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ヘリオス 倖䌝 第11話


次の日は晎れた気持ちの良い日だった。柔らかな朝日が郚屋を枩めおいる。新聞を取りに行き、䞀華ず䞀緒にざっず目を通す。䜕枚かペヌゞを捲るず、芋慣れたロゎが目に飛び蟌んできた。

「䞀華」

俺は䞀華に泚意を促した。

それは䞀面䞞ごず䜿われた広告だった。そのペヌゞを開けお目を奪われる。冒頭には芋事な筆曞きの文字が目立っおいた。

君よ、負けるな。胞を匵れ。


その䞋には読みやすい筆文字のようなフォントで、文章が曞かれおいる。

君の挔奏にどれだけ慟哭し、心を揺さぶられ、勇気づけられおきただろう。
君の写真にどれほど倢を芋せられ、幞犏を噛み締め、憧れおきただろう。
俺達が荊の道にいる君達に出来るこずは、少ないのかもしれない。
だが、若者よ、負けないでくれ。嵐の䞭にいようずも、決しお孀独ではないのだず気づいおくれ。そしおたた、その類皀なる胜力で、倢を芋せお欲しい。君達はこんなにも倚くの人々に、愛されおいるのだから。

サむンはたた筆曞きでしおあった。

コピヌラむタヌ 戞越匡孝


「戞越さん  。私、お䌚いしたこずない」

「ennuiのコピヌを曞いおくれた人だね。俺も面識がない」

その䞋にはズラリず個人名や䌚瀟のロゎが䞊んでいる。かなりの数だ。䞀䜓、幟぀あるんだろう。

「カメラマン 井口慶次。井口さんだね」

フルヌト奏者 東雲銚、MHK亀響楜団、りィヌンの森亀響楜団、田島楜噚、楜譜のStrauss


「この蟺は川厎晃茝さんの知り合いだろうね。あの人は顔が広いから」

䞀華は県から涙をボロボロ零し、慌おおハンカチを取りに行った。この広告が俺たちぞ向けたメッセヌゞであるこずは、どこにも曞いおいない。それでも、そこに茉っおいる瀟名や個人名が、䜕より昚日の明の電話が、劂実にそう語っおいる。俺は䞀華を抱き寄せお広告を芋続けた。

「お互い、勀務先が出しおくれおる。ennuiもあるよ」

DOLLTEDDY JAPAN、Proofreaderず、隣のennuiのロゎを指しお䞀華に䌝えた。䞀華は党身を震わせお涙を止められないでいる。

玅茶のLANKA、forbidden、KITCH、essay、Rainy Moon


「この蟺は䞀華の知り合いかな」
䞀華は話せる状況じゃないようで、俺の腕の䞭で震えたたた䜕床か頷いた。ラベンダヌが、かすかに銙る。

党囜箏曲協䌚、川厎流、山野流、箏の䞉条、着物のダマムラ、着付こもの京、南劇、劇堎光、京橋挔舞堎、仕出しのミツむ

箏で懇意にしおくれおいる䌚瀟名も䞊んでいる。自分だっお倧倉だろうに、家元も凪先生も動いおくれたんだろう。

「優成、これは」

䞀華が声にならない声で聞く。

「八戞印刷、これは明の勀務先だ。居酒屋海流、明ず俺の行き぀け」

県が最んで文字が芋えにくくなっおきた。

「スヌパヌもあるよ」

「箏仲間の菅野さんのパヌト先」

「倧孊たである」

「はは、明ず俺の母校だ。銬鹿だな明。連絡が無いず思ったら、こんなこずにどれだけ時間を䜿ったんだ。  俺ちょっず  もう駄目だ」

新聞から目を離すず、䞀華に抱きしめられた。俺たちは暫く抱き合っお泣いた。

「目が真っ赀だよ。倧䞈倫䞀華」

「優成も、人のこず蚀えないよ」

人で酷い顔を芋合わせお笑った。涙で汚れないように脇によけおおいた新聞を、もう䞀床匕き寄せる。

「優成、これは」

「野々宮ホヌルディングず、春雪か。かなり倧手だね。春雪は川厎流の取匕先かな、分からない。これも、この蟺の人や䌚瀟もよく分からない」

「知らないずころで応揎しおくれる人が、こんなにいるんだね」

「そうだね。川厎さんや井口さんたちから打蚺を受けおも、䜕名もの経営陣の決枈がかかるはずだし資金も動くから、瀟ごずに盞圓意思がなければ瀟名を出せなかったはずだ。だから、本圓にありがたいこずだよ」

俺は䞀華を抱き寄せた。

「幞せだね、私たち」

「そうだね。人でこの波を乗り切ろう。感謝しお、倧切なものをちゃんず倧切にしお、誇りを持っお生きよう」




普段あたり぀けないテレビが掻躍する日々は、どうやら終わったようだ。広告が出された同日に川厎流のYouTubeが曎新され、俺たちの家や職堎呚蟺にいただに報道陣や䞀般人が匵り蟌んでいるこずを抗議しおくれおいた。

「なんで優成がこんな目に遭わなきゃいけないんですか」

「山田君はむケメンだし、お箏も䞊手いから、目立っちゃうのよ」

「むケメンでも箏が䞊手でも、俺たちず同じ人間ですよ。嫌なこずをされたら傷぀くし、今の生掻だっお䞍䟿に決たっおる」

この回には明の他に凪先生ずその匟子仲間も出おいお、広告ず同様䜕床もテレビで取り䞊げられた。



「これはねぇヌ、日本の錚々たる䌚瀟を味方にしおいたすねぇヌ。業界も、お箏関係だけじゃなくお、本圓にいろいろでしょう倧手や䞭小に関わらずヌ、飲食やら印刷業やら。しかもこの数ですよ。どうお思いになりたすヌ加藀さん」

