二人きりの宅飲みで寝て起きたら酔っ払っててなぜか激甘になってた人達
美青:「あ、起きた?」
〇〇:「うわ...ごめんめっちゃ寝てたわ」
そうだ...的野と念願の宅飲み...
美青:「一人で飲むの寂しいんだけど〜?」
的野は相変わらずの調子で飲み続けてるみたいだった。
〇〇:「悪かったって。的野、意外と飲むんだね」
美青:「飲んでなきゃやってらんないもん」
〇〇:「お、愚痴なら聞きますよ」
そう言うと、的野は深いため息をついて口を開いた。
美青:「私の好きな人さぁ」
〇〇:「ちょ...!待って待って、いきなり好きな人...!?」
美青:「なに、なんかダメだった?」
動揺する俺に、生意気な表情でそう聞いてくる。
〇〇:「いや、いたなら言えよ...」
美青:「だからぁ」
〇〇:「え、なに」
あれ...なんか怒ってます?
美青:「だから!私の好きな人、いっつも距離感友達だし…私の事名前で呼ばないくせに優のことは優ちゃん優ちゃんって呼ぶし!楽しみにしてたサシ飲みで寝るし!」
寝起きで、アルコールの残った頭を必死に回転させて探る心当たり。でも、ヒットするのは自分だけ。
〇〇:「的野ごめ、俺くらいしか思いつかないわ」
冗談のつもりで、少し笑って言った。
のに。
美青:「〇〇以外いないじゃん最初から。あぁぁ言っちゃったぁぁ...!」
いくら飲んでも顔には出なかった的野の顔が、赤くなっていく。
〇〇:「え...まじ?」
美青:「...まじ。」
途端に意識してしまうこの状況。そして目の前にいる大親友の的野は、もう完全に恋するひとりの女の子になっている。
美青:「鈍感くん、ありなの?なしなの?」
〇〇:「...そりゃまあ、あり...かな」
美青:「ふ、ふーん...」
いやもう向こう向いちゃってるし...照れるならもっとマシな──って、そんなツッコミはきっと求められてない。
その奥にある本心、そんな的野にキュンとしてる事実。
〇〇:「可愛いからやめてそれ」
美青:「え!?あっ...」
振り向いた的野の顔は、完全に乙女のそれ。
なぜか今気づいてしまう、塗り直されたリップ。
あ、ダメかも。
〇〇:「可愛すぎ。美青」
美青:「あ、えっ...あぅ...」
〇〇:「なにそれ笑」
美青:「もうっ...!」
ねえ美青、そういうとこ、甘すぎるよ。

頭痛い...あぁ酒...
ってやば、宅飲み...!
バッと頭を上げると間接照明だけがついた暗がりの中、優月さんが一人、缶を傾けていた。
優月:「あ〜やっと起きたぁ」
〇〇:「まじですみません、いつ寝たか覚えてない...です」
優月:「まあ起きたから許すけどー」
缶を片手に頬杖をついてそう言う優月さんは大学の先輩で、バイト先まで一緒。
〇〇:「電気...消しました?」
優月:「〇〇くん寝ちゃったし、一人で飲むには明るすぎてさぁ」
そう言ってまた一口。
様になるその姿にドキッとする。
〇〇:「てか結構飲んでましたよね、大丈夫ですか?」
優月:「...普段はこんな飲まないし」
〇〇:「...そうなんですか?」
優月:「だって」
〇〇:「?」
優月:「だ、だって...!初めてなんだもん!男の子と二人なんて!」
〇〇:「え!?」
意外すぎる。だって超美人だし、明るいし、人気者なのに...
優月:「緊張しすぎていっぱい飲んじゃったし...〇〇くん寝ちゃうし...」
〇〇:「そ、それはごめんなさい...ほんとに」
優月:「ねえ、私だけ?緊張してたの」
暗がりの中で迫ってくる優月さん。
〇〇:「いや、俺も緊張で飲みすぎて...それで寝ちゃったみたいで...」
優月:「〇〇くんも初めて?」
〇〇:「そりゃあ、それに優月さんが可愛いからもっと緊張しちゃって...」
優月:「か、可愛い...?ほんとに?」
〇〇:「嘘は言わないです」
優月:「今も?」
〇〇:「今もです。心臓バクバクしてます...」
優月:「へへ、どうしよ。うわうれし...やば」
〇〇:「ふふ...可愛いですね」
優月:「ねえじゃあさ、そんな可愛い子を家に連れ込んでお酒を飲ませてる〇〇くんに質問」
〇〇:「ちょ、言い方」
優月:「お姉さんは〇〇くんのことどう思ってるでしょーかっ」
また至近距離まで迫る優月さん。近すぎる顔は美の暴力。
優月:「10秒以内に答えてくださーい」
〇〇:「えぇ...」
ニヤケ面。
近い距離。
5分後、付き合ってました。

