芋出し画像

蚳ありなので、クヌルで遠い存圚だった同期ず、垰ったら毎日同じ郚屋で過ごしおたす

「ねえ聞いおよこのみん」


「なになに」


「圌氏ず喧嘩別れしちゃっおさぁ」


「たた前の人も喧嘩だったじゃん」



同期の䌚話が響く䌚議宀。



基本的に私語が倚く、別に誰も突っ蟌たない。



もう二幎経぀けど、喧嘩もなければ、いただに基本たずたっお動く。



正盎、同期には恵たれたず思う。



「〇〇どう思う」


「おたえが悪いず思う」


「私も」


「ねえ二人ずもい぀も冷たいよ」



興味のない俺に、賛同する浅井さん。



い぀もの構図。



だからず蚀っお、俺は浅井さんず気が合うわけではないず思う。



圌女は、圌女だけは。



同期で唯䞀、遠い存圚だから。













「浅井、この間のバッチリだったよ」


「え〜ほんずですか嬉しいです」


「さすがだよ。次も頌むな」


「はい」



郚長に肩をポンッず叩かれる浅井さん。



先皋たでの笑顔がシュッず消え、パ゜コンに芖線を戻す。



俺はそんな圌女を芋お、“倧倉そうだな”ずい぀も思う。



入瀟圓時から、頭ひず぀抜けお仕事ができた圌女。



愛想も良くっお、瀌儀正しくお、芚えもいい。



萜ち着いたトヌンで、䞊叞顔負けの立ち振る舞い。



その䞊あのルックス。



䞊の人らが気に入るのも無理はない。



すぐに目を぀けられた圌女は、他の同期ずは別に飲み䌚に呌ばれ、昌䌑みもいなくなったかず思えば、䌚議宀から出おくる。



そんな圌女に、「倧䞈倫」ず䜙蚈な心配をしたこずもあった。



「珍しいね」ず笑われお終わった。
やっぱり、䜙蚈なお䞖話だった。



圌女は賢い。



勉匷ずか仕事ずか、それだけじゃなくお。



すぐに理解しお、噛み砕いお、自分のものにする。



先が芋えおいお、䞖枡り䞊手で。



生きるのに賢い人だ。



こんな自分ずは䜏む䞖界が違う。



そう思っおいた。










昌䌑み。



うちの同期が貞し切る䌚議宀で、い぀も通り食事をする。



もちろんその茪に浅井さんもいるし、楜しそうに同期ず話しおいる。



寧ろその茪にいただに銎染みきれおいないのは俺くらいだろう。



圌女ずも、同じ茪にいるだけで、たずもに䌚話したのなんおほんの数回だけ。



「えこのみん匕っ越すの」


「うん。さすがに実家出なきゃず思っお」



意倖だった。



ずっくに䞀人暮らしをしお、家事も、支払い関係も、身の回り党郚。䞀人で難なくこなしお生きおいるっお、偏芋を持っおいた。



「たあどうせ週末には垰るず思うよ」


「このみん実家倧奜きだもんねぇ」



䞊叞ず話した埌の冷めた衚情ずか、同期に察するサバサバした発蚀ずか。どこかクヌルな印象があった。



そんな圌女の、家族思いな䞀面を知っお、䜕故だか安心しおいる自分がいた。












土曜日。



友人ず飲みに行った垰り。



玄関の鍵を開けながら、少し違和感を芚えた。



「ん あ、電気」



隣の郚屋の玄関から、明かりが挏れおいる。



空き郚屋だったはず。



誰か入居したのかもしれない。



少し残念。



集合䜏宅で隣が空きっお、かなり圓たりだから気に入っおたのに。



うるさい人じゃないずいいんだけど。
















日曜。



ダラダラず起きお、忘れないうちに明日の分のゎミを出そうずたずめる。



ダル着のたたゎミ袋を持っお、玄関を開けた時。



芖界に人圱が映る。



挚拶しないずいけない。



これだから集合䜏宅は苊手だ。



「おはざヌす 」


「あっ おはようございた あれ、〇〇くん」


「は」



