【第20回】自主性を重んじる「容赦ない評価」
アメリカの中学校では、少し風変わりなテストを受けたことがあります。
中学1年時の地理の先生は、期末テストにおいてかなり風変わりな試験を行っていました。
1学期のテーマはアフリカで、それぞれの国について学びました。そして迎えた期末試験が何とクロスワードパズルです。
設問に該当する国名を記入しパズルを完成させる内容で、テストというよりはむしろ「ゲームを楽しむ」感覚です。
難しい項目はなかったので、おそらく多くの生徒が「A」評価をもらったのではないかと思います。
2学期になると、今度はアフリカの国々に関する自主研究が始まります。
生徒がそれぞれ国を選び、与えられた項目について調べ、レポート形式でまとめるといった内容です。
当時は、もちろんネットなどありません。そこで先生からは「大使館に連絡して資料を取り寄せ、それを参考にしなさい」と、アドバイスを受けます。
私の担当はエチオピアでしたので、早速エチオピア大使館に電話して、資料を取り寄せました。
すると、送られてきた資料のボリュームが多かったこともあり、割と充実した内容のレポートができ上がります。
そこで2学期の期末試験を迎えるのですが、今回のテストは、各自が自主研究した国について、その内容を発表するというものでした。
評価の基準は、「プレゼンの内容」はもちろんのこと、クラスメートが「どれだけ理解できたか」も対象になります。
「理解」に関しては、プレゼン後に出すクイズに、皆がどれだけ答えられるかで競わされます。
そこで、私の頭に浮かんだ妙案が「正解者に対して、当時大流行していた風船ガムを配る」という手法です。
するとクラスメートは、風船ガム欲しさに真剣に耳を傾け、挙手と共に「自分を指して!」の大合唱となりました。
妙案が功を奏して、2学期の評価は「A」です。この時の心境は、「してやったり!」といったところでしょうか。
しかし、この先に思わぬどんでん返しが待っていたのです。
3学期のテーマは中南米でした。授業内容は2学期同様、自主研究を行い、その成果を「期末に発表する」です。
私の担当はドミニカ共和国で、今回も大使館から資料を入手したのですが、思いのほか資料の数が少なかったのです。
本来であれば、他のルートを使って、もっと多くの「データを集める」努力をするべきでした。
しかし、前回の成功体験から油断があったのでしょう。レポートは、少し物足りない内容となってしまいました。
期末のプレゼンテストに関しても、別のお菓子を用意したのですが、前回ほどのインパクトに欠けた点は否めません。
すると、メタボ先生が下した評価は、何と「C」です。
レポートもプレゼンも、どちらも明らかに「手抜き」と見なされたのでしょう。
成功にあぐらをかいて、楽な道を歩むとどうなるのか、容赦ない判定を下すのがアメリカ流の教育なのかもしれません。
次回につづく(毎週月曜日に投稿予定)
本文は、弊著『なぜ日本では自主性のある社員が出世しないのか?』より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです。
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