〇〇:「やべ寝てた」
瞳月の方を見ると──うん、不貞腐れてる。
瞳月:「死んだんかと思ってた」
いつものツン。お酒が入っても変わらない。
〇〇:「生きてるよ、寝ちゃっただけ」
瞳月:「なぁ30分も一人にされたんやけど」
〇〇:「まじごめん、まだ飲む?」
瞳月:「なぁ」
〇〇:「ん?」
瞳月:「〇〇はどうも思わへんの?しーと二人やけど」
〇〇:「えっと...どうも思わないわけじゃないけど...」
瞳月:「しーばっか意識してるん?」
〇〇:「意識...するよ、そりゃ」
瞳月:「へへ、意識してくれたんやぁ」
そう言ってよちよち近づく瞳月。
瞳月:「なぁ〜」
〇〇:「え...な、なにこれ」
腕とか、足とか、ぺたぺた触ってくる瞳月。
瞳月:「んぅ...かまってやぁ」
へ?...え?何が起こってるんですか...
目の前にいるのは間違いなく、ドライで、素直じゃなくて、すぐキレる、あの瞳月。
けどそんな彼女が、飼い主に懐いた猫みたいに甘えてきている。
〇〇:「い、いいけど...ちょ、どうしたの」
瞳月:「お酒のせいやし...」
そう言って顔だけはそっぽ向いて、くっつくのは止めない。
余りにも可愛すぎるし、このギャップは刺激が強すぎる。
〇〇:「瞳月...触りすぎ」
瞳月:「えへへぇ、ええやんかぁ」
腕にぎゅっとしがみついてほっぺをすりすりしている。
今すぐにでも昇天しそうな俺。
調子に乗って頭をなでてみた。
〇〇:「可愛いね、瞳月」
瞳月:「へへ、もっとっ」
瞳月をここまで甘くしたアルコールの皆様、ありがとうございます。
寝る時も、くっついて離れてくれませんでした。
──翌日、朝っぱらからギャーギャー騒ぐ瞳月。
瞳月:「ほ、ほんまにえっちなことしてへんな?」
〇〇:「するわけないだろ俺からはなんもしてないって」
瞳月:「してへんの...か」
〇〇:「...え?」
瞳月:「な、なんでもない!なんでもないわ!!」
ちょっと残念そうな瞳月ちゃんでした。

〇〇:「...んぁ」
やば、今何時だ。
てか、村山さ...て、あぁ。なるほど、夢だったか。
ミニテーブルの上に空き缶どころか何も置いていない。
おまけにソファで寝そべる俺の視界にはいつも通りの、というかいつもより綺麗な部屋。
村山さんと宅飲みしたところから夢だったか...くっそ起きなきゃよかった。
けど、なぜか頭はぐわんぐわんで。
あれ...?俺やっぱ酒...飲んでるよな...
段々と思考が追いついて、それと同時に違和感。
え、何この温もり。てかなんで気づかなかった!?
横になる自分の背後。と、お腹に回された腕。
美羽:「あ、起きてたぁ?」
〇〇:「村山さん!?」
美羽:「美羽ちゃんですけど」
呼び方、今...?
〇〇:「ちょ、え...これはどういう...」
美羽:「なんかこうなっちゃった」
〇〇:「えぇ...」
いや、夢より幸せですけども。
一旦離れようにも、お腹に巻きついた腕にぎゅっと力が入る。
段々と戻ってくる感覚の中に、村山さんの感触もあるわけで。
なんかいろいろまずい...!離れよう!
少々無理やり抜け出す俺。
美羽:「あぁ...」
残念そうにするの、ずるいです。
〇〇:「ご、ごめん寝ちゃって...」
美羽:「〇〇くん寝顔可愛かったからいいよ」
どんな理由だよ。なんて、心の中でツッコむ。
美羽:「やだった?」
〇〇:「え?」
美羽:「私さ、めっちゃ頑張ったんだけど...」
めっちゃ頑張ったんだ...。
その事実を知って、より愛おしくなった。
〇〇:「正直...めっちゃ嬉しかったよ」
美羽:「でも抜け出したじゃん」
〇〇:「いや恥ずかしくて」
美羽:「私も恥ずかしかったよ?」
なんか、村山さんには勝てる気がしない。
〇〇:「村山さんが──」
美羽:「美羽ね」
〇〇:「み、美羽が片付けてくれたの?」
美羽:「うん。だからご褒美くれ」
〇〇:「え、あ...うん勿論」
美羽:「じゃあまた...恥ずかしいこと、しよ」
そう言って腕を広げる美羽。
こんな大胆なんて、聞いてません。
美羽:「ねえ好き」
〇〇:「…俺も好き」
美羽:「へへ、恥ずかしい」
恥ずかしい。
顔も真っ赤だし。
けど、夢より幸せな時間でした。
