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店長こそ、いちばん動け|馴れ合いではなく、助け合える店をつくる

私が店長として大切にしていたモットーがあります。


店長こそ、いちばん動け。


店長になると、スタッフへ指示を出したり、仕事を任せたりする場面が増えます。


自分がすべての仕事を抱えるわけにはいきません。


それでも私は、店長が一番先に動くことを大切にしていました。


店長が動くと、スタッフも動いてくれることが多かったからです。


反対に、店長が動かずに指示だけを出していると、


「店長がしないなら、自分もしなくていい」


という空気が、少しずつ店内に広がってしまうように感じていました。


店長の行動は、想像以上に見られている


店長が何をしているか。


忙しいときに、どのように動くか。


誰かが困っているときに、どう対応するか。


スタッフは、想像している以上によく見ています。


お客様が増えたときに、店長が率先して接客へ入る。


商品が乱れていたら、自分でも整える。


レジが混み始めたら、必要な場所へ動く。


スタッフが困っていたら、声をかける。


店長が先に動いていると、スタッフも、


「自分もできることをしよう」


と自然に動いてくれることが増えました。


大きな指示を出すよりも、店長自身の行動が、店内の基準をつくることがあります。


「仕事だから当然」で終わらせない


スタッフが動いてくれたとき、私はすぐに、


「ありがとうございます」


と伝えるようにしていました。


もちろん、スタッフも仕事として動いています。


担当する業務を行うことは、特別なことではないのかもしれません。


それでも、やってくれたことには感謝を伝えたいと思っていました。


忙しいときに接客を代わってくれた。


商品を整えてくれた。


ほかのスタッフを助けてくれた。


こちらが指示する前に、必要なことへ気づいて動いてくれた。


そんな行動を見つけたら、その場で、


「ありがとうございます」


と伝える。


後からまとめて褒めるのではなく、動いてくれた直後に言うことを大切にしていました。


自分の行動を見てもらえていると分かれば、次も同じように動きやすくなります。


感謝がある職場には、声をかけやすい空気も生まれます。


店長がすべてをする、という意味ではない


「店長こそ動け」といっても、店長がすべての仕事を抱え込むという意味ではありません。


店長が何でもしてしまえば、スタッフが経験する機会を奪ってしまいます。


店長が休みの日に、店が回らなくなる可能性もあります。


私が目指していたのは、


店長が最初に動き、その姿勢を見せながら、少しずつスタッフへ任せていくこと


でした。


まず自分が行動する。


やり方を見せる。


スタッフが動いてくれたら、感謝を伝える。


うまくできなかったときは、くどくど責めるのではなく、次にどう動けばいいかを一緒に考える。


その繰り返しによって、店長がいなくてもスタッフ同士で動ける店へ変わっていきます。


話しかけやすい店長でいる


私は、自分ができるだけフラットで、話しかけやすい状態でいることも意識していました。


分からないことがあっても、店長に聞きにくい。


ミスに気づいても、怒られるのが怖くて言い出せない。


誰かが困っていても、声をかけていいのか分からない。


そんな状態では、小さな問題が見えないところで大きくなってしまいます。


分からないことを質問できる。


困っていることを早めに伝えられる。


自分とは違う意見も話せる。


そのような空気をつくることも、店長の仕事だと思っていました。


ただし、フラットでいることと、何でも許すことは違います。


伝えるべきことは伝える。


守るべきルールは守る。


そのうえで、必要以上に相手を怖がらせない。


役職による責任は持ちながらも、人として話しかけやすい存在でいたいと思っていました。


相手の「好き」を尊重する


スタッフによって、好きな服も、得意なコーディネートも違います。


接客の雰囲気や、お客様との距離の取り方にも個性があります。


自分と違うからといって、すぐに否定するのではなく、


「その人は、何を素敵だと思っているのか」


を見るようにしていました。


もちろん、ブランドとして守るべき基準はあります。


けれど、その中でスタッフそれぞれの「好き」や得意なことを生かせれば、売場の提案にも幅が生まれます。


相手の好きなものを尊重することは、お客様への接客だけでなく、一緒に働くスタッフに対しても同じです。


スタッフ同士の空気は、お客様にも伝わる


スタッフ同士の雰囲気は、言葉にしなくてもお客様へ伝わります。


誰かが困っているのに、全員が見て見ぬふりをしている。


忙しいスタッフの横で、別のスタッフが自分の仕事だけをしている。


店長の機嫌をうかがいながら、スタッフが動いている。


そのような空気は、売場にも表れます。


反対に、接客中のスタッフが商品を必要としているとき、近くにいる人が自然に用意する。


レジが混んだら、別のスタッフがすぐに動く。


困っている人がいれば、


「何か手伝いますか?」


と声をかける。


そんな助け合いができる店は、お客様にとっても居心地の良い空間になります。


馴れ合いではなく、助け合える店へ


私が目指していたのは、スタッフ全員がいつも仲良くしている店ではありません。


仲が良くても、注意すべきことを言えない。


仕事と関係のない話で盛り上がり、困っている人に気づかない。


それでは、働きやすい店にはならないと思っていました。


目指していたのは、馴れ合いではなく、助け合いです。


必要なことは伝え合う。


誰かが困っていたら協力する。


得意な人が、苦手な人を補う。


助けてもらったら、感謝を伝える。


それぞれに違いがあっても、仕事では同じ方向を向ける。


そんな関係をつくりたいと思っていました。


自分が異動しても、困らない店を残す


私は9年間で約12回の異動を経験しました。


新店舗の立ち上げに携わり、半年ほどで次の店舗へ移ることもありました。


そのため、


「自分がいなければ回らない店」


をつくるわけにはいきませんでした。


店長がいるときだけ動く。


店長の指示がなければ、誰も判断できない。


それでは、異動した後に残ったスタッフが困ってしまいます。


だからこそ、私がいる間に、自分たちで助け合って動ける空気を残したいと思っていました。


店長が先に動く。


その姿をスタッフが見る。


動いてくれたスタッフへ、すぐに感謝を伝える。


少しずつ仕事を任せる。


やがて、店長がいないときにも同じ行動が取れるようになる。


店長が一番動くことの最終的な目的は、店長だけが頑張ることではありません。


店長がいなくても、スタッフ同士で動ける店をつくることです。


店長の姿勢が、店の空気をつくる


売場の空気は、突然生まれるものではありません。


日頃、誰がどのように動いているか。


動いてくれた人に、どのような言葉を返しているか。


困っている人へ、誰が最初に声をかけるか。


その小さな積み重ねによって、店の空気はつくられます。


店長が動けば、スタッフも動きやすくなる。


店長が感謝を伝えれば、スタッフ同士でも感謝を伝えやすくなる。


店長が話しかけやすければ、小さな問題も早く共有される。


だから私は、店長になってからも、


店長こそ、いちばん動け。


という気持ちを大切にしていました。


役職が上がるほど、動かなくてよくなるのではありません。


役職が上がるほど、自分の行動が周囲へ与える影響を考える。


店長の仕事は、指示を出すことだけではなく、自分の背中で店の基準を見せることでもあると、私は思っています。


この記事が、スタッフとの関係や店舗の空気に悩んでいる方の参考になれば、スキで残していただけるとうれしいです。

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