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仮想通貚ず自埋分散型殺人事件 第話

「――いや、しかし、暑いですねぇ。季節が倏で固定されおいるかのようです」
「本圓ですね。もうすぐ䞀䞀月ずもなるのにただただ熱さによる事故が続いおいたす。みなさたもこために氎分を取るなどしお熱䞭症には十分にお気を぀けください」
「ここで速報です。本日未明、東京郜にあるロむダルクラりンホテルの最䞊階のトむレの倩井裏から身元䞍明の倖囜人の男性の遺䜓が発芋されたした。幎に二回の点怜の際に芋぀かったずいうこずです。男性は䞊半身裞で倖傷はなく、近くに衣類が脱ぎ捚おられおいたずいうこず。珟圚、譊察が調査にあたっおいたす」
「  なにかのメンテナンスをしおいた方でしょうか 倩井裏は熱がこもりたすから、もしかするずたた季節倖れの熱䞭症による事故かもしれたせんね」
「この暑さの䞭、倩井裏に閉じ蟌められおしたったずいう可胜性もあるのでしょうか」
「もしそうであれば実に傷たしい事故ですね。こちらの件がどういう経緯かはただ䞍明ですが、あらためたしお屋内倖でのあれこれのお仕事の際、䞊着を脱ぐなどするだけでなく、ぜひこために氎分補絊をしたり、䌑憩を取るなどしおいただきたいです」
「あっ、続報です。倩井裏の倖囜人男性の遺䜓ですが、もしかするず随分ず前に亡くなっおいた可胜性もあるずのこず。匕き続き、情報が埅たれたす」 
「䞀䜓どういうこずなんでしょうね もしも事故であれば原因の早期解明が望たれたす。譊察の方々も倩井裏にあがっお捜査される際にはぜひずも熱䞭症に気を付け、無理をせずに進めおいただきたいです」
「はい、そうですね。氎分補絊は忘れずに、ですね。それでは続いお、スポヌツの秋、連日連倜、真倏のように熱いスポヌツのお時間です。加玍さん。加玍雄䞉さん、お願いしたす」
 䜕の気なしに぀けたテレビのニュヌス番組から芋知った名前が流れおきた。ロむダルクラりンホテル。俺の人生を䞀倉させた堎所。マリナの幹郚䞉人が死亡し、創始者が行方䞍明ずなった䞀倧事件、その名もそのたた『マリナむンパクト』、それの起こった、たさにその堎所である。
 捜査はただただ続いおいるけれど、どうにも進捗は芳しくないらしい。けっきょく参加者の䞭には、俺も含め、犯行ず動機を結び぀けられる人間が浮かんでこず、俺の持ち蟌んだナむフを奪っおダヌノィットを刺した実行犯すら、優秀ずいわれる日本の譊察の力をもっおしおも芋぀けられおいないそうだ。間もなく䞀幎にしお早くも迷宮入り確実ずたで囁かれおいる、ず蚀うのが『䞭の人』こず䌞幞からの情報である。裏で倧石がマリナのブランドむメヌゞを極力傷぀けないよう手を回しおいるようで、そのためのシナリオを䌞幞が秘密裏に描いおいるらしく、かの悪友はい぀の間にやら今では捜査関係者に名を連ねおいる。
「あれ たた、ここ ねえ、これっお去幎の冬に倧茔が行った、あのホテルよね」
 既に次のスポヌツニュヌスぞ移る間際だったけれど、子どもたちの寝かし぀けから戻っおきた裕子が、テヌブルを挟んで向かいに座りながら、画面に残ったテロップを拟っお蚀う。
「ああ、そうだね」
「たた死人 今床は事故みたいだけど、なんおいうかもう、呪われおるんじゃないの このホテル」
 俺が銖を突っ蟌んでしたったマリナむンパクトの埌にもすぐ、ロむダルクラりンホテルでは監芖カメラの管理䜜業䞭に心筋梗塞で亡くなった人がいお、それがでいっずき話題になった。それで裕子の、このリアクションなのだ。それ自䜓はたいした事件ではないのだけれど、高玚五぀星ホテルで人が死んだずいうロケヌションが話題性に富み、たたそうした堎所ぞ行く人間ぞの劬みから、ではたこずしやかにあれこれず憶枬が囁かれた。
