【第6回】軽い紙がお金に大変身!「紙幣」誕生のドラマと商人たちの知恵
Youtube動画: https://youtu.be/yB4qbCDTO2o
アリス:「ウサギ先輩、こんにちは!前回はキラキラ光る金貨や銀貨のお話、とっても面白かったです!でも、あんなに重たいコインをたくさん持ち歩くのって、やっぱり大変じゃなかったんですか?」
ウサギ先輩:「やあ、アリスちゃん!今日も元気いっぱいだね。ふむ、良いところに気がついたね。まさにその通り!ジャラジャラ重たいコインは、商人たちにとって大きな悩みのタネだったんだ。そこで彼らの知恵と工夫から、まるで魔法のように軽い紙がお金に大変身するドラマが始まるのさ!今日はそのエキサイティングな物語を紐解いていこうじゃないか!」
アリス:「わぁ、紙がお金に!?なんだか不思議です!ぜひ教えてください、ウサギ先輩!」
ウサギ先輩:「よーし、任せなさい!このウサギ先輩にかかれば、どんな複雑な歴史も、アリスちゃんにだって分かりやすく解説してみせるさ!さあ、時間旅行に出発だ!」
重たいコインはもうイヤ!商人たちの悩みから生まれたアイデア
ウサギ先輩:「さてアリスちゃん、想像してみてごらん。君が大きな取引をする商人だとしたら、たくさんの金貨や銀貨をどうやって運ぶかな?」
アリス:「うーん、袋に入れて…うーん、やっぱり重そうです。それに、泥棒も心配です…。」
ウサギ先輩:「その通り!まさにそれが当時の商人たちが抱えていた大きな問題だったんだ。」
金貨じゃらじゃら、腰が痛いよアリスちゃん!~金属貨幣の限界~
ウサギ先輩:「前回話したように、金貨や銀貨は価値が安定していて、分割しやすいというメリットがあった。でもね、大きな取引になればなるほど、その量は膨大になる。考えてもみてごらん、馬車に山積みの金貨を運ぶなんて、それだけで大変な労力だし、盗賊に狙われる危険も高まるだろう?」
アリス:「確かに…!お店でたくさんのお客さんがコインで支払ったら、レジもパンクしちゃいそうです。」
ウサギ先輩:「そうだね。それに、コインの種類が違ったり、摩耗して価値が分かりにくかったり、両替の手間も馬鹿にならなかった。遠くの町と取引する時なんて、もう大変!輸送コストもかかるし、時間が経てば相場が変わってしまうリスクもあったんだ。」
アリス:「うわぁ、商人さんたち、本当に苦労していたんですね…。」
ウサギ先輩:「そこでだ!『もっと軽くて、安全で、便利な支払い方法はないものか?』と商人たちは頭をひねったわけさ。必要は発明の母、とはよく言ったものだね。」
「代わりに預かりますよ」~両替商の誕生と預かり証~
ウサギ先輩:「そんな悩みを抱える商人たちの間で、まず登場したのが両替商という存在だ。彼らは、様々な種類のコインを鑑定したり、異なる地域の通貨を交換したりする専門家だったんだ。」
アリス:「お金の専門家、みたいな感じですか?」
ウサギ先輩:「そうだね。そして、彼らの中には、商人たちから金貨や銀貨を預かるサービスを始める者が出てきた。頑丈な金庫を持っていたからね。そして、預かった証拠として『預かり証』を発行したんだ。」
アリス:「預かり証?それって、銀行の預金通帳みたいなものですか?」
ウサギ先輩:「おお、アリスちゃん、鋭いね!まさにその原型と言えるかもしれない。この預かり証は、最初は単に『〇〇さんから金貨を何枚預かりました』というメモのようなものだった。でも、次第にこれが便利な使われ方をするようになるんだ。」
アリス:「どんな使われ方ですか?」
ウサギ先輩:「例えば、AさんがBさんに支払いをする時、わざわざ両替商のところへ行って金貨を引き出してBさんに渡し、Bさんがまたそれを両替商に預ける…なんて面倒だろ?」
アリス:「はい、二度手間ですね。」
ウサギ先輩:「そこで、AさんはBさんに、その『預かり証』そのものを渡してしまうんだ。『この預かり証を持っていけば、両替商が金貨を払ってくれるよ』ってね。もしBさんもその両替商を信用していれば、預かり証を受け取るだけで取引が完了する。」
アリス:「あ!それなら重たい金貨を運ばなくてもいいですね!便利!」
