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vol.22 エルスワース・ケリー | 東京国際フォーラムARTIST

お堀側から建物を見て、外壁の大窓の内側に見えるのがケリーの作品である。内側のホールの壁面に「赤と黒」が設置されている。それが外から見えるのだ。

外側の壁には窓も色彩も乏しいから、紳士服にたとえるなら、地味な背広の胸ポケットに、畳まれた派手なポケットチーフの先がのぞいてるといった感じである。
ホールのケリーははっきりとした平坦な赤と黒である。色のニュアンスの分析などに飽きたときに、このケリーを見るとスカッとする。スタンダールの小説『赤と黒』と違って、事実としての色だからか。

縁一杯に四角い図を描くケリーは、子どもの頃、バターみたいな四角い包みを、のちのケリー作品を思わせるように、四角い床の模様一杯に踏みつぶした経験があると言う。

国際フォーラムのケリーの絵は直線模様一杯に広がっているように見える。最初、ケリーはこの壁面が気に入らないだろうなと思った。壁面には溝が縦横に入っていたからである。ところが来日したケリーは実地に溝の直線を見ても、難色の気配を見せなかった。

厳密な彼は溝の直線を大きさの目安の単位として取り入れていたのである。目安一杯に赤と黒のパネルが広がるように設計図を描き、工場へ送った。ケリーは出来上がりと設置を確かめに来たのである。作品を見て彼は上機嫌だった。

パネルがアメリカから着くの待つ間、こちらは正確な原寸大模型のパネルを造って、入り口の通り抜けから階段の運び上げを試した。入り口はパネルを斜めにしてギリギリ。階段は大窓のところまで来ると、直射日光が刺した。この日光では普通の塗料では剥げ落ちかねないな、と思った。

ケリーのパネルには、剥げ落ちないように、航空機用の塗装がしてある。直射日光に耐えうる強くはっきりとした赤と黒である。太陽に負けない。

みみこえ

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