十字屋敷のピエロ/東野圭吾【読書記録】語り手は“ピエロ”? 東野圭吾が描く人間ドラマと謎解き

東野圭吾さんの『十字屋敷のピエロ』。
新装版の発売をきっかけに、未読だったこの作品を手に取りました。
ドラマのように動き出す登場人物たち、不気味なピエロの語り、そして静かに胸に残る余韻。
ミステリの面白さと人間ドラマの両方を味わえる一冊でした。
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新装版が出たタイミングで、ようやく出会えた一冊
『十字屋敷のピエロ』を読もうと思ったのは、新装版が出版されたという情報を知ったからでした。
東野圭吾さんの作品は好きで、代表作の『白夜行』や『容疑者Xの献身』は映像化も含めてとても印象に残っています。
けれど、この作品はまだ読んでいなかったので、「この機会に」と手に取ってみたのです。
そして読み始めてすぐに、まるでドラマの幕が上がったように物語に引き込まれていきました。
ピエロが語る事件――静かな異色ミステリ
この物語では、意外にも探偵役がなかなか登場しません。
その代わり、登場人物たちの推測や、警察からの断片的な情報が少しずつ事件の輪郭を明らかにしていきます。
中でも印象的だったのが、ピエロの人形の視点から語られる章です。
感情を持たないはずのピエロが、事件当日の様子を静かに語る構成が、とても不気味で魅力的でした。
彼の“目”を通して見えてくる真実には、どこか冷たくて、でもだからこそ余計に心に残るものがありました。
読み終えて残った、静かな寂しさ
もちろんミステリとしてのトリックや動機、構成もよく練られていて、最後にはすべてが綺麗にまとまります。
けれど、読み終えたあとの印象は「すっきりした」よりも「すこし寂しい」気持ちのほうが大きかったかもしれません。
登場人物たちの心の動きや、複雑に絡み合う人間関係が丁寧に描かれていて、
単なる謎解きだけではない、深みのある作品だと感じました。
個人的には、ミステリは「読者への挑戦状」のように謎解きを楽しめるものが好みです。
「普通じゃないのよ、この家は」十字屋敷の主人・頼子がバルコニーから転落死して四十九日。一族が法要に集った夜、次の主と秘書が刺殺された。外部犯か、あるいは一族の犯行か。すべてを見ていた一体のピエロ人形は、あなたに語りかけてくるー。東野圭吾が仕掛ける精緻にしてフェアな謎解きミステリー。
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