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ドーピングOKの大会なのに、なぜか"ちゃんと頑張った人"が勝ってしまった話

最近見たニュースの中で、面白いものがありました。

ラスベガスで開催された「Enhanced Games」という、ドーピングを全面解禁したスポーツ大会です。

薬物OK、最新の医療技術もOK、なんでもあり。つまり、「人類最強決定戦」を本気でやろうみたいなノリです。

ただ、てっきり「一番お金と技術を注ぎ込んだ人が勝つんだろうな」と思っていたら、蓋を開けてみると意外な結果になっていました。


参加した42人の選手のうち、ほとんどがステロイドやEPO(赤血球を増やして酸素運搬能力を高めるもの)などを使って挑んだそうです。

それだけ聞くと世界記録が連発しそうなものですが、実際に公式記録を上回ったのはスイミングの1種目だけ。しかも男子・女子100mを制したのは、あえてドーピングなしのクリーンな状態で臨んで勝った選手たちでした。

優勝した選手自身が「化学より根性の方が勝つ証明だ」というようなことを語っていたのも、地味に刺さりました。


このニュース、スポーツの話として読むと面白くないんですが、仕事や勉強に置き換えると急に他人事じゃなくなります。

僕はこれを見て、自分の失敗を思い出してしまったんですよね。
noteを始めたばかりの時、フォロワーを伸ばすために「伸びるテンプレ」みたいなものを必死に追いかけていた時期がありました。共同マガジンとか相互フォローとかも含め。

テンプレでいうと、冒頭はこの構成、オチはこのパターン、みたいな型を見つけては真似して。最初は確かに伸びるんです、書きやすいし。

でも何本か書いてみると、タイムラインが同じ型の投稿だらけになって、逆に自分の投稿も埋もれていくみたいなことが起こりました。

要はテンプレって、みんなが使い始めたら効果を失っていくんです。

今思えば、これって全員が同じ薬を打っている大会で自分も薬を打っているのと同じで、差別化には一切なっていなかったんですよね。


面白いのは、同じ構造が世界最先端の場所でも起きていることです。

シリコンバレーで最高レベルの技術者たちがAIや量子コンピュータを研究しているんですが、彼らは週末になると、なぜかスマホの電波が届かない山にキャンプへ行くらしいんです。

効率だけで考えたら意味が分かりません。ChatGPTに聞けばいいし、自然を見たければVRで済ませればいい。でも敢えて非効率なことをする。

おそらく彼らも、効率化ツールの使い方では差がつかないことに気づいていて、ツールでは埋められない「思考の質」や「体力」の方に投資しているんだと思います。

テンプレも効率化ツールも、使えるようになった瞬間に前提になる。前提の先で差がつくのは、結局そこじゃない部分なんですよね。


僕自身、この「前提の先」で一番痛い失敗をしたのが、実は子育てでした。副業をしていると家にいてもタスクがなくならないので、子供を横目で見ながら仕事をこなす、みたいなことがよくあったんです。

これ、一見マルチタスクで効率的に見えるじゃないですか!

でも実際にやっていたのは、ただ目で追っているだけでした。「お父さん見て、こんなんできたよ!」と言われても、「すごいね〜」みたいな、中身のない返事しかできていなかったんです。子供はたぶん、それに気づいていました。

さすがにこれはまずいなと思って、マイルールを決めました。

子供が起きている間は仕事のことを完全に忘れて全力で遊ぶ、話をちゃんと聞く。仕事は、子供が寝てからやる。効率化とは真逆の、むしろ「今やらなくていいタスクは、いっそ手放す」くらいのつもりでした。

そうしたら、だんだん子供の方も僕の話を聞いてくれるようになって、関係も良くなって、勉強や生活習慣までうまく回り始めたんです。

何より大きかったのは、僕自身がマルチタスクで疲弊することがなくなったこと。

中途半端に2つのことをやり続けるより、1つを手放して1つに集中する方が、結果的に両方うまくいく。

ドーピング解禁大会で、ドーピングという「近道」よりも、ちゃんと積み上げた基礎の方が勝ったのと、たぶん根っこは同じ話です。

誤解しないでほしいのは、AIや効率化ツール自体をやめるわけではありません。むしろ毎日使い続けています。ただ、それはもう「差別化の手段」ではなく「前提条件」として使う、という話です。

今回の話、ドーピングはダメ!という道徳の話じゃなくて、「近道した人が勝つと思ったら、ちゃんと積み上げた人が勝った」という、地味に痛快な話だと思うんです。

裏技を探す時間があったら、裏技じゃない部分を積み上げる。それだけで、実はけっこう戦えるのかもしれません。

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