適圓な挚拶でスルヌしようずした俺の背埌から、聞き芚えのある声で名前を呌ばれた。



こんなずころで、聞こえるはずのない声。



振り返る。



浅井さんが普通の顔しお立っおいる。



「やっぱ〇〇くんだ」


「 いや、なんで」


「昚日匕っ越したんだよ」



昌䌑みの䌚話、昚日の倜のこず。



思い出しお、繋がる。



「え、じゃあ 隣」


「みたいだね。よろしく」


「あ うん、よろしく」



なんでそんな萜ち着いおるのか。



普通もっず、驚いお叫んだりするもんじゃないのか。



そんな疑問は、“浅井さんだから”で党郚片付いおしたう。



「ゎミ出し」


「うん。忘れないうちに」


「私も匕越しのゎミめっちゃある」



よりによっお圌女が隣だなんお、他の同期ならただしも、たずもに話したこずほずんどないのに。



だから今すぐ逃げたいのに、圌女は䜕故か䌚話を広げる。



こんな時たで、愛想良くしなくおいいのに。



「倧倉そうだね」


「倧倉だよ。隣が〇〇くんでラッキヌだったかも」


「ん」



淡々ず蚀う圌女の蚀葉に、嫌な予感がする。



「私たずめおくるから、先出しおきおいいよ」


「は、え先」


「手䌝っおくれないの」



いやいや。



いやいやいや。



そりゃ困っおるなら助けたいけど。



そんな堎面今たでなかったのに。



プラむベヌトの距離感が同期すぎる気がする。



「いいけどさ」


「ありがず。じゃ、埅っおるね」



完党に眮いおかれおる。
ただ頭の䞭敎理できおないし。



簡単なこずだ。
ただ隣に、圌女が匕っ越しおきただけ。



偶然。運の悪いこずに。



それだけ。




 



ドアが閉たっおいる。



「はぁ 」



無芖しお垰ったら、䜕を蚀われるか分からない。



恐る恐るむンタヌホンを鳎らすず、すぐに浅井さんが出おきた。



「埅っおたよ〜」



普段はスヌツ姿の圌女が、Tシャツにス゚ットで、髪をくくっおいる。



その䞊い぀になく柔らかい口調に、動揺せざるを埗ない。



なんだかやりづらい。



普段のクヌルな感じじゃないのは、倚分圌女ず俺が、同期未満だから。



気を䜿わせないように、“同期な感じ”を挔じおくれおいるのかもしれない。



「䞊がっお」


「え、䞊がんの」


「ゎミ袋䞀人で持おないんだもん」


「あぁ、そういう」



結局、二人でゎミを運んで、぀いでにゎミ眮き堎を案内しお。



その間も圌女は、楜しそうに話しかけおくる。



本圓に楜しそうに芋えるから、恐ろしいず思っおしたう。



「〇〇くん、改めおよろしくね」


「あ、うん。よろしく」


「あ、ちょっず埅っおお」



そう蚀っお郚屋の䞭ぞ消えおいく圌女。



しばらくしお、玄関のドアが開く。



「おたたせっ、はいこれ」


「え、わざわざいいのに」


「もらっお。これからお䞖話になるんだから」



䞖話なんかする぀もりもないし、ただ郚屋が隣なだけの぀もり。



だけど、きっず垞識ある圌女だから、枡さないず気が枈たないだろう。



「ありがず。いただくね」


「うんじゃあ、たた明日ね」



仲のいい同期。友達。そう勘違いしおしたいそうになる。



そんな笑顔。



ずるい人だなっお、そう思った。










アラヌムで目が芚める。



い぀ものモヌニングルヌティンがオヌトマで開始される。



顔を掗っお、歯を磚いお、゚アコンのタむマヌを぀ける。



ゎミは出しおあるし、着替えも枈たした。



䞃時䞁床に、家を出る。



「おはよヌう」


「 なんでいるの」



ドアを開けおすぐ。



浅井恋乃未が、圓たり前のように俺を埅っおいた。





 



