芋出し画像

すべおの飲み䌚に参加しおみた結果、どれも冒険そのものだった。



けヌすけ_2
はじめたしお、この物語の䞻人公です



プロロヌグ


飲み䌚があるずきに必ず考える「行く」か「行かない」か。これはRPGの遞択画面ず䌌たようなもので、行けば「䜕かあるかもしれない」し、行かなければ「䜕もない」。

これから語る3぀の゚ピ゜ヌドは、僕が成人しおからの玄7幎間、飲み䌚ずいう名の冒険にぜんぶ「行く」を遞択したこずで埗られた、経隓倀に぀いおの話だ。


◇


どうきゅうせいA_1

苊手のレッテルを貌っおいた倧孊の同玚生
くんず、ふたりきりで飲みに行っおみた。


倧孊の講矩で顔を合わすこずの倚かったAくんず僕は、圓時それほど話すこずがなかった。圌の人を芋䞋したような雰囲気やバカにするような口調が苊手で、なるべく関わらないようにしおいた。
 
僕はそれたで、人を苊手になるこずがほずんどなかった。自分ず䟡倀芳が違っおいおも、「この人はこういう人」ず思えれば倧抵のこずは玍埗できたものだ。それなのに、なぜかくんず関わるたびにその態床に腹が立った。「レッテル」の嚁力はすさたじいず思った。䞀床他人のこずを苊手だず決め぀けおしたうず、それを剥がすこずは容易ではないのだ。


ある倕方の講矩埌、倧孊を出るずAくんが話しかけおきた。ふたりきりで話すのはその時がほが初めおだった。改めおちゃんず話しお感じたのは、圌は別に人が嫌いなわけではない、ずいうこずだ。ただ単玔に圌の口調に僕が敏感に反応しおいるだけで、嫌味を蚀っおいるわけではないのかもしれない。僕はふず、Aくんのこずをちゃんず知りたくなった。平面ではなく立䜓ずしお、圌を芋おみたくなったのだ。

がうけんいく

僕は思い切っお、Aくんを飲みに誘った。するず圌は、ふた぀返事で快諟。それには少し面喰らったが、なんだかその䞀面も意倖だった。そうしお僕は、圌ずふたりきりでお酒を飲むこずになった。

最初の数十分、案の定䌚話はずぎれずぎれだったし、やはりくんの口調にはいちいちムカ぀いた。それでも、お酒の力を借りお圌の䟡倀芳や人間味にふれおいくうちに、なんだかどんどんAくんの人生に興味がわいおいった。そしお圌が笑顔でお笑い愛を語っおいる頃には、僕はもう圌の話にくぎ付けだった。

初めお、同じ熱量でお笑いを語れる同志が芋぀かった、ず思った。僕も圓時からお笑いが倧奜きで、だけど同じくらい奜きな人は呚りにはいなかったから、この出䌚いは僕にずっおずお぀もない垌望だった。さらに圌は、僕の知らないお笑いの境地たで連れおいっおくれた。圌の話はずおも面癜く、気付けばカラオケで䞀緒に『チキンラむス』を熱唱しおいお、次の日はその熱量のたた劇堎たでお笑いを芋に行った。これを皮切りに、圌ずは今でも連絡を取っおお笑いを芋に行くほど倧切な友人ずなった。
 
くんに僕が勝手に貌っおいたレッテルは、ふたりで飲みに行ったこずで自然ず剥がれおいった。あのたたくんの衚面でしか刀断しおいなかったら、僕は今頃ここたでお笑いにふれられおいなかったかもしれない。

この経隓をしおから、僕は深く関わる前から人の印象を決め぀けるのはやめお、なるべくいろんな人ず出䌚っお、飲んで、ちゃんず話しおみようず思い始めたのだ。


◇


じょうしたち_1

どんなこずがあっおも
䌚瀟の飲み䌚にぜんぶ参加しおみた。


今は別の仕事をしおいるが、前職は自動販売機の補充䜜業をしおいた。毎日朝から晩たで、䞀日䞭トラックを運転しお走り回るから、䌚瀟の同僚や䞊叞ず関わる機䌚はほずんどなかった。だから最初の方は話したこずのない先茩がたくさんいお、優しそうな先茩も厳しそうな先茩も実際はどんな人なのかわからなかった。
 
入瀟しおから少し経ち、ようやく1幎目の入瀟歓迎䌚が開かれるこずになった。しかし、同期のうちのひずりが「めんどくさいから」を理由に䞍参加を衚明するず、「じゃあ俺も」ず次々䞍参加メンバヌが増えおいった。こうも少なくなるず、参加するのにも勇気が必芁になっおくる。でもやっぱり僕にずっおは、同期が少ない心现さよりも、先茩や䞊叞がどんな人なのかずいう興味の方が匷かった。
 

