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◉ヒカル=立川さぎ志の明治座初高座問題雑感

◉日本の男性YouTuberで歌手、実業家でもあるヒカル氏が、落語立川流の立川志らく師匠に客分の弟子という形で弟子入りし、落語家になったそうです。これ自体は、山崎邦正氏が月亭八方師匠に弟子入して月亭方正に、お笑いグループ爆烈Qの中村好夫氏が笑福亭鶴光師匠に弟子入して笑福亭羽光として真打ちなど、よくある話ではあり。でも、これが色んな形で炎上しているようで。明治時代からの長い長い歴史を持つ東京・浜町の明治座で初高座、というのがうるさ型には癇に障ったようです。

ヒカルの明治座初高座に対して若い落語家達は嫉妬するだろう。それは健全だ。しかし負け犬の遠吠えになってはダメ。ヒカルは修業していないから素人だとか落語を教わっていないから奴の落語は落語じゃないとか。ヒカルは毎日世間に向かって語り続けてきた。落語家は誰に向かって話してきた?自分の客だけ。世間に向かって落語をやってきた落語家が、売れるのです。勿論、市馬さんや三三みたいに古典の天才は別。
 悔しかったら世間に向かって落語を語り、話題になり、己を成長させてみろ。井の中の蛙だと仮にヒカル、さぎ志と同じ高座にあがってもフルボッコになって終わりだ。その時に、落語はあんなのじゃないんだ、修業云々ほざいても世間は相手にしてくれない。
現状を打破しなさい。
だから私は秋にあんな無謀な独演会を63歳になってもやるんだ。毎日、炎上させているんだ。落語家として安泰なのにヒカルとコラボ、つまり戦おうとしているんだ。
弟子にするということはあいつと戦うということなんだよ。

https://x.com/shiraku666/status/2073205690999693374?s=20

ヘッダーはGeminiの生成イラストより、ヒカル風落語家のイラストです。


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■浜町明治座と落語と■

落語家の古今亭志ん朝師匠も、三木のり平主催の舞台役者としては上がったことは度々ありますが、単独での落語会はやっていないようです。2018年3月3日に桂雀々師匠が、芸暦四十周年記念公演 桂雀々独演会が開催され、2020年1月27日に『明治座 浜町寄席』が開催され、昼の部に三遊亭円楽師や林家たい平師、夜の部には柳家三三師らが出演しました。

明治座は1368席あり、落語家が単独で埋めるには、難しい場所。それだけに、正式な落語家でもないやつが初高座なんて、という反発はあるのでしょう。そういえば昔、新人バンドがデビューで武道館というのに苦言を呈していた歌手もいましたね。ローリー寺西さんも、スカンチとしては武道館は踏んでいないと、ロックフジヤマで語っておられ。

いつかは武道館、という価値観の歌手にとっては、時流に乗っただけのバンドやタレントがいきなり武道館というのは、承服できないでしょう。ただ、そこは比べるのは違うような気がします。事務所の力ではなく、小さな箱から埋めていってついに武道館コンサートというのは、充分に誇れる実績だと思うんですけどね。比べるものじゃないです。

立川流自体、立川談志家元が立ち上げたときには、Bコースがあり。高田文夫氏が立川藤志楼、ビートたけしさんが立川錦之助など、多くの有名人の弟子がいて。志らく師匠の場合、BコースからAコースに転じた立川らく朝師という弟子もいましたしね。男子家元が亡くなって、Bコースはなくなりましたが、自分は悪くない制度だったと思っています。

■口偏に新しいで噺です■

自分個人は、新宿末広亭や池袋演芸場のような寄席は好きですし、寄席修行が落語家らしさ・芸人らしさを育む場というのは、まったく否定しません。これは、立川談之助師匠なども度々指摘されていますが、落語協会や落語芸術協会の前座や二つ目は、立川流の孫弟子世代の真打ちよりも、落語家らしさがあったりします。

しかし寄席修行という点なら、上方は天神天満繁昌亭のオープンまで、常打ちの寄席がずっと絶えていて、上方四天王でも松鶴師匠がギリギリ、戦前の寄席を経験したぐらい。で、米朝・五代目文枝・三代目春團治の芸を、寄席修行した落語協会や芸協の落語家の、何人がバカにできるのかと。無理ですよね、そんなだいそれたマネ。戦争になります。

寄席の育む芸人らしさはまったく否定しませんが、そこに依拠して立川流や圓楽一門を見下す落語家やファンは、「ジャンルを殺すマニア」の典型例だと思いますし、自分は大嫌いです。自分は、落語立川流は長らくファンですが、どうにも立川流ファンにそういう、自意識過剰の鼻持ちならないマニアが多いのは、残念ですけども。

