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【創作裏話】企画・お題参加まとめ #003

こんにちは。財布野紐ゆるみと申します。

この記事では、アップ済みの「企画・お題に参加して書いた記事」10作品についての裏話を書いています。企画参加で書いた短編での発想の出し方やまとめる工夫など、何か参考になるところがあればうれしいです。

第2段の記事はこちらになります。
【創作裏話】企画・お題参加まとめ #002

同じ企画に参加された方のお話もなるべくたくさん読みに行きたいですが、書いていると、なかなか全てを読む時間がありませんね。

さて今回も、以下のような視点から、ゆるく振り返っていければと考えています。

・なぜこのお話を書こうと思ったか、またはどこから着想を得たのか
・ボツ案や悩んだ部分があればその話
・込めたテーマやメッセージ、お気に入りのポイント等

また、この場を借りて、企画に参加させていただいている主催者のみなさまへ感謝申し上げます。いつもありがとうございます。


21.せーのっ!

 【古賀コン10】
お題:「ぼくにもできそう」
規則:募集期間内に1時間で書き上げた新作
公開:2025年12月8日

「古賀コン」さまに、企画参加をさせていただきました。一時間で作った新作を、間口広く受け付けているこの企画。募集締め切り日の夕方に企画を知って、「面白そう」と思いつつ、焦って書いたのを覚えています。

一時間の捉え方がある程度委ねられていて、私は先にある程度構成を決めて紙に書き出してから、書きはじめました。

テーマが「ぼくにもできそう」なので、小学生男子のお話にしよう、と安直に考え始めました。同じ小学校の子が鐘太鼓の練習をやっていて、かっこいいと思ったことから題材にしてみました。

展開は王道で、
先輩に対するあこがれ ⇒ 挫折 ⇒ きっかけ ⇒ 自身の足で立つ
という流れはスムーズに決められたと思います。

最後のシーンは最初から「実際にできたかどうかを明示しない」と決めていました。掛け声で締めて、その後を描かない方が、余韻として強いだろうと考えたためです。

迷ったのは「きっかけ」の部分を誰にどう言わせるか、でしょうか。先輩分や大人に語らせるとどうにも説教臭くなってしまう気がして、読後感が固くならないよう、今のかたちにしました。

太鼓の役割について、「ぼく」と同じタイミングで読み手が「そういえばそうだ」と気づけるくらい丁寧に描くのが理想といえば理想でしたが、あまり踏み込めなかった気もしています。

四十分程度で本文を書いて、残りの時間は校正と追記、読み返しに充てていました。去年の先輩の声が最初だけだと少し弱い気がして、最後にもう一度触れることにし、季節感を伝えるための冒頭の場面説明もここで加えています。

急いでいて気づけませんでしたが、あらためて読み返してみると、「技術が足りないわけではなく、立ち位置の意識を切り替えることでうまくいく」というシチュエーションは、普遍的で世代を超えて通じる部分でもある気がしますね。

自分にとっての一時間は緊張感と焦りでばたばたでしたが、みなさんだったら一時間、どう使ってお話づくりをするでしょうか。


22.湯気の向こうの、その人へ

 【せりふ三題噺 / 白い息ネクタイ約束】
お題:白い息 / ネクタイ / 約束
せりふ:足が冷たいんだよ
公開:2025年12月10日

こちらは、「せりふ三題噺」さまに参加させていただいた五度目のお話になります。

実は別の企画で「いつもの場所に座って」というテーマのコンテストを見かけたころから、「番台に座る」というモチーフがアイデアとして頭のどこかに残っていました。今回は、それを別のお題と組み合わせるかたちで使うことができ、頭の中だけの横断的コラボ企画となった格好です。

もともとはかなりおぼろげなイメージだったので、こうして企画に参加することで完成まで持っていけたのは、とてもありがたかったです。

私はお話づくりの際に大事件はあまり起こさず、視点や考え方の変化などで静かに成立させるものが多く、このお話の場合もその例に漏れません。

主人公・のの香は中学生。のの香がばあちゃんの言葉を受け取って、完全な継承ではなく「どのように感じたか」を通して更新していく、という流れに決めました。「番台に座る」という少し高い視点は、「子どもが世界を見渡す感覚」と重ねています。

タトゥー問題は、繊細なテーマだと思いますが、「約束」というお題ことばとも相性がよく、物語の中に取り入れることができたのは良かったと思っています。このテの様々な意見のある話題の場合は特に、どちらが悪い、正しいを言いきらないよう意識しています。

迷ったのは女性の背景をどこまで描くか、でしょうか。事情を詳しく説明すると分かりやすくなる一方、想像の余地が狭まってしまいます。今回は具体的には踏み込まず、「疲れている様子」や「おびえた目」といった印象にとどめました。

