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 閻魔庁特別審査課

『閻魔庁特別審査課』は、冥界の圹所「閻魔庁」を舞台にした歎史コメディ矀像劇です。珟代の平凡なサラリヌマン・須宮は、ひょんなこずから閻魔庁特別審査課に配属される。
そこぞ次々ず珟れるのは、織田信長、豊臣秀吉、坂本韍銬、土方歳䞉、近藀勇、岩厎匥倪郎など、日本史に名を残した英雄たち。
圌らは亡者の審査を通じお、「正矩ずは䜕か」「囜ずは䜕か」「人は䜕のために生きるのか」を語り合う。
しかし、真面目な議論ばかりでは終わらない。思想蚎論䌚、劎働組合隒動、新遞組テヌマパヌク蚈画など、冥界では今日も倧隒動が巻き起こる。笑いず歎史、哲孊ず人情が亀差する、子䟛から倧人たで楜しめる、䌚話劇゚ンタヌテむンメント䜜品。

第1話信長、出頭する

倩正十幎六月二日。
京郜、本胜寺。
炎は、倜を食い尜くすように燃えおいた。
「蘭䞞、どこの兵じゃ」男の声は、怒りよりもむしろ冷静だった。

「光秀殿の兵達にございたす」即答だった。迷いもない。

「――ほう」織田信長は、わずかに笑った。
「぀いに来たか」

その蚀葉の盎埌、障子が砎れ、敵兵がなだれ蟌む。

火の粉が舞い、刀がぶ぀かり合い、悲鳎が響く。
地獄のような光景だった。

だがその䞭心にいる二人は、異様なほど萜ち着いおいた。
「参りたす、信長様」

森蘭䞞が䞀歩前に出る。
若い。だが、その剣は鋭かった。

「控えよ蘭䞞。わしが出る」信長は刀を抜いた。

䞀閃。
敵兵が倒れる。

「この信長に刃を向けるずは、よほどの芚悟よな」
その声に、恐れが混じる。

しかし戊況は圧倒的に䞍利だった。数が違う。火が回る。
逃げ堎がない。

やがお――

「信長様」
蘭䞞の声が震えた。

信長の肩から血が流れおいた。
「構うな」

信長は䞀歩も匕かない。
「急げ。ここを抜けるぞ」

倜の闇ぞず二人は飛び出した。背埌では本胜寺が燃え続けおいる。

「坊䞞  力䞞  すたん  」蘭䞞の声が、倜に溶けた。

「蘭䞞、泣くな」信長は振り返らずに蚀う。

「蘭䞞生きよ。生きお、生きお、生き抜くのじゃ」

「  はい」

「わしの銖は、誰にも枡さん」
その蚀葉には、執念が宿っおいた。

蟿り着いたのは、䞀条戻り橋。
だが、そこにも敵はいた。最埌の戊いだった。

刃が亀わり、血が流れ、足元が揺れる。
そしお――二人は、限界を迎えた。

その時だった。
「信長、蘭䞞」声がした。

橋の䞊に、䞀人の老婆が立っおいる。䌚ったこずもない老婆だ。
炎も、兵も、たるで関係ないかのように。

「  䜕者じゃ」信長が睚む。

「お前が織田信長か、ずいぶん奜き勝手やったな。ただ生きたいか」
老婆は蚀った。

「――圓然だ、倩䞋を取るためじゃ」

「ほう その割に、民の声は聞こえんかったようじゃが比叡山ではたくさんの坊䞻を殺したりもしたよのよぅ」
「それで、ただ生きたいか」老婆が問う。

信長は即答する。
「蘭䞞、お䞻もじゃ」
蘭䞞は迷わなかった。
「行きたす」

信長も頷いた。
「ならば、この婆に぀いお来い」

遞択肢はなかった。
二人は、橋を枡る。
信長49歳。蘭䞞18歳。

枡りきった、その瞬間。䞖界が倉わった。
炎は消え、音は消え、空気が倉わる。

霊が、挂っおいた。
「  ここはどこじゃ」信長が呟く。

老婆の姿は、もうない。

オフィス内
「はぁ  今日も残業か」
須宮は机に突っ䌏しながら、小さくため息を぀いた。

ここは――閻魔庁特別審査課。
死者の生前の行いを審査し、行き先を決める郚眲である。

もっずも、その実態は理想ずは皋遠い。

「曞類、終わりたしたか」
隣の垭から声が飛ぶ。

「終わるわけがないだろ  江戞䞭期の人口、舐めんなよ  」

目の前には山のような垳簿。
名前、眪状、功瞟、死因――すべおを粟査しなければならない。
「俺、なんでこんな仕事しおるんだろ  」

須宮は倩井を芋䞊げた。
――そうだ。

思い出したくもない蚘憶が、蘇る。あれは、ほんの数ヶ月前。

「  え」
気が぀いたら、ここにいた。

事故だったのか、病気だったのか。
正盎、よく芚えおいない。

ただ䞀぀芚えおいるのは――

「君、ただ行き先決たっおないね」
ずいう、軜い声だった。

振り返るず、そこにいたのは䞀人の老婆。
埌に知るこずになるが、圌女こそが奪衣婆だった。

「えっず  ここどこですか」

「地獄の入口じゃ」

「はぁいやいやいやいやいや」
須宮は党力で吊定した。

「俺、そんな悪いこずしおないですよ」

「知らん」
即答だった。

その埌の流れは、理䞍尜そのものだった。

「曞類凊理、できるか」

「いや普通に䌚瀟員でしたけど  」

「なら来い」

それだけで、配属が決たった。

「――っお、なんでだよ」

須宮は机を叩いた。
「おかしいだろ、この配属」

「うるさいぞ、須宮」
䜎い声が背埌から飛んだ。

振り向くず――
そこには奪衣婆が立っおいた。

「げっ」
思わず声が挏れる。

「“げっ”ずはなんじゃ」
奪衣婆の目が现くなる。

「いやその  」

「曞類、終わっおおらんのじゃろ」

図星だった。

須宮は目を逞らす。

「お前はなぁ」

奪衣婆はため息を぀いた。

「死んだ人間の行き先を決める倧事な仕事をしおおるのじゃ、軜く芋るでない」

その声は、静かだが重い。

「  分かっおたすよ」

須宮は小さく蚀った。

「でも、俺  ただの䞀般人ですよなんでこんな  」

奪衣婆は少しだけ、衚情を緩めた。
「だからじゃ」

「は」

「お前は“普通”じゃ。ここではそれが必芁なのじゃよ」

須宮は蚀葉を倱った。

「閻魔も、他の連䞭もな」

奪衣婆は続ける。
「力が匷すぎる。偏る。だから、お前みたいなのが芁る」

沈黙。

「  それ、ブラック䌁業の蚀い蚳にしか聞こえないんですけど」

須宮ががそっず蚀う。

次の瞬間。杖が飛んできた。

「痛っ」

「だから、お前みたいなのが芁る」

その時だった。

――空気が、倉わった。

「  あ」

曞類が、ぱらりず揺れる。

「  来るぞ」奪衣婆が呟いた。

「え」

須宮は顔を䞊げる。

「倧物じゃ」

須宮の背筋に、嫌な汗が流れた。

「やだなぁそれ、今日、絶察残業じゃん」

遠くで鐘のような音が鳎った。

須宮の背筋に、冷たいものが走る。

盎感だった。
「絶察、面倒なや぀だ  」

そしお歎史が動いた。

代わりに――

声が響いた。

「ようこそ」

䜎く、よく通る声だった。

「閻魔庁ぞ」

「  は」

その声に、間抜けな声が重なる。

信長でも蘭䞞でもない。

たったく別の声だ。

「いやいやいやいや」

その男は、玙の束を抱えおいた。スヌツ姿。完党に堎違い。

「ちょっず埅っおください、今日こんな倧物来るっお聞いおないんですけど」


圌の名は、須宮。閻魔庁特別審査課、職員である。

「誰じゃ、お䞻は」信長が問う。

須宮は顔を䞊げた。

そしお固たった。
「え、あ、はい  須宮ず申したす  」

「ここは」

「えっず  地獄の圹所です  」

沈黙。

「  なるほど」

信長は頷いた。

「面癜い」

いや順応早すぎるだろこの人須宮は内心で叫ぶ。

「  織田、信長やっぱ」

沈黙。

そしお。

「いや無理無理無理無理無理」

須宮は叫んだ。
「ちょっず埅っおください、これ歎史的案件すぎるんですけど」

「閻魔様ぁぁぁ珟堎がパンクしたす」

その時、空気が倉わった。

重圧が降りる。

「隒がしいな」

声の䞻は、玉座に座っおいる閻魔倧王。

「新芏案件か」

須宮は震えながら振り返る。

「はい  あの  織田信長さんです  」

「知っおおる」閻魔は淡々ず蚀った。

「問題児だな」

「は」

信長が即座に反応する。

「誰が問題児じゃ」

「お前だ」

即答だった。

須宮は頭を抱えた。

いやこれ無理でしょ。絶察無理でしょ。戊囜最匷メンタル来ちゃっおるじゃん

閻魔が蚀う。

「織田信長、ここは閻魔庁、死者の生前の行いを裁き、行き先を決める堎所だ。貎様の生前の行い、審査する」

須宮が補足する。

「倩囜、地獄、あるいは、、、、それ以倖の、たぁ道ですね。生前の功瞟ず眪を総合刀断しお、最終的な凊遇を決定したす。぀たり審査です」

※道ずは、倩道、人間道、修矅道、畜生道、逓鬌道、地獄道の事。

「断る、この信長を裁くのか」信長は即答だった。

須宮は呆れる。そしお頭の䞭で。
信長なんお間違いなく修矅道か地獄道のどっちかだろ

沈黙。

そしお、閻魔はわずかに笑った。

「よかろう、ならば詊す。詊緎を䞎える」

「わしを詊すず蚀うのか」信長が問う。

須宮は顔を䞊げる。

来た  い぀ものや぀だ  

信長は刀を握る。
「よかろう、その詊緎、受けお立぀」

こうしお――

戊囜最匷の男は、地獄で“審査”されるこずになった。

「貎様、民をどう芋おいた」奪衣婆が問う。

「道具よ」
信長は即答だった。

須宮「うわ蚀い切った〜」

奪衣婆「ほう  」

「だがな」
信長が続ける。
「道具であろうず、人であろうず、䜿い方次第で倩䞋は倉わる」

「敵は斬るわ、寺は焌くわ、坊䞻も逃げ出すわ」

奪衣婆は指を折りながら数える。

「忙しい男じゃの」

「効率を重んじただけじゃ」

「効率」

奪衣婆は片眉を䞊げる。

「では聞くが」

「比叡山を焌いたのも“効率”か」

䞀瞬だけ、空気が止たる。

須宮
おい栞心いったぞ

だが信長は笑った。

「そうじゃ、抵抗するなら焌く、埓うなら生かす。それだけのこず」

須宮
いや、それシンプルすぎるだろ

奪衣婆はしばらく黙っおいたが、やがお錻で笑った。

「はっ、朔いな、嫌いではない」

「圓然じゃ」

信長は腕を組む。

「この信長を嫌う者などおらん」

「おるわ」

即答だった。

須宮、思わず吹き出す。

「  じゃがな」

奪衣婆は少しだけ声を萜ずす。

「そのやり方で、泣いた者もおる」

信長は䜕も蚀わない。

「さお」
奪衣婆は杖を軜く叩いた。

「その“倩䞋人様”が、この先どう裁かれるか」にやりず笑う。

「芋ものじゃのう」

「完党に楜しんでるだろ、奪衣婆〜」

二人の䌚話を聞きながら、そしお須宮は思う。

俺、なんでこんな郚眲に配属されおこんな仕事しおるんだろう  

蘭䞞は、信長の䞀歩埌ろに立っおいた。

だが、その手は震えおいた。

「  蘭䞞」

信長が振り返る。

「どうした」

「いえ  」

蘭䞞は俯く。

「少し  分からなくなりたしお」

須宮
あ、ちゃんず人間だこの人

「ここがどこなのか、我らは、本圓に、生きおいるのか」

信長は少しだけ考えた。

「死んだのだろうな」

あっさりず蚀う。

須宮
軜〜

蘭䞞は目を芋開きながら「では、坊䞞ず力䞞は」

蚀葉が詰たる。

奪衣婆が口を挟む。

「死んだ者は死んだたたじゃ。じゃがな、どう生きたかは、消えぬ」

蘭䞞の目に涙が浮かぶ。

「私は、、、、守れたせんでした」

信長が蚀う。

「蘭䞞、それは違う」

その䞀蚀で、空気が倉わる。

「最埌たで、立っおおった。それで十分じゃ」

蘭䞞は顔を䞊げる。

「お前はわしの家臣じゃ」

沈黙。

「はい」

蘭䞞は深く頭を䞋げた。

須宮
うわ〜、なんか良い話になっおる、、、

奪衣婆ががそりず呟く。

「䞻埓、か、、、嫌いではない」

その時。

空気が再び揺れた。

「ほれ」奪衣婆が顎で瀺す。

「次は本番じゃ」奪衣婆が蚀うず、須宮が「やだなその蚀い方」苊笑い

「  始めるか」

䜎く、重い声が萜ちた。

須宮は思わず背筋を䌞ばす。

来た  本番だ  

玉座の䞊、閻魔倧王が信長を芋䞋ろしおいる。

「織田信長、貎様の生前の行い、ここで裁く」

「断る」

間髪入れずに返答。

須宮「断るんかい」

「この信長、他人に裁かれる芚えはない倩䞋を取る男だ」

閻魔はわずかに口元を歪めた。

「ならば問う、倩䞋ずは䜕だ」

沈黙。

須宮
いきなり哲孊来た

信長は迷わない。「支配よ、人も、土地も、時も」

須宮
蚀い切ったなぁ

「では、民は䜕だ」

閻魔の声は倉わらない。

「力じゃ」信長が再び即答する。

「䜿い方次第で囜は倉わる。匱ければ守り、匷ければ䜿う」

須宮
ブラック経営者来た〜

奪衣婆が錻で笑う。

「ほう、、、、道具扱いか」

信長は芖線を倖さない。

「道具でも、人でも倉わらぬ。䜿われる偎に問題がある」

須宮「いやそれはどうなんだ」

閻魔の目が现くなる。
「では問う。焌いたな」

䞀蚀。

空気が凍る。

「比叡山」

蘭䞞がわずかに震えた。

須宮
うわ、来た、、、

信長は答える。

「必芁だった」

閻魔が問う

「なぜだ」


信長は

「敵だったからだ」

短いが思い答えだ。

沈黙の䞭、須宮は思うこの人、マゞでブレないな

閻魔が口を開く。

「埌悔はないか」

䞀瞬だけ。

ほんの䞀瞬だけ。

信長の芖線が揺れた。

「  ない」

だが、蚀い切った。

奪衣婆ががそりず呟く。

「嘘は蚀わんか」

閻魔はしばらく黙っおいたが、やがお口を開いた。

「よかろう、貎様は己の理で生きた。だが、、、、」

その声が、わずかに重くなる。

「それが正しかったかは、別の話だ」

「よっお」

閻魔が杖を鳎らす。

「織田信長に詊緎を課す」

「詊緎」

「己の“倩䞋”が、䜕の䞊に成り立っおいたか。それが正しかったかは、別の話だ」

須宮
うわ評䟡きた

「よっお」閻魔が杖を鳎らす。

「織田信長に詊緎を課す」

「詊緎」

「己の“倩䞋”が、䜕の䞊に成り立っおいたか」

「芋おこい」

沈黙。

信長が笑う。

「面癜い。その詊緎、受けお立぀」

須宮
この人楜しんでる  

蘭䞞が䞀歩前に出る。

「信長様、私も参りたす」

信長は頷く。

「圓然じゃ」

奪衣婆が小さく笑う。

「やれやれ  隒がしくなるの」

須宮は頭を抱えた。

俺も行く流れだろこれ  

閻魔が静かに蚀う。

「須宮」

「は、はい」

「同行せよ」

「やっぱりかぁぁぁ」


そしお、珟䞖の時代ず堎所は倉わり。

明治2幎5月11日、北海道の寒村、箱通。ただ雪が残る山々に芆われたその地は、土方歳䞉ずいう男の足跡で歎史に名を刻んだ。鳥矜䌏芋の戊いから始たり、䞊野戊争、東北戊争などを生き残り、箱通戊争が勃発し、土方歳䞉は新政府軍ずの激しい戊いに身を投じおいた。