そういえば先代の文枝師匠、昭和の時代にマイケル・ジャクソンのコンサートに行かれたら。 近くの席に米朝師匠も居られたとか。 古典落語の頂点のようなお二人が、進取の気風を失わない。 滅びかけた上方落語を救ったのは、そこだったと思うのです。 弟子にも、その部分は受け継がれていて。 口偏に新しいで、噺ですから。

■二つ目落語家が炎上■

ところが、この件に言及した、十一代目 桂 文治門下の二つ目・桂空治さんが、炎上しているようです。

はっきり言わせてもらうけど。

今、落語家全員が悔しい想いしてるよ。

だって修行も何もしてないYouTuberのヒカルくんが明治座でやる落語会が瞬殺で完売してるんだもん。悔しくない方がおかしいよ。

でも大丈夫。
俺たちには寄席で修行したんだから。
噺家になるためだけに青春を全て捧げたんだから。
毎日毎日4年間、お盆も正月も土日祝日もなく、落語にどっぷり浸かってるんだから。
お茶出しから始まり、師匠たちの着物も何百回と畳ませて頂き、全ての師匠の出囃子の太鼓を叩くことが出来るんだから。
俺たちが持ってる芸は、全て師匠たちから対面で稽古を付けていただき、そして対面で見て頂き、人前で披露する許可を頂いたものなのだから。
そう、俺たちには「噺家の匂い」があるんだから。
だから負けるわけがないんだ。

だよね?ですよね?

ただ、世の中の皆さんが、大衆が
あっちの方が好き、あっちの方が価値があると評価した瞬間に、俺たちプロの敗北です。
俺たちが思ってた「落語」は終わるってこと。
でもそれはまた新しい「落語」のスタートってことでもある。だから「落語」は終わらない。
悔しかったら、勝つしかない。
そして本物を観たかったら、来るしかない。
ジュゲムクラブ。
いまこれ以上に盛り上がっている落語会はない。

https://x.com/Soraji1228/status/2073051753025773754?s=20

3568万閲覧・3.7万イイネ・イイネ率0.103%
なんですか、このインプレッションは。二つ目の落語家の、それではないですね。イイネ率も0.1%を切りそうで。おそらく、内容を理解できない落語ファンの両方から、誤解されて炎上しているようですね。「本物」という単語に偏狭な自称落語通が反発し、明治座出演を肯定しているように見えた落語ファンが、ダブルで誤解しているのか?

桂空治さんのように、落語家が悔しがるのはとても大事なことだと思う。
一方で、落語ファンは極めて冷静。
個人的には、
・誰が落語をやろうと自由
・落語に触れたことがない人が落語に触れるきっかけを作ってくれる人の存在は貴重
・「その人」きっかけで落語を見た人の数%でも、落語自体の凄さに気付いて寄席や落語会に来てくれるようになれば御の字
と思っています。

https://x.com/gokurakurakugo/status/2073173519949853178?s=20

自分も、この意見に近いんですが。それでも、落語ファンをどこらへんに想定しているかはわかりませんが、落語ファンは極めて冷静とい感じではないですね。まぁ、こう書くと「本物の落語ファン」と「ニワカの落語ファン」とか、選民思想落語ファンが現れて、面倒くさいのですが。実際に、こういう状況になっているのですから。

殺害予告だけでなく、爆破予告も来ています。

そして桂空治の名前を騙って、全国のホールや、芸能プロダクションにも、殺害予告や支払いを要求する連絡を送りまくっているようです。

ご迷惑をお掛けして申し訳ございません。と言わせたいのでしょう。言いません。
出るとこ出ますので。裁かれなさい

https://x.com/Soraji1228/status/2073449633314197808?s=20

個人的には、五代目桂三木助師匠のコチラの指摘が、ニュートラルだと思うのですが。とにかく、殺害予告とか爆破予告とか、落語会全体が白眼視されるようなマネをする連中には、困ったものです。古典落語の演目『宗論』でも「宗論はどちらが負けても釈迦の恥」と言いますが。くだらないマネをする愉快犯は、落語ファンとは言えませんね、確実に。

落語界の修業は小僧の奉公が近い

右も左も分からない者が仕事の仕方、礼節、その世界で生きていく術を学ぶ為に行う

生業とするなら必要

志らく師匠の仰りたい事は

「商売は違うが、結果を出している大店の主人に小僧からやりなさいという必要はない」

根本はここで修業を否定している訳ではない

https://x.com/MikioKatura/status/2073642201847132600?s=20

的確な例えですね。例えば、西田敏行さんの落語とか、大河ドラマで何回も主役を張った超一流俳優の落語に、『昭和元禄落語心中』の声優の落語に、オレのほうが上手いと言える真打ちが何人いるか? ここらへんは、漫画界だと漫画家とアシプロとスタッフと、例えることが可能かもしれません。後段でまとめて、書いてみますね。