女性の輪郭がやや弱いかな、と感じなくもないですが、読み手によって感じ方が変わる余白になっていればいいなとも思っています。

また、張り紙の更新については、中学生がやるからこそ、説得力と広がりが出たのではないかと感じています。


23.星屑のティアラ

 【3つのお題に空想のひらめきを / 星屑のティアラ・紅の羽を持つ時鳥・こぼれ月の魔法瓶】
お題:星屑のティアラ / 紅の羽を持つ時鳥 / こぼれ月の魔法瓶
公開:2025年12月12日

「3つのお題に空想のひらめきを」さまに初参加させていただいたお話になります。

ことばそのものの持つイメージが強く、なかなかに難しいお題ことばのため、ファンタジー寄りに書くしかないと感じていました。そこから少し発想を変えて、現実の比喩としてお題をお話に落とし込めないかと考えたのがきっかけで書きはじめたのが、このお話です。

物語は、少女レイアが現実の恐怖をそのまま伝えるのではなく、物語に変換することで誰かを守る、という構図で組み立てられています。

目指していたのは、「視点をやわらかくゆがめることで、逆にその奥にある怖さを浮かび上がらせること」でした。たとえば、昼間はかわいいのに夜に見ると少し怖い人形のような、そんな読み味を出せればと思っていました。

ただ実際に書いてみると、比喩を強めれば現実の手触りが薄まってしまい、逆に現実を出しすぎると、意図した世界が崩れてしまう。そのバランスを探る難しさを強く感じました。ファンタジーとして押し切るにしても、もうひとさじ現実の言葉を入れることで、より印象を強くできたのではという気もしています。

課題の多い仕上がりではありますが、方向性としては手ごたえもあり、書いている間は試行錯誤そのものがとても楽しい時間でした。言葉を少しずつ置き換えながら、想像で補って、何度も読み返していく過程そのものが今回いちばん印象に残っています。

そういった意味でも、「自分の頭から出た言葉以外」のお題を使って書くお話づくりは、新しい発想にもつながる刺激的な体験だとあらためて感じました。


24.追いかけっこをやめるとき

 【せりふ三題噺 / アドバイス鬼ごっこ白菜】
お題:アドバイス / 鬼ごっこ / 白菜
せりふ:どこまで本当だと思う?
公開:2025年12月17日

こちらは、「せりふ三題噺」さまに六度目の参加をさせていただいたときに書いたお話になります。

このお話は、「選ぶ」という行為について考えたことがきっかけで生まれました。スーパーで何かを選ぶとき、値段や産地を見ることはあっても、その背後にある時間や判断については、あまり意識してこなかったように思います。

主人公は、子どもの頃には「走り続ければいい」と思っていた側の人間です。しかし大人になるにつれて、何かを続けることや、逆に手放すことが、単なる諦めではなく「選択」であることに気づいていきます。

祖父の「難しいからな」という言葉は、説明されないまま置かれていますが、時間を経て意味が変わる言葉として扱いました。この作品では、過去の出来事をその場で理解するものではなく、「あとから追いつくもの」として描いています。

また、「鬼ごっこ」というモチーフは、今回のお題ことばのひとつでありながら、「役割が一瞬で切り替わる感覚」や「逃げ続けること・追いかけることの関係性」が、「選択」とどこか似ていると感じたためお話のメインに据えています。

このお話でも、書いていて悩んだのはどこまで説明するかという点でした。特に農業の事情や家族の判断については、実体験などをもとにもう少し掘り下げることもできたと思います。ただし、その分、読者の受け取り方が狭まってしまうと感じ、あえて語らない部分を多く残すことにしました。

結果として、少し整いすぎた印象もあり、もう少し揺らぎを残してもよかったかもしれません。ただ、書いている間は、自分の中にある時間の感覚を辿るような感触があり、静かに楽しい執筆体験でした。


25.間の時間

 【3つのお題に空想のひらめきを / 時間がほどける朝・誰も呼ばなかった名前・帰らない光】
お題:時間がほどける朝 / 誰も呼ばなかった名前 / 帰らない光
公開:2025年12月18日

こちらは、「3つのお題に空想のひらめきを」さまに二度目の参加をさせていただいた際のお話になります。

お題ことばに「名前」がありますね。そこから、いわゆる「キラキラネーム」という題材を据えて書きはじめることにしました。

学校でからかわれる場面や、就職活動でのエピソードなど、「読みにくい名前による苦労話」がぱっと思いつくところですが、それだとテーマが少し限定的で、お話の結末に幅がつくれないように感じました。

