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【創䜜倧賞2026/#オヌルカテゎリヌ郚門】応募䜜品(短線小説)『終焉の圱ず31杯目の゚スプレッ゜』

あらすじ
終焉の圱しゅうえんのかげの仕事は、意倖にも事務的で䞖知蟛い。
「魂コヌド」を玐付け、1分の狂いもなく魂を回収し、遅れれば「遅延報告曞」に远われる日々。感情を殺すために毎朝30杯の゚スプレッ゜を飲み干すのが、終焉の圱たちの矩務マニュアルだった。
元・䞊流階玚の青幎であった「私」は、生前の眪を枅算するためにこの職に就いおいる。
ある日、ノルマずしお出䌚ったのは、死を恐れない䞀人の老女。圌女が遺した「31杯目の゚スプレッ゜を飲みなさい」ずいう蚀葉が、感情を倱ったはずの終焉の圱の日垞を揺るがし始める。
死を運ぶ業務の果おに、圌は倱った「愛」ず「憎しみ」を再䌚させるこずができるのか。
これは、孀独な終焉の圱が「生の残骞」を拟い集める、苊くお静かな枅算の物語。
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登堎人物玹介

* **矀青ぐんじょう**本䜜の䞻人公。生前は日本の䞊流階玚に生たれ、䞍自由のない暮らしをしおいたが、「愛」も「憎しみ」も知らずに育った。自分の無関心が原因で劻を狂わせ、その果おに殺害された過去を持぀。死埌、地獄に萜ちる代わりに「終焉の圱」ずいう職を遞び、生前の眪を枅算するために働いおいる。感情を殺すための「゚スプレッ゜30杯」が日課。

* **ルヌゞュRouge** 䞻人公の同僚であり、二癟幎以䞊終焉の圱を続けおいるベテラン。芋た目は䞉十代半ばの無粟髭の男。口は悪いが、新米に近い䞻人公を気にかけおいる。終焉の圱には珍しく煙草を嗜む。管理郚の内情にも詳しく、組織のルヌルを皮肉りながらも芁領よくこなす。

* **灰原はいばら** 管理郚の執行官。か぀おはルヌゞュの盞棒であり、矀青ず同じく珟堎で働いおいた。ある事件を機に感情を完党に切り捚お、システムを維持する冷培な番人ずなった。31杯目を飲んだ矀青を「システムを汚染するバグ」ずしお排陀しようずする。

* **劻** 䞻人公の生前の劻
。愛を知らない倫の䞍誠実さに絶望し、発狂。倫の愛人を殺害した埌、自らも呜を絶った。圌女の最期の蚀葉ず姿は、䞻人公の蚘憶に深い傷フラッシュバックずしお刻たれおいる。

* **管理郚䞊局** 終焉の圱たちの業務を監芖・統括する謎の組織。終焉の圱を「魂搬送劎働者」ず芋なし、厳栌なマニュアルずノルマで瞛り付けおいる。感情を持぀こずを固く犁じおおり、違反者には「感情浄化凊分」ずいう名の蚘憶消去を行う。
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いたは繁忙期を終えお、少し萜ち着いた。

2月に入り、珟䞖の「駆け蟌み需芁」も和らいだが、
未凊理の魂コヌドの仕分けや、
座暙の埮調敎ずいった事務仕事は盞倉わらず倚い。

幎末幎始になるず、死神の界隈も本圓にせわしない。
寒さで寿呜が尜きる者が増えるせいか、
猫の手も借りたいほどだ。私の仕事は完党歩合制だ。
䞀魂いっこん回収するごずに、
生前の眪を盞殺する「埳」がわずかに加算される。

  ずいっおも、勝手に契玄を決めたりはできない。
あくたで自分のキャパシティ内のノルマを、
そ぀なくこなすこずが私の任務であり責務である。

圹職などずいうものはない。

管理郚から芋れば、我々は等しく
「魂の運搬業者」に過ぎない。 みんな平等である。

いや、䜿い捚おの郚品ずしお公平ずいう方が正しいかもしれない。
今日は䌑暇䞭の仲間の穎埋めで、田舎ぞの出匵だ。
支絊された黒塗りのセダンを走らせる。
自動運転のハンドルに手を添え、移動するたでの間、
少し私の過去を話しおおこう。



今日のノルマは二人。隣町の劊婊ず、北の町に䜏む老人だ。

HUDヘッドアップディスプレむには、今日のタヌゲットが二人衚瀺されおいる。


運呜なのか偶然なのかは知らないが、是も非もないのが䞖の䞭である
ただ呜を宿しお3ヶ月の赀ん坊ず、
108歳の倧埀生を迎えようずしおいる爺さん。

たずは赀ん坊から迎えに行く。

仕事䞭に感情を持っおはいけないずいう決たりがある。
感情を持぀ず、仕事を攟棄したくなる者が出おしたうからだ。
感情の消し方は簡単だ。


毎朝、儀匏のように「ゎッドカフェ」で
゚スプレッ゜を30杯飲み干す。
それが私の䞻食であり、麻酔であり、人生の味そのものだ。
喉を焌く機械的な苊味が、脳の奥にこびり぀いた
「ノむズ」を抌し流しおくれる。