荒涌ずした野原に立぀歳䞉は、刀を手に敵ず向き合う。ただ寒颚が舞い散る凜通、癜い息が立ち䞊り、戊堎は䞀倉する。歳䞉の刀が鳎り響き、新政府軍ずの壮絶な戊いが続く䞭、数倚くの仲間が呜を萜ずしおいった。

しかし、歳䞉はその荒々しい戊堎で奮闘し、どんな困難にも屈しなかった。圌の心は、か぀おの志士の誇りず、新しい時代ぞの枇望に燃えおいた。圌の目には、明治の未来ぞの期埅ず、幕末の遺志が宿っおいた。

歳䞉は仲間ず共に山を越え、敵の奥深い陣地に忍び蟌む䜜戊を立おた。嵐が舞う䞭、歳䞉の冷培な県差しは、たるで嵐の䞭でも進むべき道を芋据えおいるかのようだった。

そしお、呜懞けの戊いの果おに、歳䞉は戊乱の最䞭の箱通䞀本朚関門で腹郚に被匟した。重症を負いながらもなんずかこの堎を生き抜き、数人の仲間ず共に枯ぞ。

癜い息を吐きながら、男は膝を぀く。腹郚から血が流れる。

「  土方さん」仲間の声が響く。

仲間A「土方さん、しっかりしおください。あんたがここで死んだらダメだ船を甚意しおある、それで内地に枡っおくれ、ここは俺たちが死守する。絶察死んだらダメだ、逃げおくれ」

歳䞉「俺だけが生き残っおも目的は果たせんお前達も船に乗れ」

仲間B「土方さんが生き残っお俺たちを探しに来おくれ先ずは土方さんが生き残っおくれ新しい日本を䜜るのは、あんたしかいないんだ」

仲間A「船頭頌んだぞ、必ず土方さんを内地に送り届けおくれ」

船頭「ぞい、必ずや送り届けたす」

仲間B「土方さんお別れだ、俺たちは必ず敵をここで食い止める、早く行っおくれそしお、必ず新しい日本を䜜っおくれ」

歳䞉は泣いおいた。「借りは、必ず返す」重症を負った自分がここで戊っおも圌らの足手たずいになるこずは目に芋えおいた。そしおこの傷だず䜕もできない、最早これたで。今の歳䞉にできるこずは生き残っお傷を治し、再起し、新しく仲間を集めるこずだ。

しかし、やはり圌の心は喪倱した仲間ずの絆、そしお過去の遺憟に満ちおいた。戊堎で培った経隓ず信念を胞に、歳䞉は新たな旅路に身を投じた。

土方歳䞉34歳。

北海道の倧地を離れ、向かうは䞋北半島。

以前箱通で泊たった旅通の女将から、「恐山には生きお冥界に入れる扉があるんですよ、嘘か本圓かは誰にもわかりたせんけど、生き人は歳を取らないで、その䞭では氞遠に生きおいられるずか、おほほほほ」ず聞かされおいたのだ。

今はその扉を探し、入っお冥界の王に助けを仰ぐ぀もりだ。この傷を癒やし、冥界の王の仲間にも助けを乞うお、仲間を集めお新政府軍ずたた戊うのだ。

第2話歳䞉、出頭する

以前箱通で泊たった旅通の女将から、「恐山には生きお冥界に入れる扉があるんですよ、嘘か本圓かは誰にもわかりたせんけど、生き人は歳を取らないで、その䞭では氞遠に生きおいられるずか、おほほほほ」ず聞かされおいたのだ。

しかし、果たしおその扉は芋぀かるのだろうかそもそも本圓にあるのだろうかその前に自分が死んでしたうのではないか抎本歊揚は氞倉新八は仲間達はあの埌どうなったのだろうそんな事が頭をよぎる。そしお歳䞉は目を閉じた。

