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忍者屋敷

息子が小学生の頃、家族旅行で甲賀の忍者屋敷に行きました。

中に入ると、ちょうど説明の時間だったようで、売店の近くに人が集まっていました。中には忍者の格好をした人たちもちらほらと。売店では、確か五千円ほどで忍者の衣装が売られていたので、それを着ていたようです。

夏だったので、説明の人が「忍者の方、暑かったら頭巾を取ってくださいね」と声をかけましたが、誰も取りませんでした。本物の忍者屋敷で忍者になりきっているのですから、多少の暑さくらいで忍者気分を諦めるつもりはなかったのでしょう。

忍者屋敷の中には、様々な仕掛けがありました。
一番印象に残っているのは、床板の下にある落とし穴です。侵入者を誘い込んで穴に落とします。人間はいきなり穴に落ちると、落ちた場所から外に出ようとする、つまり、自分が落ちたところからしか出られないと思い込んでしまう、という説明がありました。

実際には、この落とし穴は奥まで続いていて、外に通じています。忍者はこの穴を通って逃げることもあったそうです。その他の仕掛けも、作り自体はシンプルですが、どれも人間の心理をついたものでした。

息子が興味を持つだろうと思って、連れてきたはずなのに、見るもの全てが面白くて、この時の息子の様子が一切記憶にないほど、楽しんでしまいました。夫は、手裏剣の投げ方を教わって褒められたのが嬉しかったようで、何回も繰り返していました。

売店で「忍者屋敷正伝」という五百円の薄いパンフレットのようなものを買いました。これ自体にも仕掛けがしてあって、なかなか面白いものでした。

忍者は高い身体能力が注目されがちですが、主な仕事は諜報活動だったので、正体を知られないことの方が重要だったようです。このため、様々な知識が必要でした。

移動していても怪しまれないように、旅を仕事とする人、たとえば手品師や軽業師、商人や山伏・僧侶に変装することが多かったそうです。芸を身につけ、商法やお経を学び、動物の鳴き真似までも、怪しまれないレベルで習得する必要がありました。

忍者の戦闘シーンはカッコいいですが、パンフレットの説明によると、偵察を重ねて、状況をしっかり掴んでから集団で戦うため、単独行動の時は、基本的には防御になります。手裏剣は、攻撃用ではなく護身用との説明がありました。

また、忍者が姿を消したと言われるのも、非常に上手に隠れたり、逃げたりしているだけで、不合理なことはないそうです。それができるようになるためには、日々の鍛錬と学習が欠かせません。

このパンフレットを改めて見返してみて、「忍者は、毎日のものすごい努力の賜物なんだなあ」と思いました。

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