(2026:その07) 経営的視点から見た誠の人
皆様、本日はご参拝いただき、誠にありがとうございます。
今日は、以前お話しした「誠の人」について、もう少し深めてお話ししたいと思います。
天理教ではよく「誠の人になりなさい」と言われます。
誠という字は、「言」と「成」と書きます。言っていることを成す、つまり言行一致の人のことです。
おやさまが多くの人に慕われたのは、言葉だけでなく、その言葉をそのまま実行し続けたお姿があったからです。
「誠の人」とは、まさにそのひながたそのものだったのではないでしょうか。
しかし、正直に申し上げます。
私自身も、そしておそらく皆様も、言行一致が大切だと頭ではわかっていても、なかなかできないのが人間の弱さではないでしょうか。
口では立派なことを言いながら、実際の行動が伴わない。
小さな約束を忘れたり、機嫌の悪い顔を人に見せてしまったり、自分に都合の良い解釈をしてしまったりする。
それが積み重なると、周囲の信頼は少しずつ損なわれていきます。
これは、特別な人だけの話ではありません。
私たち一人ひとりに当てはまることです。
では、どうすればよいのか。
ここで、経営の世界で生きた人たちの言葉を少し紹介させてください。
まず、稲盛和夫さんです。
「立派なことを言う人は多いが、行動が伴わない人がほとんどだ」とおっしゃり、自らは日々の判断を「動機善なりや、私心なかりしか」と戒め続けられました。
次に、松下幸之助さんです。
「信用は得難く、失いやすい」と繰り返し語られました。
また、若い頃に業界で約束したことを、他社が守らなかった中でも自らは守り通したところ、「松下は約束を守る会社だ」という信用が広がり、かえって商売がうまくいった、というエピソードも残っています。
そして、アメリカの投資家ウォーレン・バフェットは、こう言っています。
「評判を築くのに20年かかり、それを壊すのに5分しかかからない」
また、「人を雇うとき、私は誠実さ、知性、エネルギーの3つを見る。最初の誠実さがなければ、後の2つはあなたを殺すことになる」と。
時代も国も違う経営者たちが、結局同じことを言っているのです。
言葉と行動の一致が、信頼の土台であると。
最近では、さらに具体的なデータも出ています。
日本の815社、17万人の働き方をAIで分析した研究があります。
そこで「会社から期待されている人」、つまり信頼され、機会を与えられる人たちの習慣が明らかになりました。
たとえば、
届いたメールに24時間以内に返信する人が62%(一般の人は18%)。
さらに35%以上が15分以内に一次返信している。
会議の中で、60%以上の時間を機嫌よく、ポジティブな表情で過ごしている人が65%。
朝の挨拶の声がはっきり大きく、明るいトーンの人が37%(一般はわずか7%)。
特別な才能ではなく、
日常の小さな約束を守り、
機嫌よく接し、
最初の挨拶を丁寧にするといった、
ごく当たり前の習慣の積み重ねが、周囲からの信頼を生み、結果として「この人に任せたい」という期待につながるのだそうです。
これを聞いて、私は「やはり同じだな」と思いました。
経営の世界でも、データでも、結局「言行一致」が信頼を生むという結論になっているのです。
では、私たち信仰者にとって、これは何を意味するのでしょうか。
教祖様は、心のほこりを祓うことをお諭しくださいました。
おしい、ほしい、にくい、かわいい、うらみ、はらだち、よく、こうまん。
そして、うそとついしょうこれ嫌いと言われています。
この八つのほこりの中に、「言うこととやることが違う」という心のあり方も、含まれているのではないでしょうか。
口では「陽気ぐらし」を願いながら、実際の生活の中で自分勝手な判断を繰り返していないか。
「おたすけ」を言いながら、身近な人への思いやりが欠けていないか。
親神様のお話を説きながら、自分自身の行動がそれに伴っていないことはないか。
こうしたズレは、他人には意外とよく見えています。
そして、そのズレが積み重なると、信頼が損なわれていくのです。
しかし、完璧にできる人はいません。
大切なのは、「そうありたい」と願い、ずれに気づいたときに、すぐに正そうとする心を持ち続けることです。
それが、心のほこりを少しずつ祓っていくことであり、おやさまのひながたに少しでも近づくことであり、陽気ぐらしへの道につながるのではないでしょうか。
私自身も、会社では社員に言ったことをまず自分が守るように心がけ、教会でも信者さん方に語ったことを、まずは自分から実践するよう努めています。
100点は取れなくても、少しでも言行を一致させようとするその努力が、「誠」の具体的な実践だと思っています。
皆様も、今日一日、ご自身の言動を振り返ってみてください。
小さな約束を守れているか。
機嫌よく人と接しているか。
朝の挨拶を、はっきりと明るくできているか。
周囲の方は、ご自分の鏡です。
もし周囲に「誠でない」と感じる人がいたら、それを反面教師として、ご自身が誠に一歩でも近づけるよう、心のほこりを払っていかれたらどうでしょうか。
心が少しでも綺麗になれば、自ずとそれに見合った行動ができるようになるはずです。
そして、心が変わった瞬間に、親神様は「心通りの守護」で、身上や事情を良い方向へお導きくださると教えられております。
私も、一歩でも「誠の人」を皆様と共に目指したいと思います。
今日も一日、自分の言動を丁寧に振り返りながら、親神様に喜んでいただける生き方を、少しでも近づけるよう努めてまいりましょう。
ありがとうございました。
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