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飽きないインテリアのつくり方【インテリア④ 】|リノベで後悔しない設計 #30

一級建築士・インテリアプランナーの関美和です。
住宅設計やインテリアに携わる中で、多くの住まいづくりに関わってきました。

リノベーションは、“見た目”だけでも、性能だけでも暮らしやすくなりません。

このシリーズでは、設計とインテリアの両方の視点から、後悔しない住まいづくりの考え方をお伝えします。



住まいづくりに長く関わっていると、

家具の選び方について、ふと感じることがあります。

新築したばかりの頃は、建物にお金がかかったからと、

「家具は、とりあえず安いもので」

と選んでしまう。

けれど、もともと気に入って選んだ家具ではないため、数年経つとなんとなく物足りなくなり、10年も経たないうちに買い替えてしまう。

反対に、
そのときの勢いや流行で個性的な家具を選び、

最初は気に入っていたけれど、
数年すると

「なんとなく部屋にしっくりこない」

と感じてしまう。

そんな例も、たくさん見てきました。

家具は、簡単に買い替えるものではありません。

だからこそ私は、

大きなものほど、ベーシックに。長く付き合えるものを。
そして、
変えやすいもので、自分らしさを楽しむ。

という考え方をおすすめしています。

今回は、
飽きないインテリアをつくるための考え方
について、お話ししたいと思います。


インテリアは、何年くらいで飽きるのでしょうか


そもそも、人はどのくらいでインテリアに飽きてしまうのでしょうか。

積水ハウスが20〜60代を対象に行った「インテリアに関する調査(2024年)」では、

インテリアや家具・小物などを変えるタイミングとして、

「気分で変える(飽きたら)」と答えた人は32.3%。

さらに居住年数別に見ると、

「5年以上10年未満」の人では45.9%
と、最も高くなっています。

出典:積水ハウス株式会社「インテリアに関する調査(2024年)」


この結果を見ると、
住み始めて5〜10年くらいは、

「少し雰囲気を変えたい」
「今のインテリアにちょっと飽きてきた」

と感じる人が増える、ひとつの節目なのかもしれません。

人にはもともと、
同じものに繰り返し触れているうちに、

最初に感じた新鮮さや喜びが少しずつ薄れていく傾向があります。

心理学では、こうした現象を「快楽順応」と呼びます。

新しい家。
新しいソファ。
お気に入りのカーテン。

最初は、
「素敵!」
と思っていたものも、

毎日見ているうちに、それが少しずつ「当たり前」になっていきます。

つまり、
一度つくったインテリアに、一生まったく飽きないことを目指すのは、少し無理があるのかもしれません。

大切なのは、
飽きないことではなく、飽きても簡単に変化をつけられること。

私は、そう考えています。


大きなものは、簡単には変えられません


インテリアには、
簡単に変えられるものと、
そうでないものがあります。

たとえば、

床材。
建具。
キッチン。
造作家具。
ダイニングテーブル。
ソファ。

こうした大きなものは、
一度選ぶと、そう簡単には変えられません。

費用もかかりますし、
処分するにも手間がかかります。

だからこそ、
大きなものほど、
ベーシックで、長く付き合えるもの
を選ぶことをおすすめします。

ここでいう「ベーシック」は、
何の特徴もないもの、
という意味ではありません。

⭕️形がきれい。
⭕️素材が好き。
⭕️座り心地がいい。
⭕️触ったときに気持ちいい。
⭕️自分が長く付き合いたいと思える。

そんな、
流行とは別のところにある「好き」
を選ぶということです。

ベーシックな色と素材でまとめた、長く楽しめるインテリア例



「一生もの」の考え方を少し取り入れてみる


家具には、

手入れをしながら何十年も使えるものがあります。

海外では、
お気に入りの椅子を
最初から揃えるのではなく、
毎年、一脚ずつ買い足したり、

親から子へ家具を受け継いだりする文化もあります。

もちろん、
住まいの広さや暮らし方など、日本とは事情が違います。

それでも、
家具を
「とりあえず買って、飽きたら買い替えるもの」
として考えるのではなく、

長く付き合うものとして選ぶ

という考え方は、取り入れてもよいのではないでしょうか。

環境の面から考えても、
買って、捨てて、また買う。
ということを繰り返すより、

気に入ったものを手入れしながら長く使う。
