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労働への罰金、取られてませんか

「国はお前らにはただひたすら黙々と馬車を引く馬車馬であってほしいんだ。その方が都合がいいからな」

 ドラマ「ドラゴン桜」で、阿部寛演じる弁護士・桜木建二が生徒たちに放った言葉だ。強烈な皮肉だが、今の日本経済の現状をみると、あながちフィクションとも笑えない。

 いま、永田町では「消費税」の減税論争が熱を帯びている。高市首相が打ち出した「食料品の消費税ゼロ」案に対し、野党も「一律5%」や「廃止」で対抗し、さながら減税合戦の様相だ。

 物価高に苦しむ私たちにとって、レジでの支払いが安くなることは確かに助かる。物価高対策として消費税を下げるべきだという議論自体は否定しない。しかし、それだけで本当に私たちの暮らしは良くなるのだろうか。冷静に振り返れば、この国は長い間、「働く人」を後回しにし続けてきた歴史がある。

 企業は利益が出ても、それを賃金として還元するよりも、配当などを通して投資家へ還元する傾向を強めてきた。政府は口先では「賃上げ」を要請するものの、そこに強制力はない。賃金が上がらない現状に対し、政府が打ち出したのは「資産所得倍増プラン」だった。「給料が増えないなら、投資で増やしてください」と言わんばかりの政策だ。

 かつて1960年代の「所得倍増計画」は、汗水流して働く人々の給料(労働所得)を増やすことが目的だった。しかし、令和の倍増計画は、投資できる余裕のある人を優遇するばかりで、日々の労働で食っている人々の所得を増やすことは後回しにされた。

 この歪みは、日本が抱える最大の危機である「少子化」と「人手不足」に直結している。現役世代の手取りが増えないため、結婚や子育てに踏み切れない若者が増え、少子化が加速する。結果、労働力はさらに不足する。

 本来なら、人手が足りないのなら「働くこと」の価値は高まるはずだ。国は全力で、働く人や雇う企業の負担を減らし、「働けば報われる」環境を作らなければならない。

 ところが現実は逆だ。給与明細を見れば、消費税以上に重い「社会保険料」が天引きされている。これは実質的な「労働に対する罰金」と言っていい。働けば働くほど、人を雇えば雇うほど、高い保険料を取られる仕組みになっているからだ。

 人手不足だと言いながら、働くことにペナルティーを科す。少子化が国難だと言いながら、子育て世代の手取りを社会保険料で削り取る。アクセルとブレーキを同時に踏むようなこの矛盾を正さない限り、どんなに消費税を下げたところで、根本的な解決にはならない。消費税減税は、すでに引退した世代や資産家にも恩恵がある「全方位への対策」だが、今本当に必要なのは、未来を支える現役世代に集中している負担を減らすことではないだろうか。
 消費税を下げる財源があるのなら、それを社会保険料の軽減に充てるべきだろう。働く人の手取りを増やし、企業が賃上げしやすい環境を作る。「馬車馬」のようにただ黙々と働かせるのではなく、働いた人間が正当に報われ、将来に希望を持てる社会にする。それこそが、未来への投資ではないのだろうか。

※こちらのコラムは、AERA2026年2月9日号にも掲載しています。

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ここから先は、一週間の活動日記になります。表では書きにくい話もこちらに書いています。

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お金や経済の話はとっつきにくく難しいですよね。ここでは、身近な話から広げて、お金や経済、社会の仕組みなどについて書いていこうと思います。 …

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