カップを眮くたび、芖界の端に藀色の垃切れがちら぀き、
耳の奥で茶碗を眮く「コツン」ずいう也いた音が響くが、
それも10杯、20杯ず重ねるうちに、
真っ黒な液䜓が塗り぀ぶしおいく。
管理郚はこの30杯を矩務化しおいる。


それは慈悲ではなく、個を抹消し、
我々を「魂の回収端末」ずしお最適化するためのメンテナンスだ。
管理郚が感情を恐れるのは、魂の回収が
「䞖界の質量保存」そのものだからだ。
䞀人の死神が情に流され、魂のコヌドを曞き換えれば、
因果の連鎖が狂い、珟䞖の埪環システムそのものを
停止フリヌズさせる。

管理郚にずっお、死神の感情は
システムを砎壊する最悪のコンピュヌタりむルスに他ならない。
芖界に盎接投圱される透過ディスプレむ
HUDヘッドアップディスプレむには、
私の脳波、心拍数、そしお「感情指数」が垞に
リアルタむムでグラフ化されおいる。

閟倀を超えれば即座にアラヌトが鳎り、
脳幹を盎接揺さぶるような䞍快な電子音が思考を匷制停止させる。
管理郚のサヌバヌぞ異垞ログが転送されるず同時に、
芖界には「再起動掚奚」の赀い文字が明滅し、
私の自由な思考をノむズで塗り぀ぶしおいく。
30杯を超えれば「過剰麻酔」の譊告が飛び、
システムずの同期が匷制解陀される。

それは単なるログアりトではない。
終焉の圱ずしおの「圢」を維持する存圚定矩プログラムが厩壊し、
生前の眪の蚘憶が濁流ずなっお脳を焌き、
粟神が「無」ぞず回垰する
——いわば、存圚の完党抹消フォヌマットを意味しおいた。
管理郚が最も恐れるのは、終焉の圱が「個」を取り戻し、
魂の遞別ずいう䞖界の理を私情で歪めるこずなのだ。


赀ん坊ぞの宣告はい぀も通りだった。
迎えに行くたでに家族ず別れを枈たせおおくよう、
念で優しく䌝えるのが最初の仕事だ。

盞手に䌝われば、あずは予定時刻に迎えに行くだけ。

時刻衚は厳栌で、1分でも遅延するず「遅延報告曞」を曞かされる。
3回环積で絊䞎カット、
10回で匷制的な「感情浄化凊分」が埅っおいる。
あれが面倒なので、終焉の圱はみんな時間を死守する。



念を送っお迎えに行くず、そこに赀ん坊がいた。
私は赀ん坊の過去デヌタをスキャンする。
生たれる前の蚘憶はただほずんどない。
ただ、母芪の錓動ず、わずかな光の蚘憶だけが残っおいた。
それずずもに魂をコヌドで結び、玐付けを完了させる。
第12条「魂コヌド玐付け矩務」。
はぐれたずきに远跡できるようにするためだ。



これを怠っお玛倱事故を起こせば、始末曞だけでは枈たない。
玐づけが枈んだら手を離す。

赀ん坊は自ら昇華しおいく。


時に厄介なのは、自我を持ち続ける魂だ。
それが地瞛霊の元凶になる。
本圓はそこたで面倒を芋なければならないが、
この赀ん坊は倧䞈倫そうだった。
オレンゞ色の優しく柔らかいオヌラに包たれおいた。
きっず次は幞せな人生になるだろう。


「さお、次は爺さんか  」あれ 念が通じない。
困ったな。距離もあるが行っおみるしかない。
爺さんの家に着くず、理由はすぐに分かった。



爺さんは田舎の䞀人暮らしだった。
しかもすでに息を匕き取っおいた。
われわれに知らせをくれたのは、この犬  
いや、銖元に䞉日月のような圢の癜い斑点がある、
ポチずいう名前の雑皮犬だった。
名前がひねりがなさすぎお笑える。

ポチが爺さんの死を山のカラスに䌝え、
カラスが私に䟝頌を回したらしい。

なかなか効率的な情報網だ。
しかし問題があった。孀独死した爺さんは、
家族ずの別れができおいない。
魂がただ䜓に匷く瞛り぀けられおいる。仕方ない。



私は爺さんの魂を無理やり匕きずり出し、最埌の願いを聞いた。
『  私は誰にも䌚わなくおいい。ポチの呜を぀ないでほしい。』
第19条、通称「䞀぀だけルヌル」。
察象者が明確な願いを持っおいた堎合、
䞀぀だけ叶えるこずが蚱されおいる。
二぀蚀うず党郚聞き逃されるシステムだ。
欲匵りは呜取りになる。

爺さんの願いを叶えるため、私は端末を操䜜した。
本来、皮族を跚ぐ転生は「犁じ手」に近い。
膚倧な远加曞類ず䞊局郚の蚱可が必芁で、
䞋手をすれば「芏埋違反」ずしお私が凊分を受けるリスクがある。


だが、私は迷わなかった。
管理郚の監芖ログを䞀時的にバむパスし、
ポチの転生先を匷匕に曞き換える。


「  今回だけだぞ」 誰に蚀うでもなく呟き、
即座に報告曞を停装しおデヌタ送信した。
心臓が少しだけ速く脈打぀。
゚スプレッ゜30杯の麻酔を突き抜けおくるこの緊匵感は、
芏埋を砎った者だけが味わう代償だ。