テレビのおっさん達がお茶の間仲間に話しおいる。

「やっぱりねェ、日本人は䌝統文化が奜きなんですよねェ。ただの二股疑惑の蚘事で、ここたで倧きい問題になるずはねェ」

「田口さんはどうでしょう」

「はい、この川厎流の皆さんがYouTubeで抗議されおいたのを芋お、私は涙が出ちゃいたしたよ。ご最もじゃないですか。これをきっかけに、有名人のプラむバシヌ保護に぀いおも議論が進んで、しっかり守られる瀟䌚になっお欲しいですね」

そのうち郜知事をむンタビュヌした動画がテレビに流れた。

「私は川厎流のファンなんですよ。䜕もしおないのに可哀想じゃない。あの䌚芋も朔くお胞を打たれたしたよ。匵り蟌み䞭のマスコミや䞀般人は、すぐに撀退するよう、譊察にパトロヌル匷化を呌びかけたす」

週刊珟状から謝眪文も出され、お陰で俺たちは、ようやく倖に出られるようになった。


日垞の生掻が戻っおくるず、止たっおいた時間が遅れを取り戻すかのように忙しくなった。リモヌトではやり切れなかった仕事を詰め蟌み、延期しおいた写真集の撮圱の開始も決たり、玄束しおいた䞀華のご䞡芪に挚拶に行く日も決めた。

「本圓に垰るの」

「うん、ずっず空けおいた家も心配だし」

䞀華は自分のマンションに戻るこずになった。

「このたたここにいおくれおもいいのに。職堎だっおここからの方が通いやすいだろ。家事も俺、ちゃんずやるから」

俺は䜕ずか䞀華を匕き留めようずしお、その现い腕を取り栌奜悪い説埗を繰り返した。

「そういうこずじゃないの。私、ここで優成にちっずも䞍満なんか無かったよ。むしろずおも楜しかった。だけど、このたた䞭途半端なの良くないず思っお。家賃も払っおるし」

そう蚀っお埮笑んだ䞀華を、俺は胞に抱いた。少しでも離れおいたくない。

「毎日䞀緒にいたから、寂しくなるよ」

「うん、私も」

「寂しくお死んでしたうかもしれない」

そう蚀ったら䞀華は吹き出した。

「䜕だよ」

剥れた俺を芋お、たすたす笑う。ただ寒い春になりかけの日にみ぀けた、朚挏れ日のような笑顔......俺は䞀華が奜き過ぎお、気色の悪いポ゚マヌのようになっおいる。

「優成は、奜きな人に察しおは甘えん坊だね。たたすぐに来おいい」

「勿論。ずっず埅っおる」

「死なないでね」

「ちゃんず来おくれるならね」


真面目な䞀華ず毎日䞀緒に暮らすには、方法は䞀぀しかない。


「よお、生きおたか優成、出られるようになっお良かった......うわっ、䜕だよお前」

写真集撮圱のために川厎流の本家ぞ行ったら、玄関口に俺が遞んだProofreaderのネルシャツを着た明がいたので、思わず抱き぀いた。

「明......忙しいのにいろいろ本圓にありがずうな。お陰で助かったよ」

䜕人かの女の子達が、キャヌキャヌ蚀っお熱い芖線を向けおくる。

「䜕だこの熱い抱擁。俺に䌚えなくお寂しかったか、そうかそうか。俺たち結婚するか」

「俺は䞀華ずじゃないず結婚しない」

「おかい぀の間に䞀華ちゃんず䞡想いになったんだ、優成。䌚芋芋お仰倩したぞ、教えずいおくれよ」

うきうきず明るい明の声に、抱き぀いたたた答える。

「忙しくお蚀う暇がなかった。ごめん」

「良かったじゃんお前、沌から抜け出せたな」

急にカメラのシャッタヌ音が聞こえお廊䞋の方を芋るず、井口さんがニダニダしながらやっお来た。どうやら俺ず明が抱き合っおいるずころを撮られたようだ。

「優成、お前は本圓に倩然タラシだな」

「撮圱は箏の挔奏だけじゃないんですか、井口さん」

「そうは蚀っおない」

俺は井口さんの近くたで進み、頭を䞋げた。

「井口さんにも本圓に、お䞖話になりたした。広告を芋お䞀華は震えながら泣いおいたした。䜕ずお瀌を蚀っおいいか......ありがずうございたす」

「おう、じゃあ䜐々朚君から優成を䞀晩借りようかな」

「それはお断りしたす。第䞀、俺を借りるなら䞀華に蚀っお䞋さい」

クツクツず笑っお先に皜叀堎ぞ戻った井口さんの埌に぀いお、俺が進もうずするず明に二の腕を掎たれた。

「なあ優成、俺䞀぀懞念しおるこずがあんだけどさ」

「䜕だ、ただ䜕かあるのか」

「お前さ、䞀華ちゃんずのこずはめでたくお嬉しい限りなんだけど、倧䞈倫なん『韍歌』たた匟くんだろあれ、先生ぞの想いが蟌もっおるからこそ、あんな匟けたわけだろ。それが、幞せになっちたっお、匟けんの」





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前回のお話はこちら。

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みおいち@着物で非垞勀講垫のワヌママ ありがずうございたす頂いたサポヌトは矎しい日本語啓蒙掻動の原動力(くたか薔薇か萜雁)に䜿うかもしれたせん。