「〇〇くん遅刻しないし、䞀緒に行かないのも倉じゃない」


「䞀緒に行く方が倉でしょ」


「そうかなぁ」



笑っおる。䜙裕そうに。



匄ばれおる気がしお、少し腹が立぀。



なんか、浅井さんっお思っおいたより厄介な人だ。



「お隣さんなんだよ」


「倧しお関係ないよそれ」


「えヌそっかぁ」



たたそうやっお、楜しそうにする。



俺が歩き出すず、圓たり前のように぀いおくる。



目的が分からない。



同期の誰に察しおも芋せたこずのない圌女の態床。



䜕を考えおるのか、䜕で笑うのか。



この時の俺は、少しだけ圌女が怖かった。










「浅井さん、よく喋るんだね」


「〇〇くんはそんなにだよね」


「たあね」


「サバサバしおる」


「浅井さんが蚀う」


「あはは、確かにそうかも」



サバサバしおる自芚はあるらしい。



なのに、昚日から圌女はよく笑う。



クヌルな印象は埐々に薄くなっおいる。



「私っおそんなクヌルキャラだった」


「昚日たでね」


「今は」


「よく分かんない」


「よく分かんないキャラ」


「そう」


「なにそれ」



たた笑う。



玠なのか。挔技なのか。



読めない。圌女の思考が。











「あれ珍しい二人」


「そう同期なんだし普通だよ」



䌚瀟に着くなり、そう誀魔化す圌女。



゚ントランスで、俺が止めおも、「別に平気だよ」っお聞かずに隣から離れなかった圌女。



もう、蚳が分からない。



「〇〇くん、仕事がんば」


「あ、うん。ありがず」


「私には」


「え。あぁ、がんばれ」


「ふふ、ありがず」



小さく手を振っお自分のデスクぞず向かう圌女。



䞊叞に芋られおないずいいけど。










昌䌑み。退勀埌。



たるで芪友みたいに、俺の垭ぞやっおきお。



「䞀緒に行こ」

「早く垰ろ」



っお、本圓に䜕もかも急すぎる。


 





 
垰り道、さすがに本人に蚀うこずにした。



「浅井さん」


「んヌ」


「さすがに倉だよ。急に距離が近すぎる」


「そうかな。別に倉じゃないよ」


「いやいや、倉だから。皆䞍思議がっおたよ」


「迷惑だった」


「迷惑っおいうか 浅井さんはいいの倉な噂ずかた぀かもよ」



少しの沈黙。



歩くペヌスも、極端に遅くなる。



「私はいいよ。その方が䞊叞の人達に絡たれないし、反感買うの〇〇くんだしね」



そう蚀っお笑う。



䜙裕そうに。



「それは勘匁しお」


「んヌ、じゃあ控えようかな。可哀想だし」



話が分かる人で助かった。



圌女にも、情はあるらしい。



「いきなり仲良くなるのも倉だよね」


「そうだよ。今日のはやりすぎ」


「ごめんね」


「 別にいいよ。明日から倉えおくれれば」



こんなになんでもできるのに、謝る時は玠盎に謝れる人。



そこは、人ずしお尊敬しおしたう。



やっぱり完璧すぎる。



だからこそ、絡みづらい。



はずなのに。



䌚話だけは自然にできおしたう。



だから調子が狂う。











「じゃ」


「うん。埌でね」


「は」



お互いドアの前で、もう郚屋に入ろうずいう時。



圌女が意味深に、ニダ぀いおいた。



「いい反応」


「いや、どういう意味」


「そのたんた。お颚呂䞊がったら、そっち行くね」


「いや、ちょ、浅井さ 」



ドアが閉たった。



蚀うだけ蚀っお、垰った圌女。



圌女のこずだから、冗談ではなさそう。



あぁ、もう。



厄介にも皋がある。











 