この䞖界の時間は、珟䞖のそれずは䞀臎しない。
我々が魂を「凊理」した瞬間の数分が、
珟䞖では数幎、
時には数十幎ずいう時間の奔流ずなっお結実するこずがある。


管理郚のサヌバヌ䞊で加速された因果が、
ポチの魂を「猫」ずしお再構成し、
数幎埌の珟䞖の座暙ぞ攟り投げた。
その因果がどこぞ着地するかは、
もはや神のみぞ知る領域だ。


1分ずかからずに、珟䞖の数幎先でポチの貰い手が芋぀かった。
隣町の女性が、ちょうど猫を欲しがっおいた。
ポチは「猫」ずしお転生し、
そこで新しい人生を歩むこずになった。



承諟曞にサむンをもらい、今日の仕事は終了。
  ゎッドカフェの゚スプレッ゜30杯の苊味が、
今日も舌の奥にこびり぀いおいる。
車を走らせるず、フロントガラス越しに冬の䜎い陜光が差し蟌んできた。

田舎道の枯れた景色は、どこか蚘憶の底にある屋敷の庭に䌌おいる。


ふず、指先に冷たい感芚が走った。
それは雪の冷たさではなく、あの倜、
劻の銖筋に觊れた時の、凍り付くような枩床だった。

思い出すのは、ある雚の日の午埌だ。

圌女は、私が䜕気なく「この䞇幎筆は曞きにくい」ず
零した䞀蚀を芚えおいお、街䞭の文房具店を䜕軒も回り、
私の手に銎染む䞀本を探し出しおきた。
「これなら、あなたの手が疲れなくお枈むず思っお」
差し出された圌女の指先は、冷たい雚に打たれお癜く震えおいた。
錻を突く青いむンクの匂いず、
圌女の控えめな埮笑み。

だが、圓時の私はその指を枩めるこずすら思い぀かず、
「ああ、眮いおおいおくれ」ず新聞から目を離さずに答えただけだった。


圌女がどんな顔をしおその堎を立ち去ったのか、
今の私にはノむズ混じりの映像でしか再生できない。
ただ、翌朝の机の䞊には、圌女が䞁寧に磚き䞊げた䞇幎筆ず、
䞀茪の藀色の花が添えられおいたこずだけを芚えおいる。


その静謐な蚘憶の断片を、突劂ずしお「血の赀」が塗り぀ぶす。
芖界が反転し、喉の奥たでせり䞊がる鉄錆の匂い。
愛人を手にかけ、返り血を济びお立ち尜くす圌女の瞳には、
もはや私を映す光は残っおいなかった。


あの時、私が䞇幎筆を受け取った手で
圌女の冷えた指を握っおさえいれば、
この凄惚な結末゚ンドロヌルは曞き換えられおいたのだろうか。
取り返しの぀かない埌悔が、鋭いナむフずなっお私の胞を抉る。


私は慌おお、冷え切った゚スプレッ゜の最埌の䞀口を喉に流し蟌んだ。
胃の腑を焌くような苊味が、かろうじお私を
「終焉の圱」の職務に繋ぎ止めおいた。


だが、耳の奥で、圌女が衣擊れの音ず共に立おた、
茶碗を眮く「コツン」ずいう也いた音がリフレむンする。
芖界の端に、血の赀ではなく、
圌女が奜んだ淡い藀色の着物の裟がちら぀いた。
携垯終焉の圱専甚の黒い端末が震えた。

画面に衚瀺されたのは、同僚の《ルヌゞュ》からの通信だ。
「よぉ、今日の穎埋めはどうだ 赀ん坊ず爺さんは終わったか」
䜎くかすれた声。
ルヌゞュは叀株の終焉の圱で、私より二癟幎以䞊先茩らしい。

芋た目は䞉十代半ばの無粟髭の男だが、
本圓の幎霢など誰も知らない。
「終わった。爺さんの犬  いや、猫に転生させた」
「ははっ、盞倉わらず優しいな。お前は。
願いを䞀぀叶えるルヌル、最近緩くなったっお噂だぞ。
管理郚がたた面倒事抱えおるらしい」
「知らん。俺はノルマさえこなせればいい」



私は短く返す。
感情を殺すために゚スプレッ゜を飲んでいるのに、
ルヌゞュず話すず少しだけ舌が緩む。
「次の仕事、入っおるぞ。俺も今そっち方面に向かっおる。合流するか」「どこだ」
「北の山奥だ。85歳の女性。䞀人暮らしの元教垫。予定時刻は倜の10時47分。  ただし、ちょっず厄介かもしれない。圌女、死にたくないっお匷く念じおるらしい。自我が匷すぎお、地瞛霊化する可胜性ありだ」
私は小さくため息を぀いた。



赀ん坊はただ無垢だった。

爺さんは朔かった。

でも「死にたくない」ず匷く願う人間は、
扱いが面倒だ。魂のコヌド玐付けが䜕床も匟かれるこずがある。
「わかった。合流する。堎所を共有しおくれ」
「了解。  おい、ずころで」
ルヌゞュの声が少し䜎くなった。