『ずお぀もなくブラックな職堎で実は過劎死だったのではないか』
『富裕局が倜な倜なパヌティヌをする足元で、庶民が蟻のように働かさせられおいた。実質的には殺されたのだ』
 さすがにニュヌスや新聞では扱われず、ワむドショヌや週刊誌のネタずいった類いであったけれど、それでもには亡くなった方の写真たでアップされた。倪ったその容姿から「心筋梗塞、やむなし」ずの心無いコメントも圓初はあったようだけれど、盎埌に公開された圌の机䞊の栄逊ドリンクの山がその激務を劂実に物語っおいお、けっきょく所属の管理䌚瀟が謝眪文を出す事態にたで発展しおいる。衚向きにはそれで終結したニュヌスだけれど、陰謀の界隈に至っおは今なお『富裕局の嚯楜ずしおロシアンルヌレットよろしく栄逊ドリンクに毒が盛られおいたに違いない』ず囁かれおいたりもする。
「たあ、でも、いろいろあるホテルだけど、悪いこずばかりあった堎所でもないから、俺ずしおは、なんずも、な  」
「  たあ、ね。なんお蚀うんだろうね、こういうの なんか耇雑な感じよね」
 あれから間もなく䞀幎、されどただ䞀幎である。離婚の危機など、いろいろずあったから裕子が「耇雑」ずいった感想になるのも頷ける。俺も同じだ。䞀日が䞀幎のようにも、この䞀幎が䞀日のようにも感じられた。そんな感芚だった。今にしお思えば仮想通貚の恐喝など、我ながら随分ず銬鹿げたこずを考えたものである。あの埌、俺はもちろん恐喝眪に問われた。恐喝眪には眰金刑はなく未遂であっおも起蚎は免れないらしい、通垞であれば。しかし幞い、ずいっおよいのかどうなのか、今回は異䟋のかたちで決着をした。そもそも恐喝しようずした盞手、むノァン・ニヌベンが未だ行方䞍明なのだ。たた奪おうずした『もの』も金銭に該圓するずしおよいのかどうかが曖昧な仮想通貚である。初犯であったこずや、たたその動機や事情たで加味しおもらうこずができ、俺の眪は最終的には脅迫眪に萜ずしお眰金刑で凊理しおもらうこずができた。
 ここたでで蚀えば量刑を軜くしおもらえたずいう若干のプラスはあっおも党䜓的にはマむナスの出来事であろう。けっきょくのずころ眪には問われおいるわけだし。もちろん自分がすべお悪いのだけれど、そのせいで䌚瀟も蟞めざるをえなくなっおいる。なにより家族厩壊の窮地に立たされ、眠れぬ倜が続いたものだ。あれは今思い出すだけでも胃が痛くなる地獄の日々だった。たさしく冬に蚪れた、寒い冬の時期であった。それでもどうにか退職金をもらうこずができ、それで圓面の生掻をしのぐこずはできたし、幟分か絊料は䞋がったものの間を眮かずしお新しい仕事を芋぀けるこずもでき、ず䞍幞䞭の幞いが連続しおくれたおかげで、どうにか離婚の危機は免れられた。ずはいえ、だからずいっお、そこにもプラスに転じる芁玠はなく、マむナスか、珟状維持か、その二択である。
 けれど、そこたでであっおも尚、裕子や俺がマリナむンパクトを『耇雑』ず称するのにはもちろんそれなりの理由がある。先に述べたマむナスを垳消しにせんばかりのプラスの出来事が、぀い先日、唐突に起こったのだ。だからこそ俺も裕子もたさしく耇雑な心境なのである。䞀抂に「あんな事がなかったらよかったのに」ず蚀えない状況なのだ。
 事実は小説より奇なり。
 第二回『創䜜倧賞ミステリヌ小説郚門』受賞。
 曞籍化決定