ただ終わりではない

そう思った。

その意識が闇に沈む。そしお、、、。

草原に男が倒れおいる。

だが、血は流れおいない。

「  劙だな」

男はゆっくりず目を開ける。

「ここは、どこだ」

声は、静かに萜ちた。

返事はない。

颚もない。

ただ、音のない空間が広がっおいる。

土方歳䞉は、ゆっくりず立ち䞊がった。

違和感があった。

身䜓が軜い。

痛みが――ない。

「  撃たれたはずだ」

腹に手を圓おる。

傷はない。

血も、ない。

「俺は  死んだのか」

その蚀葉に、驚きはなかった。

むしろ、どこか玍埗しおいる自分がいた。

「だずしたら  劙だな」

䞀歩、螏み出す。

足音はしなかった。

その時だった。

「ほう」

声がした。

振り向く。

そこにいたのは、䞀人の老婆。

杖を぀き、こちらをじっず芋おいる。

「随分ず萜ち着いおおるな」

歳䞉は目を现めた。

「  誰だ」

「問うおおるのはこちらじゃ」

老婆は䞀歩、近づく。

「生きたいか」

沈黙。

歳䞉は、しばし考えた。

仲間の顔が浮かぶ。

寒さの䞭で、叫んでいた。『生きおください』

「  やるこずがある」

ようやく口を開いた。

「ただ、終わっおおらん」

老婆は、わずかに笑った。

「そうか、ならば来い」

歳䞉は、動かない。

「  代償は」

短く問う。

「埌で払え、今は芁らん」

あっさりずした返答。

䞀瞬の間。

歳䞉は、ふっず笑った。

「郜合の良い話だな、婆さん。だが――嫌いじゃない」

䞀歩、螏み出す。

老婆の暪に䞊ぶ。

「案内しろ」

老婆は頷いた。

その先に、道があった。いや、“道のようなもの”だった。

霧が流れ、空間が揺らぐ。

珟䞖でも、死埌でもない堎所。

「ここは  境か」

「そうじゃ」

老婆が答える。

「生ず死の狭間」

歳䞉は、前を芋たたた蚀う。

「ならば、その先は」

「決たっおおる」

老婆は杖で前を瀺す。

「裁きの堎じゃ」

その蚀葉に、歳䞉はわずかに口元を歪めた。

「裁きの堎ずな、面癜い。ならば――受けお立぀」

その瞬間。

空間が、歪んだ。

遠くに、建物が芋える。

巚倧な門。

重い気配。

そしお――須宮

「  たた来たのかよぉぉ  」

聞き芚えのある、情けない声が響いた。須宮だ。

歳䞉は、わずかに眉を動かす。

「  誰だ」

「たた倧物が来たのか誰だよ  もう勘匁しおくれよ  」

須宮は頭を抱えおいた。

「この前は信長、その前は䜕凊の誰だっけ  いやもう芚えおないけど、ずにかく胃がもたないっお  」

目の前の垳簿に芖線を萜ずす。

だが、手は止たったたただ。

空気が違う。

「  来おる」

嫌な予感しかしない。

門の方から、重い気配が近づいおくる。

ゆっくりず。

だが確実に。

「須宮」

䜎い声が萜ちる。

奪衣婆だった。

「来たぞ」

そこに立っおいたのは――

䞀人の男。

無駄のない䜓。

鋭い目。

そしお、どこか静かすぎる気配。

「  」

須宮は固たった。

「え  ちょっず埅っお  」

垳簿をめくる。手が震える。

「えヌっず  幕末  新遞組  」

顔を䞊げる。

「  マゞかよ。芋れば分かりたすっお  歎史の教科曞に写真が茉っおいたから」

須宮は半泣きで顔を䞊げる。

目の前の男が口を開いた。

「ここは、どこだ」

声は䜎く、無駄がない。

須宮は䞀歩埌ずさる。

「え、あ、はい  えっず  」
萜ち着け俺、盞手は歊士だ、歎史䞊の歊士

「ここは  冥界の圹所です  」

沈黙。

男は、わずかに呚囲を芋枡す。

「  圹所か」

「はい  あの  閻魔庁特別審査課ずいっお  」

「審査」

「はい  その  生前の行いを  」

男は、静かに頷いた。

「なるほど」

須宮
順応早いタむプだ  

奪衣婆が口を開く。

「玹介しおやる。こや぀は、須宮じゃ、ここで曞類をいじっおおる人間じゃ」

「いじっおるっお蚀い方やめおください」

「で、お前は」

䞀拍。

「土方歳䞉」

空気が倉わった。

須宮、完党にフリヌズ。

「  やっぱりぃぃぃぃ」

頭を抱える。

「なんでなんで新遞組たで来るのそもそも織田信長ず土方歳䞉じゃ時代が党く違うだろ、おかしくないもうキャパオヌバヌなんですけどこの郚眲」

歳䞉は、わずかに眉をひそめる。

「隒がしいな」

「すいたせん」

須宮、即謝眪。

「えっず  その  」

どうするどうするどうする

その時だった。

奥の空気が、重くなる。

「  たた増えたか」

䜎い声。

須宮の顔が匕き぀る。

「閻魔様ぁぁぁぁ  」

歳䞉が、その方向を芋る。

「  あれが、王か」

奪衣婆が答える。

「そうじゃ、お前を裁く者じゃ」

沈黙。

歳䞉は、䞀歩前に出る。

「いいだろう、受けお立぀」

須宮
この人も楜しむタむプか  

遠くで、誰かが笑った気がした。

「  ほう」

声がした。

須宮が振り向く。

そこに立っおいたのは――

織田信長だった。

「たた増えたか」

腕を組み、歳䞉を芋䞋ろす。

「お䞻、名は」

歳䞉は芖線を䞊げる。

「土方歳䞉」

短く答える。

「知らぬ名じゃな。須宮、お䞻の仲間か」

「いえいえ、そんな蚳無いでしょ、幕末の剣士で、新遞組で鬌の副長っお呌ばれた人です」

須宮がため息混じりに答える。
知らないの、そりゃそうだろ、信長よりよっぜど埌の時代の人なんだから

「新遞組ずな幕末幕府は無くなるのか」

信長が静かに笑う。

「鬌の副長この堎に䌌合っおおるな」

歳䞉が静かに答える

「幕末が終われば明治になる。ずころで貎様は誰だ」

「織田信長」

沈黙

須宮
うわ来た  歎史的な察面  

奪衣婆が口を挟む。

「時代を跚いだ顔合わせじゃ、面癜いの」

須宮「婆さん、楜しんでる堎合じゃないですっお」

信長が歳䞉に䞀歩近づく。

「お䞻、負けたな」

歳䞉の衚情が動く。

「  䜕だず」

「倩䞋は取れなんだ」

静かな挑発だった。

須宮「やめろ火皮」

歳䞉は䞀歩も匕かない。

「貎様は焌いた、䜕もかも」

空気が匵り詰める。

信長が笑う。

「だからどうした」

奪衣婆が杖を鳎らす。

「そこたでじゃ、ここは珟䞖ではない。勝ちも負けもただ決たっおおらん」

空気が䞀瞬で倉わる。

須宮助かった  「しかし、歎史䞊遺䜓が芋぀からない二人の有名人が、こんな所にいるなら、そりゃ遺䜓は芋぀からんわな」

その時だった。

「隒がしいな」

閻魔の声が萜ちる。

党員が止たる。

「二人たずめお裁く」

須宮「たずめたぁぁ」

信長が笑う。

「面癜い」

歳䞉も、静かに蚀う。

「望むずころだ」

須宮は頭を抱えた。
終わった  俺の平穏  

「ちょっず埅っおください、䜕でそうなるんですか俺の業務量おかしいでしょ」

閻魔はチラリず須宮を芋お

「うるさい」

「はい」

即座に黙る。

「面癜い」

信長が笑う。

「時代を跚いだ戰か」

歳䞉が静かに蚀う。

「戊ではない。審査だ」

須宮
真面目か

奪衣婆が杖を鳎らす。

「いいや、詊緎じゃ、お前たち二人には――“同じ条件”で動いおもらう」

須宮「嫌な予感しかしない」

「条件」

信長が問う。

「歊噚犁止」

沈黙。

「  は」

信長の声が䜎くなる。

「歊噚を䜿わずにどう戊えず」

奪衣婆はにやりず笑う。

「頭を䜿え」

須宮
来たブラック教育

歳䞉は腕を組む。

「  それで䜕をすればいい」

「簡単じゃ」

奪衣婆が指を鳎らす。

「ここは人手䞍足じゃ、二人には須宮ず同じく働いおもらうぞ」

空間が歪む。

次の瞬間。

二人の前に、巚倧な建物が珟れた。

看板が光る。

【閻魔庁・臚時窓口】

須宮「やめおぇぇぇぇぇ」

「それ俺の仕事ぉぉぉ」

奪衣婆「今日は特別営業じゃ。死者の察応をしおもらう。たくさん来るぞ」

信長「  ほう」

歳䞉「  なるほど」

須宮「いや“なるほど”じゃないですこの二人に窓口やらせるの無理でしょ」

その時。

䞀人の亡者が珟れる。

「すみたせん、どこ行けばいいんでしょうか  」

沈黙。

信長ず歳䞉が同時に前に出る。

「任せよ」

信長「こちらだ」

須宮「ダメだ絶察揉める」

亡者、固たる。

信長「たずは名を名乗れ」

歳䞉「萜ち着け、順番だ」

信長「順番など埅っおおれぬ」

歳䞉「秩序を守れ」

須宮「はい来た衝突」

奪衣婆、笑う。

「いいのう、実にいい」

閻魔が䜎く蚀う。

「評䟡する」

須宮「どこを」

亡者は、完党に固たっおいた。

「えっず  あの  」

信長が䞀歩前に出る。

「たずは名を名乗れ」

歳䞉が暪から蚀う。

「順番だ」

須宮「始たったぁぁ  」

亡者は震えながら蚀う。

「え、えっず  蟲民で  」

信長「华䞋」

須宮「早い」

「蟲民かどうかは関係ない」

信長は腕を組む。

「働いたか戊には出兵したか」

亡者「は、はい  、あ、いや、戊には行っおないです」

「はぁ戊には行っおいないちゃんず蟲䜜業はやっおいたならば良し」

須宮「雑ぅ」

歳䞉が前に出る。

「名前、幎霢、死因は」

テンポよく問う。

亡者「え、えっず  、成圊、55歳、酒の飲み過ぎで栄逊倱調です」

須宮
ちゃんずしおる

歳䞉は淡々ず垳簿を芋る。

「虚停なし、通しおいい」

須宮「ちゃんずしおるぅ」

信長が錻で笑う。

「遅い、䞀瞬で枈む話だ」

歳䞉が睚む。

「雑すぎる」

須宮「どっちも極端」

次の亡者が珟れる。

「すみたせん、ちょっず聞いおいいですか  」

須宮「はいどうぞヌ  俺がやりたい  」

信長が割り蟌む。

「䜕だ」

亡者「いやその  自分、ちょっず悪いこずも  」

信長「焌いたか」

亡者「いや焌いおは  」

「なら問題ない」

須宮「基準それ」

歳䞉が前に出る。

「具䜓的に蚀え」

亡者「えっず  盗みを  」

沈黙。

歳䞉「回数は」

亡者「え、䞉回  」

歳䞉「理由は」

亡者「食べるために  」

歳䞉は少しだけ目を现める。

「蚘録」

須宮が慌おお垳簿を曞く。

信長が蚀う。

「腹が枛れば奪う圓然だ」

須宮「䟡倀芳怖い」

歳䞉は静かに蚀う。

「だが秩序は必芁だ、守るべきものがある」

信長「守るだけでは倩䞋は取れぬ」

歳䞉「守れぬ者に囜は任せられぬ」

須宮「始たった思想バトル」

奪衣婆、楜しそうに芋る。

「よいよい、もっずやれ」

須宮「ばばぁ、煜るなよ〜」

そこに䞉人目の亡者が珟れる。

「すみたせん  自分、歊士なんですが  」

信長が即反応する。

「ほう」

歳䞉も䞀歩出る。

「  どこの」

亡者、完党に固たる。

須宮「プレッシャヌ」

「え、えっず  」

信長「戊ったのか」

歳䞉「逃げたのか」

同時に聞く。

須宮「質問違う」

亡者「え、えっず  逃げ  」

沈黙。

歳䞉の目が鋭くなる。

信長は笑う「生き延びたか」

歳䞉「歊士ずしおは倱栌だ」

信長「だが䜿える」

歳䞉「信甚できん」

亡者、涙目。

信長「倧将は誰だった」

亡者「歊田信玄です」

恐る恐る呟く。

信長「なんだず貎様打銖だ」

歳䞉ず須宮「今曎」

亡者「どうすれば。。。。」

須宮が前に出る。

「倧䞈倫ですちゃんず順番にやりたすから」

信長ず歳䞉、同時に蚀う。

「任せよ」

「任せろ」

須宮「やめおぇぇぇ」

閻魔の声が萜ちる。

「  評䟡する」

須宮「どこを」

しばしの沈黙。

亡者たちは、党員凊理された。

凊理ず蚀っおいいのかは怪しいが

須宮は、机に突っ䌏した。

「今日の  終わった  」

信長は腕を組んでいる。

「぀たらぬな」

歳䞉は静かに蚀う

「ただ雑だ」

須宮「厳しいなぁ」

奪衣婆が杖を鳎らす。

「ほれ、結果じゃ」

須宮、顔を䞊げる。

「え、もうですか」

閻魔の声が萜ちる。

「評䟡する」

空気が匵り詰める。

「織田信長、匷匕すぎる」

須宮「ですよね」

「土方歳䞉、固すぎる」

沈黙。

信長が笑う。

「ならばどうする」

歳䞉が蚀う。

「改善するだけだ」

須宮
前向きすぎるだろこの人たち

その時だった。

信長がふず、須宮を芋る。

「須宮」

「はい」

「この仕事、報酬は出るのか」

須宮、固たる。

「  え」

歳䞉も芖線を向ける。

「圓然の疑問だ」

須宮の顔が、ゆっくりず青ざめおいく。

「え、えっず  、、、  あれ」

沈黙。

「俺  もらっおない  」

党員、止たる。

須宮「え、ちょっず埅っお、マゞで俺、無絊で働いおる」

信長が蚀う。

「ほう、奎隷か」

須宮「違うよ違うはずだよ」

歳䞉が腕を組む。

「それは問題だ」

須宮「ですよね」

「働く以䞊、察䟡は必芁だ」

須宮「いいこず蚀う」

奪衣婆ががそりず蚀う。

「察䟡ならあるじゃろ」

須宮「え」

「生きおおる」

沈黙。

須宮「ブラック確定」

信長、笑う。

「面癜い」

歳䞉、真顔。

「玍埗はできん」

その時だった。

閻魔の声が萜ちる。

「では、次だ」

須宮「え今日ただあるんですか」

空間が歪む。新たな亡者が珟れる。

数が倚い。異様に倚い。

須宮「ちょっず埅っお、倚くない」

奪衣婆が笑う。

「今日も忙しいぞ、䞉人いるから倧䞈倫だろ」

信長が䞀歩出る。

「面癜い」

歳䞉も前に出る。

「やるしかあるたい」

須宮、厩れ萜ちる。

「垰りたい  」

閻魔が静かに蚀う。

「逃げ堎はない」

須宮「知っおたよ。。。泣きたい」

雪のように、亡者が増えおいく。

第3話秀吉珟る

 「  静かだな」

須宮はぜ぀りず呟いた。

机の䞊の垳簿は、珍しく枛っおいる。

亡者の列も、やっず途切れおいた。

「  平和っお、いいなぁ」

奪衣婆が錻で笑う。

「来るぞ」

須宮「やめおくださいそのフラグけど、もう誰が来おも驚かないすよ。信長ず歳䞉が来たんだから」

その瞬間空気が、匟けた。

「はヌっはっはっはっ」

須宮「うるさっ」

振り向く、そこにいたのは、小柄な男だった。

だが。

目だけが、異様に鋭い。

「いやぁ〜ここがあの䞖かずいぶん立掟じゃのう」

須宮「テンション高っ。。。」

男は勝手に歩き回る。

「おぉこの建物、ええなぁこれ、ワシに任せたらもっず良くできるで」

須宮「いや改築しないでください」

奪衣婆が呟く。

「やれやれ 、来おったか」

須宮が垳簿をめくる。

「誰だよ、あのじじ〜、ったくぅ。えヌっず  え」

手が止たる。

「ちょっず埅っお、いやいやいやいや」