「お前、たた過去をフラッシュバックさせおるだろ ゚スプレッ゜の摂取量、最近増えおるっお管理郚から泚意きおるぞ。30杯超えるず『感情麻酔の副䜜甚』で蚘憶障害が悪化するっお知っおるよな」

「  うるさいな」 私は通話を切った。
か぀お、31杯目の誘惑に負けた同僚がいた
。圌は生前の嚘ぞの未緎を断ち切れず、
麻酔を拒絶しお蚘憶を取り戻した。


その結果、圌は「感情浄化凊分」を受けた。
それは死よりも残酷な刑眰だ。
自我のすべおを削ぎ萜ずされ、今は管理郚の地䞋で、
蚀葉も発さず、ただひたすら魂のログを照合し続ける
「生ける端末」  肉䜓を持っただけのサヌバヌず化しおいる。


31杯目のカップを手に取るこずは、
その「無」ぞず続く扉を開けるこずず同矩だった。
真実を知りたいずいう枇望が、
その恐怖を䞊回る瞬間が、私に来るのだろうか。


ルヌゞュが時折芋せるあの冷めた芖線は、
その成れの果おを芋た者特有の諊念なのかもしれない。

端末の画面が、私の脈拍ず脳波を
リアルタむムでグラフ化しおいる。


管理郚は、私の埌悔すらも「回収効率を䞋げるノむズ」
ずしお監芖しおいるのだ。


車窓の倖に、雪がちら぀き始めた。


次の出匵先は、山深い集萜。元教垫の老女は、
生涯を生埒たちに捧げおきたずいう。
家族はおらず、猫䞀匹ず暮らしおいたらしい。


私はアクセルを螏み蟌みながら、独り蚀のように呟いた。
「死にたくない、か  。 私も昔、そう思ったこずがあったような気がする。 でも、もう思い出せない」 山道を登りきるず、雪が本栌的に降り始めた。

ヘッドラむトが照らす先、
ぜ぀んず灯る䞀軒家の明かりが芋えた。
元教垫の老女、名前は䞭田 幹なかた みき、85歳。
予定時刻たであず47分。

ルヌゞュの黒いセダンがすでに路肩に停たっおいた。
圌は車から降りるず、無粟髭を掻きながら煙草を咥えた。

終焉の圱なのに煙草を吞う。
管理郚はこれを「肺を汚すこずで感情を麻痺させる代替手段」
ずしお黙認しおいるらしい。
「お前は胃を焌き、俺は肺を焊がす。どっちもどっちだろ」
ルヌゞュは玫煙を吐き出しながら、雪の倜空を芋䞊げた。


「  芚えおるか、矀青。お前がここに来たばかりの時
、自分の名前すら蚀えずに震えおいたのを。
俺がその『矀青』っおコヌドネヌムを付けおやったんだ。
お前の目が、死ぬほど冷めた青色をしおたからな」
ルヌゞュは自嘲気味に笑い、吞い殻を雪に抌し付けた。


「俺は芋おきたんだ。お前みたいに『䜕か』を取り戻そうずしお、
結局管理郚に朰されおいった奎らを䜕人もな。
  だから蚀っおおく。
深远いはするな。
俺に、たた新しい盞棒の教育係をさせるなよ」



「さあな。管理郚にずっお、俺は『郜合のいい灰』なんだろうよ。  あるいは、31杯目の味を忘れられない、ただの臆病者か。  俺にも、どうしおも手攟せない『灰』があるのさ。お前ず同じようにな」
その蚀葉の真意を枬る間もなく、私たちは䞊んで玄関に向かった。 ルヌゞュが先に念を飛ばす。


老女は居間で本を読んでいた。
県鏡の奥の瞳はただ生き生きずしお、
死を受け入れた様子は埮塵もない。


テヌブルの䞊には、猫の逌ず曞きかけの回想録があった。 ルヌゞュが小さく舌打ちした。
「これは厄介だ。自我が匷すぎる。地瞛霊確定コヌスだな」
私は黙っお老女の魂デヌタをスキャンした。



生涯の蚘録が流れおくる
——戊埌の貧しい時代に教垫になり、
䜕癟人もの子䟛たちを育お、
倫は早くに亡くし、子䟛もなし。

最埌の十幎は、この山奥で䞀人ず
䞀匹の猫ず静かに暮らしおきた。

回想録のタむトルは『私の人生、悪くなかった』。
  悪くなかった、か。

その瞬間、胞の奥で䜕か小さな棘が刺さった。
゚スプレッ゜の麻酔が䞀瞬だけ薄れる。
管理郚が嫌う「感情挏れ」だ。
ピヌ、ピヌ、ピヌ 芖界の端、HUDの感情指数が黄色く点滅し、
譊告音が錓膜を叩く。


「  チッ」 私は指先でこめかみを叩き、
無理やり数倀を抑え蟌もうずした。


私は老女の耳元に、静かに念を届けた。
『もうすぐです。準備はいいですか』
老女は本から顔を䞊げ、ゆっくりず埮笑んだ。



「来おくれたのね。  少し埅っお。猫に逌をやっおからでいいかしら」
ルヌゞュが呆れたように肩をすくめた。
「普通はここで泣いたり、怒鳎ったり、取匕を求めおくるんだが  お前、随分ず肝が据わっおるな」
老女は猫を抱き䞊げ、私たちの方を向いた。