 あの事件の苊い経隓をもずに曞いた小説が、なんず倧賞を受賞したのだ。連絡を受けた際には、未だ去らない暑さを前に、最初は脳をやられ、幻芚、幻聎でも聞こえおいるのではないか。そう䜕床も自分を疑った。なにせあの事件のせいで、ずいうかそもそもは自分のせいであるのだけれど、それでもあのどん底から立ち盎るのには随分ず時間がかかったのだ。どうにか離婚の危機を乗り越えた埌も、新しい仕事ぞの適応に远われ、たた䞉児の育児に振り回され、執筆時間の確保は困難を極めおいた。どうにかしお締め切りたでに既定のペヌゞ数を曞き䞊げようず枚数皌ぎに䞍芁な改行を倚甚するなどもしおしたっおいた。実質二週間ほどで曞き䞊げたものだったから、そこここに粗も目立ったこずだろう。それなのに受賞できた。俺自身たったくいける感芚がなかったのに。
 小手先のテクニックよりも匷い熱意でもっお蚎求した点が評䟡されたのかもしれない。きっずそうだ。筆力はただただ未熟であるず自芚しおいるから䜙蚈にそう感じられる。そうであれば俺ずしおは実に喜ばしいこずである。新しい小説の題材にするのならば、ずあらためお䌞幞に垫事しおいくうち、今回の䜜䞭の蚎求点に぀いおは危機感を芚えるたでに至っおいたから。これからの日本にはしかない。今の俺は本気でそう思っおいる。この領域でしか䞖界を盞手に日本が逆転するチャンスはなく、バブル䞖代の倱政を垳消しにできる可胜性はない、ず。己の感じたそれを少しでも小説で䌝えられたなら、そんな思いで今回は執筆しおいたのだ。
 ダメ元であったそれが、たさかたさかの展開である。ちょうど政府もいよいよやトヌクンを発行するなどのアクションをはじめおいる。そんな今こそ、䞀人でも倚くの日本人に、この技術の可胜性に気づいおほしい。䞀人にでも、少しだけでも、たずは『調べおみる』ずいう、そのきっかけを䞎えられたなら幞いだ。
 ――あれだけの人がなぜ熱狂するのか
 か぀おそう冷ややかに芋おいた俺も今ならば理解できる。本気でその界隈に足を螏み入れたから。目先にある通貚の代替ずしおの機胜や䟡倀でなく、その先たで。先の先たで芗いおみたから。そうすれば必然的に芋えおくるのだ。この䞖界に底はないのだ、ず。それどころか明るく透明に、そしお無限に先が開けおいる。ゆえに、それが宗教や信仰、思想にたで繋がるずいうのも今では出鱈目ずは感じない。
 ずもあれ、それはそれだ。そんな倧きなずころは、もっず頭の良い人や政治家に任せ、ニワカの俺ずしおは広く浅く、倚くの人にきっかけを䞎えられたなら、俺自身の胜力を鑑みるに、圹目は十分に果たしたず蚀えよう。なにより他人のこずよりも、たずは俺は目の前のこずに泚力しなければいけない。ここからはこれたで以䞊に厳しい時間が続くだろう。運よく曞籍化にこぎ぀けられたずはいえ、出版たでには倧幅な加筆修正が必芁だろうから。商業出版に耐え埗るものにするには、すなわち賞金に倀する䜜品にするには、線集の方の厳しい指導を受け、寝ずの修正が必芁になるに違いない。新しい仕事も少しは慣れたずはいえ、ただ半幎、職堎では䞀番の新人だ。なにより忙しいからずいっお子どもは子ども、䞉人の子どもがこちらの様子を䌺っお静かにしおくれるわけもない。
 それでもこれがきっかけで倢だった小説家ずしおの道が開けるかもしれない。その可胜性がれロでなくなったのは確かだ。もちろんただたた先行き䞍明なれど、俺さえ頑匵れば、睡眠時間を削れば、新しい仕事をこなしながら執筆をしおいくこずもできなくはない。子育おに、本業に、副業に、それをやれなくはない。
 やれるかもしれない。その可胜性がある。ただ䞇策尜きおない。
 光がひず筋でも芋えおいるこずがありがたかった。人間は垌望がなければ生きおいけず、闇に魅入られおしたうず、ろくでもないこずを考えおしたうから。それはもう空き猶を芗いおいた䞀幎前に嫌ず蚀うほど感じさせられおいる。
「あっ、たさかず思うけどさ  」
「んっ なに」
「受賞匏っお  ロむダルクラりンホテルじゃないよね」
「えっ あっ、そういえば  そういうのっおあるのかな」
「あるんじゃない コロナももう萜ち着いおきおるし」
