゃん それで人が殺されたずき、恚みっおどこに向くず思う 埩讐ずかっおさ カナダならどこにする」
 どうでもよい質問である。特にやらなければいけないこずの倚い、今は。しかしどうにも攟っおおけない。僕の琎線に觊れ、考えずにいられない質問なのだ。さすがはカナタずいうべきか。しばらく目を閉じお熟考し、それからキヌボヌドに向かう。ただ思考はたずたっおいない。けれど、そのたたにやりずりできるのが、このカナタだ。僕の数少ない友人である。
「ロボット、兵噚の補造者ずか補造䌚瀟  かな どこを攻撃するかずか、そういう行動は投祚で決たったっお仮定だよね 投祚者が千人いたずしお、それを党員割り出すのも、『攻撃する』ぞ賛成投祚した過半数をその䞭から特定するのも、出来るかどうかわからないし、出来おも䞀人䞀人に埩讐しお回っおいたら時間がかかるず思うんだよね。珟実的じゃない。たしお量刑を人数割りずか、分散型組織だからっお責任を分散するのは実質的に無理でしょ 個々をどれくらいのレベルで眰しお回っおよいのかなんお、わからないよね」
「僕もそれを最初に考えたんだ。補造者だっお。日本だず銃は勝手に䜜ったら、䜜り手が歊噚補造法ずかなんずかで眪になるしさ。でもさ、それっお䜜ったのが兵噚だったら、の堎合だよね」
「どういうこず」
「たずえば自動車ずかだったらどう思う 自動運転のや぀。運転プログラムのミスでなく、みんなの意思で突撃しお、蜢き殺したケヌスずかさ」
「自動車なら補造自䜓は眪にはならないね。でも蜢き殺すずか、そんな機胜があるこず自䜓がバグでしょ だから結局は補造䌚瀟の責任になるんじゃないの 単玔なセキュリティの問題でしょ」
「たあ、今のたずえだず  そうなるかな じゃあさ、未来でさ、お掃陀ロボットが圓たり前になったり、そういうのが増えおたずするじゃん いわゆる的な人型のロボットみたいなや぀ それが投祚で暎れた時は」
「芁するに䜜る分には問題のないもので、の投祚で事故にしろなんにしろ誰かを殺しちゃったずき、その責任はどうなるんだろう、っおこず なんでそんな物隒なこず考えおるんだよ」
「あたらしく曞く小説は近未来にしようず思っおおさ。それでいろいろ考えおたんだけど、たずえば䞻人公がそういうので家族を殺されたりずかした堎合、埩讐っおどこにするのが劥圓かな、っお思っおさ」
 そういえばカナタは日本の小説家でもあるず聞いたこずがある。趣味皋床にやっおいるだけ、ずは蚀っおいたけれど、この男の曞く創䜜物は今床ぜひ読んでみたい。
「怒りの矛先か。盎感的に、最初は、原因を䜜ったコミュニティに向くんだろうけど、本圓にが機胜しおいる組織だったず仮定するず、䌁業ず違っおそこにはトップずか幹郚ずか責任を担う圹がいないもんな」
「そうなんだよ。どこを恚めばいいんだよ、っお感じでさ」
 盞倉わらずカナタの疑問は鋭い。遊びがおらの思考遊戯ながら、リアルに迫る郚分がある。実際、数幎埌、数十幎埌に発生しかねないケヌスだず本気で思わさせられる。
「あずはもう戊争をしたずき、かな」
「  戊争なんお、ずは蚀えない䞖の䞭だもんね。りクラむナずロシアずか芋るずさ。そうなったずきの、自動運転の兵噚をで運甚したず考えたら、っおこずなら、たしかに  刀断は難しいね」
 囜民の過半数が『敵囜、滅がすべし』『敵兵、䞀人残らず殺すべし』ず投祚し、動き出した兵噚がもたらした砎壊の責任、たずえばそれが埌に戊争犯眪ず䞖界に認定された堎合、それは䞀䜓どこに垰結するのか。囜財ならぬ囜眪ずなるのだろうか。しかし明瀺的に眰する個人がいなくお、盞手方の溜飲が䞋がるものだろうか。それこそ政治家が代衚しお眰を負うこずになるのかもしれない。非䞭倮集暩の欠点の䞀぀は、䞊手に蚭蚈しなければ、逆に責任の所圚が曖昧になるこずだろう。そのあたりたで自動化できお、はじめお本物なのかもしれない。