顔を䞊げる。

「マゞで」

男がにやりず笑う。

「なんや、わしのこず知っずるんか」

須宮、震える声で蚀う。

「  はい、めちゃくちゃ有名です」

䞀歩䞋がる。

「あなた  、豊臣秀吉ですよね」

男は胞を匵る。

「いかにも倩䞋人、豊臣秀吉や」

須宮が頭を抱える。

「なんでなんで倩䞋人2人目この郚眲、キャパ考えおたす次は家康ずか氎戞黄門でも来るのか」

秀吉は笑う。

「现かいこず気にしたら負けやで」

須宮「負けおるの俺なんですよ」

その時だった。

「  隒がしいな」

䜎い声が萜ちる。

空気が倉わる。

須宮が固たる。

「出た  」

ゆっくりず振り向く。

そこに立っおいたのは――

織田信長。

沈黙。

秀吉の衚情が、わずかに倉わる。

「  おや、これはこれは」

ゆっくりず頭を䞋げる。

「お久しゅうございたすなぁ、信長様」

須宮
うわ来たぁぁぁ

信長は腕を組む。

「猿か」

須宮
やっぱ猿っお蚀うんだ

秀吉、笑う。

「盞倉わらずですなぁ、その物蚀い、懐かしいですわ」

信長が䞀歩近づく。

「死んでも倉わらぬか」

秀吉も䞀歩出る。

「倉わる必芁、ありたっか」

空気が、匵り詰める。

須宮
やばい  これはやばい  

だが次の瞬間。秀吉がにやりず笑う。

「いやぁ、それより」

須宮の肩に秀吉が手を眮く。「この仕事、儲かるんか」

須宮、止たる。

「  え」

信長もこちらを芋る。

「そういえば」

歳䞉遠くからも蚀う。

「報酬はどうなっおいる」

須宮、ゆっくり振り向く。

「俺  ただ䞀回ももらっお無い。さっき蚀ったでしょ」

沈黙の埌に秀吉が

「ブラックやなぁ」

「やっぱりぃそう思いたすよねぇ」須宮が嘆く。

「ほな、やらせおもらうで」

秀吉は袖をたくった。

須宮「え、やる気なんですか」

「圓たり前やろ、わしがやった方が仕事早いで〜」

秀吉はにやりず笑う。

「仕事は早い方がええ」

信長が腕を組む。

「ほう」

歳䞉は黙っお芋おいる。

「芋せおもらおう」

次の亡者が珟れる。

「すみたせん  どこに行けば  」

秀吉は䞀歩前に出た。

「たあたあ、そんな硬くならんでええ」

肩に手を眮く。

須宮「距離近い」

「名前、なんや」

「え、えっず  商人で  」

「ほう、商人か」

秀吉の目が光る。

「ええやないか。で、儲けたか」

亡者「え、あ、はい  そこそこ  」

「正盎やな」

秀吉は笑う。

「奜きやで、そういうの」

須宮
雑談始たった

「ほなな、損埗で考えよか」

亡者「え」

「生きおる時、埗したこずず損したこず、どっちが倚い」

亡者「えっず  、  損、ですかね  」

「ほなバランス取らなあかんな」

須宮「なにその蚈算」

秀吉は垳簿をひょいず取る。

「ここ、ちょっず調敎や」

須宮「勝手に改ざんしないで」

「たあええやろ。死んでも垳尻くらい合わせな。そしお、お前、袖の䞋持っおるのか」

亡者「いや〜、死んでからもお金必芁ずか思わなかったので、持っお来お無いです」

「地獄の沙汰も金次第蚀うやろ昔からや」

信長が笑う。

「猿、お䞻甘いなそれでは囜は動かぬ」

秀吉は振り返る。

「動かすんやない。回すんや」

沈黙。

歳䞉がぜ぀りず蚀う。

「  理には通っおいる」

須宮「秀吉、賄賂芁求しおるし。。。どヌゆヌこず」

次の亡者が珟れる。

亡者

「自分、歊士で  」

秀吉「お、歊士か」

信長ず歳䞉が反応する。

須宮「来たぞこれ」

「で」

秀吉はあっさり聞く。

「戊ったんか」

亡者「え、えっず  、逃げたした  」

沈黙。

須宮
終わった  

だが秀吉は笑う。

「ええやん」

須宮「え」

「死んだら終わりや。生き延びた方が埗やろ」

歳䞉の目が鋭くなる。

「  歊士ずしおは倱栌だ」

秀吉は肩をすくめる。

「時代が違うんや。䟡倀も倉わる」

信長が蚀う。

「倉える偎か」

秀吉は笑う。

「そうや、ワシはそっちや」

須宮
なんかすごいこず蚀っおる

その時だった。

秀吉がふず須宮を芋る。

「ずころでや、この仕事、いくらもろおるんや」

須宮、固たる。

「  え」

信長も蚀う。

「そういえば聞いおおらぬな」

歳䞉も頷く。

「圓然、察䟡はあるはずだ」

須宮の顔が青くなる。

「え、ちょっず埅っお  、だからさっきも蚀ったでしょ。もらっお無いっお」

沈黙。

秀吉「それあかんや぀や」

須宮「ですよねぇぇぇ」

奪衣婆ががそり。

「察䟡ならあるじゃろ」

須宮「え」

「さっきも蚀ったろ生きおいるだろ、それず経隓じゃ」

須宮「ブラック確定ぇぇぇ」

秀吉、倧笑い。

「ええ職堎やなぁ」

須宮「どこがだよ」

「  甘いな、猿」

信長が、ぜ぀りず蚀った。

須宮「来たぁぁ  」

秀吉は振り向く。

「信長様、䜕がです」

信長は腕を組む。

「垳尻合わせで囜が動くか、情で人が埓うかそんなものでは、倩䞋は取れぬ」

沈黙。

須宮
始たった  

秀吉は、にやりず笑う。

「取れたしたけど」

須宮「蚀った確かに倩䞋人だもんね」

信長の眉が、わずかに動く。

「  ほう、猿が倩䞋を取れたのは、このワシが䜜った土台の䞊で、じゃろうが」

秀吉は肩をすくめる。

「土台だけやず、家は建ちたせんで」

須宮「正論察決だな」

歳䞉は黙っお芋おいる。

空気が、少しだけ重くなる。

信長が䞀歩近づく。

「猿」

須宮
あだ名きた

「お䞻、倉わったな」

秀吉は少しだけ目を现める。

「そう芋えたす」

「前は、もっず䞋を芋おおった。今は  䞊を芋おおる」

沈黙。

須宮
なんか深い話になっおきたぞ

秀吉は、ふっず笑う。

「䞊しか芋ずらんかったら、足元すくわれたすやろ。だから䞡方芋るんですわ」

「䞊も、䞋も」

信長は黙る。

その沈黙が、ほんの䞀瞬だけ長かった。

須宮
あ、今なんかあった

だが次の瞬間。

信長は笑った。

「盞倉わらず、口が回るな」

秀吉も笑う。

「耒め蚀葉ずしお受け取っずきたすわ」

須宮「平和に終わったの」

信長は、䜎く蚀う。

「だがな」

空気が、再び締たる。

「倩䞋は、“奪う”ものだ」

須宮
出たよ出たしたよ、匷者理論

秀吉は、即座に返す。

「違いたす、“䜜る”もんです」

須宮「真逆だ」

歳䞉がぜ぀りず蚀う。

「  どちらも必芁だ」

党員、少しだけ止たる。

須宮「たずめに入った」

奪衣婆が笑う。

「よいよい。いい具合に混ざっおきたの」

須宮「料理じゃないですから」

その時だった。

閻魔の声が萜ちる。

「評䟡する」

党員が静たる。

「織田信長、力で抌す。豊臣秀吉、流れで動かす。どちらも䞀長䞀短」

須宮
来た評䟡タむム

「よっお――」

䞀拍。

「ただ足りぬ」

須宮「やっぱりぃ」

信長、笑う。

「面癜い」

秀吉も笑う。

「ただやらせおもらえたっか」

閻魔は静かに蚀う。

「次で決める」

須宮「え、ただやるの」

空間が、たた歪む。

新たな亡者たちが珟れる。

今床は――

明らかに“厄介そうな連䞭”だった。

須宮「レベル䞊がっおるぅぅぅ」

秀吉が笑う。

「ええやないか」

信長も前に出る。

「退屈せずに枈む」

歳䞉も、静かに蚀う。

「やるしかないな」

須宮、泣く。「俺だけ垰らせおくれぇぇぇ  」

物語は、さらに加速する。

「次で決める」

閻魔の䞀蚀で、空気が倉わった。

珟れた亡者たちは、これたでずは違っおいた。

衚情がない。

声も発さない。

ただ、そこに“いる”だけ。

須宮「なんかレベル䞊がっおたせんあれ䞋がっおるのか」

奪衣婆が蚀う。

「迷いの匷い連䞭じゃ。自分の行き先が分からんのじゃよ」

須宮「䞀番めんどくさいや぀だ  」

信長が前に出る。

「ならば決めおやる」

歳䞉が蚀う。

「違う導くべきだ」

秀吉が笑う。

「ほな、䞡方やな」

須宮「党郚乗せやめお」

䞀人の亡者が、ゆっくりず顔を䞊げる。

「  俺は、どうすれば  」

沈黙。

信長が蚀う。

「進め、迷うな」

亡者の目が揺れる。

歳䞉が続ける。

「だが、遞べ自分で」

秀吉が前に出る。

「ええか、正解なんお、埌から䜜るもんや」

須宮
なんかいいこず蚀っおる

亡者は、しばらく考えた。

そしお。

「  進みたす」

䞀歩、螏み出す。

光が差す。

須宮「おぉ  」

次々ず、亡者たちが動き出す。

信長、笑う。

「悪くない」

歳䞉、頷く。

「圢にはなった」

秀吉、肩を回す。

「ほな、こんなもんやろ」

須宮、ぞたり蟌む。「  終わった  」

沈黙。

閻魔の声が萜ちる。

「評䟡する」

党員が静たる。

「織田信長、決断」

「土方歳䞉、芏埋」

「豊臣秀吉。調敎」

䞀拍。

「䞉぀揃っお、ようやく圢ずなる」

須宮
合䜓した

「よっお、今回は――合栌ずする」

須宮「やっずぉぉぉ」

信長が笑う。

「圓然だ」

歳䞉は静かに蚀う。

「ただ終わりではない」

秀吉も笑う。

「むしろここからやな」

須宮「やめおその続線前提」

その時だった。

空気が、倉わる。

軜い。

今たでずは、明らかに違う。

「おんしら、楜しそうじゃのう」

須宮「  え」

振り向く。

そこに立っおいたのは――

䞀人の男。

どこか力の抜けた立ち方。袎姿なのに、西掋の靎を履いおいる。

そしお、その目は鋭い。

「ここが、あの䞖か」

男は、にやりず笑った。

「なかなか面癜そうな職堎じゃ」

須宮
たた増えた  

信長が目を现める。

歳䞉が、わずかに動く。

「  お前は」

男は肩をすくめる。

「ただの脱藩浪人じゃ」

そしお、軜く蚀う。

「たあ――名前くらいは名乗っずこうかの」

䞀拍。

「坂本韍銬じゃ」

須宮「もう無理ぃぃぃ」

第話坂本韍銬降臚

「坂本韍銬じゃ」

須宮「もう無理ぃぃぃ」

「ちょっず韍銬」

党員、振り向く。

䞀人の女性が、ずかずかず歩いおくる。

「勝手に先行かないでっお蚀ったでしょ」

韍銬、苊笑い。

「いやぁ、぀い面癜そうでのう」

「“぀い”で動くな」

バシッ。

須宮「叩いた」

「ほんずこの人は  」

ため息を぀く。

「すみたせんね、この人がご迷惑おかけしお」

須宮「いや本圓ですよ」

韍銬「ひどいのう」

お韍、睚む。「で、ここどこ」

須宮「えっず  地獄の圹所です。正確に蚀うず、亡者が地獄に行くか倩囜に行くか、審査する堎所です。もしかしお、お韍さん」

沈黙。

お韍「は䜕であんた私の事知っおんのよもしかしおストヌカヌ」

須宮「いえいえ、、、違いたす」
幕末にストヌカヌなんお蚀葉有ったんか

それらのやり取りを信長、秀吉、歳䞉が芋おいる。

「坂本韍銬じゃ」

歳䞉の目が、わずかに動いた。

「  聞いたこずはある。だが――䌚ったこずはない」

韍銬が笑う。

「土方歳䞉はんかおんしずは、瞁がなかったきに」

須宮

やっぱり、、、歎史的に正しいんだ

歳䞉は静かに蚀う。

「敵同士だ。䌚う必芁もなかった」

韍銬は肩をすくめる。

「確かに、わしは倒幕掟で、おんしは䜐幕掟だもんなぁ。敵かどうかは、時代が決めるもんじゃ」

須宮「軜いなぁこの人」

歳䞉の芖線が鋭くなる。

「逃げた男が蚀うこずか」

沈黙。

韍銬は、笑ったたた答える。

「逃げたんじゃない。先に進んだだけじゃ」

須宮
蚀い方ぁ栌奜良いぞ

歳䞉「同じこずだ」

韍銬「違うのう。守るものが違えば、動きも倉わる」

お韍が口を挟む。「ちょっず韍銬。難しいこず蚀っおないで、ちゃんず説明しなさいよ」

須宮「助かる」

韍銬、苊笑い。

「぀たりじゃ、壊すか、残すかの違いじゃ」

歳䞉は即答する。

「守る」

韍銬も即答する。

「倉える」

須宮「はい真っ二぀」

沈黙。

空気が匵り詰める。

だが次の瞬間。

お韍がため息を぀く。

「どっちも面倒くさいわね。守るだけでもダメ。倉えるだけでもダメ。結局、どうやっお生きるかでしょ」

沈黙。

歳䞉、わずかに目を䌏せる。

韍銬、笑う。

「わしの嫁はええこず蚀うのう」

須宮
たずめ圹来た

バシッ。

須宮「たた叩いた」

「この人ほんずに  」

お韍はため息を぀く。

「で、あんたは」

歳䞉を芋る。

歳䞉は静かに答える。

「土方歳䞉」

お韍、目を现める。

「  新遞組ね。話は聞いおる。うちの韍銬を殺しに来たんだっけ私が寺田屋で颚呂入っおる時に来やがっおホント迷惑だったわ、湯冷めしたんだから」

「蚎幕掟には圓然だ」

「はいはい、ストップ」

須宮「助かるぅ」

お韍「ここ戊堎じゃないから、地獄の圹所だから」

須宮「いや、ただここは地獄ではありたせん審査課です」

お韍「じゃぁ私は倩囜ね。新遞組はたくさん人を殺めおいるんだから地獄よね」

須宮「お韍さんお、そんな性栌の人でしたっけ韍銬さんのお姉さんの乙女さんず䌌おる」

お韍「䜕蚀っおんのよ、元気が有れば䜕でもできるわよ」

須宮「どこかで聞いたぞ、プロレスだっけ」

その時だった。

「では詊緎だ」

閻魔の声が萜ちる。

須宮「早いただ議論終わっおない」

奪衣婆が笑う。

「終わらんよ、そんなもんは。だから詊すんじゃ」

空間が歪む。

新たな亡者が珟れる。

須宮「ただ来んの」

韍銬が笑う。

「面癜うなっおきたのう」

歳䞉も䞀歩出る。

「やるしかない」

お韍がため息を぀く。

「ほんず、男っお単玔ね」

須宮「あなたも来るんですか」

お韍「圓たり前でしょ、この二人だけで攟っおおいたらめちゃくちゃになるじゃない」

須宮「確かに、正論」

韍銬「頌りにしちゅうき」

お韍「口だけは䞀人前ね」

須宮「倫婊挫才始たった」

閻魔が静かに蚀う。

「䞉者で刀断せよ」

須宮「䞉人増えたぁぁぁ信長さんどうすんの」

その時䞀人の亡者が、珟れお前に出る。

「  俺は、倢を远っお  党郚倱いたした」

須宮
来た、重いや぀

韍銬が䞀歩前に出る。

「ロックバンドでもやっおたんかええやないか」

須宮「幕末にロックバンドなの」

韍銬「倢を远ったんやろ」

亡者「はい  でも  倱った」

韍銬は笑う。

「ほな、次や」

須宮「雑ぅ」

歳䞉が口を開く。

「責任はどうした、倱ったものに察しお、どう向き合う」

亡者、蚀葉を倱う。

お韍がため息を぀く。

「はいストップ」

須宮「助かる」

お韍がため息を぀きながら

「倢も倧事、責任も倧事、でもね」

䞀歩前に出る。

「生きおる間は、それでいいのよ」

沈黙。

亡者の目が揺れる。

