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【作品紹介】星の王様:夜の光たちへ 第1夜「星の王様ひみつのおしごと」

夜ごとに人の悲しみを星へ磨き返す王様。
ひとりで続けるその仕事は、胸が少し痛むほど孤独でした。
ある夜、無邪気な流れ星リュウが現れ、王様の涙を「がんばった光」と呼びます。

ちいさな星との出会いが、夜空にあたたかな輝きを生みだします――

『星の王様:夜の光たちへ』(MMPP-B004)
収録作品より、1話抜粋。

第1夜「星の王様ひみつのおしごと」 作:MMPP.K

 星の王様は、夜になると、そっと玉座を抜け出します。
 ひとりで、静かな空のすみっこへ向かうためです。

 そこには、今日うまく笑えなかった人の光や、がんばりすぎて曇ってしまった小さな星のかけらが、ぽつんと落ちていました。
 王様はそれをやさしく拾い上げ、指先でそっとこすり、ふうっと息を吹きかけます。

 すると、曇っていた光が、すこしずつ澄んでいきました。

「言わなくていい。でも、あなたは今日をちゃんと生きたのだ。」

 王様はぽつりと空に言いました。
 その声は夜の奥へゆっくりと溶けていきます。

 王様の胸は、ちくりと痛みました。
 星を磨くたびに、その星がかかえていた気持ちが、ほんの少しだけ王様に流れこんでくるからです。

 それでも王様は手を止めません。
 涙のあとでも、ため息の影でも、ひとつひとつ丁寧に磨いて夜空へ返します。

 ――そのとき、王様の頭の上を、ぴゅんと小さな光が走りました。

 王様は気づきません。
 けれど、その光は、まるで王様を見つけたように、ゆっくりと軌道を変えました。

 夜のおしごとを終えるころ、王様は見上げた空に静かに告げました。

「強さとは、誰にも知られぬまま積み重ねた夜の数で決まるものなのだ。」

 その言葉は、今日もがんばりすぎた誰かの胸に届くように、星たちのあいだを静かに流れていきました。
 星たちはきらりと光り、まるで王様の言葉に応えるように瞬きます。

 王様は背すじを伸ばし、その光をじっと見守りました。
 胸のいたみはまだ残っていましたが、それこそが王様としてのしるしなのだと知っていたのです。

 そして王様は、そっとつぶやきました。
 だれかのかなしみを、そっとあたためながら歩くこと。

 それが、星の王様のほこりなんだと。


 小説家になろうの「冬の童話2026 テーマ『きらきら』」に、参加した時に書いた作品です。番外編こみで全5話になりました。

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