そこで、名前の読みにくさそのものでなく、「自分の名前の扱いが変わる時間帯」の感覚の方を書こうと思い、「引っ越し前の朝」の時間を舞台としました。

この部屋ではもう呼ばれず、新しい場所ではまだ呼ばれていない。そんな宙吊りの状態が、「名前と人生とが重なりきらない、間の感覚」に近いのかもなあ、とぼんやり考えて書いていたと思います。

テーマとぶれるため、名前の具体的な由来や読み方はあえて書かず、呼ばれなかった名前を抱えていたというお題ワードの部分のみを残しているのがこだわった部分でしょうか。

この間の時間は、主人公にとって孤独でもあり自由でもあると思います。名前がまだどこにも属していない朝の、その静けさだけでも伝わっていればうれしいです。


26.管理されなくなったもの

 【風まかせ文芸部 / 常温】
テーマ:「常温」
公開:2025年12月21日

「風まかせ文芸部」さまへの参加も、こちらで五度目になります。

実際に、とある施設に貼られていた環境ポスターがきっかけでこのお話を書きました。テーマがはじめから定まっていると、そのテーマに接続できそうなモチーフを探して広げていけるので、書きやすく感じる部分があります。

今回は、環境ポスターの「冷える」と「冷める」の違いを軸に、夫婦関係・生活・冷蔵庫などを登場させて、熱が失われて冷めたあとの時間が常温として存在するということを描いたつもりです。そういう意味では、先の「間の時間」のお話にも通じる部分があるかもしれません。

怒りも愛情も、感情の沸騰を持続させることはたぶん難しくて、だからこそ、登場人物の描き方を意識した部分があります。たとえば夫を悪人にしすぎることや、主人公を完全に壊れてしまったあとのように描くことは避けたつもりです。

「要冷蔵」の文言を最後に入れることも、その佃煮に「牡蠣」がふんだんに使われていることも、このお話では私にとって必要でした。関係が常温になった果てに残る、冷たい倫理のようなものを、そこに置いておきたかったのだと思います。


27.来なかった夜のサンタ

 【三題噺】(サンタクロース・時計の針・中華料理店)
お題:サンタクロース / 時計の針 / 中華料理店
公開:2025年12月22日

「三題噺」(木曜日は3ースデイ)さまへ初参加した際のお話です。クリスマスなど、季節ネタは同じテーマでたくさんの記事があふれるので、どの視点から書くかとても迷います。

お題の言葉から、サンタクロースを登場させる必要はありそうです。いるいない、信じる信じない、といった視点からが作りやすいでしょうか。いろいろ考える中でふと、「いずれにしてもサンタクロースって、概念としては未来永劫存在し続けそうだな」という視点を思いたちました。

そこで今回は、人によって異なる「役割としてのサンタクロース」の部分を描くことにしました。登場するサンタは、プレゼントを配る存在ではなく、「来なかった夜」を担当する「演者」のような役目を与えられています。

そうなると私の中で、夢の中のサンタは、完全に優しいだけの存在ではなく「主人公の深い感情にちょっと踏み込んでくる」立場にならざるを得ませんでした。

母親のパートナーとの距離感の部分は悩みつつ書いていましたが、夢の時間そのものが「主人公の中に少し残るように」という点は意識していました。中華料理店の紙袋を現実側のモチーフとして活かせたのも、お題を単に消化するのではなく意味を持たせられたという点でよかったかなと感じています。

主人公が「メリークリスマス」という言葉に込めた感情を説明しきれないところが、このお話の特に気に入っている部分です。拒絶でもないし、関係も解決していない、曖昧な変化が私は好きです。

完全に誰かの代わりになることはできなくても、その空白のそばに立ってあげることはできるのかもしれない。そんなことを考えながら、書いていた気がします。


28.四等分の夜

 【せりふ三題噺 / グリューワイン髭包み紙】
お題:グリューワイン / 髭 / 包み紙
せりふ:ホーホッホッホッ
公開:2025年12月23日

こちらは、「せりふ三題噺」さまに七度目の参加をさせていただいたときに書いたお話になります。

研究倫理の責任の外側に落ちて誰かが命を失う、という話は長い間下書きとして温めていたテーマでした。今回のように、お題や企画がきっかけで仕上がらずにくすぶっていたお話が出来上がることもあるので、企画主催いただいている方々へは感謝で頭が上がりません。

また、お題とせりふは冬の季節とサンタをイメージさせるものですが、今回のように夏のお話にできなくもない自由度の高さが、お題として秀逸だなと感じたことを覚えています。

