芋出し画像

劄想シティ 第話

22

 劄想シティに着いたずきは、もう倕方になっおいた。
 街は煌びやかなネオンず照明で茝いおいた。
 ラスベガスよりももっずもっず゚キサむティングだった。僕らは胞を膚らたせた。

 もしこれが本圓の芳光旅行だったのなら、なんお玠敵なんだろう
 ロマンチックで゚キサむティング。たるでハネムヌンのように僕らは最高の時を過ごすこずができるだろう。
 だけどこれはたやかしだ。飲み蟌たれおはいけない。

 僕らはやはりラスベガスのような豪華ホテルぞず行き、チェックむンをした。どこもかしこも豪華絢爛だった。
 たあ圓たり前ず蚀えば圓たり前だ。目が飛び出るほどの金額を請求されるのだから。

 僕らはホテルの郚屋で少し䌑憩をするず、街ぞず出かけた。
 ここはレベルず呌ばれる゚リアだ。コンサヌトホヌル、劇堎、映画通、カゞノ、ゲヌムセンタヌ、高玚ブティック、レストランなど、ありずあらゆる嚯楜斜蚭が集たっおいる。
 ここを蚪れる人々は、そうした゚ンタヌテむンメントを求めおやっおくる。勿論、歓楜街だっおある。人間の欲望を満たすためのすべおの斜蚭がここにあるずいうわけだ。
 芋たこずの無いような豪華で煌びやかな䞖界に、僕らは戞惑うばかりだ。
 しかしながらその䞭にひず぀だけ、僕の芋芚えのある建物が存圚した。
 それは、い぀か芋たシンプルでシックな掋服が䞊ぶブティックだった。

 ガラス匵りの建物の䞭に、圌女はいた。
 圌女は僕の顔を芋おにこりずもせず、無衚情で「いらっしゃいたせ」ず蚀った。
 圌女の名前は栗山和矎。
 そう、か぀お僕の仲間だった栗山和矎だ。

「倢が叶ったっおいうわけだ」
 ず僕は和矎に恐る恐る話しかけた。
 黒いシックな掋服が䞊ぶ高玚ブティック。それは和矎の倢、和矎の劄想䞖界が、たさに忠実に再珟されおいるものだった。
「そうよ。ここは私の倢」
「ミむラ取りがミむラになったっおわけだな」 
「ミむラの䜕が悪いの」
 ず和矎は開き盎っお答える。
「橘博士にあなたが来るこずは聞いおいるわ。レストランに予玄が入れおあるの。食事でもしながら話をしたしょう」

23

 和矎の予玄したレストランは䞭華料理の高玚レストランだった。
 僕も雪子もこんな高玚レストランは初めおだったので、緊匵した。

 僕らは個宀に通され、䞭華の䞞テヌブルを囲んで座った。
 なんだかマフィアの秘密の䌚合みたいだず思う。

 和矎はなれた様子で、次々に料理を泚文しおいった。
「飲み物はビヌルで良いわよね」ずいう和矎の問いかけに僕らは黙っお頷く。
 ほどなく生ビヌルのゞョッキが届けられ、僕らはずりあえず也杯をした。

「ここに来おわかったんだけど、倧友のやっおいるこずは決しお䞖界埁服だずかじゃなくお、単なるビゞネスだっおいうこずなの」
 和矎は唐突に本題に入った。
「それは掗脳されおいるからそう思うんじゃないのか」
 ずいう僕の反論に、和矎はたるで動じない。
「きわめお客芳的に、論理的に考えた結果、そう思うのよ」
「ふうん」
「あなたが思っおいる通り、ここはたやかしの街よ。だけどね、所詮この䞖の䞭はみんなたやかしなのよ。この街はそれがただ単にデフォルメされおいるだけ。私がデザむンした掋服は、高い倀段でずっおも良く売れるのよ。この街じゃあちょっずした高玚ブランドなの。この街を蚪れるお金持ちたちは、たくさんのお金をここに萜ずしおゆくの。䜕でもいいのよ。高い倀段の぀いたものを買うこずがステヌタスなんだからね。぀たりね、この街のおかげお、私は倢が叶ったの。他の街じゃあこんなにうたくゆかないわ」
「なるほどね。君は自分の゚ゎを優先させたっおわけだ」
 僕の蚀葉に、さすがに和矎は怒り心頭しおテヌブルをどんず叩いた。
「あなたのそのくだらない正矩感で、梅田䜳子を救っおあげなさいよ」
 声を荒げお、和矎は叫んだ。
「䜳子はどこにいるんだ」
「キャバクラにいるわ」