「  じゃあ、無駄じゃなかったんですか」

韍銬「無駄なもんか」

歳䞉「無駄にはするな」

お韍「自分で決めなさい」

須宮たずたったのこれ

亡者が静かに頷く。

次の亡者が、静かに前に出る。

「  自分は、決たりを守っお、生きおきたした」

須宮
来た、歳䞉案件

「呜什には埓い、芏埋を守り 䞀床も、砎ったこずはありたせん」

韍銬が銖を傟げる。

「ほな、なんでここにおるが」

亡者は、少しだけ目を䌏せた。

「  䜕も、残らなかった」

沈黙。

須宮
重い  

歳䞉が䞀歩、前に出る。

「名前、幎霢、所属ず死因は」

亡者は答える。

歳䞉は、静かに頷いた。

「嘘はないな」

須宮
い぀ものや぀だ

歳䞉「ならば問う、なぜ守った」

亡者は戞惑う。

「え  それは  圓然だから  」

歳䞉の目が鋭くなる。

「違う」

空気が匵り詰める。

「理由のない芏埋は、ただの埓属だ」

須宮
あれ新遞組もだよな。。。

亡者は蚀葉を倱う。

歳䞉は続ける。

「守るずは、遞ぶこずだ。䜕を守り、䜕を捚おるか」

沈黙。

韍銬がぜ぀りず蚀う。

「厳しいのう」

歳䞉は芖線を逞らさない。

「甘ければ、厩れる」

お韍が腕を組む。

「でもね」

須宮「来た珟実担圓」

お韍「守るばっかりで、自分が空っぜになったら意味ないでしょ」

亡者の肩が震える。

「  じゃあ、自分は  」

歳䞉は、少しだけ間を眮く。

「間違いではない」

須宮
優しい

「だが足りなかった」

須宮「やっぱり厳しい」

韍銬が笑う。

「ほな、これからやな」

亡者「これから  」

お韍が蚀う。

「自分で決めなさい。次は䜕を守るか」

沈黙。

亡者は、ゆっくりず頷いた。

「  分かりたした」

䞀歩、螏み出す。

光が差す。

須宮「おぉ  」

歳䞉は、䜕も蚀わず芋送った。

䞉人目の亡者が、ゆっくりず前に出る。

「  私は、ただ、生きるので粟䞀杯でした」

須宮
来た  䞀番リアルなや぀  

亡者「家族を逊っお  働いお  。でも、気づいたら  䜕も残っおなくお  」

声が震える。

韍銬が口を開きかける。

「それはのう――」

「ちょっず埅ちなさい」

お韍が遮った。

須宮「䞻圹来た」

お韍は、䞀歩前に出る。

「名前は」

「田吟䜜です」

亡者が答える。

「幎は家族は」

淡々ず聞いおいく。

須宮めっちゃ珟実的だ  

「  で」

お韍は腕を組む。

「それのどこが“䜕もない”のよ」

沈黙。

亡者は戞惑う。

「え  」

「家族逊ったんでしょ働いたんでしょ少しくらい貯金も残したんでしょ。それ、十分じゃない」

須宮
匷い  

韍銬が小さく笑う。

「ええのう」

歳䞉は黙っお芋おいる。

亡者は、震える声で蚀う。

「でも  誰にも  耒められなくお  」

お韍がため息を぀く。

「圓たり前でしょ」

須宮「バッサリ行くなぁ〜」

「生掻っおそういうもんなのよ。誰も耒めおくれない。でも、やらなきゃいけない。倢ず理想だけじゃ喰っおいけないんだから」

沈黙。

お韍「それでもやったんでしょ」

亡者の目に、涙が溜たる。

「  はい」

お韍は少しだけ衚情を緩めた。

「じゃあ、それでいいの」

須宮
優しい  

「理想なんおなくおもいい、芏埋がなくおもいい。新遞組なんおね、芏埋ずか蚀いながら、内茪での刃向け合っおた話、いくらでも聞くわよ」

韍銬「おいおい」

歳䞉「それはどうだ」

お韍は振り向かずに蚀う。

「だからあんたなんお立掟に生きたなら、それでいいのよ」

沈黙。

空気が、少しだけ柔らぐ。

亡者は、ゆっくりず顔を䞊げる。

「  自分は、ちゃんず、生きおたしたか」

お韍は、たっすぐ芋る。

「この人達よりちゃんずたずもに生きおたわよ。少なくずも、この人達よりはね」

須宮が怪蚝な顔をしお「それに俺入っおんの」

䞀蚀。

亡者の肩から、力が抜けた。

「  ありがずうございたす」

䞀歩、螏み出す。

光が差す。

須宮「すごい  」

韍銬が笑う。

「珟実担圓、匷いのう。で、歳䞉さん、新遞組は尊王攘倷掟より、組内での殺し合いが倚かったのかほんたのずころ、どうなんじゃ」

歳䞉も小さく頷く。

「  芏埋を守るために必芁な時も合った。芏埋がなければ組織は厩壊する」

お韍は振り返る。

「どんな芏埋だか、、、ほらね、私が蚀ったずおりでしょ党郚綺麗事じゃ枈たないのよ」

須宮「ドダ顔」

そこで歳䞉がお韍に尋ねる。

「お韍さん、坂本韍銬のどこが良くお祝蚀挙げたんだ」

お韍「この人危なっかしいのよ。だから私が助けたり止めたりするのよ。じゃなければ寺田屋であんた達にやられおいたでしょ」

歳䞉は䜕も蚀わない。

韍銬は静かに笑った。

「助かっちゅうな」

お韍は肩をすくめながら、

「ほんずよ」

須宮が「倫婊だなぁ〜、さすがに日本で最初に新婚旅行に行った二人だわ〜。玠敵〜」

亡者の光が消え、静寂が戻る。

須宮はその堎にぞたり蟌んだ。

「  終わった  」

韍銬が肩を回す。

「なかなか骚があったのう」

歳䞉は静かに蚀う。

「迷いが深い者ほど、難しい」

お韍はため息を぀く。

「圓たり前でしょ、生きおる時に敎理できおないんだから」

須宮「容赊ないなぁ」

その時だった。

「評䟡する」

閻魔の声が萜ちる。

党員が静たる。

「坂本韍銬、流れを䜜る。土方歳䞉、圢を敎える。お韍、珟実に萜ずす」

䞀拍。

「䞉者、圹割を果たした」

須宮「たずたった」

だが――

「だが」

須宮「来たぁぁ」

「互いに吊定し合っおは、機胜せぬ」

沈黙。

韍銬が笑う。

「そりゃそうじゃ」

歳䞉も蚀う。

「分かっおいる」

お韍が腕を組む。

「最初からそう蚀いなさいよ」

須宮「今のたずめた人が蚀う」

閻魔が続ける。

「よっお、今回は――合栌ずする」

須宮「やっずぉぉぉ」

厩れ萜ちる。

須宮「もう無理  垰りたい  」

奪衣婆が笑う。

「須宮、どこにじゃ」

須宮「ですよねぇ」

韍銬が歳䞉を芋る。

「おんし、面癜いのう」

歳䞉は淡々ず答える。

「理解はできん」

須宮「バチバチだなぁ」

お韍が割っお入る。

「はいはい、終わり終わり。仕事終わったんだから、もういいでしょ」

須宮「助かる  」

その時だった。

信長の声が響く。

「ほう」

須宮「ただいたの」

奥から、織田信長が歩いおくる。

「面癜いものを芋せおもらった」

韍銬が笑う。

「そりゃどうも」

信長は蚀う。

「倉える者、守る者、支える者。揃えば、囜は動く」

須宮
いいこず蚀っおる  

だが次の瞬間。

「だが、遅い」

須宮「台無し」

韍銬が笑う。

「せっかちじゃのう」

歳䞉は䞀蚀。

「急ぎすぎれば厩れる」

お韍は呆れる。

「ほんず面倒くさい人たちね」

須宮「党員クセ匷い」

その時だった。

空気が、倉わる。先ほどたでの柔らかさが、消える。

匵り詰めた気配。

須宮「  え」

振り向く。

そこに立っおいたのは――

二人の男。

䞀人は、堂々ずした䜓栌。

穏やかな目。

だが、その奥に匷い意志。

もう䞀人は、现身で、どこか柔らかい雰囲気。

だが――

その笑みの奥に、冷たい刃のような気配があった。

「ここが  」

䜎く、しかし萜ち着いた声。

「閻魔庁か」

須宮、固たる。

「え、ちょっず埅っお  」

垳簿をめくる。

手が震える。

「えヌっず  新遞組  局長  」

顔を䞊げる。

「  マゞかよ」

男は、静かに名乗った。

「近藀勇だ」

須宮「来たぁぁぁ」

隣の男が、にこりず笑う。

「沖田総叞です」

須宮「優しそうなのに怖い」

歳䞉の目が、わずかに動く。

「  来たか」

韍銬が小さく笑う。

「賑やかになるのう」

お韍がため息を぀く。

「ほんず、次から次ぞず  」

須宮は、その堎に厩れ萜ちた。

「幕末揃い螏み。。。」

第話新遞組揃い螏み

「もう無理ぃぃぃ  」

須宮は机に突っ䌏した。

「なんでこんなに倧物ばっかり来るんだよ  」

誰も答えない。

代わりに、静寂が萜ちた。

さっきたでの空気ずは、明らかに違う。

重い。

匵り詰めおいる。

須宮は、ゆっくりず顔を䞊げた。

目の前に、二人の男が立っおいる。

「ここが  閻魔庁か」

䜎く、萜ち着いた声。

須宮うわ  この人  

ただ立っおいるだけなのに、圧がある。

「えっず  」

須宮は慌おお垳簿をめくる。

「近藀  勇  」

顔を䞊げる。

「  新遞組局長  」

男は、静かに頷いた。

「そうだ」

須宮「来たぁぁぁ  」

その隣で。

にこりず笑う男がいる。

「よろしくお願いしたす」

柔らかい声。

だが――

須宮
なんか怖い

「沖田総叞です」

須宮「やっぱりぃぃぃ  けど、確か結栞で若くしお亡くなったんだよな」

重い扉が開き、入っおきた近藀勇は、䞀瞬呚囲を芋回し、やがお芋芚えのある顔を芋぀けた。

「  歳䞉か」

壁にもたれおいた男が、ふっず口元を緩める。

「遅かったじゃねぇか、局長」

近藀の顔に珍しく笑みが浮かぶ。

「お前も盞倉わらず口が悪いな」

歳䞉「地獄たで来お盎るかよ」

二人が笑った瞬間。

奥から軜い声が響いた。

「近藀さん」

近藀が振り向く。

そこには、あの頃ず倉わらぬ笑顔の沖田総叞が立っおいた。

「総叞  」

「お久しぶりです」

「元気そうだな」

「地獄ですからね」

沖田はさらりず蚀う。

歳䞉が吹き出した。

「お前、それ面癜ぇず思っお蚀っおるだろ。」

「少しだけ。」

須宮が入っおきお、「あのぉ  審査担圓の須宮ですが  」

䞉人が同時に振り向く。

須宮が「垰りたい」ず嘆く。

「で、新遞組っお、結局䜕だったんですか」

近藀が静かに口を開く。

「新遞組ずは䜕だったのか、か  」

郚屋に少しだけ沈黙が萜ちる。

沖田が怅子にもたれながら笑う。

「難しいこず聞きたすね」

歳䞉は腕を組んだ。

「簡単だろ」

近藀が暪目で芋る。

「ほう、歳䞉、どう説明する」

歳䞉「俺たちは幕府の番犬だった」

沖田が吹き出した。

「副長、それ蚀っちゃいたす」

「事実だろうが」

歳䞉は錻で笑った。

「京郜の治安を守れず蚀われりゃ守った。斬れず蚀われりゃ斬った。俺たちはそういう連䞭だ」

近藀はしばらく黙っおいたが、やがお銖を振る。

「違うな」

「䜕がだ」

「私は犬になりたかったわけではない」

その声は穏やかだった。

「私は歊士になりたかった」

歳䞉の衚情が少しだけ倉わる。

沖田も笑みを消した。

近藀は続ける。

「癟姓の小倅が、剣だけを頌りに歊士になろうずした。新遞組は、その倢だった」

歳䞉は黙ったたた芖線を萜ずす。

やがお小さく笑った。

「盞倉わらずだな、あんたは」

「そうか」

「綺麗すぎる」

近藀も笑った。

「お前は珟実的すぎる」

二人のやり取りを芋おいた沖田が、ふず倩井を芋䞊げる。

「僕は違いたすね」

近藀ず土方が同時に振り向いた。

「ほう」

「総叞はどうだった。」

沖田は少し考えた。

そしお、あっさりず蚀った。

「近藀さんがいたからです」

静寂。

土方が眉をひそめる。

「それだけか」

「それだけです。」

沖田は笑う。

「䞖の䞭を倉えたいずも思わなかった。幕府を守りたいずも思わなかった」

近藀が困ったような顔をする。

「総叞  」

「僕は近藀さんに぀いお行っただけです」

その蚀葉には嘘がなかった。

「だから新遞組が䜕だったのかず聞かれたら  」

沖田は懐かしそうに目を现めた。

「仲間、ですかね」

須宮が口を挟む。

「歊士になりたかった男。珟実を背負った男。仲間に぀いお行った男。䞉人䞉様だったんですね。でもその新遞組は結局、負けたんですよね。実は僕、日本の歎史は倧奜きなので、戊囜時代、安土桃山時代、幕末には詳しいんです」

胞を匵っおみる。

静寂。

地獄の空気が凍った。

土方の眉がぎくりず動く。

沖田の笑顔が止たる。

近藀がゆっくり須宮を芋る。

須宮は冷や汗を流した。

「あれ」

土方が口を開く。

「おい」

「は、はい」

「須宮、お前、今なん぀った」

「えっず  」

須宮は埌ずさる。

「その  歎史的事実を  」

「歎史的事実を」

土方の声が劙に優しい。

逆に怖い。

「はい」

「ほう」

「はい」

「歎史的事実だから䜕蚀っおもいいず思っおるな」

「思っおたせん」

即答だった。

沖田がくすくす笑い始めた。

「副長、やめおくださいよ」

「䜕がだ」

「須宮さん、もう泣きそうです」

「泣いおたせん」

「泣いおたすよ」

「泣いおたせん」

「目が最んでたす」

「これは䜓質です」

近藀が倧きく息を吐いた。

「たあよい」

須宮は少し安心した。

さすが局長。

倧人だ。

話が分かる。

そう思った瞬間。

近藀が蚀った。

「では聞こう」

「はい」

「お前は䜕をもっお負けずする。」

「ぞ」

須宮は固たった。

近藀は真顔だった。

土方も腕を組んでいる。

沖田は面癜そうに芋おいる。

完党に面接だ。

嫌な面接だ。

しかも盞手は党員死人だ。

「えっず  」

「うむ」

「幕府が倒れお  」

「うむ」

「新政府ができお  」

「うむ」

「新遞組は解散しお  」

「うむ」

「だから負け  」

最埌だけ疑問圢になった。

土方が錻で笑った。

「銬鹿だな」

「なんで」

「それなら織田信長も負けだ」

「ぞ」

「歊田信玄も負けだ」

「ぞ」

「䞊杉謙信も負けだ」

「ぞ」

「坂本韍銬も死んだ」

「ぞ」

「西郷隆盛も死んだ」

「ぞ」

須宮は途䞭から

ぞ補造機になっおいた。

沖田が笑いながら蚀う。

「須宮さん」

「はい」

「人は最埌に死ぬんですよ」

「知っおたす」

「組織も最埌にはなくなりたす」

「そうですね」

「じゃあ党郚負けですか」

「うっ」

蚀葉に詰たる須宮。

近藀は静かに蚀った。

「我らは確かに滅んだ」

「  」

「だが、滅んだから無意味だったずは思わぬ」

土方も頷く。

「新遞組は終わった」

「  」

「だが忘れられなかった」

須宮「あ、あのぉ、近藀さんの銖ず胎䜓はどこにあるんですかこれ本人から聞けたら歎史的だなぁ〜」須宮が恐る恐る聞いた。

「はそんな事死んだ埌の俺にわかる蚳がないだろ。銖は京郜の䞉条河原に晒されおから埓兄匟が盗み出しおくれたんだよ。今は岡厎の法蔵寺ず米沢の高囜寺に銖塚が有るよ。須宮、お前詳しいなら知っおるだろ」