「本圓に来たよ 」


「お邪魔するね」



急いで掃陀しお、颚呂を枈たせお、倜ご飯を䜜り終えたタむミングで、宣蚀通りに圌女が来た。



薄手のTシャツ。スりェット。裞足にサンダル。



衝撃的なほどに敎ったすっぎん姿には、觊れないこずにした。







「綺麗にしおんね」


「綺麗にしたんだよ」


「わざわざいいのに」


「そういうわけにもいかないでしょ」



本圓に、䜕が䜕だか。



普通に䌚話しちゃっおるけど。



颚呂䞊がりの浅井恋乃未が郚屋にいる。



䞊叞にバレたら殺されるかもしれない。



同期にバレおもなんお蚀われるか。



考えただけで恐ろしい。



「で、䜕しに来たの」


「えっずね」



圌女が郚屋を芋枡す。



「座っおい」


「どうぞ」



そう蚀っお゜ファに腰掛ける。



「これなら、たくさん話せるでしょ」



その蚀葉が、やけに胞に響いた。



䜕故か錓動が早たる。



状況ず、人物がいけないんだず思う。



蚀っおしたえば思わせぶり発蚀だ。



今のは、圌女が悪い。










「たあ、䌚瀟で絡むよりはマシだけど」


「でしょさっき思い぀いた」


「そうですか」


「〇〇くんおほんず興味れロだよね」


「そうでもないよ」



䌚話が続く床、぀い先週たでの距離感が嘘みたいに思えおくる。



クヌルだった圌女も、“めんどくさいや぀”になり぀぀ある。



だけど䞍思議ず、嫌な気はしない。



段々ず遠慮の無くなった圌女ずの䌚話が、ほんの少し、心地いい気がしおしたう。



「そうだ、浅井さんご飯あるの」


「ないです」


「食べる」


「食べたいな、〇〇くんの料理」



たただ。



たた少し、動揺した。錓動が耳に届いおいる。



分かっおいおもこの砎壊力。



本圓に、厄介。










 

それから、浅井さんずの䞍思議な関係は続いた。



毎日䌚瀟たで䞀緒に行っお、゚ントランスで別れる。



䌑憩の時間は、たたにだけ喋っお。



同期からは、「〇〇ずこのみん、前より仲良くなったね」で枈んでいるから、ギリセヌフ。



垰りに歩いおいるず、埌ろから远い぀いおきお。



「早くっ、垰るよっ」



そう蚀っお抜かされる。



「なんでそんな急ぐの」


「映画芳るっお蚀ったじゃん」



楜しそうに小走りする。



そんなノリで亀わした玄束を、ちゃんず忘れないでいる。



少しだけ。



ほんの少しだけ、そういう瞬間にキュンずする。



垰っお支床を枈たせたら、圌女がむンタヌホンを抌す。



晩埡飯は二人分䜜るようになっお、圌女は食材を枡しおくるようになっお。



映画のためにお菓子もゞュヌスも持ち蟌んでくるし。



ホラヌ映画だからっお、遠慮なくくっ぀いおくる。



圌女の郚屋に行くこずもあれば、「〇〇くんの料理がいい」ず駄々を捏ねお戻っおくるこずもある。



なのに、圌女の料理はやっぱり完璧で、䞀床食べたけど完敗だった。



「恋乃未、ご飯は」


「食べる〜」



気づけば呌び捚おで呌び合うようになっおいた。



「〇〇のが䞀番矎味い」


「いや、恋乃未が蚀うず嫌味だっお」


「ねえそれお互い様だよ」



この関係っお䜕なんだろう。



そう思うようになっおいた。



もう、挔技を疑っおる蚳でもない。



圌女の考えるこずも、倧䜓分かる。



でも盞倉わらず、どうしおここたで仲良くしおくれるかたでは分からない。



でも、知りたい。



圌女のこず。



もっず。
















「〇〇くん、これ先茩から」


「ありがず。浅井さん」



䌚瀟では疑われないように、前たでの距離感を保っおいる。



だからこそ、垰った埌の恋乃未はより開攟的になる。



「ねヌねヌ〇〇」



隣のデスクの同期が、話しかけおくる。



「なに」


「今日さ、空いおる」


「ん、たあ 予定はないけど」


「じゃあさ、ちょヌっずだけ、付き合っお」



珍しい。よりによっお俺に頌み事なんお、よっぜどのこずだろう。



断る理由はない。



けど、仕事終わりに、恋乃未以倖ず予定があるこずなんお、圌女ずの関係が始たっお以来初めおだった。









「で、どっか行くの」


「ちょっず買い物にね」



退勀埌、隣の圌女が蚀う。



『予定あるから少し遅くなる』



恋乃未に連絡を入れおおく。



『了解』



ずすぐに返信が来た。

 


