とりあえず、寅さんを見ろ。――商売って、何を渡しているんだろう?

うん、これは「おじさん自宅」らしい一本になると思う。
「商売とは何か」「利益とは何か」「人に何を渡すのか」から始めて、最後に税務申告へ落とす。寅さんを見ろ、で締めるのがいい(笑)。

とりあえず、寅さんを見ろ。

――商売って、何を渡しているんだろう?


おじさん自宅では、ときどき妙な話が始まる。

今日は商売の話である。

もっと正確に言えば、

「人に何かを売るって、どういうことなんだろう?」

という話。

別に経営学の話をしたいわけではない。

マーケティングの最新理論を語りたいわけでもない。

営業成績を上げる方法を教えたいわけでもない。

おじさんがずっと頭に残っているのは、あの人である。

そう。

フーテンの寅さん。

「男はつらいよ」の寅さんである。

おじさんは、寅さんのある場面がどうしても忘れられない。

鉛筆一本を売る話だ。

たかが鉛筆である。

文房具屋に行けば買える。

特別珍しいものでもない。

高級品でもない。

ところが寅さんは、その鉛筆一本を使って、商売の話を始める。

これが妙に頭に残っている。



鉛筆一本を売る

普通の営業だったら、鉛筆を売るなら鉛筆の説明をする。

「これは書きやすいですよ」

「持ちやすいですよ」

「消しゴムも付いてますよ」

「値段もお手頃ですよ」

まあ、そんな感じだろう。

商品の特徴を説明して、相手に買ってもらう。

現代の営業でも基本的には同じである。

商品には機能がある。

サービスには機能がある。

その機能を説明して、価格を提示する。

そして契約してもらう。

ところが寅さんは、そこからちょっと違う。

鉛筆そのものではなく、

その鉛筆を見て、自分の人生に何を思い出すのか。

そこへ話を持っていく。

子どもの頃。

母親。

鉛筆を削る時間。

昔の暮らし。

そんなものが鉛筆一本にくっついてくる。

すると、さっきまでただの鉛筆だったものが変わってしまう。

「書くための道具」だったものが、

「思い出の入った一本」

になる。

ここがおもしろい。

寅さんは、鉛筆の性能を売っているようで、実は別のものを売っている。

いや。

「売る」という言葉すら違うのかもしれない。

その鉛筆に込められた意味を、相手に渡している。



これ、サービスでも同じじゃないか?

