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「売れた本」から「先に見える本」へ。TikTokが書き換える出版サプライチェーンのルール


BookTokは「バズ」から「指標」へ

すでに報じられているニュースですが、TikTokがMedia Control、NielsenIQ BookDataと連携し、英国初の公式月間「BookTok Bestseller List」の展開をはじめました。
このリスト(ランキング)はすでにドイツでは2023年から展開されており、2026年には英国・イタリア・スペインへ拡大すると発表されています。

ランキングではTikTok上のエンゲージメントと実売データを組み合わされ、対象となった本は店頭のPOPなどでもランクインした作品であることが告知されています。

アルゴリズムはわかりませんが、比重は販売データ寄りのようです。これまでも「POSは過去データ」という話はありましたが、販売実績✕SNSの熱量のハイブリット指標が出現してきているということでしょうか。
単なるSNSランキングではなく、実売データにSNS上の熱量を重ねたランキングである点が重要です。

影響も大きくて、先の発表では欧州主要市場での売上は5,000万冊以上、8億ユーロにのぼるとのこと。

ランキングが、そのまま棚を動かす

ドイツではMVBがBookTokベストセラーの公式シール/店頭販促物のライセンス展開を担っています。
つまりランキングが、そのまま店頭販促物に変換される仕組みになっているわけです。

このデータが一般化することによって、出版社にとっては版権の仕入(どのようなタイプの本を取得するか)や重版や在庫対応を前倒しすることができるようになるとも言われています。
実際に、書店が出版社より先にBookTok需要を察知することで欠品が起きるということが頻繁に発生しているようです。

見つけるだけでは足りない。供給まで同期できるか


需要の兆しを早く見つけるだけでは十分ではありません。
今のままだと、書店・出版社それぞれによる需要の先取り競争が起きてしまうだけになっています。
SNS需要に対応できるサプライチェーン、つまり重版・補充・店頭展開のリードタイム短縮まで含めて整えなければ、結局は欠品で機会損失が起きてしまいます。

TikTokが皆が集中的にプロモーションを行う新刊だけではなく、既刊販売にも大きな影響を及ぼしていることは色々な形で証明されています。
少し古いデータですが、BookTokで話題化したバックリスト20タイトルのカナダでの印刷本販売を追跡した結果、2019年7月〜2022年6月で合計販売が1,047%増、最低月から最高月では2,166%増だったそうです。

原価高騰の中、バックリストの販売強化がより必要になってきていることは国を問わないテーマでしょう。

日本でも「需要の兆し」を共有する仕組みはできるか?

日本でも「バズったら重版する、増刷する」だけではなく、予約・発注・重版・店頭展開にSNS上の熱量を繋げていく仕組みが必要になってきていると常々考えています。
今や日本ではマーケティングデータは分散の一途です。
ただ、やはり本は多品種小ロットの商材です。まとめて見ることでようやく見えてくる潮流というのがあるはずです。
”需要の兆し”を流通全体で共有するような指標が次の売上を生み出してくれると信じています。

「売れる本」から「先に見える本」への転換。
世の中はすでに棚がSNSを見に行く時代に突入しています。

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