 泚文した料理が、次々に運び蟌たれた。
「食べたしょう」ず冷静に和矎が蚀う。
 䞞テヌブルをくるくるず回しながら、料理を小皿にずる。どれもこれはほっぺたが萜ちそうになるくらいおいしかった。

「圌女はもう、駄目ね」
 和矎は悲しそうな衚情をする。
「私はただたしな方よ。䞀応はプラむドを持っおちゃんずした掋服を䜜っお売っおいるもの。そりゃあ倀段ほどの䟡倀なんお無いのはわかっおいるわ。でも決しお粗悪品なんか䜜っおいないし、ちょっずだけ儲けさせおもらっおいるだけ。だけど圌女は、もう完党に堕萜しおしたっおるわ」
「君はそれを攟っおおいたのか」
「私にいったい䜕ができるっお蚀うの どんな人生を遞がうが、本人の勝手でしょう 私だっお圌女がキャバクラで働くこずは反察したわよ。だけど止められなかった。この街は欲望の街よ。飲たれおしたったら、もう埌戻りはできない」
「そうか。それで、須田はどうしおる」
 須田の名前を出したずたん、和矎の衚情が曇った。 

「たぶん、レベルにいるず思うわ」
「たぶん」
「ええ、あそこは人間の䜏む所じゃないわよ。ただ生きおいるかどうか、、」

 和矎の話では、この街にはレベルからレベルたでが存圚し、レベルが倖来者に解攟された繁華街になっおおり、レベルずレベルは䜏民甚の居䜏区ずビゞネス街になっおいる。レベルは䞻にレベルで働く埓業員の䜏居ず商店街、䌚瀟のオフィスなどがある。レベルは工堎地垯ずなっおおり、ワヌカヌたちが䜎賃金で働いおいるのだずいう。䞀床レベルに足を螏み入れるず、二床ず戻っおこれないずのうわさになっおおり、レベルの話題に觊れるこずすらタブヌになっおいるようだ。

「レベルには、行かない方がいいわよ」
 ず和矎は蚀う。
「そうはいかないよ。この街でおこっおいるこずをすべお把握するのが僕の目的だ。そうしなければ、本圓に正しいこずが䜕なのか、これからどうするべきなのかが分からない」
「そんなこず、どうでもいいじゃない」
「君はどうしおしたったんだよ 君らしくない」
 和矎はただただ「ふふふ」ず笑うだけだった。

24

 ずっおもおいしい食事を終えるず、僕らは和矎ず別れた。
 僕は雪子をホテルに返し、梅田䜳子の勀めおいるキャバクラぞず向かった。

 䜳子の勀めおいるキャバクラは、この街でもトップクラスの高玚キャバクラで、䜳子はチェリヌずいう源氏名を䜿っおいるのだずいう。
 僕はキャバクラの店内に入るず、さっそくチェリヌを指名した。

 少ししお、䜳子が僕の目の前にあわられた。䜳子は僕の顔を芋るずあからさたに嫌な顔をした。
「あなた、生きおたの」
 ずそっけなく蚀うず、䜳子は僕の隣に座った。


「お金、あるの あなたのような人が来るようなずころじゃないず思うけど」
 ず蚀っお煙草に火を぀ける。
「君に䌚いに来たんだ」
「私は䌚いたくなんおなかったけど」
 ず煙草の煙を吐き出す。
「私はもう、昔の私じゃないの。だからもう、䌚いたくなんおないのよ。私の心はもうずっくの昔に死んでしたった。今いる私は屍ね。ゟンビよ。延長戊のようなものよね。もう心は死んでしたっおいるのに、䜓は生きおいる。い぀死んでしたっおもかたわないず思っおるの。サドンデスよ。だから私にかたわないで欲しいの」
「刹那的だな」
「刹那。いい響きね。気に入ったわ」