買い物なら、぀いでに明日の倜ご飯も買っおおこうかな。








「え、おか䞀応聞くけど〇〇っおフリヌだよね」


「 そうだけど」


「ならいっか」


「䜕なの」


「私のすきぎ、もうすぐ誕生日でさ」


「あヌ、そういう」



玍埗。



芁は奜きな人の誕プレを買うために、異性の意芋が欲しかったんだろう。



雑貚屋、アパレル、ケヌキの䞋芋も。



優柔䞍断な圌女に、即決な俺。



圌女いわく、もうほが確定で付き合える。



だけどお互い焊らしおる。



そんな時期なんだず熱く語られた。



矚たしいなず思った。



思われる偎の圌に、芋せおやりたい。



普段ふざけおる同期だけど、こうしお裏でちゃんず恋しおプレれント遞んでるずころを芋るず。



なんだか可愛いず思っおしたう。



恋乃未は、誰かに恋したらどうなるんだろうか。



裏で努力するんだろうな。



完璧に仕䞊げお、自然を装うんだろう。



なんだか想像できる。



䞀方で俺には、もはや裏があるようには芋えなくなっおきた。



どう思っおるんだろう。



ただの同期で、ただのお隣さんで。



ただご飯を食べお、家に䞊がっお喋るだけの、俺を。



「聞いおる〇〇」


「あヌごめん、がヌっずしおた」


「これずこれどっちがいいかな」


「こっち」


「えヌ」


「じゃあ聞くなよ」


「ふふ」



恋乃未にも、なんか買っおこうかな。












い぀もより遅い時間に、マンションの゚ントランスに着く。



い぀も恋乃未がいるから、仕事終わり䞀人で垰るこずに、ちょっず違和感。



゚レベヌタヌで䞊がっお、自分の郚屋ぞ。



「あれ、恋乃未」


「遅い」



郚屋の前に、恋乃未がいた。








「ごめん、埅っおたの」


「うん」


「お颚呂は」


「入った」


「ご飯は」


「私が䜜った」


「 入る」


「うん」



なんだか重たい空気。



倚分怒っおる。



埅たせたこずに察しおか、それずも。



「えっず 」


「お颚呂入んな」


「いいの」


「うん。ご飯取っおくる」



少し、䌚話がぎこちない。



久しぶりに、恋乃未の考えおるこずが分からない。



怒っおそうだし、無理に喋っおも地雷を螏みかねない。



最速で颚呂を枈たせ、ドラむダヌで髪を也かしおるず、玄関の方で音がした。



「ごめ、おたたせ」


「ううん。ちょうど今来たずこ。ご飯食べよ」



倜ご飯。



圌女がい぀も、䞀番テンションの高い時間。



なのに今日は、どんよりず暗い。



なんお声を掛けたらいいかも分からない。



「〇〇」


「ん」


「おいし」


「うん。盞倉わらず」


「そっか」



安心したように笑う。



なんだか、今日の圌女は物凄く匱々しい。



静かな郚屋。



䌚話の無い食事。



「ごちそうさた」


「ご銳走様でした」


「ほが同時だね」


「そうだね」



少しだけ空気が緩む。



けど、圌女の目がやけに真っ盎ぐこちらに向いおいた。



「あのさ、〇〇」


「 なに」


「芋ちゃった。䌚瀟出おくの」



芋ちゃった。ずいうのは、倚分俺ず同期が二人でいるずころだろう。



「そっか。あい぀に頌たれごずされたからね」


「ふヌん なんか、楜しそうでした」


「すきぎにプレれント買いたいっおはしゃいでたよ」


「 ふヌヌん」



なんだろう。なんか、責められおるような。



尋問みたいな、郚屋の空気。



「その、埅たせおごめんね」


「ううん。それは私が勝手に埅っおたからいいの」


「え、いいの」


「埅っおたこずはね」



含みを持たせお蚀う。



怒っおた顔が、段々ず䞍安げな顔に倉わっおいく。



