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明確な目的がないなら、大企業に入ろう【転職2回を経てたどり着いた結論】

就活の時期になると、「大手かベンチャーか」という話をよく耳にします。
裁量を持って働きたい、若いうちから任される環境がいい、という言葉もセットでついてきます。
私は新卒で大手の事業会社に入り、そこからベンチャーへ移り、その後はコンサルティングファームに入りました。二回の転職を経て思うのは、順番には向き不向きがある、ということです。
ベンチャーが悪いという話ではありません。

目的がないなら、少しでも大きい会社へ

先に結論を書きます。
明確な目的や目標がないのであれば、新卒カードは少しでも大きい会社に入るために使ったほうがいい。
これが、いま就職活動をしている人に一番言いたいことです。
私のキャリアは、新卒で大手企業、次にベンチャー、そして大手コンサルティングファームという順路をたどっています。大手からベンチャーへ出て、また大手に戻ってきた形です。二回の転職と言っても、業界を渡り歩いたというより会社の規模を行き来した経験に近い。
この主張はキャリア論として一般化したいわけではありません。
実際にその順路を通ってきた人間として、その順番だったから取れた選択肢がいくつもあった、という実感から書いています。
もちろん、やりたいことがはっきりしている人は別です。
この会社でこの仕事がしたい、この領域で早く一人前になりたいという目的が先にあるなら、規模の大小は判断材料のひとつにすぎません。
問題は、そこまで固まっていないときです。多くの就活生がそうだと思いますし、私自身もそうでした。目的が定まっていない状態で最初の一社を選ぶなら、その後に選び直せる余地が大きいほうを取っておく。それが、いま振り返って一番意味のある判断でした。

「ベンチャーから大手は難しい」の、その先

「大手からベンチャーに行くのは簡単だけど、ベンチャーから大手は難しい」。よく言われる話です。そして、これ自体は間違っていないと思います。転職市場を見ていると、この非対称は確かに存在します。
ただ、ここから先にもう一段あります。大手企業での経験がある人の場合、あいだにベンチャーを挟んでも大手に戻れる確率は高い。一方通行に見える道が、往復可能になるのです。
理由は能力はもちろんですが、お作法の話だと思っています。大手、とくに歴史のある日本企業には独特のルールや風習があります。稟議の通し方、根回しの順番、社内文書の作り方、会議で誰にどう説明するか。書かれていないものも多い。それに一度でも体を慣らしておくと、戻ったときに違和感なく動けます。逆に一度も経験していない人にとっては、外から見て理不尽にしか見えない部分が多いはずです。
過去大手にいたという事実だけで通用するほど甘くはありません。ただ、実力があってもお作法を知らないせいで評価されないという事態は起こりえます。大手経験は、その手前でつまずくのを防いでくれる。通行証のようなものだと捉えています。
だからこそ、最初に大企業に入ることはその後の選択肢を大きく広げます。ベンチャーに行きたくなったら行けばいい。合わなければ戻る道も残っている。片道切符にならずに済むのです。

お金をもらいながら社会人の基礎を学べる場所

私自身、最初に大手企業に入って本当に良かったと感じています。研修が丁寧で、何も知らない状態から始めても順を追って教えてもらえる。住まいの補助が手厚く、生活の基盤を安く確保できる。そして優秀な同期がいました。
ひとつずつ挙げていくと福利厚生の話に見えますが、私の感覚では少し違います。社会人としての助走期間を、会社が用意してくれていたということだと思っています。
社会人を始めるにあたって必要なものは、専門スキルよりもっと手前にあります。仕事の進め方、報告の仕方、他人と組んで動くときの感覚。そういう基礎をお金をもらいながら学べる。これができるのはやはり大企業です。研修に人と時間を割ける会社でなければ、この期間そのものが存在しません。
この助走期間があったかどうかは、後になってから効いてきます。基礎が入っている状態で環境を変えるのと、入っていない状態で変えるのとでは、同じ環境に置かれても得られるものがまったく違ってくる。私がそう感じるようになったのは、次の会社に移ってからでした。

ベンチャーが楽しかったのは基礎ができていたからだった

ある程度、仕事の進め方や社会人としての経験を積んだあとの「仕事のしやすさ」で言えば、ベンチャーのほうが圧倒的でした。
「こんなにも自分のやりたいことを通すのが楽なのか」
ハンコもいらない。口頭で説明して了承をもらえば、そのまま話がどんどん進んでいく。このスピード感はベンチャーでしか味わえないものだと思います。希望を出していろいろな部署への転属も叶いました。動きたい方向に動ける環境でした。合う人にはものすごく合う環境だと思います。
一方で、気になる点も多くありました。社員の質にばらつきがあること。飛び抜けて優秀な人もいれば、そうでない人もいる。制度もまだ整っていない。給与もそうです。
そして一番引っかかったのが、新卒で入ってきた子たちが何の研修もないままテレアポを始めていたことです。ひたすらアポを取り続ける。それに嫌気がさして辞めていく子も多かった。その辞め方をしてしまうと、その後のキャリアの予後は良くなさそうだなと見ていて思いました。何も身についていないまま、最初の職歴だけが残ってしまう。
同じ会社で、私はやりたいことを通せて、彼らは疲弊して辞めていく。この差は本人の能力よりも、そこに入るまでに何を持っていたかの違いが大きかったのではないかと思っています。ベンチャーが良い環境かどうかではなく、順番の問題です。

熱量が「裁量権がほしい」くらいなら、急がなくていい

私も結局、コンサルへ転職しました。このとき、最初の会社での経験があったことが幸いしました。大手特有の進め方や空気に体が馴染んでいたぶん、そこまでのギャップを感じずに入ることができた。ベンチャーからそのまま来ていたら、かなり堅苦しく感じたと思います。同じ会社に同じ実力で入っても、しんどさがまったく違ったはずです。(もちろんコンサル独特の働き方のGapはありましたが…)
ベンチャーを挟んでも戻ってこられたのは、最初に大手を経ていたことも大きな理由だと個人的に思っています。
二番目の会社ではなく、一番目の会社が効いていた。
順番の話だと言ってきたのは、こういうことです。
そのうえで、いま迷っている人に伝えたいのはこれです。やりたいことが明確にあるわけではないけれど、ベンチャーに入って裁量権を持って仕事がしたい。もし熱量がそのくらいなのであれば、大手に入ってからでも遅くありません。
裁量がほしいという気持ちは、その会社でなければ満たせないものではない。基礎を身につけてから移っても、むしろそのほうが裁量を活かせます。急いで飛び込む必要はない、という話です。

あとから選び直せるほうを、先に取っておく

明確な目的がないなら、少しでも大きい会社に入る。
私が二回の転職を通じて実感したのは、この選択が後の選択肢を広げてくれるということでした。
大手経験は社会人の基礎を身につける助走期間になり、ベンチャーへ出てまた戻るときの通行証にもなります。力があることが前提ではありますが、この二つが効くタイミングは、キャリアの最初にしか来ません。
ベンチャーが劣っているという話ではありません。
私自身、あの働きやすさは本物だったと思っています。
ただ、それを味わえたのは基礎ができたあとだったからです。
いま迷っているなら、どちらが正解かを決めようとしなくていいと思います。あとから選び直せるほうを先に取っておく。
それだけで、数年後に取れる手はかなり増えます。

#キャリア #就職活動 #転職

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