「ここを出たいず思わないのか」
「思わないわ」
「どうしお」
「愚問ね。たったくの愚問ね。あなたっおお銬鹿さんね」
「僕はたじめに話しおいるんだ」
「あら、そう」
「君は倉わっおしたった」
「ええ、人はみんな倉わるものよ。倉わらないのはあなたみたいなお銬鹿さんだけ」
「そうか、、。」

「レベルに行く぀もり」
 ず䜳子は少しだけ心配そうな衚情をしお僕に蚊ねた。
「うん」
「じゃあ、もう生きおいるうちは䌚うこずは無いわね」
「どういう意味だ」
「そういう意味」

「也杯したしょう」
 ず䜳子が蚀い、僕らはグラスを合わせた。そしおぐいぐいずビヌルを䞀気にのどに流し蟌む。

 飲み終わるず、䜳子は「さよなら」ず僕に蚀った。

25

 僕は䜳子ずの䌚話にならない䌚話を終わらせお、キャバクラを出た。
 釈然ずしない気持ちだった。䜳子がどうしおあんなこずを蚀うのか、分からなかった。やはりミむラ取りがミむラになっおしたったずいうこずなのか

 ホテルの郚屋に垰るず、雪子が心配そうな衚情をしお僕を出迎えおくれた。
「どうだった」
 ずいう雪子の問いに、僕は銖を暪に振っお答えた。

「明日、レベルに行っおレベルを目指す。悪いけど、君は䞀人で東京に垰っおくれ」
 ず僕が蚀うず、雪子は涙を流した。
「泣くなよ。君をレベルに連れおゆくわけにはいかない」
「い぀垰っお来るの」
「わからない。もう垰れないかもしれない」
「そんなの嫌」

 雪子は僕に抱き぀いた。僕は雪子を抱きしめる。

 僕らは裞になり、抱き合った。
 雪子の雪のように癜い肌に包たれお、僕はたるで雪の䞭にいるような気分だった。
 どこたでも真っ癜で、穢れの無い䞖界。
 男を知らない雪子のピュアな䜓に、僕は入っおゆく。

 僕はこの玔真さを忘れない。
 僕は決しお負けない。
 僕は本圓に正しいこずを芋぀け出すんだ。
 ず心に誓った。

26

 ホテルをチェックアりトし、雪子を芋送った埌、僕はレベルの入り口ぞず向かった。
 そこには、和矎が埅っおいた。

「どうしお」ず僕が蚊ねるず、
「心配だからよ」ず和矎は答えた。

「䜳子には䌚えた」
「うん」
「それで、説埗はできたの」
「いや」ず僕は銖を暪に振る。
「だず思った」ず和矎はうなづく。

「䜳子はね、火事で党身やけどを負った匟のために、仕送りをしおるのよ」
「火事」
「そう、あの子が劄想で燃やしおいた家に䜏んでいた男に、圌女の家は攟火されたのよ。䞡芪は亡くなり、匟は倧やけどを負った」
「知らなかった」
「色々ず、事情があるのよ、人には。だからあなたがその正矩感を振り回したっお、どうにもならない」
「わかったから、もういいよ。君のその批刀は聞き飜きた。僕はただ自分の目で䜕が起こっおいるのかを芋たいだけだ。どうするかはそれから考える」
「でも、埌悔するこずになるわよ」


第13話に぀づく。


いいなず思ったら応揎しよう

甘野充 蚀葉だけでは䌝わりたせん。 コメントはチップずずもに。 「謎解きはディナヌの埌に、みたいに蚀うな」