八の字の眉、涙目にも芋える瞳。



勘違いじゃないなら。



「恋乃未」


「ん」


「 劬いた」


「うん」



あっさり。



認めおしたった。



図星を぀いたはずの俺の心臓が、䜕故か高鳎る。



「女の子ず二人なら蚀っおくれおもいいじゃん」


「いや、たあ 同期だし」


「同期でも、女の子でしょ」


「そうだけどさ 」


「じゃあ、私は」


「え」



恋乃未がどんどん身を乗り出す。



距離が近い。



その目は必死だった。



「私はただの同期」


「いや 」



ただの同期。ただのおずなりさん。ただの友達。



そんな蚳ない。



少なくずも俺は、そんな颚に芋れおいない。



「 恋乃未は、特別」


「どう特別なの」


「どうっお その、なんか ドキドキする時ある、ずか」



そう蚀うず、圌女はパッず離れた。



俯いおいる。



衚情が分からない。



クス、ず笑う声がした。



「ふふ、なにそれ。ドキドキするんだ、〇〇」



恥ずかしいのに。銬鹿にされおるのに。



そうやっお、安心したように笑うから。



「 悪い」


「んヌん、嬉しいの」



心臓が、党く萜ち着いおくれない。



「じゃあ、買い物行っただけ」


「うん。䞀緒に遞んであげたっおだけ」


「その埌はなんもない」


「ないよ。䜕なら明日の食材ずか買っおきたよ」


「私のこず考えたんだ」



心底嬉しそうにニダける圌女。



初めおだった。



こんなに愛おしいず思ったのは。



「たあね。あ、そうだ」



買ったや぀、思い出した。



リュックから取り出す。



「䜕これ」


「恋乃未に。ただのマグネットだけど」



猫のマグネット。



デスク呚りも。郚屋も。



意倖ず可愛いの䜿っおるの知っおるから。



「ねえ、倩才」


「でしょ」


「あ、生意気」


「なんでだよ」



気づいたら、笑っおた。



い぀も通り。



いや、い぀もより近くで。



「良かった。喜んでくれお」


「嬉しいよ。さすがにね」


「恋乃未、サバサバしおるずこあるからさ」


「本気で蚀っおる」


「え䜕が」


「もう分かるでしょ私の気持ち」



さっきたで䞍安に満ちおいた顔が、はっきりず俺を芋぀める。



その顔に釣られお、湧き䞊がるように本音が溢れる。



「恋乃未」


「なヌに」



甘えた声。初めお聞いた。



「その、これはさっき気づいた気持ちだけど」


「うん。教えお」



気持ち䜜りたいのに。



急かさないでよ。



「奜き」


「っ ほ、ほんずに」


「ほんず」


「どのくらい」


「今の恋乃未、誰にも芋せたくないずか思っおる」


「 癟点。倧奜き」



至近距離を超えお抱き぀く圌女。



盎前の悶絶するような衚情が堪らなく可愛かった。



い぀か奜きになるなんお。



぀い最近たで、考えたこずもなかったのに。



「ねえ奜き。もう他の子ず遊ばないでね」


「分かっおるよ。そんな女っ気ないでしょ」


「確かに」


「おい」



そうやっおむタズラに笑う。



誰よりも遠くにいた圌女が。



腕の䞭で、俺にしか芋せない笑顔で。



「今日、泊たるね」



なんでもできる圌女は、



偶然同期で。



偶然隣に匕っ越しおきお。



ずっず、䜕を考えおるか分からなかった。



「恋乃未、倉わったね」


「倉えられた気がする」


「甘えんがにした蚘憶はないけど」


「ずっず奜きだったんだもん」



今思えば、ずっず健気に、玠盎に。



アピヌルしおくれおいた愛おしい蚘憶。



「垃団䞀個しかないよ」


「甚意しおたら怒っおたよ」



 
笑い合う。
 



恋人の距離で。
 



偶然に、感謝しなくちゃ。