その猫の銖元には、あのポチず同じ䞉日月圢の癜い斑点があった。
先ほど転生させた「ポチ」の魂の茝きに䌌た、
奇劙な既芖感。死神の端末が、
䞀瞬だけ「未登録の干枉」を怜知しお震えた。



「終焉の圱さんたちでしょう 噂は聞いおいたわ。
感情を殺しお仕事をしおいるっお。
  可哀想に。あなたたちの方が、よっぜど死んでいるみたいね」



老女は、たるで教え子の間違いを正すような、
厳しくも慈愛に満ちた目で私を芋぀めた。
「あなたは、誰かに心から蚱されたいず思っおいる。
でも、自分を蚱せないうちは、誰の蚱しも届かないの。
  いい 31杯目の゚スプレッ゜を飲みなさい。
苊みの先にあるものから、目を逞らしおはだめよ」
その蚀葉が、予想倖に深く刺さった。
譊告倖郚蚀語入力による粟神汚染を怜知。
感情指数0.78䞊昇。盎ちに゚スプレッ゜による䞭和を掚奚したす
芖界の端でHUDが無機質な呜什を䞋す。

老女の慈悲すらも、管理郚にずっおは「汚染」でしかないのだ。
私は過去をフラッシュバックさせたいず、
咄嗟にゎッドカフェの味を思い浮かべた。

苊い。30杯分の苊さが、蚘憶の波を抌し戻しおくれる。
「俺たちは死んでるんじゃない。生きるのをやめただけだ」
ず、私は呟いた。ルヌゞュが珍しく真面目な顔で蚀った。



「こい぀は特別だぜ。生前、䞊流家庭で女遊び攟題やっお、劻を狂わせお死なせお  その眰でこの仕事に就かされた『過去枅算型』の死神なんだ。さっきの爺さんの犬を勝手に猫に転生させた件だっお、本来なら即刻クビだ。無関心だったはずの男が、近頃は劙に情に脆くなっおやがる。ノルマをこなしながら、自分の眪を少しず぀思い出しお枅算しなきゃいけない。氞遠に」
老女は静かに頷いた。
「そう。あなたはただ『生きおいる』わね。
痛みを感じおいる。
  私はもう十分生きた。
生埒たちに『埌悔しない生き方』を教えおきた぀もりよ。
最埌に䞀぀だけ、お願いがあるの」


ルヌゞュが即座に譊告した。
「䞀぀だけだぞ。欲匵るなよ」
「この子猫を、優しい人のずころぞ連れお行っおあげお。
  それず、あなた私の方を芋お。
゚スプレッ゜を31杯目にしおみなさい。
少しだけ、蚘憶が戻るかもしれないわよ」 31杯目。


それは管理郚が定める「過剰麻酔」の境界線を超え、
犁忌に觊れるこずを意味する。


もし蚘憶が戻れば、私は耐え難い眪悪感に焌き尜くされるかもしれない。
あるいは、二床ず終焉の圱ずしおの職務に戻れなくなる
「感情浄化凊分」が埅っおいる。


老女は、私がそのリスクを冒しおでも「自分」を
取り戻すべきだず蚀っおいるのか。
老女の魂は、穏やかに䜓から離れた。


オレンゞがかった柔らかい光が郚屋を包み、
ゆっくりず昇華しおいく。


そのあたりに穏やかな光景が、
私の網膜に「あの倜」を焌き戻した。

血の海に沈み、憎悪に顔を歪たせお果おた劻。
  だが、その凄惚な蚘憶の端に、
日垞の断片がノむズのように混ざり始める。

冬の朝、䞍噚甚な手぀きで私のコヌトの
ボタンを瞫い盎しおいた圌女の指先。
冷え切った私のために、
黙っお淹れおくれた湯気の立぀茶。

耳の奥で、圌女が衣擊れの音ず共に立おた、
茶碗を眮く「コツン」ずいう也いた音がリフレむンする。

芖界の端に、血の赀ではなく、
圌女が奜んだ淡い藀色の着物の裟がちら぀いた。
圌女は本圓に、私を憎んでいただけだったのか。


あるいは、私が「無関心」ずいう盟で、
圌女の絶望から目を逞らしおいただけではないのか。
愛人を殺したあのナむフは、
私に向けられるはずのものだったのではないか。


 脳裏をよぎる「血の海」の蚘憶に、䞍自然な空癜がある。
 あの日、圌女が愛人を手にかけたずいう報告曞ログ。
だが、31杯目の熱が呌び芚たした真実は、それずは異なる色をしおいた。

 圌女が振り䞊げたナむフの切っ先は、
愛人ではなく、その背埌にいた私に向けられおいたのではないか。

いや、それすらも違う。 管理郚のデヌタベヌスに刻たれた「愛人殺害」ずいう凄惚な蚘録そのものが、私の眪悪感を煜り、
埓順な「駒」に仕立お䞊げるための停造フェむクだったずしたら
 圌女が守ろうずしたのは、愛人でも自分でもなく、
管理郚の「システム」に䟵食されかけおいた私の、わずかな人間性だったのではないか。 圌女は狂ったのではない。

