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陣内っ!今日も征くっ!

寒い日が続くこの頃、陣内はふと思うのだった。

昨年は熊の被害が多発し、世間は大騒ぎだった。
人里に下りてくる熊、襲われる人間、そして「駆除」という言葉が飛び交う日々。
俺も何とかせねばと考え、時を遡り――金太郎の生きた時代へ向かった。

結果として、ひとまずの終息は見えた。
……はずだった。

だが最近、目に入ってくるのは別のニュースばかりだ。
強盗、襲撃、詐欺。
熊の次は人間。

そして、人間は――駆除できない。

問題は、より深く、より厄介になった。
そう感じた陣内は、再び決意する。

「……行くか」

こうして陣内は、また時空の旅に出る。
今回のキーワードは――「泥棒」

まぁ、いいか♪

次の瞬間、足元から現代の感覚がすっと抜け落ちた。
硬いアスファルトの感触は消え、代わりに柔らかな土が足裏に伝わる。
冷たい空気の中に、薪の匂い。湿った木の香り。

遠くで聞こえる、人の話し声。
下駄の音。
どこかで戸を閉める音。

振り返っても、街灯はない。
電線も、信号も、コンビニの光もない。

――だが、不思議と怖さはなかった。

「……江戸、か」

確信はない。
それでも、身体のどこかがそう告げている。

行き交う人々の服装、荷を担ぐ男、行燈の淡い光。
ここでは“盗み”が、今とは違う意味を持つ。
そんな予感だけが、胸に残った。

陣内は立ち止まり、空を見上げる。
月は同じはずなのに、なぜか現代よりも近く感じられた。

「泥棒、ね……」

善か、悪か。
罪か、生きる術か。
この時代では、その境目は今よりも曖昧だ。

そう呟いた、その瞬間。

――カラン。

どこかの屋根で、瓦がかすかに鳴った。

陣内は闇に視線を向ける。
音のした方角へ、一歩、また一歩。

この夜、何かが起きる。
いや――起こるのだろう

陣内は、静かに息を整えた。

「よし……」

陣内っ!
今日も征くっ!

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Kei この言葉が、どこかで触れたなら。 そのお気持ちを、そっと置いていただければ。