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25年前、『モモ』で考えた「豊かさ」の答え合わせを、40歳になって息子と散歩しながらしていた。

「本当の豊かさとは何か?」

そんな問いを投げかけられたのは
25年前、中学3年生の夏でした。

私が読んだのは、ドイツの児童文学作家 ミヒャエル・エンデ が1973年に発表した代表作『モモ』。時間泥棒に奪われた「人間の時間」を取り戻す少女・モモの物語です。50以上の言語に翻訳され、今なお世界中で読み継がれている名作です。(Michael Ende | Offizielle Webseite)

私は当時、この本を読書感想文のために読みました。

……と言うと聞こえはいいのですが、本当の動機はもっと不純でした。

中学1年生、中学2年生と読書感想文が学校代表に選ばれ、「最後の3年生は県大会まで行きたい」と、本気で思っていたのです。

だから夏休み中、毎日毎日『モモ』のことを考えていました。小説家への憧れもあり40日間机に向かう自分に美しく酔いしれて。

最初は感じたことを全部書き出し、そのあと何度も推敲する。

「豊かさって何だろう。」
(県大会に選抜される感想文はどんなものか... どう面白く斬新でいて骨太に書くか...)

そんなことばかり考えていました。



あれから25年。

先日、1歳の息子と東大駒場キャンパスを散歩していました。

現役の東大陸上部らしき学生さんが、息子に笑顔で手を振ってくれました。

その瞬間、なぜか25年前の夏を思い出したのです。

そういえば夫も東大卒です。商社勤務。
私は美術大学出身。育休中。

東大生は、多分日本一、最適解を積み重ねてきた人が多いだろうな。

私はどちらかというと、絵を描き、本を読み、「豊かさとは何か」を考えてきた人です。

その違いを考えていたとき、『モモ』が突然つながりました。



『モモ』の中には、「灰色の男たち」が登場します。

彼らは人々に「時間を節約しなさい」「もっと効率よく働きなさい」とささやき、人々から人生そのものを奪っていきます。

時間は貯めたはずなのに、誰も幸せになっていない。

1973年に書かれた物語なのに、まるでスマートフォンやSNS、成果主義の現代社会を予言していたかのようでした。(Michael Ende | Offizielle Webseite)

私は最近、夫と一緒に不動産事業を始めました。

「資産を増やしたい」と思っています。

でも、その理由を改めて考えると、お金そのものが欲しいわけではありませんでした。

ほしいのは時間です。

もし莫大な資産があったとしても、私はきっと学び続けます。

どこに寄付をすればいいのか。

どう使えば社会や家族に一番良い循環が生まれるのか。

きっと今と同じように考え続けるでしょう。

結局、変わるのは生き方ではありません。

変わるのは、届けられる豊かさの大きさくらいなのかもしれません。

だから私が本当に欲しいのは、お金ではありません。

今は多忙な夫が「今日は休もう」と自由に言えること。息子ともっと一緒に過ごせること。

家族みんなで、美味しいご飯を食べたり、旅行に行ったり、「時間」を分かち合えること。

日常的なことでもいい。散歩して、心から気持ちいいと感じ得る「余裕」があること。

25年前、『モモ』を読みながら考えた「豊かさとは何か」という問いは、40歳になった今も、私の人生の中心にありました。

だから私は、もう一度『モモ』を読み返してみようと思います。

今度は、中学生ではなく、一人の母として。

息子が中学生になる頃には、一体どんな時代になるんだろう。

1973年に描かれた「時間泥棒」は、2026年、まだ世間に蔓延って、私の夫の時間を奪い続けています。半世紀経った今でもです。

まずは5年をかけて、資産と時間を選択できるようにしたいです。そのために学ぶ、行動する。モモのように。

この25年間、一度も読み返していないのに記憶に深く残る一冊。また読みたい。息子も読んでくれると良いな。絵本も最近出てるみたいなので買ってみようかな。

読書感想文が意外にもここで役に立つなんて。
人生って面白いな、と感じました。

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