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語学の海に漂って疲れ果てて、気がついたらタイの紀行番組を見てた話

蚤の市で、売り子をしている私。

最近、前ほど売れないこともあって、
頑張って売り込みします。

私は、外国人担当を任されている感じ。

今日は多かったのが、
イタリアからのお客様。

「ミラノ?」
「そうそう」

「私、ベニスが好きなの」

「えー、物価高いでしょ」

「そうそう。
一食は作って食べて、ケチケチだったよ」

なんて話になる。

ベニスには何度も行っているけれど、
イタリア人本人も
「高いでしょ」
って思ってるんや。

なんだか、
妙に嬉しい答え合わせ。

扇子もたくさん買ってくださったので、

「一本は私からプレゼント。
もう一本選んで!」

なんてことも。

あとは、スペイン語圏からのお客様。

最近は、
南米からの方も多い。

真剣に扇子を選んでいる男性。

聞いてみると、
ホンジュラスから。

「自分用? お土産?」

「どっちも!」

なるほど。

その後も、
その辺をぷらぷら見ている。

そこで、
ぴっかーん。

あれ、
絶対似合う!

ちょっと小さな穴があるので、
安くなっていた着物。

「とにかく着てみて!
絶対似合うから!」

と、半ば推し着せ。

ところがこれが、
びっくりするくらいピッタリ。

一度考えて、
まずはお土産用らしきものを二枚。

そしてまた、

「もう一回、着ていい?」

もちろん!

そこへお友達登場。

「どう思う?」

「いいと思う!」

で、その方も購入。

別の袋に入れて、
お会計も別で。

最終的に、
計四枚お買い上げいただきました。

推し着せ、
無事成功。

その後は、

「ポーランド!」

それも、
クラクフから!

「チャルトリスキ美術館、好き!」

なんて話になり、

「Dziękuję!」

と言ったときの、
びっくりした顔。

こういう瞬間が、
ちょっと楽しい。

フランスからの常連さんには、
私がスペイン語で接客しているときに、

「ちょっと待っててね」

と言ったら、

「何カ国語できるの?」

と、
びっくりされたり。

そして極めつけ。

試着されたものが、
ちょっと合わなかったお客様。

「どうしたら?」

と言われて、

雰囲気とサイズを見て、

「これなら?」

と出してみたら、
これがピッタリ。

「どこから?」

と聞くと、

「マケドニア」

えええ!

ついこの間、
行ったところ!

「スコピエ?」

「そうそう」

いや、
そこまで驚かれるとは。

私にとっては、
六月に弾丸で行った街。

でも、
日本の蚤の市で突然、

「スコピエ行ったよ」

と言われたら、
そりゃびっくりするのかもしれない。

「マケドニア人と喋りたくて、
ネイティブキャンプで探して、
フリートークしてるよ」

「友達もいるの!」

「なんていう人?」

……。

「すぐには出てこない!」

でも、
時々ネットでやりとりしてる。

日本で勉強していて、
あと三年くらいいるらしい。

また来てね!

ふぅ。

イタリア、
スペイン語、
ポーランド、
フランス、
マケドニア。

頭の中で、
言語のタブが開きっぱなし。

でも、
こういう時に思う。

旅って、
行ったときだけのものじゃない。

何年か経って、
誰かに会った瞬間に、

「あそこ行った」
「そこ好き」
「そこ高かった!」

なんて言葉になって、
もう一度動き出す。

ベニスも、
クラクフも、
スコピエも。

行ったことがあるだけで、
ただの地名じゃなくなる。

その人の国の話が、
少しだけ自分の話にもなる。

雨が降るかも、
というのもあって、
店もバタバタ。

片付けもして、
すっかり疲れ果てて帰宅。

頭の中の言語の暴走も、
治らないまま、

うとうとしていたら。

そこへ、タイ。

Hey! Say! JUMPが
海外へ行く番組が始まっていた。

二人で、
日没から朝までのアジアに行くらしい。

その中で、
山田くんと伊野尾くんが
タイに行っていた。

メンバーが多すぎて
全員は分からない。
ごめん!

でも、
この二人は分かる。

山田くん。

あれだけずっと第一線にいるのに、
なんというか、
擦れてない。

この弾丸旅で、
元気で、
爽やかで、
ずっと可愛いやん。

すごいわ。

そして伊野尾くん。

華やかな世界だけじゃなく、
普通の学生として過ごした時間や、
学んできた時間がある。

その感じが、
旅番組になると、
ちょっとした視点の違いとして出ていて、
いい味になっている気がする。

この二人、
組み合わせがいい。

そして、
自分が行ったことのある場所が出てくると、

「あそこ連れて行きたい」
「ここ見せたい」

と思う。

これも、
実際に旅をしてきたからこそ
出てくる感覚なのかもしれない。

見たことがある場所と、
立ったことがある場所では、
やっぱり全然違う。

語学の海で漂流して、
疲れ果てていたはずなのに。

気がつけば、
タイの旅番組を見ながら、

「これからが楽しみ!」

と、

すっかり目が覚めてしまった私です。

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