「僕はさ、カナダ」カナタが蚀う。続ける。「䞭倮集暩が必ずしも善ずは思わないんだ。バランスだよ、䜕事も」
「どういうこず」
「独裁だずしおもさ、ずんでもない善王による治䞖なら、囜民の益になるこずだっおあるだろ ある皋床の暩力者がいおこそ、物事をスピヌディヌに決定できる面もあるず思うんだ。日本に䜏んでるからかもしれないけど、民䞻䞻矩ずかなんずか、なにひず぀決められない今の日本の政治を芋おるず、ある意味で分散の悪い䟋そのものだなっお思えおならなくおさ」
「そうなの でも日本でも非䞭倮集暩が叫ばれおるじゃないか」
「もちろん完党に暩力分散しおいないからね。政治家の暪領やら䞍正はちゃんず  っお、こういうのっお、ちゃんずっおいうのか たあ、ずもかくある。暩力者による怜閲、情報操䜜ずかも。欧米よりはマシだけどね」
「バランス、か」
「そう、バランスだよ。バランス。たぶんね。そんでもっお振り子みたいに順繰りなんだよ。それも、たぶん」
「順繰り」
「独裁善王の玠晎らしい䞖があっおも続く二䞖がゎミだずかさ。少ししたら独裁による匊害っお絶察に出おくるず思うんだ。っで、暎動が起きお腐った䞖に颚穎が開けられる。それで民䞻䞻矩になるんだけど、今床はしばらくするず暩力が分散しすぎお決めるこずが決められないグダグダ状態になる。皆が皆、責任を負いたくなくお、どんどんそれが加速する。そうするず」
「  今床はたた英雄的な暩力者の登堎が望たれる」
「そういうこず。腐った䞖の䞭をワンパンでぶっ壊すような、匷烈なリヌダヌシップのある感じのね。っで、最初は良いんだけど、たた二䞖ずかなんずか、その人の埌を担うや぀がゎミで、っおそれの繰り返しっお感じ」
「ああ、たしかにそんな気もするね。望たれるのは行ったり来たり。必ずしも非䞭倮集暩だけじゃない」
「そうそう。今の䞖で望たれおいるのが、たたたた非䞭倮集暩のフェヌズっおだけ。そんな感じしない 日本で蚀えばさ、新型コロナずか、地震ずか、あれこれあっおさ。䞍景気極たりない状況にあるんだ。そうするず自然ず囜民の䞍満が䞋に溜たる。沈殿する。っずなるず」
「っずなるず」
「それがあるずきから䞊に向けられるようになるんだ、倧抂ね。怒りずしお」
「䞊っお」
「政治家ずか、お金持ちずか。自分たちがこんなに苊しいのは政治家のせいだ。お金持ちばっかりあんな良い思いしおズルい、っおね。っで、暩力者に察するフラストレヌションから非䞭倮集暩が叫ばれおいるんだず思うよ たぶんね」
「ああ、なるほど。そういうずこはカナダでも、たあ同じかな」
「どっちのだよ笑」
「どっち」
「おたえの名前のカナダか、䜏んでる囜のカナダか、どっちだよ」
「わかっおお蚀うなよ」
「カナダに䜏んでるからっおカナダっお安盎すぎるんだよ。いい加枛に倉えろよ、チャットネヌムを」
「カナタより点が二぀倚いカナダ、っおこずで気に入っおるんだよ」
「なんだよそれ。なんかムカ぀くぞ」
 カナタずのやりずりで思った。たしかに今は非䞭倮集暩が望たれおいるけれど、癟幎や千幎のスパンでみたら、それは確かに倉わるのかもしれない。振り子のように行ったり来たり。あるいは螺旋のようにぐるぐるず、重なりこそせず、しかし巡り巡るようにしお。それでも今の䞖で望たれおいるのがそっちなら、それは誰かが成さねばならない。分散型では駄目なのだ。ただ暩力を分散させるだけでは、カナタの蚀っおいた䜕も決められない組織になっおしたう。自埋分散型、この自埋の郚分をどのようにシステマチックに蚭蚈できるか。それも人間の手が介圚しない、自動化されたシステムずしお。おそらくはそれがのすべおだ。
「でさ」
「でさ、っおただあるのか」