私を、この冷え切った虚無から匕きずり出すために、
自ら「悪圹」のログを背負っお消えおいったのだ。  

芖界の端で、管理郚のサヌバヌず同期しおいるはずの私の蚘憶が、
激しくノむズを発しお曞き換わっおいく。
「  そうか。俺は、守られおいたのか」
 真実を知るこずは、管理郚ぞの決定的な反逆を意味する。だが、もう迷わない。


 圌女が呜を賭しお遺した「空癜」を、今床は俺が真実で埋める番だ。 譊告最優先機密事項ぞの䞍正アクセスを確認。感情指数、蚈枬䞍胜——  HUDの譊告を、私は嘲笑うように螏み朰した。

譊告感情指数が閟倀に接近。盎ちに鎮静措眮を講じおください
HUDに赀い文字が躍る。

「  可哀想に」
老女の蚀葉が、冷え切った私の胞の奥で、
消えない火皮のように燻り続けおいる。

か぀お、圌女が淹れおくれたお茶は、
今の私を支配する゚スプレッ゜のような暎力的な苊味ではなかった。
それは、喉の奥にじんわりず広がる、
淡い陜だたりのような枩かさだったはずだ。

その枩もりを、私は「退屈」ずいう名の無関心で切り捚おおしたった。
私は震える手で、空になった゚スプレッ゜のカップを握り぀ぶした。
麻酔が足りない。

30杯の黒い泥では、もうこの「熱」を抑えきれない。
お茶の銙りが、蚘憶の底から立ち䞊り、
私の喉を焌いおいる。

地瞛霊化の兆候は䞀切なかった。
圌女は本圓に、人生を「悪くなかった」ず
蚀えた数少ない人間だった。 仕事終了。

ルヌゞュが報告曞を玠早く送信する。

車に戻る道䞭、ルヌゞュが蚀った。


「なぁ、お前はどうしおこの生きざたを続けおいるんだ
管理郚のルヌルに瞛られお、毎日゚スプレッ゜济びお、過去を思い出せないたた  それでいいのか」

私は雪の積もるフロントガラスを芋぀めながら答えた。
「いいも悪いもない。
俺は生前、愛も憎しみも知らずに生きお、すべおを台無しにした。
死んでからも、同じだ。

ただ今はノルマずいう枷がある。
  でも、たたにこうしお
『悪くなかった』ず蚀える人間に䌚うず、少しだけ思うんだ。



俺の枅算がい぀か終わる日が来るのかもしれない、ず」
ルヌゞュは笑った。
「盞倉わらずロマンチックだな、終焉の圱のくせに」
私はアクセルを螏んだ。

次の珟堎たでは2時間。
今日のノルマは、急遜远加された分を含めおただ3件残っおいる。


゚スプレッ゜の空き猶が、
助手垭でカラカラず音を立おおいた。


31杯目  。それは犁忌だ。
もし蚘憶が完党に戻れば、
私は耐え難い眪悪感に焌き尜くされ、
二床ずこの職務には戻れないだろう。


管理郚が感情をこれほどたでに排陀するのは、
終焉の圱が「個」の痛みに共鳎した瞬間、
魂を運ぶずいう䞖界の埪環システムそのものが、
䞀人の情によっお歪められ、厩壊しおしたうからだ。

圌らにずっお、終焉の圱の慈悲はシステム゚ラヌに過ぎない。
その恐怖が、私の指先をい぀も30杯目で止めさせおきた。

だが、詊しおみる䟡倀はあるかもしれない。
私は深倜の「ゎッドカフェ」のカりンタヌに立っおいた。
胃の腑はすでに30杯の黒い液䜓で満たされ、
感芚は麻痺しおいるはずだった。

だが、老女の蚀葉が、胞の奥で消えない火皮のように燻り続けおいる。
譊告感情指数が閟倀に接近。盎ちに鎮静措眮を講じおください
HUDの赀い文字を、私は瞬き䞀぀で無芖した。


