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独裁政治に近い閣議決定の使い方 -殺傷能力のある武器を輸出してアイゼンハワーも警鐘を鳴らした「軍産複合体の国」になる日本

 高市政権は21日、武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」と、その運用指針の改定を閣議決定し、殺傷能力のある武器も輸出の対象とした。

 経済同友会の終身幹事だった品川正治さんに会った時、「軍需で安直に儲けようとする発想がいけないのです。軍需を民需に転換すれば、世界は平和になります」と語っていた。高市政権の武器5類型の撤廃はこの品川さんの主張に逆行するもので、安直な金儲けとしか思えない。

 常々、「閣議決定」で国家の根幹に関わることが簡単に決まってしまうことに疑問を抱いている。これでは国会は不要になってしまう。国家の意思決定が首相などごく少数の人々によって決まるのでは独裁政治と変わらない。
岸田元首相も反撃能力、防衛増税などを、国民の理解が十分とはいえない段階で22年12月に閣議決定して、日本の国会に諮るより前に23年1月に米国に出向いてバイデン大統領に日本が反撃能力をもつことになること、大幅に防衛費を増額することを報告した。岸田首相は日本の民意よりも、米国との関係を重視していると言われても仕方なかった。

 23年7月22日の毎日新聞、赤川次郎氏へのインタビュー記事「社会に異議 誰かが言わないと」の中で、赤川氏は安倍政権の政治を評価する中で「閣議決定が大きな権限を持つようになってしまった。閣議決定で方向性を決めてしまい、国会は数の力で押し切ってしまう。」と語り、「国会で議論しなければならないことを、あらかじめ閣議決定して、国会では形だけ『議論はやりました』と済ませてしまう。このような閣議決定の使い方は独裁政治に近いと思っています。」と述べている。

赤川次郎氏

 ペルーの作家マリオ・バルガス=リョサは2012年12月のノーベル文学賞受賞演説「読書と虚構を褒め称えて」の中で次のように述べている。

「独裁というものがひとつの国にとって絶対悪を意味し、暴虐と腐敗の温床となるという私の信念、独裁というものが癒すのに長い時間を必要とし、未来に禍根を残し、何世代にもわたって消えることのない悪習を創りだし、民主主義の再建を遅延させるほどの深い傷を残すという信念に基づいた行為です。」

ペルーの作家マリオ・バルガス=リョサ 画像はANNより

 独裁政治から立ち直るには長い時間がかかると、彼は警鐘を鳴らしているが、日本の民主主義は敗戦という歴史的な大事件を経て与えられた。漫画家赤塚不二夫氏が書いた「『日本国憲法』なのだ!」では、ひみつのアッコちゃんは、「国民が主権者になるまで多くのギセイと努力があったのよっ!」と語っているが、国会での議論が不要なように閣議決定を多用するのは多くの犠牲を経て獲得した国民主権の原則を侵すものだ。

 赤川氏は閣議決定の使い方が独裁政治に近いと述べているが、麻生太郎氏が2013年7月に「ナチスの手口に学んだらどうか」と語ったことを思い出してしまう。ナチスが巧妙に独裁政治に移行していったことを称賛するかのような発言には国の内外から批判が集まった。しかし、現在の日本政治は民主主義が静かに骨抜き状態にされているかのようだ。

 ナチスは国民に十分に考える時間も与えることなく、独裁政治の性格を強めていった。米国のジャーナリストで教育者のミルトン・マイヤーは、さまざまな人々がヒトラーの政策やイデオロギーにどのように反応したのかを知りたいと思い、第二次世界大戦終結から7年後、社会のさまざまな層のドイツ人にインタビューを行った。ある大学教授はナチスが台頭しても根本的なことを考えずに済むことが容易で、自分には時間がなかったと語っている。そして赤ん坊に過ぎなかった自分の息子が「ユダヤの豚」という言葉を口にした時に、自分の周囲に起きている急激な変化に気づくことになったと語っている。

 日本は、このナチスの成長に愕然としたドイツの教授のように、いつの間にか「軍産複合体の日本」になっているようだ。より莫大な利益を得たいという防衛(軍需)産業の意向や働きかけが殺傷能力のある武器輸出の解禁という政治プロセスをもたらしたように思う。

日本の古本屋より


 米軍の元将軍で、大統領であったドゥワイト・アイゼンハワーは、1961年1月17日の離任演説の中で、「軍産複合体の不当な影響力の獲得に対して、米国は自らを守らなければならない」と説いた。自らの選挙区において軍需産業に依存する上院・下院の議員たち、また国防総省と軍隊、さらに民間の軍需企業が「軍産複合体」として一体となり、米国政治を方向づけていく危険性をアイゼンハワーは説いた。

 防衛産業や防衛省が一体となって政治に影響力を行使して、殺傷能力のある武器輸出の解禁や、日本の平和国家の歩みを阻害することになったのではないかと思う。この日本の軍産複合体の構造を抑制しなければ、日本は絶え間なく戦争を望む国になってしまう。

※表紙の画像はドゥワイト・アイゼンハワー
政治家と元アメリカ大統領https://www.jiji.com/jc/d4?p=usp221-jlp10683912&d=d4_psn  より


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