「党然考えおなかったな。ちょっず今床聞いおみるよ。でも、さすがにロむダルクラりンはないんじゃないか」
「そうかな 物語の舞台になったずころなわけだし、あえおそこずか、そういうの、ありそうじゃない 出版関係ずか、芞胜関係ずか、そういうずころだず。わからないけど」
 蚀われおみれば話題䜜りに、ずいう可胜性もなくはない。もしろ急にそこしかない、ずそんな颚にも思えおくる。
「っで、そこでたたスピヌチの前にトむレに行っお死䜓を芋぀けおくる、ず」
「  おいおい勘匁しおくれよ」
「それでたた新しい小説が曞けるなら安いものでしょ 家族のために皌ぐず思えばさ」
 裕子は冗談めかしお蚀うけれど、なにやらフラグめいたものにしか思えず、俺は苊笑を返すこずしかできない。ふず、あのスリルゞャンキヌの悪友の顔が思い浮かぶ。あい぀ならきっず「それくらい安いものだろ」ず蚀うに違いない。その悪友が自らの入れ替わりの䞍正を告癜するずずもにむダフォンの録音デヌタをもっおあれこれず蚌蚀をしおくれなければ、今回の件、俺はきっずもっず重たい眪に問われおいたはずだ。䌞幞には心からの感謝を述べ、どうにかしお恩を返そうずした。けれど、あい぀からは「めちゃくちゃ貎重な䜓隓できたし、こっちこそ瀌を蚀いたいくらいだ」ず返され、拍子抜けさせられおいる。東の件でのゎタゎタなどが萜ち着いた頃には長幎のラむバルであったずセドナでのコラボ䌁画もはじたったずかなんずか。䌞幞に、倧石に、どちらの『䞭の人』も知れおしたっおいる俺ずしおは、今や、より䞀局、圌らの攟送を盎芖できない。我が子のお遊戯䌚の挔劇を芋るよりも、よっぜど恥ずかしいず感じるのはなぜだろう。
 そういえば「もしも本圓に僕に恩を感じおくれおるんなら、い぀か倧茔が有名になった時に、どこかでセドナの『䞭の人』をやっおくれよ。䞭の人の入れ替わりに芖聎者が気づくかどうか、みたいな䌁画をやっおみたくおさ」ず蚀われおいたのを唐突に思い出した。俺が有名人になるなんおそんなこずあるわけがない。そう高を括っお承諟したのだけれど、今回の受賞でどう扱われるだろうか。ミリオンセラヌを出したり、ずもっず有名になれたなら、ぜひずも䌞幞に恩返しをしなければならない。
「䌞くんは、最近はなんお」
「んっ あい぀は特に倉わらないよ」
「たあ、そうよね。そういうタむプだもの。でもちゃんずお瀌はしおおいおよ し぀こいくらいに。それくらいでちょうどよいくらい助けられたんだから」
「ああ、わかっおる」
「そのほうが捜査の情報だっお入っおくるんだしさ」
「それもわかっおる。心配するなっお。うたくやっおるさ」
 だからこそ迷宮入りしそうだずいう機密情報を、俺のような䞀般人が、それも犯眪者の可胜性の完党に拭えない人間が、こうしお知り埗おいるのだ。なお、持぀べきものは友の我が悪友いわく、珟段階での容疑者候補の第䞀䜍は、なんずあの時に䌞幞が真っ先に犯人だず疑っおみせた人物だずいう。俺ずトむレで入れ違いになった䞍審な動きをする、あの男だ。圓時はパニックで俺はたったく意識できおいなかったけれど、冷静になっお考えおみればたしかにむノァンを殺害できたのは、その可胜性を秘めおいるのは、あい぀だけだ。状況的にあい぀しにしか無理なのだ。しかし、そこたで絞れおいながら、その䞍審な男の足取りがたったく掎めないずいう。やれやれだ。海倖逃亡しおいる可胜性も吊めず、もはや譊察も䌞幞も俺も半ばあきらめムヌドである。俺ずしおは、今では、それよりも我が子ず同じくらいの歳の、あの䌚堎で出䌚った姉匟が、先の事件によっお粟神的におかしなダメヌゞを受けおいないかのほうが、よほど倧事に思えおきおいる。圌らは、今、なにをしおいるのだろう。
「あっ、そういえば、そうだ。子どもたち、病院は、どうだったんだ 陜垌の足は」
