10円を惜しむ夫、罪悪感から逃げたい妻
~26歳下セネガル夫とのチグハグな週末婚の記録~
夫はファストフードの注文に本気を出す。
セットは安い。でもドリンクはいらない。
「これクーポンつかってバラで買った方が安くない?」
10円でも安くなる方法のために、指と暗算をフル稼働させメニューを凝視する。
(大して変わんねーよ。早くウーバーしようぜ。こちとら腹ペコなんだよ!)
黒い私が暴れるが、口に出すと戦争が始まるので、
「お腹空いたねー」とだけ伝える。
納得のいく注文ができた夫は、まだ食べちゃいないのに満足そうだ。
一方、大好きな洋服にはブレーキがない。
セールが大好きなのは、以前披露した。
だが、定価でも顔色一つ変えずカートに放り込む。
ある日、大量の夏物をドサッと私の前に置いた。
「これ捨てるにはどうしたらいい?」
まだまだ現役で活躍できそうなTシャツや、パンツたちだった。
「えーこれ捨てるの?もう着ないの?」
「もう着ない。捨てたい」
衣類のゴミ収集日を教えると、
「その日に出すよ」と、あっさり。
捨てるつもりの服を漁ると、ほとんどが夫の大好きなZA●A。
「これ、試しにリサイクルショップに持っていっていい?」
夫は「好きにしていいよ」と言った。
夫の中で、それらはすでに『ゴミ』だった。
私は捨てられるはずだった衣類を洗濯し、リサイクルショップへ持ち込んだ。
以前、自分の服を持ち込んだときは、最高で1着50円くらいだった。
金額は期待していない。
捨てる罪悪感が少しでも楽になれば、少額でもいい。
夫の古着にも期待はしていなかった。
ところが、夫が捨てるはずだったTシャツには1着800円の値がついた。
びっくりして、スタッフに「こんなにもらっていいの?」と聞いてしまった。査定は8着で合計4000円強。
10円のためにファストフードの買い方を研究する夫に、売上を報告した。
夫は「もっと売ろう!」と、冗談めかして言った。
だが、売上金は受け取らなかった。
「捨てるつもりだったものは、もう自分のものじゃないから」と夫。
10円のために電卓をたたく男が、こういうところは妙に潔い。
売上金で、またファストフードをウーバーしような。
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