四角形の歴史/赤瀬川原平【読書記録】 ✳︎ 四角から広がる、世界の見え方

日々の生活の中で、私たちは気づかないうちに「四角」に囲まれて暮らしています。
窓、スマホ、看板、ノート…ふと目をやれば、そこにもここにも四角。
でも、それが「なぜ四角いのか?」と立ち止まって考えたこと、ありますか?
赤瀬川原平さんの『四角形の歴史』は、そんな当たり前に潜む「かたちの不思議」を、ユーモアたっぷりに教えてくれる一冊です。

ものを見る「目」が変わる本
物事をよく考える人の頭のなかは、とっても忙しい。
「なぜ?」「どうして?」「本当にそうなの?」と、次から次へと疑問が湧いてきます。
赤瀬川さんもまさにそのタイプ。
この本では、「四角いもの」から始まり、どんどん思考の旅が広がっていきます。
四角い画面と、風景のはじまり
たとえば──
なぜ人は風景画を描き始めたのか?
それまでは人物や建物、できごとなど、輪郭のはっきりした「物件」が主役だった。
でも、あるとき四角い画面の中に、余白が見えるようになった。
そして風景が生まれた。
…なんて話が出てくると、なるほど!と思うと同時に、「じゃあその四角い画面ってどこから来たの?」と、さらに考えたくなってしまう。
四角は便利で、整っていて、情報を収めやすい。
でもその「便利さ」の奥には、文化や感覚の変化があって、私たちはそれを知らないまま受け入れているのかもしれません。
哲学だけど、気負わず読める
この本は、そうした「なぜ?」を押しつけがましくなく、ふわっと投げかけてくれます。
しかも文章が軽やかで、読んでいて疲れない。
哲学的なテーマを扱っているのに、読み心地は散歩のように心地よいんです。
赤瀬川さんの文章には、ちょっとしたユーモアや抜け感があって、読者の思考をやさしくほどいてくれる感じがします。
読んだあと、世界がちょっと違って見える
本を読み終えたあと、街を歩きながら、つい四角いものを探してしまいました。
電車の窓、広告の枠、マンホールのふた(これは丸だった!)…
日常の中にある「かたち」に目を向けると、世界がちょっとだけ違って見えてくる。
そんな感覚をくれた本でした。
赤瀬川原平さんのやわらかな観察眼と、遊び心に満ちた思考のリズムが、心にじんわり残ります。
「考えるって、楽しいな」と思わせてくれる、とてもすてきな一冊でした。
人間はなぜ風景画を描くのか?四角い画面。四角いファインダー。その四角形はどこからやってきたのだろう?壮大で美しい、文明のはじまり物語。