おじさんは、ここから考えた。

これって、物だけの話じゃないんじゃないか。

サービスでも同じじゃないか。

ホテル。

飲食店。

美容院。

介護。

教育。

施設管理。

清掃。

運送。

修理。

コンサルティング。

どんな仕事でもいい。

結局、人からお金をもらう仕事には、

「何を渡しているのか」

という問いがある。

例えば、ホテルなら部屋を貸している。

でも、お客さんが本当に買っているものは、部屋の四角い空間だけなのだろうか。

安心して眠れる時間かもしれない。

旅の思い出かもしれない。

大切な人と過ごす時間かもしれない。

「ここに来てよかった」と思える体験かもしれない。

飲食店だってそうだ。

料理を出して、お金をもらう。

もちろん料理そのものが商品だ。

でも、それだけではない。

店員さんとの会話。

店の雰囲気。

誰かと一緒に食べた記憶。

「今日うまかったな」という一日の小さな幸福。

そういうものまで含めて、サービスになる。

つまり、

人は「物」だけを買っているわけではない。

その物やサービスによって、

自分の人生に何が加わるのか

を買っている場合がある。



利益は悪者じゃない

ここは誤解してはいけない。

おじさんは、

「金儲けは悪い」

と言いたいわけではない。

むしろ逆である。

お金は大切だ。

生活するためには必要だ。

家賃もいる。

電気代もいる。

食費もいる。

人を雇うなら給料もいる。

会社を続けるなら設備費も必要になる。

利益がなければ、仕事そのものを続けられない。

だから、

利益を出すことは大切である。

問題は、その利益を、

何のための利益にするのか。

ここだと思う。

「利益を出すこと」と、

「利益だけをゴールにすること」は、

似ているようで意味が全然違う。



ゴールが変わると、人の見え方が変わる

例えば、

「どうやったらもっと儲かるだろう?」

という問いだけを持っているとする。

すると、目の前の人が、

「いくら払ってくれる人なのか」

という存在に見えてくる。

高く売れるか。

追加で買ってくれるか。

リピーターになるか。

紹介してくれるか。

もちろん商売には必要な視点だ。

でも、それだけになると危ない。

人が「顧客」という数字になってしまう。

一方で、

「この人に何を渡せるだろう?」

と考えてみる。

すると、人の見え方が変わる。

この人は何に困っているんだろう。

何を望んでいるんだろう。

何を大切にしているんだろう。

今、何を必要としているんだろう。

そうやって人を見る。

寅さんの商売には、たぶんそういうところがある。



寅さんは、人間を見ていた

寅さんは、ものすごく不器用である。

商売だって、いつもうまくいくわけではない。

失敗する。

怒られる。

振られる。

旅に出る。

また帰ってくる。

そして、また騒ぎになる。

でも、寅さんは人間が好きなんだと思う。

人間を「客」としてだけ見ていない。

「この人は何者なのか」

「この人は何を考えているのか」

「この人にはどんな人生があるのか」

そういうところを見ている。

だから話が長い。

だから脱線する。

だから商売の話をしていたはずなのに、いつの間にか人生の話になる。

でも、その「余計なところ」が、人間には必要だったりする。



「何を渡すか」という発想

おじさんは、仕事をするときに、

「自分は何をもらえるか」

だけを考えるのではなく、

「自分は相手に何を渡すのか」

を先に考えてもいいんじゃないかと思う。

もちろん、その結果としてお金をもらう。

それでいい。

むしろ、それが自然なのではないか。

価値を渡す。

相手が価値を受け取る。

その対価としてお金をもらう。

そして、そのお金で自分も生活する。

仕事を続ける。

また誰かに価値を渡す。

こういう循環である。

だから、お金は必要だ。

でも、お金だけをゴールにしてしまうと、この循環がどこかで壊れる。



「利益は過程」という考え方

おじさんは、

「利益は過程でしかない」

という言い方をしたい。

利益がいらないという意味ではない。

利益は必要。

ただし、

「利益を得るために価値を作る」のか、
「価値を渡した結果として利益が生まれる」のか。

この違いは大きい。

前者だけになると、

「どうやって取るか」

になってしまう。

後者なら、

「どうやって渡すか」

になる。

同じお金でも、その前にある人間の姿勢が違う。



だから、おじさん自宅では……

ここまで考えて、結論である。

難しい経営書を読む前に、

とりあえず寅さんを見ろ。

(笑)

いや、もちろん経営書も大切である。

マーケティングも大切。

会計も大切。

税務も大切。

法律も大切。

利益計算も大切。

全部必要。

でも、その前に、

「人に何を渡す仕事なのか」

を考えてみる。

その感覚を考える教材として、寅さんは結構すごい。

鉛筆一本から人生の話が始まる。

そして、その人生の話が、人と人との関係につながる。

商売というものが、

「物を売って金を取る」

だけではなく、

「人と人との間で価値を交換すること」

に見えてくる。



そして最後に、現実へ戻る

ただし、おじさん自宅はここで終わらない。

夢だけでは生活できない。

価値だけでは家賃は払えない。

感動だけでは電気代は払えない。

だから、

ちゃんと利益を出す。

ちゃんと帳簿をつける。

ちゃんと申告する。

ちゃんと税金を払う。

社会の中で商売をするなら、そこまで含めて仕事である。

寅さんのように、

「いやあ、いい話だったねえ」

だけでは終われない。

現実には税務署がいる。

会計がいる。

領収書がいる。

数字がいる。

そして一年が終われば、

税務申告である。

ここまで来て、ようやくおじさん自宅の哲学が完成する。

人に価値を渡す。

その対価として利益を得る。

その利益で生活し、仕事を続ける。

そして社会の中で責任を果たす。

つまり、

「儲けるな」ではない。
「儲けた先まで考えろ」

という話なのかもしれない。



おじさん自宅・本日の結論

商売には、いろんな方法がある。

営業トークもある。

マーケティングもある。

広告もある。

価格戦略もある。

AIもある。

でも、その全部の前に、

「この人に、自分は何を渡すんだ?」

という問いがあるんじゃないか。

鉛筆一本でもいい。

料理一皿でもいい。

ホテルの一室でもいい。

誰かの相談に乗ることでもいい。

施設を安全に使えるようにすることでもいい。

人が払うお金の向こう側には、

「自分が受け取った価値」

がある。

そして、その価値を作るのは、結局、人間である。

だから寅さんを見る。

寅さんが何を売っていたのかを見る。

そして、

寅さんが人をどう見ていたのかを見る。

そこから考えてみる。

「自分の仕事では、何を渡しているんだろう?」

「その人に何が残るんだろう?」

「その結果として得た利益を、自分は何に使うんだろう?」

そして最後に、

おじさん自宅から一言。

「寅さん、税務申告は増えていますか?」

……いや、そこは増えちゃダメだろ(笑)。

「利益は増えてもいい。
でも、税務申告から逃げるな。」

これである。

商売は夢だけじゃない。

数字だけでもない。

人を見る。

価値を渡す。

利益を得る。

生活する。

仕事を続ける。

そして、社会の中でちゃんと帳尻を合わせる。

それまで含めて、

「商売」なんじゃないか。

ということで、本日のおじさん自宅。

難しいことを考える前に、

とりあえず寅さんを見ろ。

そして鉛筆一本を眺めながら、

「俺はいったい、この人に何を渡しているんだろう?」

と考えてみよう。

……そのあと、

税務申告は忘れずに。

こういう感じなら、「寅さん→営業→サービス→利益→人間を見る→社会的責任→税務申告」まで一本につながる。
最後の「税務申告は増えていますか?」のオチも、ちょっとおじさん自宅らしく残せると思う。

もちろん。今回の「寅さん・鉛筆一本・商売・サービス・利益・人に何を渡すか・税務申告」まで含めて、note向けに50個です。

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