ウサギ先輩:「そうなんだ!この『預かり証』が、人々の間でまるでコインのように流通し始める。これが、紙がお金としての役割を果たすようになる、最初のステップの一つだったと言えるだろうね。商人たちの知恵が、少しずつお金の形を変えていくんだ。」
東洋の知恵がキラリ!中国で生まれた「飛ぶお金」
ウサギ先輩:「さて、ヨーロッパで両替商の預かり証が発展していく一方で、実はもっと早くから紙を使った画期的なシステムを生み出していた地域があるんだ。それが、中国さ!」
アリス:「中国ですか!どんなシステムだったんですか?」
ウサギ先輩:「ふふん、このウサギ先輩の知識はワールドワイドだからね!中国では、唐の時代にすでに紙幣の萌芽とも言えるものが登場していたんだよ。」
唐の時代の大発明「飛銭」~遠くへお金を送る魔法~
ウサギ先輩:「唐の時代(7世紀~10世紀初頭)、経済が発展して商業が活発になると、やっぱり重たい銅銭の輸送が問題になった。特に首都長安と地方都市間の取引ではね。そこで考案されたのが『飛銭(ひせん)』と呼ばれる仕組みさ。」
アリス:「飛ぶお金!?本当に空を飛んだんですか?」
ウサギ先輩:「ははは、アリスちゃん、面白い発想だね!残念ながら物理的に飛んだわけじゃないんだ。これは一種の送金手形のようなものだった。例えば、地方の商人が首都で商品を売って得た銅銭を、首都の特定の役所や有力商人に預ける。すると、その商人は預けた銅銭と同額の『飛銭』という手形を受け取るんだ。」
アリス:「手形ですか…。」
ウサギ先輩:「そう。そして、その商人が地元に帰って、指定された地方の役所や商人にその『飛銭』を提示すると、銅銭と交換してもらえた、というわけだ。」
アリス:「なるほど!それなら、重い銅銭を長距離運ばなくても、紙一枚で済むんですね!だから『飛ぶお金』なんですね!」
ウサギ先輩:「ご名答!この『飛銭』は、それ自体が市場で流通する紙幣ではなかったけれど、現金を直接運ばずに価値を移転させるという点で、非常に画期的なアイデアだったんだ。まさに商人たちの知恵の結晶だね。」
宋の時代には本格的な紙幣「交子」が登場!~世界初の紙のお金?~
ウサギ先輩:「そして、唐の次の宋の時代(10世紀~13世紀)になると、いよいよ本格的な紙幣が登場する。それが『交子(こうし)』だ!」
アリス:「こうし…?なんだか可愛い名前ですね!」
ウサギ先輩:「そうだね。この『交子』は、もともと四川地方の商人たちが、重くてかさばる鉄銭の代わりに使い始めた預かり証が発展したものなんだ。最初は民間発行だったんだけど、あまりに便利で広く使われるようになったため、11世紀初頭にはついに政府が発行・管理する正式な紙幣となったんだ。これは、世界で最初の政府発行紙幣と言われることもあるくらい画期的なことだったんだよ。」
アリス:「政府が発行した紙のお金!すごい!どんなものだったんですか?」
ウサギ先輩:「交子は、銅版印刷で作られていて、偽造防止のための複雑な模様や印が施されていたらしい。額面も何種類かあって、有効期限も定められていたというから、かなりしっかりしたシステムだったことがわかるね。」
鉄銭から紙へ~四川の商人たちの苦肉の策~
ウサギ先輩:「アリスちゃん、なぜ四川地方で『交子』のような紙幣が特に発展したか、気になるかい?」
アリス:「はい!何か理由があったんですか?」
ウサギ先輩:「実はね、当時の四川地方では、主に鉄銭が使われていたんだ。銅が不足していたからね。でも、鉄銭は銅銭よりも価値が低くて、同じ金額でも銅銭の何倍もの量が必要になる。つまり、とんでもなく重くてかさばるわけだ!」
アリス:「ええーっ!ただでさえ重いのに、さらに重い鉄のお金だったんですか!それは大変…。」
ウサギ先輩:「そうなんだ。大きな取引をしようものなら、鉄銭を運ぶだけで一苦労。そこで、四川の商人たちは『こんな重いもの、やってられないよ!』と、共同で組合のようなものを作り、鉄銭を預かってその代わりに紙の預かり証を発行し始めた。これが『交子』の始まりさ。まさに、不便さを解消したいという強いニーズが、新しい発明を生んだ良い例だね。」
