お盆が終わり、体重計に置かれる | 8月4週目の日記
8月16日(日)
朝、雨が降りそうな空を見て、これは雑草を取るチャンスだと思った。適度な湿気があるほうが、土が湿り、根がずぽっと抜けやすい。
結局、いくつかは、アスファルトの隙間に這うしつこい根の力強さに握力が負け、中途半端に残ってしまう。両手で掴んでも抜けないので、仕方なく捻り切る。ああ、本当はこうなりたくなかった。完全なるわたしの敗北。
室内に戻り、まもなく雨が降ってきた。この雨が、憎き雑草どもの根をまた、より太く深く成長させるのだ。
シャワーを浴びて、マニキュアを塗り替えた。グリーンフィズという色を塗るが、わたしの赤い手の上では、緑がうまく発色してくれない。
そういえば、昔、叔母がわたしに「窓から、ひょこっと顔と手だけ出してればいい」と言った。友人からは、この手に触れると心地が良いと言われた。だから、この真っ赤な手だけは自信があったんだ。
いまはもう、ありふれた指先に暈けた青緑がぬらり煌めく。
8月17日(月)
「体重が、去年より5kg以上減っているようですが、なにか思い当たることはありますか」
「あ、ダイエットです」
「じゃあ、腹囲もだいぶ細くなっているかもしれませんね」
腹囲は、2cmちょっと減っていたらしい。
なんなら、ここ数ヶ月で3.5kgリバウンドしている。ダイエットだと自己申告するのも、ちょっと恥ずかしかった。
昨日も、雑草を毟ったあとに45分ほどバイクを漕いだ。夕飯のあとも30分した。今日だって、ちゃんと病院までは徒歩で行った。
なのに、睡眠不足が祟って、昨日より体重が1kg増えていた。なにはともあれ、運動より睡眠。健康診断ごときに、一丁前に緊張するな。
11:59 線路端で、ピンクの昼顔が咲いている
12:23 青紫の朝顔が咲いている
21:56 両のふくらはぎが筋肉痛
8月18日(火)
近頃は、甲子園がナイターでやっているらしい。裏番組がプロ野球だったりして、なにをもってプロなのか、わからなくなる。
それより、今日の野球放送のアナウンサーが「ツーアウト派」か、「トゥーアウト派」なのか。「チーム派」か、「ティーム派」なのか。そればかりに耳をそば立てている。応援している学校や球団はない。
応援歌も気になる。紅に染まったり、アタシさくらんぼになったりする。赤ければなんでもいいのか。
なお、本日のアナウンサーは「ツーアウト派」だった模様。だいぶ、「トゥーアウト派」の分が悪くなってきている。がんばれ。
8月19日(水)
スーパーマーケットで鈴虫を見なくなって久しい。
昔、蛍光グリーンの虫籠に入った鈴虫が売られていたことを、覚えている人はいるだろうか。
この時期になると毎年、母が買ってきては、リビングの雨戸を半分だけ閉め、網戸越しに鈴虫の大合唱を、鈴虫が息絶えるまで毎晩聴かせるのだ。あれが、ひどく嫌いだった。
今は、その代用品なのか、食虫植物が売られている。思えば、鈴虫のスーパー撤退と入れ替わるように、食虫植物が乱入してきた気もする。
もちろん、我が母もそれらを買っては、いつの間にか溶かしていた。
ハエトリグサ
モウセンゴケ カペンシス
バイオハザードのプラーガみたいだ。かわいいけれど、わたしも絶対に溶かす自信がある。
食虫植物は、フルーツと切り花に挟まれて、売られている。
8月20日(木)
ついに、カットパイナップルからの卒業を果たした。パイナップルを丸ごと、2つ買ったのだ。
とはいえ、わたしには生来の怠慢さがある。3日ほどバックカウンターにてパイナップルを熟成(放置)し、南国の香りがキッチンに漂っていた。表面の青みはカビなのか、もともとこんな色なのか、区別がつかない。
いよいよ4日目の今日になって、包丁を入れた。一度、覚悟を決めてしまえば、ベタベタなんて気にもならない。口を開き、ぐるっと外側に折り返しておいたフリーザーバッグに、切ったパイナップルを放り込んでいく。
まな板の上に残ったパイナップル汁を舐めてしまうか、一度、二度、悩む。
8月21日(金)
朝9時過ぎの川縁。向こうから、オジサンが歩いてくる。
紺色のノースリーブに、同じような色のショートパンツ。ベージュ色のボディバッグを斜めに体に巻いている。
すれ違うときに、なにか違和感があった。オジサンの胴にかかるベルトがない。上着が捲れ、三角形のベージュが見えた。
思わず振り返ると、今度は背中の半分が、横長の長方形のベージュになった。
「なんだ、露出狂か」
思わず口にした。汗だくのオジサンがこちらを振り返った。
声が大きかったみたい。
8月22日(土)
ショクダイオオコンニャクの花が咲いたと聞きつけて、植物園へ行く。券売機でチケットを買い、建物に入ると、おばあさんがベンチでぐったり伸びている。じいさんがタオルで扇いだり、水を飲ませたりと甲斐甲斐しい。
思ったより、園内に人は少ない。
肝心のショクダイオオコンニャクの花は、真ん中の部分がだらりと垂れていた。猛々しい勇者に倒されしモンスターが、舌を出し伸びている。花弁らしき部分は、まるで巨大なトレビス(赤チコリ)だ。
トレビスモンスター。美味しそうと、グロテスクがせめぎ合う。
この花は肉が腐ったような悪臭を放つことから「死体花」と呼ばれているそうだが、その臭いは感じられなかった。
申し訳程度に、隣に置かれたゾウコンニャクは開花中。
「うんちのにおいがします」
とのこと。
鼻を近づけたが、うんちのにおいもしない。
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