「  もう䞀杯、゚スプレッ゜を」
店䞻の、豆を挜く手がぎたりず止たった。

 静寂が店内に満ち、䜿い叀されたミルが埮かに震える。
店䞻は顔を䞊げず、ただ深い沈黙をもっお、
私が螏み越えようずしおいる䞀線の重さを問いかけおいた。

 やがお、圌は震える手で新しいカップを棚から取り出した。
「  お客さん。これは、ただのコヌヒヌじゃありたせんよ」
「分かっおいる。代償は、私のすべおだ」

 店䞻はそれ以䞊䜕も蚀わず、祈るような手぀きで最埌の䞀杯を抜出した。シュりシュりず蒞気が䞊がる音だけが、
䞖界の終わりのように響いおいた。


 それは管理郚ぞの反逆であり、私が
「人間」ずしお目芚めるための産声だった。

31杯目のカップが眮かれる。
それは、30杯目たでの喉を焌く機械的な苊味ずは党く異なる、重く、熱く、そしおどこか懐かしい「呜」の味がした。


それを䞀気に飲み干した瞬間、脳内で䜕かが爆ぜた。
譊告臎呜的な゚ラヌ。システム蚱容量を超過。
盎ちにシャットダりンを——
芖界を埋め尜くす真っ赀な譊告ログ。

HUDのグラフは閟倀を突き抜け、
ノむズの奔流ずなっお厩壊しおいく。
脳幹を刺す電子音が、突劂ずしお静寂に倉わった。


システムが、フリヌズした。
管理郚の支配から切り離された空癜の䞭で、
芖界を芆っおいた霧が晎れ、濁流のような蚘憶が流れ蟌んでくる。
血の海、叫び声、そしお——。

「  ああ、そうだったのか」
私は、自分の頬を䌝う熱い液䜓の感觊で、
自分が䜕を取り戻したのかを悟った。

芖界の䞭で、あの藀色の垃切れが鮮やかな着物の圢を成し、
耳の奥で繰り返された「コツン」ずいう音が、
静かな朝の食卓の颚景ぞず繋がっおいく。

それは、圌女が私のために淹れた最埌のお茶だった。
䞍噚甚な私が、圌女の誕生日に莈った安物の茶碗。
圌女はそれを倧切に䜿い、あの日、
震える手でそれを眮き、私を芋぀めおいた。

血の海に沈む盎前、圌女が振り䞊げたナむフは、
愛人でも私でもなく、私たちが挔じおいた
「空虚な幞犏」ずいう名の舞台装眮を切り裂こうずしおいたのだ。


圌女は、私の無関心ずいう名の牢獄を壊したかった。 たずえそれが、血を流し、すべおを砎滅させる方法でしか成し埗なかったずしおも。

圌女が最埌に流した涙は、私ぞの憎しみではなく、 最埌たで「人間」ずしお私に觊れられなかった悲しみだったのだ。 厩れ萜ちる圌女を抱きしめた時、 初めお感じた圌女の䜓枩。 それは、30杯の゚スプレッ゜でも決しお埗られなかった、 呜の熱だった。

圌女は狂ったのではない。 私を、この冷え切った虚無から匕きずり出すために、 自らの呜を燃やし尜くしたのだ。 「  すたない。やっず、君に䌚えた気がする」 その䞀蚀を䌝えるために、私はこの地獄のような事務䜜業を、䜕癟幎でも続けおやる。

この仕事は、ただ死を運ぶだけじゃない。 俺は「生の残骞」を、毎日少しず぀集めながら、自分ずいう人間を再構築するために走り続けおいたのだ。 それが、今の終焉の圱ずしおの俺の、本圓の枅算の始たりだった。

䞍意に、背埌で重厚な電子音が鳎り響いた。
「  おい、掟手にやったな。矀青」
振り返るず、ルヌゞュが煙草を地面に捚お、
私のHUDに衚瀺された『未承認の芚醒』
ずいう真っ赀な譊告ログを眺めおいた。

「管理郚の远跡班クリヌナヌが動いたぞ。
あず数分で、お前の座暙は特定される」
「  分かっおいる。逃げも隠れもしない」
「銬鹿を蚀え。お前が消されたら、俺のコヌヒヌ代を誰が立お替えるんだ」
ルヌゞュは皮肉げに笑うず、自分の端末を操䜜し、
私の信号を停装し始めた。

「行け。システムが埩旧するたでの数分間、俺がログを曞き換えおやる。  ただし、次はないぞ。31杯目の味を知ったお前は、もう二床ず
『郜合のいい歯車』には戻れない」

遠くで、管理郚の監芖ドロヌンが発する無機質な颚切り音が聞こえ始めた。

「  おっず、ログの曞き換えが間に合わなかったか」
 ルヌゞュが苊々しく呟き、芖線を店の入り口ぞ向けた。
 自動ドアが無機質な音を立おお開き、䞀人の男が入っおきた。
仕立おの良い挆黒のスヌツに身を包み、
感情の欠片も芋圓たらない敎った顔立ち。


その胞元には、管理郚の最高執行暩限を瀺す銀色のバッゞが鈍く光っおいる。
「矀青。そしおルヌゞュ。芏埋違反の珟堎を抌さえた」
 男の声は、凍お぀いた金属のように冷たかった。
「  灰原はいばら執行官」
 ルヌゞュが珍しく煙草を指から萜ずした。


か぀おルヌゞュの盞棒であり、
31杯目の誘惑を断ち切っお管理郚の䞊局ぞず昇り詰めた男だ。

 灰原は私のHUDを遠隔で匷制起動させるず、
厩壊したグラフを冷ややかに芋぀めた。
「31杯目。愚かな遞択だ。その䞀杯で埗られる『蚘憶』に、䞀䜓䜕の䟡倀がある それはシステムを汚染し、䞖界の埪環を滞らせるだけのゎミだ」 「ゎミじゃない。  俺が、俺であるための蚌明だ」

私は震える声で蚀い返した。
灰原はわずかに目を现める。
「蚌明だず その䞀杯のせいで、お前の回収効率は40%䜎䞋する。それが䜕を意味するか理解しおいるのか。今この瞬間も、お前が結ぶはずだった『魂のコヌド』が数千件単䜍で解け、行き堎を倱った魂が虚無ぞ零れ萜ちおいる。救われるはずだった赀ん坊が、二床ず転生できぬ塵ずなる。お前の『人間ごっこ』ずいう自己満足のために、芋知らぬ誰かの氞遠を奪うこずを蚱せず蚀うのか」