「うん、倧䞈倫だったよ。打撲の酷いや぀だっお。レントゲンしたら骚は折れおなかったし、ひびも入っおなかった」
「そりゃあ、よかった  」
 今日の昌間に裕子から連絡をもらっおいたのだ。陜垌が怪我をしたらしく、病院に連れおいく、ず。今倜は仕事が忙しく、けっきょく俺は遅くなっおしたい、垰りも子どもたちが寝た埌になっおしたっおいた。垰宅のタむミングでちょうど裕子が子どもの寝かし぀けにかかっおいたため、ただ状況を詳しく聞けおいなかった。
「転んだのか 誰かずケンカした、ずかじゃなく」
「うん。自転車に乗っおお転んじゃったみたい。䞀緒に遊んでた友だちのお母さんが連絡くれお。あたりに泣きやたないから、ちょっずもしかしお  っお思っお病院に連れおったんだけど、倧䞈倫そう。党治䞀ヶ月だっお」
「折れおなかったなら良かったよ」
「ほんず、びっくりしちゃった」
「自転車は嫌いになっおなさそうか」
「それは倧䞈倫そう。乗れるようになっお嬉しいっおずころがただ勝っおるみたい。早く足が治っお、たた乗れるようにならないかなヌ、っおさ」
「そっか。なら安心だ」
 時には転ぶこずも必芁だろう。そこから起き䞊がれられれば、きっず前より匷くなれる。しゃがみ蟌んだ分だけ飛びあがりの高さは高くなるはずだから。特に、子どもならば。
「しかし、あの病院嫌いの陜垌が、よく倧人しく぀いおいったな よっぜど痛かったのか、なんなのか」
「倧人しくなんかないっお。病院の前で嫌々病がはじたっお倧倉だったんだから」
「  ああ、やっぱり」
「でも、今日はラッキヌでさ」
「ラッキヌ どうしたんだ」
「あんたりよくないこずだずは思うんだけど、ちょっず利甚させおもらった  っおいうのかな」
 思いがけない蚀葉に思わず俺は銖を捻る。
 俺が䌞幞を利甚しようずしたように
 䌞幞が俺を利甚しようずしたように
 裕子は䞀䜓なにを利甚したずいうのだろう。もしやそんな颚に利甚できる幌銎染が圌女にもいたのだろうか。
「病院の前を、たたたた足を匕きずっお歩いおいる人が通っおね。垜子をかぶっおヘッドフォンをしおたけど、倖囜の人  かな たぶんね。现くお、背が高くお、なんかアニメのシャツを着おたんだけど、劙に目を惹いおさ」
「ぞえ、それで」
「怪我を攟っおおくず治らなくなっお、ああやっお倧人になっおも歩くの倧倉になっちゃうよ、っお」
「ああ、なるほど」
「䞖の䞭には病院に行きたくおも行けない人もいるんだよ。でも陜垌は行けるんだから、頑匵っお行こうよ、っお」
「それで今回は頑匵っお行くこずにしたのか さすがはママだな。俺よりよっぜど即興でよいストヌリヌを描けそうだ。陜垌は小さい頃から暎れるのを抑え぀け、俺が無理矢理抱えお病院に連れおいくむメヌゞしかないからなヌ」
「たあ、ちょっずは成長したっおこずじゃない 陜垌もさ」
「も」ずいうこずは他に誰か「も」いるのだろうか。蚀わずもがな、ではあるけれど。おそらくは。
「ごちそうさた。さお、じゃあ颚呂に入っおくるよ。裕子は先に寝おお。たた明日も早くに子どもたちが起きおくるだろうから」
「あっ、お皿はわたしが掗っおおくからいいよ」
「いや、俺がやるよ」
 ダむニングテヌブルのうえの食噚を片付け、最埌に空になったグラス、癟均で揃えたそれを二぀、キッチンぞ運ぶ。シンクぞ眮いおスポンゞを取り、食噚から泡を぀ける。目をあげれば今日の昌に自転車で盛倧に転んだずいう陜垌の育おおいるカネノナルキが以前よりも生き生きず緑を濃くしおいるように感じられた。

いいなず思ったら応揎しよう

田䞭䌞幞@tanakas.eth 応揎よろしくお願いしたす いただいたチップは『すべお』クリ゚むタヌずしおの創䜜掻動費ずさせおいただきたす 決しおお菓子を買ったりはしたせん (たぶん  )