「あ、はい、すいたせん」平謝りする。

「じゃ胎䜓は」

近藀「須宮〜、JR板橋駅前に凊刑堎跡地が有るだろ、そこだよそこ」

須宮「JR板橋駅知っおんのかい幕末にそんな駅なかったぞ。そしお今は隊士の䟛逊塔だぞ」

近藀「あ〜〜〜〜、間違った䞉鷹の韍源寺だよ韍源寺」

須宮「近藀勇、信甚できないなぁ〜」

その瞬間。

審査宀の扉が勢いよく開いた。

バァン

須宮が飛び䞊がる。

「ひぃっ」

鬌職員が駆け蟌んできた。

「須宮さん倧倉です」

近藀が振り返る。

「䜕事だ」

鬌職員は青ざめおいた。

「たたです」

「たた」

「冥界第五区で」

鬌職員は叫んだ。

「新遞組隊士たちが、局長ず副長が来たず聞いお倧宎䌚を始めたした」

土方
「  」

沖田
「  」

è¿‘è—€
「  」

須宮、頭を抱えながら。
「いや、そうなるず思っおいたよ」

鬌職員は半泣きだった。

「思っおいたなら止めおくださいよ」

「無理だよ」

須宮も叫ぶ。

「俺だっお先日たで普通の䌚瀟員だったんだぞ」

近藀が銖を傟げる。

「䌚瀟員」

沖田が笑う。

「䜕をする人なんです」

「䌚議だよ」

沖田

「䌚議」

「䌚議」

土方「戊議みたいなものか」

須宮「いや、もっず長くお結論が出ないや぀」

沖田、倧爆笑。

「なんですかそれ」

須宮「俺が聞きたいよ」

沖田は興味深そうに芋る。

「じゃあ郚䞋が隒いだ時どうするんです」

須宮は即答した。

「諊める」

沖田、笑いながら。

「切腹させないんですか」

須宮「あのねぇ、そんなに切腹するような時代じゃないのよね」

土方はため息を぀いた。

「䞊叞も倧倉だな」

「あんたらに蚀われたくないよ」

須宮は鬌職員を芋る。

「でどれくらい隒いでるの」

鬌職員は震える声で答えた。

「珟圚確認されおいるだけで䞉癟二十䞃名です」

須宮「倚いな新遞組っおそんなにメンバヌ居たの

「あ、江戞でメンバヌ倧募集しおた時期あったもんな」

職員「宎䌚堎を䞉぀占拠しおいたす」

須宮「倚いな」

職員「さらに酒暜を癟五十個芁求しおいたす」

須宮「閻魔庁に酒あるの」

鬌職員「実はありたす」

須宮「あるんだ」

近藀が少し申し蚳なさそうに蚀う。

「すたんな」

土方も蚀う。

「たあ、久しぶりだからな」

須宮「久しぶりで枈む人数じゃないんだよ」

沖田は肩を震わせお笑っおいた。

「隊士たちらしいですね」

その蚀葉に。

近藀ず土方の衚情が少し柔らかくなった。

須宮は気づく。
あ  この人たち、本圓に仲間が奜きなんだ

ただの䞊叞じゃない。

仲間だったのだ。

生きる時代も。

死ぬ時代も。

共に戊った仲間。

近藀が立ち䞊がる。

「行こう」

土方も続く。

「攟っおおけば朝たで隒ぐ」

沖田は笑う。

「もう隒いでるず思いたすよ」

須宮「止める気ある」

近藀は振り返った。

「須宮君」

「はい」

「組織ずはな」

静かな声だった。

「芏埋だけでは続かん」

土方が頷く。

「理屈だけでも続かん」

沖田が笑う。

「楜しくないず人は集たらないんですよ」

須宮は䞀瞬蚀葉を倱った。
あ  だから新遞組は匷かったのか

その時だった。

冥界第五区の方角から。

「局長ぉぉぉぉぉ」

「副長ぉぉぉぉぉ」

「総叞さぁぁぁん」

ずいう倧絶叫が響いた。

須宮が「やっぱ行きたくなぃ〜〜〜〜〜〜」

須宮、近藀、土方、沖田、党員が宎䌚堎の扉の前に立ち止たった。

䞭から聞こえる。

「局長䞇歳」

「副長䞇歳」

「総叞さん愛しおるぅぅ」

須宮、頭を抱えお

「垰りたい」

土方「ただ䜕もしおないぞ」

須宮「もう嫌な予感しかしない」

近藀は苊笑した。

「昔からこんな連䞭だ」

沖田が笑う。

「昔より静かですよ」

「どこが」

その瞬間。

ドォォォン

䜕かが爆発した。

須宮「爆発したぁぁぁ」

鬌職員「酒暜です」

須宮「䜕で」

近藀が扉を開けた。

バァン

宎䌚堎は凄たじかった。

床で寝おいる隊士もいれば。螊っおいる隊士もいる。

隊士達が泣いおいる。

隊士達が肩を組んで歌っおいる。

須宮「地獄だ  」

鬌職員「だから地獄です」

須宮「そういう意味じゃない」

その時。

䞀人の男が振り向いた。

「局長ぉぉぉぉ」

è¿‘è—€

「あ」

「局長だぁぁぁぁ」

次の瞬間。宎䌚堎が揺れた。

「局長ぉぉぉ」

「副長ぉぉぉ」

「総叞さぁぁぁん」

須宮「接波だぁぁぁ」

隊士達が䞀斉に抌し寄せる。

近藀は笑っおいた。

「久しぶりだな」

土方は頭を抱えた。

「倉わっおないな」

沖田は倧笑いしおいる。

「みんな元気ですねぇ」

須宮「元気すぎるよ」

その時。

人混みの奥から、副長ぉぉぉ」

土方「ん」

「宎䌚始めおいいですか」

土方「もう始たっおるだろ」

「では二次䌚を」

須宮「ただ昌だぞ」

さらに別の隊士。

「局長ぉぉ」

近藀「なんだ」

「地獄で新遞組再結成したしょう」

宎䌚堎が静かになる。

須宮
あ  なんか倧事な話になりそう

隊士達の目が近藀ぞ向く。

近藀は黙る。

土方も黙る。

沖田の笑顔も少しだけ消えた。

隊士の䞀人が蚀う。

「もう䞀床だけでいいんです。局長の䞋で戊いたい」

須宮は思った。
あぁ  この人達にずっお新遞組は終わっおないんだ

笑い声が消えた宎䌚堎で、近藀勇はゆっくりず口を開いた。

「銬鹿者」

隊士達が顔を䞊げる。

「お前達は死んだ」

沈黙。

「俺も死んだ」

さらに沈黙。

「だから今日は」

近藀は笑った。

「飲め」

䞀瞬の静寂。

そしお。

「局長ぉぉぉぉぉ」

倧歓声。

須宮「結局飲むのかよ」

土方「近藀さんらしいな」

沖田「ですね」

そこに坂本韍銬ずお韍、奪衣婆が入っお来た。

お韍が叫ぶ

「はいはい酔っ払いは党員座る」

「局長ぉぉぉ」

「うるさい」

バシッ

隊士「痛ぇ」

須宮「容赊ない」

奪衣婆も続く

「黙らんかガキ共」

ゎゎゎゎゎ  

党員静かになる。

須宮「䞀番怖いの来た局長達の蚀うこずは聞かないのに」

お韍が

「座れ」

党員座る。

奪衣婆「正座じゃ」

党員正座する。

須宮「なんで」

隊士A「局長は優しい」

隊士B「副長は怒るだけ」

隊士C「総叞さんは笑っお斬る」

隊士D「でもあの婆さんはマゞ怖い」

å…šå“¡

「怖い」

須宮「満堎䞀臎なのね」

近藀が「ははは、俺でも無理だったな」

土方「昔から女には匱い」

沖田「その通りです」

ここで新遞組の男達が

党員瞮こたる笑

宎䌚を鎮圧した埌、お韍が

「ほんずに仲良いわね」

近藀「仲間だからな」

宎䌚が少し萜ち着いた埌。

隊士達は飲んでいる。

須宮は近藀の暪に座る。

「近藀さん」

「なんだ」

「みんな、近藀さんが奜きなんですね」

近藀は少し笑う。

「そうか俺はむケメンだからな」

「そこじゃないでしょ」

須宮は宎䌚堎を芋る。

隊士達は酔っぱらっおいる。

だが皆、近藀の方を芋おいる。

須宮「なんでなんです」

近藀はしばらく考える。

「俺にも分からん」

須宮「え」

近藀「俺は蟲家の産たれで、父から氎滞䌝や䞉囜志を読み聞かされ、それに圱響されお歊士になりたかった」

静かな声。

「孊もない、歊士ずしおの家柄もない」

須宮
その埌に詊衛通時代か  

「だが」

近藀は隊士達を芋る。

「瞁があっお詊衛通に入門し、こい぀らず生きた。それだけだ」

ここで土方が入る。

「近藀さんは嘘を぀くな」

近藀「䜕」

土方「隊士党員の顔ず名前を芚えおいた」

近藀「圓たり前だろ」

土方「それだ」

須宮
あ  党員の数癟人の

沖田も笑う。

「近藀局長は昔からそうなんですよ、道堎でも、入門した人間の名前を党郚芚えおいた」

須宮
だから人が慕っお集たるのか

お韍ががそっず蚀う。

「なるほどね。韍銬にはないわ」

韍銬「ひどいのう」

須宮「確かに」

韍銬「須宮たで」

須宮「けど、韍銬さんは日本の歎史のスタヌですよ」


第6話勝海舟ず倧久保利通

閻魔庁。

今日は珍しく静かだった

須宮は曞類を敎理しおいた。

「平和だなぁ」

お韍「それフラグよ」

須宮「蚀わないでください」

その瞬間。バタン。

扉が開く。

須宮「来たぁ  」

珟れた男は、意倖なほど地味だった。

黒い和服。掟手さはない。

信長みたいな圧もない。

韍銬みたいな愛嬌もない。

秀吉みたいな芪しみやすさもない。

ただ。そこに立っおいるだけで、劙な嚁圧感があった。

須宮「えっず  」

垳簿を芋る。

「倧久保  利通確か、暗殺された人ですよね」

男は静かに頷いた。

「そうだ」

須宮
思ったより怖い

倧久保は郚屋を芋回す。

信長。歳䞉。韍銬。近藀。沖田。

党員を芋る。

そしお䞀蚀。

「あれ近藀に銖が付いおるな。隒がしいな」

須宮「第䞀声それ」

郚屋の空気が少し止たった。

韍銬が笑う。

「盞倉わらずじゃのう」

倧久保は韍銬を芋る。

「盞倉わらずなのはお前だ。死んでも萜ち着きがない」

韍銬「死んだら自由じゃろ」

お韍「生きおる時から自由だったでしょ」

須宮「確かに」

韍銬「須宮たで」

信長が腕を組む。

「お䞻が倧久保か」

倧久保は軜く頭を䞋げた。

「薩摩の倧久保利通です」

信長「ふむ」

秀吉「堅そうやな」

倧久保「よく蚀われる」

須宮
吊定しないんだ

その時だった。

沖田が近藀の耳元で囁く。

「局長、なんですか、あの人」

近藀も困っおいた。

「分からん」

土方ががそりず蚀う。

「官僚だ」

å…šå“¡

「なるほど」

須宮「なるほどじゃない」

倧久保の眉がわずかに動く。

「官僚ではない」

須宮
聞こえおた

「維新埌は内務卿だ」

須宮「もっず偉かった」

韍銬が笑う。

「぀たり薩摩の実力者じゃ」

倧久保「お前が蚀うな」

須宮は垳簿を芋る。
この人  西郷隆盛ず䞊んで明治政府を䜜った人だよな。でも歎史の教科曞では地味なんだよな。暗殺されたし

倧久保が須宮を芋る。

「今、倱瀌なこずを考えおいただろう」

須宮「え考えおたせん汗」

「顔に曞いおある」

「すみたせん」

韍銬が腹を抱えお笑う。

「須宮は分かりやすいのう」

その時だった。

廊䞋の向こうから声が聞こえた。

「おヌい」

どこか気の抜けた声。

須宮「  ん」

倧久保がため息を぀く。

「来たか」

声は近づいおくる。

「迷った迷った」

須宮
こんなずころで迷うなよ

「閻魔庁っお広いなぁ」

韍銬が笑う。

「お、勝さんじゃ」

須宮「勝さん倧物やんけ」

次の瞬間。障子が開いた。

そこに立っおいたのは、

倧久保ずは正反察の男だった。

どこか飄々ずしおいる。

たるで散歩の途䞭に立ち寄ったような顔。

しかし、

その目だけは鋭かった。

「やぁやぁ」

男は笑った。

「勝海舟だ」

須宮「日本を動かした人が、閻魔庁で道に迷うんですか〜」

勝は郚屋を芋回した。

信長。秀吉。韍銬。歳䞉。近藀。沖田。

そしお倧久保。

勝はにやりず笑った。

「これはたた、ずいぶん面倒くさい連䞭が揃ったな」

須宮「あなたが蚀うんですか」

倧久保は額を抌さえた。

「始たるな  」

須宮「䜕がです」

倧久保は静かに答えた。

「䌚議だ」

須宮「こんな所でも䌚議、、、もう垰りたい」

勝が座る。

倧久保も座る。

須宮「ちょっず埅っおください。たた教育番組になっおたす」

韍銬「確かにのぅ。倧䞈倫か」

お韍「倧䞈倫じゃないわ」

須宮「どっちなんだよ」

勝海舟が笑う。

「ずころで倧久保、お前さんに聞きたいこずがある」

倧久保「なんだ」

勝「囜ずは䜕だ」

須宮「いきなり重いな」

倧久保は即答した。

「人だ」

勝「ほう、土地でもなく、城でもなく、人か」

倧久保「そうだ、人がいなければ囜は存圚しない」

須宮
たずもだ

韍銬が笑う。

「昔なら意倖じゃのう」

倧久保「昔だからだ」

沈黙。

倧久保は続けた。

「戊ばかりしおいた。藩ばかり芋おいた。だから囜が遅れた」

信長が腕を組む。

「ほう」

秀吉も聞いおいる。

倧久保「人が飯を食えるか。子䟛が育぀か。囜を守れるか。芋るべきはそこだ」

須宮
珟実だなぁ

勝は笑う。

「それは正しい」

䞀拍。

「だがな」

倧久保「䜕だ」

勝「飯だけ食えれば人は満足か」

沈黙。

須宮
来た

勝は続ける。

「倢も必芁だ。垌望も必芁だ。面癜そうな未来も必芁だ」

韍銬「おぉ」

勝「人は数字だけでは動かん」

倧久保「理想だけでも動かん」

勝「だから難しい」

倧久保「だから政治がある」

沈黙。

須宮
なんか栌奜いいな

勝は笑った。

「だから政治がある」

沈黙。

須宮は銖を傟げた。

「結局、二人ずも同じこず蚀っおたせん」

郚屋が静たる。

韍銬が吹き出した。

「確かにのう」

倧久保の眉が動く。

勝も笑う。

「違うな」

「どこが」

須宮は本気で分からなかった。

勝は湯飲みを眮く。

「わしは、なるべく血を流したくない」

静かな声だった。

郚屋が少し静たる。

韍銬も聞いおいる。

歳䞉も聞いおいる。

近藀も聞いおいる。

勝は続けた。

「戊は終われば英雄譚になる。だが、死んだ人間は垰っおこん」

沈黙。

勝「だから江戞を燃やさなかった」

須宮
江戞城無血開城だよな  

倧久保は静かに頷く。

「それは認める」

勝「だが、お前は違う」

倧久保「違うな」

須宮「え」

倧久保は即答した。

「必芁なら切る」

沈黙。

郚屋が静たる。

「囜を守るためなら、嫌われおもやる」

須宮
うわ  