■群体落語と個体落語■

寄席のシステムは、元々は現代の演劇場や映画館のようなもので。江戸時代には一説に、市中に700軒もの寄席が存在したとか。明治時代になると、文明開化の波や政府による規制で約100件に減り。昭和には数十軒、戦後には十数件に減り、現在は鈴本演芸場・新宿末廣亭・浅草演芸ホール・池袋演芸場の4軒に、国立演芸場や永谷商事の寄席のみに。

昔の落語家は、寄席での収入とお座敷での収入の2つがあり。思うに戦後の欧米化と、ホール落語が生まれたことによって、寄席は育成の場としての機能が、より強化された面はあるでしょうね。でも、落語教会分裂騒動で、圓楽党と落語立川流が、寄席にあまり依存しない体制になり。まぁ、圓楽党は初期は寄席を経営していましたが。

落語協会や落語芸術協会は、さいとう・たかを先生や本宮ひろ志先生らの集団制作体制で。円楽一門会や落語立川流は、ノーアシスタントの個人制作体制で。誤解を恐れず言えば、前者は独演会での集客能力がない=才能のない人間でも、生きていけるためのシステムですね。もちろん、才能のある人間は寄席と独演会の両方で食えるのですが。

寄席は、落語の文化を守るシステムとしては、よくできていると思います。ところが、立川流や圓楽一門をバカにする落語家が二言目に言うのが、〇〇は着物が畳めるのか太鼓が打てるのか、と。いやキミらは着物畳み家や太鼓叩き家なんか、と言いたいです。落語家でしょ? スクリーントーンの貼り方を自慢する漫画家なんて、あんまりいません。

■集客力ある名人上手■

これが漫画の世界なら、アシプロという技術職の区分があるのですが、例え看板漫画家の代わりに主線まで入れても、それは自分の作品ではないって自覚があるのですが、ダメ落語家にはそれがないようで。あれですよ、アシスタントになって、自分は一端の作家となったつもりで、イキってる連中と同じに見えます。

でもそいつらは、技術を売るアシプロとは違うわけで。技術を売るアシプロは、トリの落語家が指名する膝前(膝代わり)みたいなものです。その人自体は独演会で人は集められないけれど、寄席という多数の芸人が集団で、メインエベンターであるトリの登場に向けて、盛り立てていくシステムの中では生きるわけです。

でもけっきょくは寄席も、集客能力があるトリの落語家の力をベースに、ゼニを貰って食ってく体制であり。集客力は大事。なのに、そこを無視して協会に所属していることが価値と勘違いしてるのは、違うんじゃねぇのと思うわけです。そういう群体に価値を置かない独立体には、そんな価値観を誇られても、困るわけですし。

コレに関しては、立川談之助師匠の会で「下手なベテラン落語家っているでしょ? あの人達は努力してないわけじゃないんです」という言葉が、胸に刺さって。好きで入った落語界、でも自分が憧れた名人上手のような才能がない、とわかった時。潔く廃業する、弟子の育成や寄席の群体として頑張る、そこはイロイロでしょう。

■呼び屋と聞かせ屋と■

かつて、宮藤官九郎脚本で、長瀬智也・岡田准一主演で『タイガー&ドラゴン』というドラマが制作され。内容は笑いあり涙ありの傑作で、自分も鍋島雅治先生も、DVDボックスを購入したほど。そして、立川志らく師匠や立川談笑師匠とかその前から、ジャニーズの人気アイドルが落語家を演じるドラマがあれば、落語に注目が集まると、指摘しており。

実際、その予言は成就したわけで。今は、週刊少年ジャンプの『あかね噺』がヒットし、アニメもレベルが高くて人気を博し。その波を落語界は逃さないようにしているわけで、いろんなイベントが開かれています。志らく師匠の仕掛けも、それと同じ流れにあるので、否定するのはおかしいんですよね。好みはあっていいですが。

別に、頑固の昔の味を守る老舗料理店も、アイデアで集客する創作料理の店も、どっちもあって良いんですよ。でも、どっちかを政党としたがる人間がいる。でも、異端が正統を活性化しないジャンルは、滅びるんです。落語も、古典落語と同時に新作落語が、活性化している面があり。だから、春風亭柳昇師匠は「呼び屋と聞かせ屋」と語ったわけで。

寄席に客を呼ぶ人が呼び屋、でも行ってみたら真打ちの芸に驚き、落語自体を愛するようになってくれる。そういう人を引きつけるために聞かせ屋が必要で。両輪があって人力車は動くので。ウチはウチ、他所は他所の感覚が持てない人が、権威主義に走って、ジャンルを潰すマニアになるのでしょうね。そんなことを思います。

ヒカル風落語家の全図

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