夏にした理由は、このお話の持つ雰囲気にあう季節を……と思った部分もありつつ、お題に対して想定外の書き方をしたいという天邪鬼な抵抗という側面もあったと思います。読み返してみると、季節外れのグリューワインが全体の空気にマッチして噛み合っている気もします。

このお話の中で描きたかったのは、「誰かひとりだけが悪いわけではない。けれど、全員が少しずつ関与している」という構造です。ですので死因や責任を直接描かず、形式上は正しい、というラインを引いたまま、その上で周囲の不穏さを書く方向に寄せました。

公平に四等分されたケーキの外側、ナイフに残ったクリームは、公平さからこぼれ落ちるものの象徴としても読めます。「彼女の死」や「責任の残滓」のように。それが主人公の髭についていることで、無関係ではいられない痕跡として残る。その最後の場面が気に入っています。

悪意がなくても、大切なものが失われることはあると思っています。ルールや規則がしっかりしている組織や機関でも、それは十分に起こりうる。むしろ、適切な規定の中だからこその抜け穴もあるかもしれません。


29.あたたかい場所

 【クリスマスは片想い文芸部】
テーマ:クリスマスにまつわる片想い
公開:2025年12月24日

「片想い文芸部」さまへ参加させていただいた、二度目のお話になります。室内飼いの猫が逃げたこと、の経験をもとにお話をつくりました。

見つかったときに大きくごろごろ音を出すところや、探していると、ちょっとした音や影からいなくなった猫を感じ取ってしまうところ。このあたりは、実際の体験があったからこそ組み込めた要素かと思います。

逆に「セロリも食べます」のセリフや、間接ほっぺを特別な接触と感じるくだりは、小学生らしい要素を入れたいなと思い想像で補った部分です。小学生らしい距離感や感情の動きとして、少しでも自然に感じていただけていたらうれしいです。

あらためて読むと、崇くんが若干格好よすぎる気もします。大人たちの冷めた態度から同じ目線に降りてきて背中を押す存在として、ちょうどいい塩梅に彼を据えるのが、書いていて難しかったところでしょうか。

「高級な猫なのに大人たちが探さず冷めている」点は、もしかすると違和感があるかもしれません。実は過去、私の知り合いに「親の面倒を見る関係で飼えなくなった」という飼い主からブランド猫を引き取った人がいます。もしかしたら作中のさや華の家も、そういった事情があるのかもしれないな……と思い、その温度差についてはフォローせず想像にお任せすることにしました。

「初見で読んだときにどう思うだろう」は、書いていて、いつまで経っても難しいなと感じる部分です。


30.カーテンコールのない朝に

 【虹色創作部 / 粉雪】
テーマ:粉雪
公開:2025年12月25日

「虹色創作部」さまへ、三度目に参加させていただいた際のお話です。

テーマである粉雪が舞っているシーンから、誰かが誰かを送り出す状況を想像し、書きはじめたと思います。

今回は演劇部出身の恋人同士という設定にしました。やりすぎると浮いてしまいますが、おかげで「役を降りる」「幕を下ろす」「ト書き」といった舞台の言葉を感情表現として使えました。

彼は弱っている一方で、自分が相手の人生を縛る存在になりたくないとも思っている。だからこそ、引き留めずに最後にだけ姿を見せます。その行動が、彼なりの愛情表現になればいいなあ、と思っていました。

改札機の「ピー」という音と、医療機器の短いアラーム音は、役割も意味もまったく違うのに、どこか感覚として似ている気がしていて、その音を物語の中で重ねられたのはよかったところです。関連して、改札のときに主人公が後ろを振り返る場面も気に入っています。あの瞬間だけ、ふたりの間には雪しかなく、世界の音が消える。そういう「現実から少し浮いた時間」を描きたかったのだと思います。

また「肩に乗っていた雪はもう、消えてしまっている。」の部分は、お話の中のいろいろな感情に置き換えられる現象としてきれいだと思い、最後に付け加えた箇所になりますが、やはり入れて良かったなと感じました。


終わりに


今回は以上となります。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

気が向けば、第4弾も出せればと思います。

書き終えたあと時間が経ってから振り返ると、「ああ、自分はこういうことを書きたかったんだな」と気づかされることも多く、不思議な感覚があります。

これからも5分程度で読める短編小説をアップしてまいります。
また、のぞきに来ていただけたらうれしいです。


【これまで書いたすべての記事は以下にまとめてあります】
財布野紐ゆるみ全記事まとめ

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どうぞよろしくお願いいたします。


財布野紐ゆるみ


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財布野紐ゆるみ 書いてる人も偉い。書いてないけど考えてる人も偉い。まぶしい。