その方が、暮らしにも環境にもやさしく、長い目で見れば経済的な場合もあります。

ただし、
ここで私がお伝えしたいのは、

「高級な家具を買いましょう」

ということではありません。

また、
「一度買った家具を、一生同じ状態で使い続けましょう」
ということでもありません。

むしろ、
ベースとなる家具は長く使いながら、インテリアは柔軟に変えていく。

それが今回、一番お伝えしたいことです。


季節感や流行は「変えやすいもの」で楽しむ

インテリアも、ファッションと少し似ています。

ベーシックなコートやジャケットは長く着られても、合わせるバッグやストール、アクセサリーは、そのときの気分や季節で変えたくなるものです。

住まいも同じです。

大きな家具は長く付き合えるものを選び、季節感や流行は「変えやすいもの」で楽しむ。

たとえば、

クッション。
ソファカバー。
カーテン。
ラグ。
アート。
花やグリーン。
小物。

こうしたものは、
家具そのものを買い替えるより、
ずっと手軽に変えられます。

たとえば、

🌸春なら若葉色や淡い色のクッション。

🌻夏なら麻や綿など、涼しげな素材。

🍁秋になったら少し深みのある色。

⛄️冬にはウールや厚手のファブリック。

ベースはそのまま。小物を変えて、季節ごとのインテリアを楽しむ。


それだけでも、
部屋の印象はかなり変わります。

家具は同じなのに、
季節ごとに違った雰囲気を楽しむことができます。


色は「面積」で考える


インテリアを考えるとき、

私は「色の面積」も大切だと思っています。

床。
壁。
大きな家具。

こうした大きな面積を占めるものに、

強い色や流行色をたくさん使ってしまうと、

あとから雰囲気を変えるのが難しくなります。

反対に、
床や大きな家具を比較的ベーシックカラーにしておけば、

クッションやカーテンなどの色を変えるだけで、
部屋全体の印象を変えることができます。

たとえば、
同じグレーのソファでも、
ブルーのクッションを合わせれば爽やかに。

ベージュやブラウンを合わせれば落ち着いた雰囲気に。

赤やオレンジを少し入れれば、温かみのある空間になります。

つまり、
色を楽しむなら、変えやすい場所で。

これも、
長く飽きずに暮らすためのコツです。


流行を取り入れることが悪いわけではありません


私は、
流行を取り入れること自体が悪いとは思いません。

むしろ、

インテリアを楽しむうえでは、
その時代の気分を取り入れることも大切です。

ただ、
流行を取り入れる場所を選ぶこと。

たとえば、
流行色を床やキッチンに大胆に取り入れるのと、

クッションや小物に取り入れるのとでは、

数年後の変えやすさがまったく違います。

流行は、
「交換しやすいところ」に取り入れる。


そうしておけば、

暮らし方や年齢とともに好みが変わっても、ベースとなる家具がシンプルなら、

小物を変えるだけでインテリアを楽しみ続けられます。


「飽きない家」ではなく、「変えながら楽しめる家」


家は、

10年、20年〜と暮らし続ける場所です。

その間に、

自分の好みも、
家族構成も、
生活スタイルも変わります。

だから、
完成した瞬間のインテリアを、
ずっとそのまま保とうとしなくてもいい。

むしろ、
ベースを整えておいて、その時々の暮らしに合わせて少しずつ変えていく。

その方が自然なのだと思います。

大きな家具は、

長く付き合えるベーシックなものを。

季節感や流行、自分のその時の気分は、

クッションやカーテン、ラグ、小物などで楽しむ。


そうすれば、

家具を次々に買い替えなくても、
部屋の雰囲気を新しくすることができます。

「絶対に飽きないインテリア」をつくるのではなく、

飽きたときに、少し変えて、また好きになれるインテリア。

私は、
そんな住まいの方が、
長く心地よく暮らせるのではないかと思っています。

そして、

「とりあえず買う。飽きたら捨てる。」

という家具の選び方から、
少しずつ卒業していけたら。

それは、

暮らしにとっても、
環境にとっても、

きっと良いことなのではないでしょうか。

* * *

このブログが、リノベで後悔しないためのヒントとして、少しでも参考になれば嬉しいです。

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関 美和|一級建築士
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