【読書記録】星野道夫と見た風景/星野道夫・星野直子
出版社 : 新潮社 (2005/1/26)
発売日 : 2005/1/26
単行本 : 125ページ
感想
星野道夫さんの本が好きだ。
自然を見る目の優しさ、深さ。
『旅をする木』を読み、それに感動して以来、星野さんの本は度々読んでいる。
この本は奥さんの直子さんの文章が書かれていて、奥さん目線での星野道夫さんが描かれる。
大きな自然も素晴らしいけれど、もっと足元の自然も見てみよう
こんな言葉があった。
私たちが生きている世界には素晴らしい自然がたくさんあり、人間も一つの生物としてその自然にあやかりながら生きている。
しかしながら、その自然を忘れて、切り離されて生きていると思っている人が多い。
人工物に囲まれている現代では仕方がない。
山に行き、ただただぼんやり歩いていると、「ああ、人間って小さいんだな」と思う。
それがなぜだか気持ちがいい。
気持ちが楽になる感覚がある。
自分は小さくて、世界からすればほんの一粒だと思うと、肩の荷が降りる。
「遠い自然を感じることができれば、それだけで世界の見え方は変わる」と星野さんは著作で仰るが、そんな感覚かもしれない。
私はその考え方が大好きだ。
ただ自然を感じて、身を任せて生きていたい。
メモ
アメリカ本土に親しいカメラマンがいて、二人で撮影に出かけたときのこと。朝焼けを撮るため、光のタイミングに合わせて撮影ポイントに急いで駆けつけ、道夫さんは雄大な風景を撮ろうとカメラを構えたそうです。ところが横で友人は、足元ばかり撮ってたんですって。そんな彼の影響で、大きな自然も素晴らしいけれど、もっと足元の自然も見てみようかと思うようになったって。(p32)
足元にも素晴らしい自然がある。美しい景色は、身の回りに溢れている。
寒いことが、人の気持ちを暖めるんだ。離れていることが、人と人とを近づけるんだ。(p57)
『旅をする木』の、私の好きな言葉。寒い冬は厳しいだけじゃない。
事故からしばらくは、冷静にクマの映像を見ることもできませんでしたが、今ではもうなんともありません。道夫さんが襲われたのも、クマが悪いのではなく、その場で人間が作り出した環境のせいで起してしまった行動だったということを、後に理解することができました。もちろん、悲しい気持ちにはなりますが、クマを憎んではいません。(p121)
熊による事故により亡くなった道夫さん。直子さんは「クマが悪いのではなく、人間が作った環境によるもの」と言う。2025年、日本では熊のニュースが多く流れたが、あれも熊が悪いのではなく、人間が作り出した環境の変化によって起きているもので、上手く共存できるようにしていくしかないのだ。
