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ちょいちょい書くかもしれない日記(グッドバイ)

明日からいよいよ本格的に学校デスマ期間が始まる。10月末までは時間も体力も溶けたままで駆け抜けなくてはならない。
原稿半分、予習半分で作業をしていたら、知らない携帯番号から着信した。
いつもなら出ずに、まともな用ならメッセージなり、留守電なり……と思うところだが、何となく気になって出てみたら、母方の伯母からだった。
母にとっては姉にあたる人である。
その伯母の弟であり、母の兄である人、私にとっては伯父が亡くなったという。
家族とお喋りしながら和やかに亡くなったとのことで、かの人らしいハッピーな最期だなと思った。
私が伯父と最後に話したのは、3年前に父の死を知らせたときだが、そのときも、両親のことより私の心配をしてくれた。
祖母とロンドン旅行に行けたのも、この伯父の太っ腹具合によるところが大きい。
家族葬にするから、参列もお香典もお花も弔電も何もしないでということで、「そうだよね、それがいちばんだよね」と深く頷きつつも、父のときにお花をいただいてしまったので、申し訳なく思う。

伯母と話したのは、昨年、彼女の夫が亡くなったとき以来だが、伯母はそれから自宅を処分し、サービス付き高齢者住宅に入居したらしい。
検索してみたら、でっかいお風呂はあるわ、共用スペースは充実しているわ、提携病院は最高のところだわで、素敵そうなお住まいである。
母よりだいぶ年上なのだが、伯母は本当にこういうところ、しっかり人生の選択を自力で着実に重ねているなという感じがする。
妹たちが次々と認知症で衰えていく中、伯母は未だ意気軒昂だ。
やはり、若い頃の苦労を経て、中年以降、趣味とボランティアに生きただけあって、他人様のため、そして自分自身のために、バランスよく時間と労力を使ってきた成果なんだろうな。
あと、社交の鬼であるところも大きいとみた。
女児に恵まれなかったこともあってか、お雛様を貸してくれたり、立派な子供向けの名作全集を譲ってくれたりと、間接的に可愛がってもらった。
直接的にではないのは、妹、つまり母とそこまで気が合うほうではなかったからかもしれない。でも仲が悪いわけでもなかった。
そういえば、4歳児の私に500円札(当時は札だったのだ)をお小遣いにくれたのも、その伯母だった。
昭和40年代はたいそうワイルドだったので、4歳児がひとりで伯母を電車の駅までお見送りするという謎イベントが発生したのである。
そのお金を持って真っ直ぐ駅前の書店に入り、絵本を買った私もわりとどうかしている。
かつて、私の見合い用の服を見立てるという名目で、最初で最後の二人きりのお出掛けをしたとき、伯母は私に、「少しでもしたくない気持ちがあるんやったら、結婚なんかせずに、ひとりで生きたほうがいい」と言ってくれた。
「お嬢さんらしい服なんていうのは、男側の親に媚びる服よ。買うならあんたらしい服でないとあかん」とも言った。当時としては、なかなか凄い発言である。
「女が医者なんかになるから行き遅れる」だの「高学歴なんか何の意味もない」だの「ひとりぼっちで死ぬのは寂しいわよ」だの「結婚して子供を持って初めて一人前」だのという言葉を四方八方から浴びせられて溺れそうになっていた私にとっては、伯母の言葉がたった一本の糸となった。
ちなみに、伯母は美容院にまで連れて行ってくれたのだが、見立ててくれた服も、新しい髪型も、母のお好みにはまったく合わず、バチギレしていた。
「お見合いを成功させるつもりがあるのかしら! こんな可愛げのない服に髪型!」と怒っていたが、私はニヤニヤしていた。悪い伯母と娘である。
現在、伯母は私の本「祖母姫、ロンドンへ行く!」をアマゾンで買っては、マンションで早くもできたお友達に配り倒しているらしい。ありがてえ。
そりゃ、自分の母親と姪の話だもんな……。いい話のタネになりそう。
近いうちに遊びに行く約束をした。
私はたぶん、あの日、伯母が望んでくれた人生を生きているように思う。
そして、本当は伯母みたいに、母にも豊かで楽しい老後を過ごしてほしかったんだよな、とも思う。
「気にはなってるんやけどね、話が通じへんのやったら会うても虚しいわ」と、母について伯母はそんなことを言った。
そのとおりです。でもまあ、気が向いたら会ってあげてとお願いした。昔のことは、それなりに覚えているときもあるからと。

施設に電話して許可をもらい、母にも伝えに行った。
理解できようができまいが、母にとっては初めてのきょうだいの死である。
知らせないのはフェアではないと思った。
母は、はらはらっと泣いて、2分くらいで自分が泣いている理由を忘れて、「今日は何を持ってきてくれたの?」と私に訊ねた。
おやつ運び女のバッグには、いつも何らかのおやつが入っている。
だいたい、「こんなこともあろうかと」の精神で生きている。ミニマリストになれるわけがない。
ありがとう東ハトさん。ありがとうSALTY。
何味であっても、母は君が大好きなようです。



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椹野道流 こんなご時世なのでお気遣いなく、気楽に楽しんでいってください。でも、もしいただけてしまった場合は、猫と私のおやつが増えます。