vol.16 草間 彌生 | 東京国際フォーラムARTIST

もはや世界の草間だが、国際フォーラムが入手した作品は、世界の草間になる前のコラージュ、版画作品である。
松本生まれの草間は10才の頃から絵を描きはじめたが、水玉模様の幻視はリアルなものだった。ニューヨークへ渡った東洋の女性前衛芸術家、というだけで、スキャンダラスなほどハンディーが多い時代に、単身アメリカに移住した。
この時代に彼女はポップカルチャーに刺激されたパフォーマンスを発表している。ソフトスカルプチャーを造り、絵も描いて、先駆的な仕事をしていた。だがアメリカからも日本からも、冷遇された。
ポップアートとミニマルアートを強迫観念的な幻視のある、女性特有のエネルギーで結びつけている。
靴はニューヨークの通りを闊歩するアメリカ人のものではない。明らかに東洋の女性のものである。
しかしそこに夢の星のような、丸いコラージュがしてある。これなどはアメリカ時代の、孤独な夢を窺わせる。
女性像のコラージュは、真理が明かされる瞬間を思わせ、神秘体験への願望を暗示している。
70年代の草間は怖くて近づけなかった。日本でも世界でも認められるようになって、事情が変わってきた。
草間 彌生
「蝶の羽を秘めたつぼ」
紙にコラージュ、墨、インク、パステル
1975年
54.5×39.5cm

草間 彌生
「幻の靴」
紙にコラージュ、墨、インク、パステル
1975年
39.5×54.5cm

草間 彌生
「命のやどり木」
紙にコラージュ、墨、インク、パステル
1975年
54.5×39.5cm
Gブロック5F会議室G506
photo©斎藤さだむ


