noteで「稼げている人」はどれくらいいるのか――note社のデータから見る、文章で稼ぐ市場の現実
吉本ばななさんのnote記事を切り口に、作家の経済的な苦しさと出版不況についてまとめたX投稿とnote記事は、実にたくさんの人に読まれ、Xのインプレッションは26万を超えました。
そうなると次に気になるのが「出版社や既存メディアを通さず、noteでどれくらいの人がどれだけ稼いでいるのか」。
note社の決算説明資料や公式発表を当たって調べてみると――
note上でやり取りされるお金は年間200億円規模に

・2025年11月期の流通総額(GMV):約213億円
※四半期GMVの単純合算による筆者試算
・収益を得た経験のある人:累計20万人超
・売上トップ1,000人の平均年間売上:1,515万円
・ただし、収益の中央値や中間層の人数は非公表
流通総額(GMV)とは、note上でユーザーからクリエイターに支払われた金額の総額に近い指標で、note社の収益は、GMVの一部を手数料等として受け取る形になります。
25年11月期第4四半期のnote事業の流通総額(GMV)は56.08億円。前年同期比で29.1%増でした。
これらの数字を見ると、「誰でも簡単に稼げる」わけではない。一方で、「ごく一部の有名人だけの市場」でもない。既存の出版とは別のところで、文章・経験・知識を直接お金に変える市場は、かなり大きくなっているようです。
noteというと個人ブログの延長のイメージで見られることも多いですが、note社の公表データを見ていくと、個人の文章や、経験、知識を読者に直接届け、お金に変える市場として成長しています。
noteの規模はどれくらいか?

noteの規模を見ていくと(2025年11月期末)――
・会員登録者数:1,114万人
・累計ユニーククリエイター(過去に投稿した人の総数):202万人
・公開コンテンツ数:6956万件
一方、収益面は前述したように、収益化した累計人数は20万人超(2025年3月末時点。ただし「1円以上・累計・現在も継続中とは限らない」)。売上トップ1,000人の平均年間売上は1,515万円(2024年12月〜2025年11月)です。

1515万円も稼げれば、十分本業として成立します。ただし、「収益化した人数20万人」とは、一度でもnoteで収益を得た人の累計で、継続的に稼いでいる人ではありません。また年間10万円以上、100万円以上といった所得階層別の人数は公表されていないようです。
さらに、次のようにざっくり試算してみると、稼いでいるのはかなり上位に集中しているように見えます。
トップ1,000人の平均1,515万円×1,000人=151.5億円
151.5億円/年間GMV約213億円≒71%
つまり、上位1,000人だけでGMVの約7割に相当する計算になります。また、少数の大型クリエイターが、平均を押し上げているかもしれません。
noteで売れているカテゴリーは?
では、noteでは何が売れているのか。同社が約30万件の有料記事を分析した2026年1月の発表を見ると――
売れている記事(各カテゴリー売上上位20%)の平均価格は、実用ノウハウ系が1,842円、読み物系が983円。実用ノウハウ系のほうが約1.9倍高い価格で売れています。

伸びているのも実用色の強い領域です。有料記事の急上昇カテゴリー上位は、画像の通り。収入アップや課題解決につながるようなカテゴリーが並びますね。
note社いわく、「有名人や専門家でなくても、自分の経験や知識を体系化して発信しているクリエイターのコンテンツに売上が発生している」。
実際、育児メンバーシップでは売上トップ10のうち7人が参入1年以内のクリエイターでした。先に始めた人だけが有利な世界ではない、というわけです。
有料で読んでくれる読者はどれくらいいるのか?

一方、noteを読んでお金を払ってくれる読者はどれくらいいるのか。
noteの読者は、大きく三層に分けて見るとわかりやすいです。
① 広義の読者
MAUは8,660万。ただし、これは2025年6〜11月平均のユニークブラウザ数で、実人数ではありません。非会員も含め、noteに月1回以上アクセスしたブラウザの合計です。
② 会員
2025年11月期末の会員登録者数は1,114万人。
③ 有料読者
2025年11月期4Qの月間購読者数は70.4万人。これは四半期中にnote上で課金した月平均アカウント数で、ゲスト購入も含みます。
ARPPU、つまり購読者1人あたりの平均月間購入額は2,657円。note社は、ARPPUは2,700円前後で安定的に推移していると説明しています。つまりnoteには大量の無料読者がいるなかで、一部の読者が有料記事やメンバーシップなどに月2,700円前後を支払う構造になっているわけです。
有料読者の属性についてnote社は公表していません。ただ、大きく2つのタイプに分けて整理しています。
ひとつは、課題解決型の読者。AI活用やSNS運用、複業や資産運用など、自分の仕事や収入の改善に役立つ情報にお金を払う層です。
もうひとつは、書き手指名型の読者。小説やエッセイ、漫画など、「その人の作品を読みたい」という理由で購入する層です。吉本ばななさんは完全にこちらですね。
ひと月におよそ70万人が2700円も使っていると市場と考えると、出版業界で仕事をしていた書き手がnoteに機会を見出し、シフトを検討するのも現実味があります。
ただし、大きく稼げるのは一部の人で、書く以外のマーケティングなども自力でやるのが前提になることや、執筆の継続性、売上が立つまで無給でその間の資金繰りをどうするか、といった課題が立ちふさがります。そもそも売り上げが立つほど読まれるんだろうか、という根本的な不安もあるでしょう。
その意味では文章力や編集力だけではなく、ビジネス的な能力も問われてくるところに、多くの読者を抱えているわけではない作家がnoteに参入する場合の難しさがありそうです。
主な出典
・note株式会社「2025年11月期 決算説明資料」2026年1月13日
・note公式「数字でわかるnoteの現在地。この1年の主なトピックスをご紹介します! #note11周年」2025年4月8日
・note株式会社「note、約30万件の有料記事を分析。はじめたばかりでも収益につながりやすいテーマが明らかに」2026年1月7日
・note株式会社「noteの会員数が1000万人を突破。企業・自治体の活用も広がり、情報発信に欠かせないインフラに成長」2025年6月23日
〇追記
noteでの文章執筆を含む、個人が作成したコンテンツを直接お客さんに販売するクリエイターエコノミーの市場規模と最近の傾向についてもまとめたので、どうぞご覧ください。

