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yamshita0129
なぜかカレーから逃げられない店
実家の近くに、ひとつ不思議な店舗がある。
最初はラーメン屋だった。
とくに覚えているのは、味噌バターラーメンだ。
味噌ラーメンに、さらにバターをトッピングする。
もともと入っているのに、もう一個のせる。
当時のぼくは「そんなにバター入れて大丈夫なのか」と思いながら食べていた。
でもおいしかった。
体のことはあとで考えればいい、という味だった。
ただ、その店は潰れてしまった。
次にできたのは、カレーライス屋だった。
まあ、ある。
ラーメンからカレーは、飲食店の転職としてはわりと自然な流れだと思う。
スープからルーへ。
方向性としては、まだ日本の範囲にいる。
でも、その店も潰れてしまった。
次にできたのは、カレーナン屋さんだった。
ああ、と思った。
カレーは残してきたんだな、と。
ラーメン屋のときは完全に日本だったのに、
いまはもうインド寄りになっている。
でも、カレーという軸だけは守られている。
ただ、その店も潰れた。
そしてまた、新しい店ができた。
カレーナン屋さんだった。
ぼくは少し立ち止まった。
いや、さっきもカレーナン屋だったよな?
看板を見直した。
やっぱりカレーナン屋だった。
店の前を通りながら、ぼくは思った。
この場所、もしかしたらもう
カレーから離れられない土地なのかもしれない。
最初は味噌バターラーメンだったのに、
いまは完全にスパイスの文化圏にいる。
人の人生も、こういうことがある気がする。
最初は全然違うことをしていたのに、
気づいたら同じジャンルのことばかりしている。
ただ一つ気になることがある。
もし次にこの店が潰れたら、
カレーライス屋に戻るのか、
それともナンだけ残るのか。
実家に帰るたび、ぼくは少しだけ
その未来を気にしている。