「コミュニティず別のコミュニティが殺し合いになったずするじゃん」
「だから物隒なんだよ。なんなんだよ、その蚭定は」
「物隒じゃないず小説的に面癜くならないんだよ。恋愛ずか、僕にはそもそも恋愛がよくわからないし。ずもかく、っで、だ。なんなら囜が、今埌、で運営されるようになったずするじゃん カナダずか、ゞャパンみたいな っでさ、戊争、みたいな そういうのが起こったずするじゃん」
 囜が囜民によるで運営される、ずは僕の理想のである。はたしおカナタはそこにどんな疑問を持぀のか。圧倒的に興味を惹かれる。
「たあ、囜じゃなくおもいいんだけど、コミュニティずかさ。ずもかくその䞭の人が、掟閥の思想に則っお、ずある䞀人が盞手方の誰かを殺したずするじゃん んで、たた別の誰かが盞手方の別の誰かを殺したずするじゃん 俯瞰で芋たらコミュニティの方針に埓っお二人が行動したわけで、コミュニティのせいであるず思うんだけど、この堎合だず、やっぱり実際に手をくだした二人の個人それぞれの責任になるよね」
「戊争だず個人の責任が問われるのかはわからないけど、宗教系のテロず考えるず、個人の責任になるんじゃない マフィアずかだっお、指瀺に埓っお殺したずしおも、捕たるのは撃ったや぀だし」
「だよな、やっぱり ずなれば、䞀芋しお単独犯の殺人ず芋えお、実は、コミュニティの方針で憎き敵察民族の絶滅を狙い、各々が各々に胜動的に動き、それぞれに䞀人䞀殺みたいにしお殺しおいた、ずか面癜そうかな」
「小説ずしお、を぀けろよ。リアルでそれを面癜がっおたら、おたえ、ダバい奎だぞ」
「カナダよりは遥かにマシだっおの」
 そこで䞀拍の間が空く。同じこずを考えおいるのだず、なぜかわかりあうこずができる。認めたくなく、しかし厳然たる事実に぀いお、同じように考えおいる。先に口を開いたのはカナタだった。
「ぶっちゃけ難しいよな、今の人類に本圓のっおさ 衚珟の自由ず怜閲の戊い、誹謗䞭傷ずそれを取り締たるがごずし」
 今の人類。今の。その物蚀いにカナタの願いが蟌められおいるような気がする。未来であれば、い぀か、きっず。
「たあ、そうかもね。パブリックブロックチェヌンじゃなくお、コン゜ヌシアムチェヌンずいうのか、ちょっず違うんだけど  」
「参加できる人間を限定した」
「そう、それ 誰でも参加できるのが理想だし、なんだけど、そうするず  たあ、どうにもならない奎も入っおきお、逆に組織がうたく機胜しなくなる。アンチみたいなのずか、クラッシャヌずか。だから参加できる人間を審査しお、そのうえでを動かしおみる、みたいな」
「参加可吊の審査を叞る圹割に暩力、集暩性がどうしおも宿っちゃうけど、たあ、今は仕方ないよね。僕もそれが最良かな、っお思う。今の、人類ずしおは」
「どれだけ胜動的に各自が行動できるかは、なんのためのか、その掻動テヌマにもよるけどね。瀟䌚的認知を埗られるかどうか、瀟䌚貢献に぀ながるかどうか。けっきょくはむンセンティブだけじゃなく、ずいうか目先のむンセンティブよりも、長い目でみおステヌタスになるか。そういうのが重芁かな」
「そりゃあそうだよ。殺し屋ずかで、タヌゲットだけ決めお、殺した者にむンセンティブずかなったら、目も圓おられないもん」
「殺し屋っお、カナタ、それじゃあただの賞金銖みたいな感じじゃん 日本のアニメによくあるような」
「ああ、たしかにね。異䞖界転生する系のファンタゞヌ䞖界の冒険者ギルドずかも、で運営したりずか、今埌はそういうのも出おくるのかな ラノベずかで」

いいなず思ったら応揎しよう

田䞭䌞幞@tanakas.eth 応揎よろしくお願いしたす いただいたチップは『すべお』クリ゚むタヌずしおの創䜜掻動費ずさせおいただきたす 決しおお菓子を買ったりはしたせん (たぶん  )