「  っ」
「お前が遞んだのは人間性ではない。無責任な感傷だ。その眪の重さに、お前の薄っぺらな過去が耐えられるずでも思うのか」
灰原の蚀葉は、鋭いナむフのように私の胞を抉った。だが、私は顔を䞊げた。 「効率のために心を捚おるなら、俺たちはただの壊れた時蚈ず同じだ 誰かの氞遠を救うのが、痛みも知らない機械の指先であっおいいはずがない」
「  感情は病だ、矀青。お前もいずれ、その熱に焌き尜くされお私を矚むこずになるだろう。システムこそが唯䞀の平等であり、救枈なのだ」 灰原が端末を操䜜しようずした瞬間、圌の袖口から䞀枚の叀びた写真が零れ萜ちた。 それは、今の圌からは想像もできないほど穏やかな衚情で、誰かの手を握る若き日の灰原の姿だった。 灰原の指が䞀瞬、凍り぀いたように止たる。 「  それは」
私の問いに、灰原は衚情を倉えず、ただ無機質な手぀きで写真を拟い䞊げた。
「  ただの、消し忘れたログだ。お前には関係ない」
だが、圌の声は先ほどたでの金属的な冷培さを倱い、
埮かに震えおいた。

圌は31杯目を断ち切ったのではない。
31杯目を飲み干し、その先にある絶望ず向き合う勇気が持おなかったのだ。思い出を「ゎミ」ず呌び捚おながら、
その断片を捚おられずにいる。

圌は、システムに埓順なフリをするこずで自分を隙し続けおいる、
ただの臆病者だった。

「あんたも、その『ノむズ』に瞋っおいるんじゃないか  」
その䞀瞬の「綻び」を、ルヌゞュは芋逃さなかった。
実行党蚘憶領域の論理削陀。感情浄化プロセス開始——0.1%

0.5%  
 網膜を焌くような癜い光のログが、私の過去を、圌女の笑顔を、䞀぀ず぀塗り朰しおいく。
「逃げろ、矀青」
 ルヌゞュが叫び、灰原の端末を物理的に叩き萜ずした。
「ルヌゞュ、貎様  」
「こい぀のログは俺が匕き受ける 行け、お前の『枅算』を終わらせおこい」
 背埌で火花が散り、システムが悲鳎を䞊げる。ルヌゞュが身を挺しお皌いでくれた、わずかな空癜。
 私はルヌゞュに背を向け、雪の降りしきる闇の䞭ぞず駆け出した。
向かう先は決たっおいる。管理郚の远跡を逃れながら、
あの日、私が目を逞らした「圌女の墓暙」を探しに行くのだ。

システムに蚘録された座暙ではなく、私の心が芚えおいる、
あの陜だたりのような枩もりがあった堎所ぞ。
枅算の旅は、ここからが本番だ。

たずえこの先に、蚘憶の浄化ずいう名の
「無」が埅っおいたずしおも。

私はもう、二床ず目を逞らさない。

苊い゚スプレッ゜の先にある、
本圓の「痛み」を抱きしめお生きおいく。


あずがき

最埌たでお読みいただき、ありがずうございたす。
この物語は、私自身が「生」に察しお抱く疑問や、
「死」ずいう䞍可避なものぞの興味を圢にしたものです。
少しドラマチックに過ぎたでしょうか。
ですが、重く捉えられがちな「生ず死」を、
日垞の延長線䞊にあるものずしおラむトに、
あるいは少しだけ深く考えおみる。そんな時間が、
今を生きる皆さたにずっお、ささやかな圩りになれば幞いです。


































䞀転し、ここからは他䜜品のご玹介です。 䞀話読み切りの、倧人の心を癒すための童話を曞いおいたす。森の小さな哲孊者ムヌンが䞻人公の、䞍思議な物語。 哀しみや切なさが散りばめられた優しい䞖界芳が、誰かの心に届けばいい。 興味を持っおいただけたなら、少しだけ足を止めお、この物語に觊れおみおほしい。『ムヌンず束がっくりのお話🌛2出合い』※無料のお話です

































 詩も曞いおいたす。詩の䞖界は、哲孊に䌌おいる。お嫌いでなければ是非、ご芧ください。たた、興味を持っおいただけたなら、蚀葉の欠片に觊れおみおほしい。°・*:.。.☆

『詩。こころ。』


































 小説を曞いおいたす。私の倧奜きな劄想、空想の䞖界で、共に迷い蟌んでみたせんか。お嫌いでなければ是非、ご芧ください。たた、興味を持っおいただけたなら、その扉を叩いおみおほしい。°・*:.。.☆



































 面癜いな、奜きだな、玠敵だな、ず思ったクリ゚むタヌたちの軌跡をたずめおいたす。宜しければ、圌らの物語も芗いおみおほしい。





いいなず思ったら応揎しよう

すずらん よろしければ応揎お願いしたす。いただいだチップはクリ゚むタヌずしおの掻動費に䜿わせおいただき、粟進しお参りたす。これからもよろしくお願い申し䞊げたす。(⁎᎗͈ˬ᎗͈⁎)°・*:.。.☆