【イベントレポート】Jagu'e'r データ利活用分科会 #35 Meetup 〜データマネジメント×AI・オントロジー〜
イベント概要
日時: 2026年8月24日(月) 12:00~13:00
開催形式:オンライン開催
イベントページ:データ利活用分科会 #35 Meetup
はじめに
みなさん、こんにちは!データ利活用分科会運営の高須賀です。今回のミートアップは「データマネジメント」を軸に、AI時代のデータ基盤はどうあるべきかという熱いテーマが貫かれた回でした。広告業界の大規模データ基盤、大学の教学IR、そしてAIエージェント向け次世代アーキテクチャと、三者三様の切り口ながら「データがあるだけでは使えない」という共通の課題意識が浮かび上がり、Slackのワイガヤチャンネルでも質問やコメントが飛び交う盛り上がりでしたね。
登壇内容
LT1: 株式会社電通デジタル 小野木 寛弥 様
「IDIAプロジェクトにおけるデータマネジメントの取り組み」
広告システムのエンジニアとして約20年のキャリアを持つ小野木さんからは、広告配信データを扱うIDIA(Integrated Data Infrastructure Architect)プロジェクトの歩みが紹介されました。モノリスなレガシーシステムをデータ取得・収集・活用のレイヤーに分割し、DMBOK(データマネジメント知識体系ガイド)を読み込んだ上で、あえてガバナンスを広げすぎず「シンプルに定義する」方針に舵を切った実践的なお話でした。特に印象的だったのは、利用者が本当に求めているのは「データの汎用性」ではなく「早期対応と圧倒的な情報量」という気づきです。不要テーブルの削除とクエリ最適化によってインフラコストを大幅に削減し、コストセンターになりがちなデータ基盤を価値創出の源泉に転換していく好循環の話は、多くの現場に刺さる内容だったのではないでしょうか。
LT2: 神田外語大学 教育イノベーション研究センター 寺澤 岳生 様
「中小規模大学のデータ活用・教学IRについての一事例」
学生数約4,000名の私立大学で**教学IR(インスティテューショナル・リサーチ:大学の教育データ分析による意思決定支援)に取り組む寺澤さんからは、まさに「現場の課題」に根ざした発表でした。学籍・成績・GPA・外部テスト・学生アンケートなど、1人の学生のデータが複数システムに分散している状況で、「データが存在することと、そのまま分析に使えることは別問題」という実感のこもった言葉が印象的でした。Google Cloudを中心としたデータ基盤を3年計画で段階的に構築中で、将来的にはAI・LLM活用まで見据えているとのことでした。
LT3: 合同会社デロイトトーマツ 大前 七奈 様
「インフラとしてのコンテキストレイヤー」
LT最後は、直近でGoogle Cloud認定資格を全冠達成されたという大前さん。AIエージェント時代のデータ基盤を、少し抽象度を上げた視点で整理する意欲的な発表でした。出発点はベクトル検索だけでは「社内知識」を扱いきれないという課題です。関係性が辿れない、文脈で重要度が変わる事象に対応できない、部門ごとに指標の定義が割れる、出典の鮮度が曖昧、この4つの限界を解消するアーキテクチャとして、データ基盤を「定義」「事実」「統制」の3グループ・7つのレイヤー(L0〜L6)で捉え直すモデルが紹介されました。
今回のサマリー
今回は「データマネジメント×AI・オントロジー」をテーマに、3本のLTが行われました。共通のキーワードは「データの意味・文脈」で、「データがある ≠ データが使える」という問題意識が、大企業の広告データ基盤・大学の教学IR・次世代AIアーキテクチャという異なる文脈から立体的に語られました。事例と理論のバランスが良く、すぐに現場で活かせる実践知と、これから来る未来の設計思想の両方を持ち帰れる回でした。
AIエージェントが当たり前になる時代、データマネジメントは「守り」ではなく「攻め」の投資であるということを、3名の登壇者がそれぞれの言葉で示してくれた回だったと思います。私自身も、自社のデータ基盤に「AIが自信を持って語れる文脈」があるか、早速見直したくなりました。

次回予告・お知らせ
11月頃:データ利活用分科会 #36 Looker回を開催予定
12月上旬:データ利活用分科会 #37 今年最後のオンサイト(現地開催)イベントを予定!テーマは「データ基盤の縮小・引っ越し」まわりのお話とのこと。登壇者も絶賛募集中です!Jagu'e'r データ利活用分科会 登壇者募集フォーム
登壇者の皆さま、参加者の皆さま、そして運営の皆さま、素晴らしいイベントをありがとうございました!次回もお楽しみにしていてください!