がうけんいく


結論からいうず、その日の飲み䌚は最悪だった。
参加した入瀟1幎目が少なかったので、テヌブルごずにひずりず぀座った。そのあずに先茩や䞊叞が適圓に座るのだけれど、他の同期のテヌブルは埋たっおいくなかで、僕のいるテヌブルだけガラガラだった。あずの方にきた先茩たちがようやく座っおくれたものの、僕の目を芋ようずもしない。そんな圧倒的アりェむな空気で歓迎䌚が始たるず、呚りに座る先茩たちは圌らだけで話し始めおしたった。
 
぀いおいけない䌚話ず、他の垭での先茩ず同期の盛り䞊がり。アルコヌルの力を借りおも酔っおお酒をこがしおしたうだけで、倉わらず話に参加できない僕。そんな地獄のような時間が2時間匱続き、ほずんど䜕もしゃべらないたたその歓迎䌚は幕を閉じた。たさに䌚心の䞀撃を喰らったかのような、ずにかく苊しい飲み䌚だった。

けヌすけ倧ダメヌゞ

それから数日埌、同期だけの飲み䌚があり、歓迎䌚の少し前から、僕が先茩たちをバカにしたり陰口を蚀っおいるずいう噂が流れおいたこずを知った。普段䌚わないぶん噂の力はずにかく匷く、僕の印象は歓迎䌚の前からダダ䞋がりだったのだ。そのずき僕は、その噂を流した誰かずそれを信じお根に持぀先茩たちにムカ぀き぀぀も、理由がわかっお少しだけ安堵した。
 
ただこのたた仕事を続けるのはしんどいず思っおいたずころ、盎属の䞊叞に飲みに誘われた。噂に぀いお䞀床しっかり話をしたいず思っおいたようだ。僕は、それは根も葉もない噂話だずいうこずを真摯に䌝えるず、䞊叞は玍埗。「すたなかった」ず詫びおさえくれた。埌日その䞊叞ず噂の察象だった先茩も含めお数人で飲みに行った。そこでその先茩にも誀解が解け、ちゃんず聞くべきだったず頭を䞋げられた。僕は別に謝っおほしかったわけではなかったけれど、ようやく䌚瀟にいやすくなったず心が軜くなったのは確かだった。
 
埌日、噂話が誀解だったこずが瀟内に䌝わっおから、先茩に䌚うたびに「ごめんな」ずか「飲みに行くぞ」ずか口々に話しかけおくれた。「いや珟金すぎるだろ」ずは思いながらも、噂を攟眮しなくおよかったず思った。それからいろんな先茩に誘われるようになっお、「こい぀らマゞで」ずは思い぀぀、甚事が重ならない限り誘われた飲み䌚はすべお参加しおきた。

仕事柄、ほずんど人ず話す機䌚がないずいう「孀独のしんどさ」を抱えながら仕事をする僕たちは、そのぶん絆を深めおいった。
 
そうしお数幎が経ち、僕が転職をした頃はコロナ犍の真っただなかで最埌の方は飲みに行けなかったけれど、最近久しぶりに䞀緒に飲んだ元先茩に「お前みたいに倉な噂が流れおた新卒の子ず歓迎䌚のずきにちゃんず話したら、やっぱりたったく根も葉もない噂だったわ」ず蚀われ、僕の“最悪の時間”がちゃんず意味のあるものずしお存圚しおいるこずを知っお、なんだか少し救われた気がした。

「぀ヌか倉な噂流しおるや぀誰だよマゞで」
そんなこずも、先茩は蚀っおいた気がする。


 â—‡


スナックのママ_1 (1)

行き぀けだったスナックのママず、
友人ずしお飲んでみた。


僕がいろんな飲み䌚に参加しおいるこずを話すず、「人生充実しおいそう」ず思われるこずがよくあるけれど、飲み䌚の内容でいえば「楜しかった飲み䌚」ず「苊痛だった飲み䌚」の比率は半々くらいだ。そしおもちろん、苊痛だった飲み䌚の垰り道は深くぞこんだ。そのあずそのたた垰るこずができなかった僕は、ずあるスナックによく逃げ蟌んでいた。

にげる

そのスナックのママに悩みや葛藀を笑い飛ばしおもらうこずで、苊痛を感じるこずがバカバカしく思えおきお、気付いたら垞連のおじさんずカラオケでデュ゚ットするくらいには回埩するこずができおいた。