アリス:「なるほどー!商人さんたちの困りごとが、世界初の紙幣につながったんですね!」
ウサギ先輩:「そういうこと!そして、この『交子』の成功は、その後の元の時代には『交鈔(こうしょう)』というさらに広範囲で使われる紙幣へと発展していくことになるんだ。東洋の知恵、恐るべし、だね!」
ヨーロッパでも紙幣が花開く!金細工師と銀行の活躍
ウサギ先輩:「さて、中国で紙幣が大きな発展を遂げている頃、ヨーロッパではどうだったか見てみようか。こちらでも、商人たちの知恵と、ある特定の職業の人々の活躍によって、紙がお金としての役割を担うようになっていくんだ。」
アリス:「ヨーロッパではどんな人が活躍したんですか?」
ウサギ先輩:「それはね、金細工師(ゴールドスミス)さ!」
アリス:「金細工師さん?ネックレスとか指輪を作る人ですよね?どうしてお金と関係があるんですか?」
ウサギ先輩:「いい質問だね、アリスちゃん。金細工師は、金という貴重な素材を扱うだろ?だから、彼らは必然的に頑丈な金庫を持っていたんだ。金を盗まれたら大変だからね。」
金庫番は金細工師?「金匠手形」が銀行券のルーツ
ウサギ先輩:「裕福な商人や貴族たちは、自分たちの金貨や銀貨を安全に保管するために、この金細工師の金庫を利用するようになった。そして、金細工師は金を預かった証として『金匠手形(ゴールドスミス・ノート)』という預かり証を発行したんだ。」
アリス:「あ!さっきの中国の『交子』の始まりと似ていますね!預かり証!」
ウサギ先輩:「その通り!この『金匠手形』も、最初は特定の個人宛のものだったけど、次第に『この手形を持ってきた人に金を支払います』という形式に変わっていった。こうなると、手形自体が人から人へと渡って、支払いに使われるようになる。これが、ヨーロッパにおける銀行券の原型になったと考えられているんだ。」
アリス:「へえー!金細工師さんが、銀行の始まりみたいな役割をしていたんですね。」
ウサギ先輩:「まさにそうだね。彼らは単に金を保管するだけでなく、お金の流れに深く関わっていくことになるんだ。」
「全部引き出されるわけじゃないし…」こっそり貸し出しちゃえ!~信用創造の始まり~
ウサギ先輩:「ここで、金細工師たちはあることに気づくんだ。『預かっている金貨や銀貨って、みんなが一斉に引き出しに来るわけじゃないよな…?』ってね。」
アリス:「確かに、全員が同じ日に引き出すことはなさそうです。」
ウサギ先輩:「だろ?金庫の中には、常に一定量の金貨が眠っている状態になる。そこで、一部の抜け目のない金細工師は、こう考えた。『この眠っている金の一部を、他の誰かに貸し付けたら、利息を取って儲けられるんじゃないか?』とね。」
アリス:「ええっ!?預かっている人の許可なく貸しちゃって大丈夫なんですか?」
ウサギ先輩:「ふふ、そこがミソなんだ。金細工師は、実際に金を貸すのではなく、『金匠手形』を追加で発行して貸し出すことが多かった。つまり、実際には金庫に100枚の金貨しかないのに、合計で120枚分の『金匠手形』を発行する、といった具合だ。」
アリス:「それって、ちょっとズルいような…。」
ウサギ先輩:「まあ、現代の感覚からすると問題があるかもしれないけど、これが後の『信用創造』という銀行の重要な機能の始まりなんだ。手形を受け取った人は、それが金と交換できると信じているから価値を持つ。金細工師は、人々からの信用を元手にして、実際にある以上の『お金』を生み出していた、とも言えるね。」
アリス:「なんだか、だんだんお金の仕組みが複雑になってきました…!」
ウサギ先輩:「大丈夫、大丈夫!この『信用』というキーワードが、紙幣を理解する上でとっても重要になってくるから、覚えておいてね。」
イングランド銀行設立と本格的な銀行券の発行
ウサギ先輩:「金細工師たちの活動を経て、17世紀末の1694年、イギリスでイングランド銀行が設立される。これは、近代的な中央銀行の先駆けとも言える存在だ。」
アリス:「ついに本格的な銀行が登場したんですね!」
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