正解のない教室から──帝京大学「帝京学」、最初の一歩
失敗も偶然も、ぜんぶ学びに変わる場をめざして
こんにちは、森です。
昨年度から、帝京大学で「帝京学」という授業を担当しています。
この授業が始まるにあたって、オリエンテーションでお話ししたことを、少しだけここに記しておこうと思います。単なる授業紹介ではなく、「なんのために学ぶのか」「どう生きていくのか」、そんな話をしたつもりです。
正解より、「問い」があるほうが面白い
「帝京学」って、一見すると何をやる授業かわかりにくいかもしれません。
でも大丈夫。わからないからこそ、ここから一緒に考えていきます。
この授業で大事にしているのは、「正解を覚える」ことじゃなくて、「問いを持つ力」。
つまり、「どう考えるか」「どう感じるか」「どう行動するか」という、“自分のものさし”を育てることです。
間違えたって、迷ったって、途中で考えが変わったっていい。
その一つひとつの過程こそが、僕の考える「本当の学び」なんです。
NHKから教壇へ──僕が今ここにいる理由
僕はもともと、NHKのアナウンサーをしていました。
ニュースを読んだり、取材したり、番組を作ったり。いろんな現場でたくさんのことを経験させてもらいました。
でも40歳で辞めました。もっと「人の人生」に近いところで、深く関わる仕事がしたくなったんです。
そこから大学教育の現場に入りました。今は帝京大学や高崎商科大学で教えたり、研修や講演をしたりしています。2015年には、家族をベトナムに移して、暮らしそのものを実験しているような毎日です。僕は日本とベトナムを行ったり来たりしています。
僕の原点──大学時代、10ヶ月のヒッチハイク
実は、僕の人生観に大きな影響を与えたのは、大学時代の経験です。
全国をヒッチハイクで10ヶ月間まわりました。北海道から沖縄まで、知らない土地で、知らない人に出会って、助けられて、笑って、泣いて、考えて。
「自分で旅を決めて、自分の足で進む」。多くの人から「経験という過程の重要さ」や「生きる知恵」をいただきました。
そのときの体験が、僕にとっての“学びの原点”です。
だから今も、教室の中だけでなく、“人生そのもの”を教材にしたいと思っています。
キャリアは「たまたま」でできている
よく学生に聞かれます。「どうやって今の仕事にたどり着いたんですか?」って。
答えは…だいたい「たまたま」です(笑)。
たまたま受けたNHKで、たまたま勧められたアナウンサーの試験で受かって、
たまたま知り合った人が次のチャンスをくれて…。
人生って、計画通りにはいかないんです。でも、だからこそ面白い。目の前のことに“ちょっとやってみよう”って飛び込む。その積み重ねが、未来になっていくんだと思います。
ちょっと小難しい話をすると、学問の世界でも、キャリアの80%は偶然でできている
という理論「計画的偶然性理論(Planned Happenstance Theory)」がありますね。ジョン・D・クランボルツ(アメリカ、スタンフォード大学)が20世紀の終わりに打ち立てた理論です。「偶然を自分で引き寄せ、活用しなさい」って言っています。
3日坊主? 大歓迎です
僕の授業では、失敗も3日坊主も、まったく問題ありません。むしろ「ちょっとやってみた」ってことが、すでに素晴らしい。
「不安になる=前に進もうとしている証拠」
「失敗した=チャレンジした証拠」
そうやって、自分の行動を前向きに受けとめられるようになると、自分にも、人にも、ちょっと優しくなれますよね。
学びはもっと自由でいい
授業ではスマホを使ってOK。録音・撮影OK。SNSで発信してもOK。
AIで文章をつくってもOKです(ただし、自分の考えも混ぜてね)。
大事なのは、「どう使うか」「それをどう咀嚼して、自分の言葉にするか」。
学び方に“正解”はありません。自分のやり方で、自分のペースでやればいいんです。
教養とは、「知ること」より「考えること」
僕は、「教養=知識の量」ではないと思っています。
知ったことを、自分なりに加工して、誰かと語り合って、行動に移す。そうやってはじめて、その知識は“血肉”になる。それが「教養」だと考えています。
だからこの授業では、毎回リポートを書いてもらいます。正解は求めません。自分の言葉で、自分の意見を、まずは書いてみてください。意見には根拠も加えてね。
カツ丼の話から、人生が見えてくる
オリエンテーションでは、ちょっと変わった質問がきました。質問してくれた学生、ありがとうね。
「もし明日死ぬとしたら、最後に食べたいものは?」
僕は迷わず「カツ丼」って答えます(笑)。でも、これって単なる食べ物の話じゃないんです。その人にとって、「何が幸せか」「何を大事にして生きてきたか」がにじみ出る問いなんです。
雑談のようでいて、深い。そういうやりとりからこそ、本音が顔を出すことってありますよね。
おわりに──ゴー!の精神で、生きていこう
この教室では、正解を教えません。だって何が正解なのかが、僕がわからないので(笑)。でも、一緒に問いを立てて、一緒に考えて、一緒に歩いていくことはできます。
自分のペースでいい。迷ってもいい。途中でやめてもいい。でも、ちょっとでも「やってみようかな」と思ったら、ぜひ飛び込んできてください。
あなたの人生が、誰かの“たまたま”のきっかけになるかもしれません。だから今日も、自分に向かって「ゴー!」と、声をかけてみてくださいね。
日々の生活は『気づき』や『問い』に溢れています。
そんな小さな気づきや問いから思考を広げていくとこんなお話ができます。
オンラインでも『本当の学び』
「問いを持つ力」。
「どう考えるか」「どう感じるか」「どう行動するか」という、“自分のものさし”を育てることができるもりゼミ。
ぜひ覗いてみてくださいね。