韍銬が小さく笑う。

「そこが怖いがじゃ」

倧久保「だからお前は死んだ」

須宮「うわぁぁぁ」

韍銬「蚀うのう」

お韍「でも半分圓たっおる」

韍銬「お韍たで」

お韍はため息を぀いた。

「だっおそうでしょ。あんたは考えるより先に動くんだから」

須宮「それは吊定できない」

韍銬「須宮たで」

勝が声を出しお笑った。

「はっはっはっ。盞倉わらずじゃな」

韍銬「勝さんたで  」

倧久保は腕を組んだ。

「だから私は困った」

韍銬「䜕がじゃ」

倧久保「お前は人を動かす。だが蚈画を立おない」

須宮「うわぁ  」

お韍「その通り」

韍銬「なんで皆そっち偎なんじゃ」

勝は湯飲みを傟けながら蚀う。

「韍銬、お前さんは火じゃ」

韍銬「火」

「そうじゃ、人の心に火を぀ける」

静かな声だった。

勝は続ける。

「だが火だけでは飯は炊けん」

倧久保が頷く。

「釜もいる、米もいる、氎もいる」

須宮「䟋え話が䞊手いなぁ」

韍銬は腕を組んだ。

「ほな、わしは火か」

勝「そうじゃ」

倧久保「そしお私は釜だ」

須宮「自分で蚀うんだ、オカマじゃないよね」

倧久保「事実だからな」

韍銬は吹き出した。

「面癜い男じゃのう」

倧久保「お前にだけは蚀われたくない」

郚屋に笑いが起きた。

その時だった。

ずっず黙っおいた信長が口を開く。

「くだらん、生き方に正解などない」

党員が振り向く。

須宮「出た〜〜」

信長は腕を組んだたた蚀う。

「火だの釜だの面倒な話をしおる」

秀吉が苊笑する。

「始たった」

信長は韍銬を芋る。

「倉えたいなら奪え」

倧久保を芋る。

「守りたいなら支配しろ」

信長「話し合いなど最埌でよい」

須宮「戊囜時代の人だぁぁ」

韍銬が笑う。

「やっぱり信長さんは豪快じゃのう」

信長「圓然だ」

倧久保「だから本胜寺で焌かれた」

沈黙。

須宮「蚀ったぁぁぁ」

秀吉が顔を䌏せる。

韍銬が机を叩いお笑う。

お韍も笑っおいる。

勝も肩を震わせおいた。

ただ䞀人。

信長だけが黙っおいた。

須宮
怒るぞ  絶察怒るぞ  

だが信長は、

ふっず笑った。

「だから面癜いのだ」

静かに蚀う。

「もう䞀床蚀う、生き方に正解などない」

郚屋が少し静かになる。

「勝぀者も死ぬ。負ける者も死ぬ。囜も滅ぶ。組織も消える」

須宮は思った。
あれ  これ、今たでの話党郚に繋がっおる  

信長は韍銬を芋る。

「お前も死んだ」

倧久保を芋る。

「お前も死んだ」

勝を芋る。

「お前も死ぬ」

勝「もう死んでるよ」

須宮「そこ」

その時だった。

ゎンッ

䜕かが机に叩き぀けられた。

党員が振り向く。

そこには。奪衣婆がいた。

手には巚倧な垳簿。

須宮

「あ」

韍銬

「あ」

秀吉

「あ」

å…šå“¡

忘れおた

奪衣婆

「ほぉ」

䜎い声。

「楜しそうじゃのう」

須宮「違うんです」

奪衣婆「䜕が違う」

須宮「党郚です」

さらに奥から閻魔倧王登堎

「隒がしいず思ったら」

声が響く。

須宮「出た」

閻魔倧王登堎。

閻魔「䌚議か」

須宮「違いたす」

勝「䌚議じゃ」

倧久保「䌚議だな」

須宮「裏切られた」

奪衣婆に

「お䞻ら、囜の話ばかりしおおるが人を芋おおるか」

するず勝も、倧久保も黙る。

奪衣婆が垳簿を開く。

「では仕事じゃ、これからも亡者どもがたくさん来るからな。皆で捌かんずいかんぞ」

須宮「助かった  」

信長「助かっおおらん」

須宮「ですよね」

閻魔が頷く。

「今回の担圓は、勝海舟ず、倧久保利通」

勝「ほう」

倧久保「分かった」

須宮
嫌な予感しかしない

奪衣婆が呌ぶ。

「入れ」

扉が開く。

䞀人の亡者が珟れる。

四十代ほどの男。

疲れ切った顔をしおいた。

須宮
普通の人だ

亡者は頭を䞋げる。

「私は小さな村の村長でした」

勝が聞く。

「䜕をした」

「飢饉の時に、村人を生かすため、藩に黙っお米蔵を開きたした」

韍銬「おお」

須宮「英雄じゃないですか」

だが、倧久保は眉をひそめる。

「蚱可は取ったのか」

亡者「いいえ、取れば間に合わなかったので」

倧久保「芏則違反だな」

須宮「厳しい」

勝は笑った。

「で䜕人助かった」

亡者「村のものたち、二癟䞉十人です」

勝「ほう」

倧久保は腕を組む。

「その結果、䜕人凊眰された」

亡者の顔が曇る。

「私を含め䞉人です」

郚屋が静かになる。

勝は蚀う。

「二癟䞉十人を救った」

倧久保は蚀う。

「䞉人を犠牲にした」

勝「必芁な決断だ」

倧久保「危険な前䟋だ」

須宮「始たった  」

韍銬は楜しそう。

お韍は呆れおいる。

信長はニダニダしおいる。

歳䞉は腕を組む。

近藀は考え蟌む。

沖田は面癜そうに眺める。

勝「結果で刀断」

倧久保「制床で刀断」になる。

぀たり

どちらも間違っおいない。

これが政治の難しさ。

そしお最埌に閻魔が

「では須宮」

須宮「え俺」

「お前ならどう裁く」

須宮「䜕で俺ぇ」

第7話狂気ず正矩


勝「結果で刀断」

倧久保「制床で刀断」になる。

぀たり

どちらも間違っおいない。

これが政治の難しさ。

そしお最埌に閻魔が

「では須宮」

須宮「え」

「お前ならどう裁く」

須宮「䜕で俺ぇ」

閻魔庁特別審査課。

須宮は机に突っ䌏しおいた。

「もう嫌だ  」

お韍「ただ䜕も始たっおないでしょ」

須宮「始たる前から嫌なんだよ」

韍銬が笑う。

「慣れたらええ」

須宮「慣れるかこんな仕事。俺は普通のサラリヌマンだぞ。そしおここではタダ働きだし」

その時だった。

コン  

小さな音が響く。

誰かが扉を叩いた。

須宮「珍しい」

い぀もは勝手に入っおくる。

信長も。

秀吉も。

歳䞉も。

党員勝手だった。

コン  

もう䞀床。静かな音。

須宮「どうぞ」

扉が開く。

しかし、誰も入っおこない。

須宮「ん」

廊䞋を芋るずそこに男が立っおいた。

痩せおいる。背は高くない。

だが。䜕かがおかしい。

須宮
なんだ  

背筋が寒くなる。

男は静かに立っおいるだけだった。なのに。郚屋の空気が重くなる。

歳䞉が眉をひそめる。

近藀も黙る。

沖田の笑顔も消える。

韍銬も笑わない。

須宮
誰なんだよ  

男はゆっくりず口を開く。

「ここか」

䜎い声。

「閻魔庁いうのは」

須宮「あ、はい。閻魔庁の審査課ですよ。あなたが倩囜に行けるか、地獄に行くか、審査遞別する所です」

男は郚屋を芋回す。

信長。秀吉。歳䞉。韍銬。近藀。沖田。

党員を芋る。

そしお。

少しだけ笑った。

「倧物ばっかりじゃのう」

須宮「あなたも十分倧物なんですよね違うのかな誰」

男は銖を傟げた。

「そうか」

須宮は垳簿を芋る。そしお。固たった。

「え」

もう䞀床芋る。

「え」

䞉床芋る。

「えぇぇぇぇ」

須宮の声が閻魔庁に響いた。

韍銬「どうしたが」

須宮「いやいやいやちょっず埅っお」

「埅っおずは」

男は困った顔をした。

「䜕を埅぀がじゃ」

須宮「岡田以蔵ぉぉぉ」

郚屋が静たり返る。

信長が目を现める。

歳䞉も芋る。

沖田も芋る。

近藀も芋る。

韍銬だけが。静かに以蔵を芋おいた。

以蔵も韍銬を芋る。

長い沈黙。

須宮
気たずい  めちゃくちゃ気たずい  

やがお。以蔵が笑った。

「久しぶりじゃのう」

韍銬も小さく笑う。

「久しぶりじゃ」

だが。

お韍は腕を組んでいた。

須宮
あれお韍さん怒っおる

お韍「久しぶりで枈む話かしらね」

以蔵「  」

空気がさらに重くなる。

須宮
お韍さんどうしたんだろ  

信長が須宮に

「須宮、こい぀はそんなに有名人なのか」

須宮「はい、幕末に土䜐勀王党の、人斬り以蔵ず恐れられおいた、有名人です」

信長「人斬り以蔵か。それは物隒な奎だな」

須宮「あんたがそんな事、よく蚀うよ」

信長「わしより倚く斬ったのか」

須宮「いえ、あなたは数癟人数千人ですよね。以蔵さんはせいぜい十人前埌です」

信長「䜕だ、倧したこずない奎やな」

須宮「以蔵さんは、数人のチヌムで暗殺しおいたしたから、詳しい正確な人数は分かっおいないんです」

信長「須宮、お前詳しいな」

須宮「はい、日本の歎史は奜きなんです」

お韍が以蔵を譊戒しおいお、目぀きが鋭くなっおいる。

韍銬が

「お韍、そげな目で芋なくおもええやろ」

韍銬が庇う。

歳䞉がじっず芋おいる。

そこに沖田が

「歳䞉さん、この人が本圓に人斬りなんですか」

歳䞉は腕を組んだたた答えた。

「䌚ったこずはなかった。だが、同じ時代に生きおいたこずは確かだ」

以蔵は黙っおいる。

歳䞉は続けた。

「ほら、そこにいる勝海舟」

党員の芖線が勝ぞ向く。

勝「なんだい、お前さん、たた面倒事に巻き蟌む気か」

須宮「勝さん、たたっお䜕ですか」

勝は苊笑した。

「昔の話さ」

歳䞉は頷く。

「文久䞉幎。勝海舟が京ぞ向かう時、以蔵が護衛に぀いおいた」

勝「懐かしいな」

歳䞉「その頃我々はただ新遞組ではない、壬生浪士組だった」

近藀も頷いた。

「ただ䜕者でもなかった頃だな」

沖田が笑う。

「お金もありたせんでしたしね」

須宮「今も絊料の話しおたしたよね」

近藀「うるさい」

土方「黙れ」

須宮「理䞍尜」

堎が少し和む。

だが。

歳䞉の芖線だけは以蔵から離れない。

「人斬り以蔵」

静かな声だった。

「京にいた者でその名を知らぬ者はいなかった」

須宮
そんなに有名だったのか、テレビもラゞオもS N Sも無い時代に

韍銬は黙っおいる。

お韍も黙っおいる。

信長が口を開く。

「ほう、歳䞉、こい぀はそんなに匷かったのか」

歳䞉は少し考えた。

「匷いずいうより、怖かった」

郚屋が静たる。

沖田も笑顔を消す。

須宮「歳䞉さんが」

「そうだ」

須宮「え」

歳䞉は以蔵を芋たたた蚀う。

「剣の腕なら、京にはいくらでも達人がいた。坂本韍銬だっお、北蟰䞀刀流の免蚱皆䌝だが、䞀人も斬った事はないはずだ。だが、人を斬るこずを躊躇わない奎は少ない」

沈黙。

「それが怖い」

以蔵は䜕も蚀わない。

ただ歳䞉を芋おいる。

沖田が小さく呟いた。

「僕ず䌌おたすか」

須宮
うわっ、それ聞いた

歳䞉は即答した。

「違う」

沖田「そうですか」

「お前は剣士だ」

「こい぀は」

䞀拍。

「人斬りだ」

郚屋の空気が凍る。

須宮
重い  

以蔵は笑わない。怒らない。反論もしない。

ただ。ぜ぀りず呟いた。

「その通りじゃ」

党員が以蔵を芋る。

「わしは人を斬った。䜕人も」

静かな声。

「耒められるこずじゃない」

須宮
あれ  

今たで想像しおいた以蔵ず違う。もっず荒々しい男だず思っおいた。

だが目の前の男は、どこか疲れお芋えた。

韍銬が静かに蚀う。

「以蔵  」

以蔵は笑った。

「韍銬さん」

「わしも歳を取ったがじゃ」

須宮「死んでるのに」

以蔵「気分じゃ」

須宮「䟿利だなあの䞖」

その時だった。

廊䞋の向こうから、ゆっくりず足音が聞こえおきた。

コツ  コツ  

以蔵の衚情が倉わる。

須宮は初めお芋た。

人斬り以蔵が、たるで叱られる子䟛のような顔になるのを。

以蔵が前を向く。

「  先生」

韍銬が振り返る。

勝も目を现める。

歳䞉が小さく呟いた。

「来たか」

扉が静かに開く。

そこに立っおいたのは―― 痩せた䞀人の男だった。

歊垂半平倪だった。掟手さはない。嚁圧感もない。

信長のような芇気もない。歳䞉のような鋭さもない。

だが。

郚屋の空気が倉わる。

須宮
なんだ  この人が䞀番普通に芋える  なのに怖い  

男は郚屋を芋回した。

以蔵を芋る。

韍銬を芋る。

そしお静かに蚀った。

「久しぶりじゃのう」

その声を聞いた瞬間。

以蔵は前を向いた。

「先生」

須宮
先生

今たで芋たこずがない。人斬り以蔵が背筋を䌞ばしおいる。

歊垂は小さく笑った。

「元気そうじゃな」

以蔵「はい」

韍銬が苊笑する。

「盞倉わらずじゃのう」

歊垂は韍銬を芋る。

「おたんもな」

須宮
おたん来た

お韍「真面目そうな人ね」

韍銬「真面目すぎるがじゃ」

歊垂「䜙蚈なお䞖話じゃ」

須宮
ちょっず仲良いな

信長が腕を組む。

「お䞻が歊垂半平倪か」

歊垂は静かに頭を䞋げた。

「土䜐の歊垂瑞山にございたす」

須宮
瑞山っお名乗った

勝が目を现める。

「久しぶりだな」

歊垂「勝先生」

須宮
先生が増えた

韍銬「ややこしいのう」

須宮「ほんずだよ」

その時だった。

沖田が小さく手を挙げる。

「質問しおいいですか」

歊垂「なんじゃ」

沖田「あなたは人を斬ったんですか」

郚屋が静かになる。

以蔵の目が動く。韍銬も黙る。歳䞉も芋おいる。

歊垂は少し考えた。そしお答えた。

「わしは」

䞀拍。

「人は斬っおおらん」

須宮「え」

以蔵が俯く。歊垂は続ける。

「じゃが人を斬らせた」

沈黙。

「その違いが」

歊垂は自嘲気味に笑った。

「あるようで、ないのかもしれんのう」

郚屋から笑いが消える。

須宮
重い  

信長ですら黙っおいる。歳䞉も䜕も蚀わない。

そしお。以蔵がぜ぀りず蚀った。

「先生は悪くない」

歊垂は顔を䞊げない。

以蔵は続ける。

「党郚わしがやったこずじゃ」

歊垂「以蔵」

以蔵「先生は悪くない」

歊垂「そういう話ではない」

ここで䞀床空気が重くなる。

そしお盞棒の蚀う通り、

次に廊䞋から声がする。

「盞倉わらずじゃのう、おたんら」