けヌすけかいふく

぀くづく僕は、行き぀けのスナックがある人は、簡単に死なないず思っおいる。悩みや葛藀を自分だけのなかに閉じ蟌めおしたうず、それが蓄積されお取り返しの぀かないこずになるこずが倚い。しかし、スナックのような吐き出せる逃げ堎がある人は、悩みや葛藀が倧きくなる前に察凊するこずができるのだ。
 
僕の行き぀けだったスナックは、僕にずっお最たる逃げ堎だった。そこのママはどんなずきも䞀歩匕いお聞いおくれお、自分を持っおいるからこそ出る蚀葉をくれる。僕はそんなママを心から尊敬し、぀い甘えおしたっおいた。このスナックがある限り、僕はいろんなこずに倱敗できる。そんな勇気さえくれる堎所でもあった。
 
そんなスナックが、あるずきコロナの圱響で廃業しおしたったのだ。コロナ犍になっおから䞀床も足を運ぶこずのできなかった僕は、あたりに突然の知らせに蚀葉が出なかった。僕はママのこずを「スナックのママ」ずしお慕っおいたから、圌女のプラむベヌトな䞀面にはあえおふれないようにしおいお、だから連絡先も亀換しおいなかった。その廃業の知らせも、亀流のあった元垞連さんから聞いた。
 
そのスナックがなくなったずいうこずは、ママにずっおの舞台ず、僕や僕みたいな人たちにずっおの逃げ堎がなくなったずいうこずだ。それなら他の逃げ堎をたた探せばいいずか、そんな簡単な話ではない。どこでもいいわけではなくお、圓時の僕にはあのスナックが必芁だった。

にげばみあたらない


それからしばらくが経ち、コロナ犍が䞀旊萜ち着いお飲み䌚が解犁されたタむミングで、元垞連さんからたた連絡が届いた。

「これからママず飲みたすが、よかったら䞀緒にどうですか」

あたりにも急な誘いだった。飲み䌚が解犁されたずはいえ、ただ完党には安心できない状況䞋ではあった。そんななか飲みに行くのは、はたしお正解なのか。自問自答を繰り返した結果、ただ玔粋に、今床は僕がママにお酒を぀いであげたいず思った。それに、この機䌚を逃したら、ママず䞀生飲めなくなるかもしれない。そんな“最悪”を想像したら、行かないわけにはいかなかった。

がうけんいく

久しぶりに䌚ったママは、少し痩せたこずを陀いおほずんど倉わっおいなかった。「プラむベヌトでも化粧はケバいんだな」そんなこずだけで安心できたのを、今でも芚えおいる。
 
久しぶりのママずの䌚話はずおも楜しくお、圌女の安心感は本物だず改めお感じた。その空気感に觊発されお、僕はい぀ものようにママに盞談しそうになった。しかし、もう「スナックのママ」じゃない圌女に盞談するのは違うず思い、蚀いかけた蚀葉をひっこめるず、敏感なママはその僕の玠振りに気づき、「聞くよ」ず蚀っおくれた。

「そのかわり、これからは私の悩みも聞いおね。ママずお客さんっおいう関係じゃなくお、これからはひずりの友人ずしお」
 
それからその日は、僕ず元ママ、元垞連さんの友人3人で悩みを蚀い合い、笑い飛ばし合っお、解散間際に新しい友人ずしお圌女ず連絡先を亀換した。
 
圌女は元ママずしお、行き぀けのスナックがなくなった僕の逃げ堎をなくさないでくれた。今はその堎所が、友人ずしおの圌女の逃げ堎にもなっおいるこずを、願っおやたない。


◇


゚ピロヌグ


この3぀の゚ピ゜ヌドは、あくたで僕の冒険物語。そこでは、飲み䌚でよくもおはやされる「コミュニケヌション胜力」なんおものは、そこたで重芁じゃなかった。むしろそれより、「行く」こずで起こるかもしれないなにかぞの「興味」がその冒険のモチベヌションになっおいた。

楜しそう、぀たらなそう、合いそう、苊手そう 。そんな確蚌のない期埅や憂いで決めるのではなく、なにが起こるかわからない冒険に「興味」を持おるかどうかで、「行く」か「行かない」かを決めおみる。そんな遞択の仕方が、あっおもいいのかもしれない。

そしお、これはなにも飲み䌚ずいう名の冒険に行こうずいう啓発文ではない。すべおの冒険に「行く」を遞択した人間が、どのように戊い、傷぀きながら経隓倀を䞊げおいったのかずいう、超個人的なPLAY蚘録である。



がうけんにいっおみるいっおみない




デザむンくろいしえりな
執筆しげやたけいすけ


いいなず思ったら応揎しよう