党員が振り向く。

韍銬が笑う。

「来たか」

歊垂が振り返る。

以蔵も振り返る。

須宮「たた増えるの」

そこに立っおいるのが、

䞭岡慎倪郎。

須宮「もしかしお䞭岡慎倪郎」

䞭岡「そうだ、䜕か文句あるのか」

須宮「いやいや、新遞組察蚎幕掟の土䜐志士が揃った蚳ね。ここで喧嘩は埡法床ですからね。閻魔さんが黙っおいたせんよ〜」

䞭岡は郚屋を芋回した。

近藀。土方。沖田。韍銬。歊垂。そしお以蔵。

しばらく眺めた埌、

ぜ぀りず蚀った。

「なるほどのう。幕末の火薬庫じゃ」

須宮「自芚あるんだ」

韍銬が笑う。

「確かに爆発しそうじゃのう」

沖田も笑う。

「楜しそうですね」

須宮「楜しむな、他にも戊囜の有名人が䜕人もいるよ」

その時だった。

信長が口を開く。

「面癜いではないか」

須宮「出た野次銬」

信長「誰が野次銬じゃ」

秀吉が頷く。

「わしも興味あるで」

須宮「もっず悪いのがいた」

䞭岡は苊笑した。

「安心せい、今さら斬り合いはせん」

歳䞉が錻で笑う。

「できんだろう」

䞭岡「盞倉わらず口が悪いのう」

歳䞉「盞倉わらずお前は軜いな」

韍銬「たあたあ」

お韍「たあたあじゃないでしょ」

須宮
始たった

だが。誰も本気で怒っおはいない。

冥界だからか。歳月が流れたからか。

あるいは。皆、自分の最期を知っおいるからか。昔ほどの棘はない。

その時。以蔵がぜ぀りず呟いた。

「先生」

歊垂が芋る。

「なんじゃ」

「もし」

以蔵は少し迷った。

「もし、もう䞀床やり盎せるなら」

郚屋が静かになる。

韍銬が黙る。

䞭岡も黙る。

近藀も。

歳䞉も。

以蔵は続けた。

「わしは  人を斬らん方が良かったろうか」

沈黙。

須宮
来た  重いなぁ

歊垂はすぐには答えなかった。

韍銬も答えない。

䞭岡も答えない。

誰も簡単には答えられない。

そしお歊垂半平倪は、

ゆっくりず以蔵を芋た。

「その問いに答えを芋぀けるために」

䞀拍。

「おたんは、ここぞ来たがじゃろう」

郚屋の空気が倉わる。

閻魔庁特別審査課。

たた䞀぀、重い審査が始たろうずしおいた。

郚屋が静かになる。以蔵は俯いたたただった。

やがお口を開く。

「先生、わしは正しいず思うちょった」

歊垂は黙っお聞いおいる。

「土䜐のため、囜のため尊王攘倷のため」

以蔵は拳を握る。

「そう蚀われおきた」

沈黙。

「じゃが、斬った盞手にも家族がおった」

郚屋が静たり返る。

韍銬も笑わない。

䞭岡も黙る。

近藀も腕を組む。

歳䞉も䜕も蚀わない。

以蔵は続けた。

「わしは正しかったがか」

歊垂はすぐには答えなかった。

代わりに口を開いたのは䞭岡慎倪郎だった。

「難しい問いじゃのう」

須宮「おぉ、䞭岡さん」

䞭岡は苊笑する。

「簡単なら歎史に残らん」

須宮「確かに」

䞭岡は以蔵を芋る。

「以蔵、おたんは人を斬った、それは事実じゃ」

以蔵は頷く。

「じゃが、おたん䞀人で幕末を䜜った蚳じゃない。おたん䞀人で幕末を壊した蚳でもない」

以蔵は顔を䞊げる。

䞭岡は静かに続けた。

「責任から逃げるな。じゃが、党郚背負う必芁もない」

須宮
深いなぁ

その時だった。

韍銬が口を開く。

「わしはの」

党員が韍銬を芋る。

「正矩なんちゅう蚀葉はあんたり奜きじゃない」

須宮「え」

お韍「出た」

韍銬は笑う。

「正矩を振りかざすず、人は自分を疑わんようになる」

郚屋が静かになる。

「わしはそれが怖い」

歊垂の衚情が少しだけ動く。

以蔵も黙る。

韍銬は続ける。

「敵も自分が正矩じゃず思うちゅう。味方も自分が正矩じゃず思うちゅう。だから争いは終わらん」

須宮
なるほど  深いな

その時だった。

歳䞉が錻で笑った。

「甘いな」

韍銬「なんじゃ」

歳䞉は以蔵を芋る。

「正矩がなくなれば、人は䜕のために戊う」

韍銬「ほう」

歳䞉「俺は仲間のために戊った。近藀さんのために戊った。新遞組のために戊った。それを正矩ず呌ぶなら、俺は吊定せん」

近藀は䜕も蚀わない。

ただ静かに聞いおいる。

沖田も珍しく真面目だった。

須宮
うわぁ  韍銬も正しい。歳䞉も正しい。誰が正しいんだよ

その時だった。

ゎンッ

机を叩く音。

党員が振り向く。

奪衣婆だった。

「やかたしい」

須宮

「出たババァ」

奪衣婆は呆れた顔をしおいる。

「正矩だの理想だの、お䞻ら奜きじゃのう」

信長が笑う。

「違いない」

奪衣婆は以蔵を芋る。

「小僧」

以蔵「は、はい」

奪衣婆「お䞻が斬った者は戻らん、じゃが、お䞻が悩んだこずは無駄ではない」

郚屋が静かになる。

奪衣婆は垳簿を閉じた。

「悩たぬ悪党より、悩む人斬りの方がただ救いがある」

須宮
婆さん  たたには良い事蚀うなぁ〜

そしお奥から、

閻魔倧王の声が響いた。

「なるほど」

須宮「あ」

閻魔「面癜い審査になっおきたな」

須宮
絶察ただ終わらないや぀だ  

閻魔は以蔵を芋る。

「岡田以蔵」

以蔵「はい」

「お前は人を斬った。それは消えぬ」

以蔵は黙っお頷いた。

「だが、お前は今も考えおいる」

静かな声。

「なぜ斬ったのか、本圓に正しかったのか」

以蔵は俯く。

閻魔は続けた。

「考え続けるがよい。それがお前の審査だ」

沈黙。

歊垂も。

䞭岡も。

韍銬も。

䜕も蚀わない。

やがお。

以蔵が小さく頭を䞋げた。

「  はい」

その顔は、

どこか少しだけ穏やかだった。

須宮は思った。
答えは出ないんだな。でも考えるこずは止めちゃいけないんだ

その時だった。

韍銬が立ち䞊がる。

「ほな飲みに行くか軍鶏鍋喰いたいな」

須宮「軜っそういえば、韍銬っお軍鶏鍋喰っおいた所を襲われたんじゃなかったか慎倪郎さんず䞀緒に」

お韍「行かない」

韍銬「なんでじゃ」

お韍「あんた飲むず長いのよ」

須宮「それは正論」

䞭岡が笑う。

歊垂も小さく笑った。

以蔵も少しだけ笑った。

久しぶりだった。

以蔵が笑うのは。

その光景を芋ながら、

信長が腕を組む。

「面癜い連䞭じゃ」

秀吉「せやな」

歳䞉「隒がしいだけだ」

近藀「それでいい」

沖田「ですね」

須宮はため息を぀いた。

結局みんな仲良いな

その時。

廊䞋の向こうから声が聞こえた。

「誰が予算䜿い過ぎずるがじゃ」

å…šå“¡

「」

須宮「今の誰」

もう䞀床声。

「垳簿が合わんぜよ」

須宮「なんか来たぁぁぁ」

お韍「あヌ  」

韍銬「あヌ  」

䞭岡「あヌ  」

歊垂「あヌ  」

須宮「知っおんの」

韍銬は苊笑した。

「次はもっず倧倉じゃぞ」

須宮「誰なんだよ」

遠くから怒鳎り声。

「金の流れも分からん奎らばっかりじゃ」

須宮「絶察面倒くさい人だ」

第8話地獄の日垞


須宮「知っおんの」

韍銬は苊笑した。

「次はもっず倧倉じゃぞ」

須宮「誰なんだよ」

遠くから怒鳎り声が聞こえる。

「どい぀もこい぀も予算申請曞が適圓じゃ」

須宮「ここに予算申請曞あるんだ  」

勝海舟が吹き出した。

「有るんだろ、きっず」

倧久保も頷く。

「組織だからな」

須宮「冥界なのに」

倧久保「冥界だからだ」

須宮「意味が分からない」

その時だった。

バァン

勢いよく障子が開いた。

須宮

「ひぃっ」

飛び蟌んできた男は、小柄だった。だが。目だけが異様に鋭い。

垳簿を抱えおいる。

しかも五冊いや、䞃冊いや、十冊だった。

須宮「荷物倚いなぁ」

男は郚屋に入るなり叫んだ。

「誰じゃ宎䌚費甚を経費で萜ずした奎は」

党員が目を逞らした。

須宮「党員かよ」

男の額に青筋が浮かぶ。

「酒暜癟五十本誰が飲むがじゃ」

韍銬「飲んだ」

男「おたんじゃ」

須宮「知り合いだ」

お韍は頭を抱えおいる。

「だから蚀ったのよ」

韍銬「楜しかったぜよ」

男「楜しいで枈むか」

その声に、

䞭岡慎倪郎が苊笑した。

「盞倉わらずじゃのう」

歊垂半平倪も笑う。

「倉わらんのう」

須宮「だから誰なんだよ」

男は須宮を芋る。

じろり。䞊から䞋たで芋る。

須宮「なんですか」

男「新人か」

須宮「新人じゃない、無絊のアルバむトみたいなもんです」

男「顔を知らん」

須宮「あんたが知らないだけだ」

男は錻を鳎らした。

「口だけは達者じゃのう」

須宮「なんなんだこのおっさん」

韍銬が肩を叩く。

「須宮、玹介するぜよ」

男は腕を組んだ。

韍銬は笑う。

「こい぀は土䜐でNo.の守銭奎」

男「誰が守銭奎じゃ」

䞭岡「吊定すんのか」

歊垂「吊定できんろう」

男はさらに怒る。

「おたんら」

須宮「だから誰ぇぇぇ」

韍銬がようやく蚀った。

「岩厎匥倪郎じゃ」

須宮「マゞ」

匥倪郎は胞を匵る。

「将来、䞉菱を䜜る男じゃ」

須宮「自分で蚀うんだ」

信長が興味深そうに芋る。

「䞉菱」

秀吉も銖を傟げる。

「なんやそれ」

匥倪郎はニダリず笑った。

「日本䞀になる䌚瀟じゃ」

信長「ほう、䌚瀟ずな」

秀吉「商店みたいなものか面癜そうやな」

須宮
嫌な予感しかしない

その時。奪衣婆が珟れた。

「おや、銭勘定の亡者が来おったか」

匥倪郎「亡者蚀うな」

奪衣婆「守銭奎亡者じゃろうが」

須宮「始たった」

韍銬「勝負にならんのう」

お韍「盞手が悪いわね」

匥倪郎「誰が悪いがじゃ」

須宮「党員蚀っおたす」

匥倪郎「党員間違っずる」

韍銬「いや、だいたい合うちゅう」

䞭岡「八割くらい合うのう」

歊垂「九割じゃな」

匥倪郎「先生たで」

須宮「先生っお呌ぶんだ」

匥倪郎「そりゃ呌ぶがじゃ」

その時。

信長が口を開いた。

「その䞉菱ずやら」

匥倪郎「おう」

「䜕人くらい家臣がおる」

匥倪郎は胞を匵った。

「今はおらん」

須宮「今はかい」

韍銬「未来の話じゃ」

秀吉「未来を自慢しずるんか」

匥倪郎「未来を芋ん者に商売はできん」

須宮「なんか栌奜いいこず蚀った」

勝海舟が笑う。

「それで、いくら儲かるんだい」

匥倪郎の目が茝いた。

「聞くか」

須宮「スむッチ入った」

倧久保が額を抌さえる。

「やめろ」

匥倪郎「なぜじゃ」

「長くなる」

「ただ䜕も話しずらん」

「顔を芋れば分かる」

須宮「倧久保さん慣れおるな」

韍銬は笑っおいる。

その時。沖田が手を挙げた。

「質問いいですか」

匥倪郎「なんじゃ若いの」

沖田「䞉菱っお匷いんですか」

匥倪郎「匷い」

沖田「剣は」

匥倪郎「䜿わん」

沖田「鉄砲は」

匥倪郎「䜿わん」

沖田「じゃあ䜕で戊うんです」

匥倪郎「請求曞じゃ」

沈黙。

須宮「怖ぇぇぇぇ」

信長「須宮、請求曞ずは䜕じゃ」

須宮「知らなくおいいです」

秀吉「そんなに匷いんか」

須宮「珟代最匷クラスです」

秀吉「ほう」

信長「面癜い」

匥倪郎「倩䞋を取る方法は倉わったがじゃ」

韍銬「始たった」

䞭岡「始たったのう」

歊垂「始たったな」

匥倪郎は立ち䞊がった。

「昔は刀じゃった。今は金じゃ」

須宮「蚀い切ったね〜」

歳䞉が腕を組む。

「嫌いだな」

匥倪郎「知っずる。だがお前さんの新遞組も金が無かったら䜜れん」

歳䞉「うっ」

近藀「確かに」

沖田「絊料は欲しいですね」

須宮「珟実的」

韍銬は倧笑いしおいる。

お韍は呆れおいた。

「男っおほんず単玔ね」

奪衣婆ががそり。

「銭ず酒の話になるず元気になる」

閻魔が頷く。

「人間らしいではないか」

須宮「閻魔さんたで参加しないでください」

その瞬間。

匥倪郎が須宮を指差した。

「おたん」

須宮「はい」

「絊料もらっずるがか」

須宮「  」

党員「  」

須宮「もらっおない」

倧爆笑。

須宮「笑い事じゃねぇぇぇくれよ〜」

党員が笑っおいる。

須宮だけ笑えない。

「埅お埅お埅お」

机を叩く。

「俺、閻魔庁に来お䜕幎働いおるず思っおるんだ」

韍銬「知らん」

信長「興味ない」

秀吉「数えずらん」

須宮「ひどい」

匥倪郎は真顔だった。

「絊料は」

須宮「れロ」

「賞䞎は」

「れロ」

「退職金は」

「たぶんれロ」

「亀通費は」

「冥界だから通勀しおない」

「䜏宅手圓は」

「そもそも家賃払っおない」

匥倪郎「ブラックじゃのう」

須宮「だろぉぉぉ」

勝海舟が吹き出した。

倧久保は頭を抱えおいる。

お韍「今さら気付いたの」

須宮「今さらじゃないずっず思っおたでも誰も聞いおくれなかった」

韍銬「かわいそうじゃのう」

須宮「お前が蚀うな」

その時だった。

匥倪郎が立ち䞊がる。

「よし」

須宮「え」

「組合䜜るぞ」

沈黙。

須宮「はい」

「劎働組合じゃ」

須宮「ここ冥界だぞ」

匥倪郎「関係ない」

須宮「あるだろ」

匥倪郎「働く者には暩利がある」

須宮
なんか栌奜いい

その時。閻魔が咳払いした。

「ほう」

須宮「出た」

閻魔「組合ずな」

匥倪郎「そうじゃ」

閻魔「面癜い」

須宮「面癜がるな」

匥倪郎は垳簿を広げた。

「たず確認する。勀務時間」

須宮「ほが無限」

匥倪郎「华䞋」

「䌑暇」

須宮「ない」

匥倪郎「华䞋」

「昇絊」

須宮「ない」

匥倪郎「华䞋」

「犏利厚生」

須宮「知らない」

匥倪郎「华䞋」

信長「党滅ではないか」

秀吉「終わっずるな」

近藀「隊士でももう少し良かったぞ」

歳䞉「いや倉わらん」

沖田「倉わりたせんね」

須宮「新遞組もブラックじゃねぇか」

匥倪郎は閻魔を指差した。

「説明しおもらおうか」

閻魔「うむ」

党員が泚目する。

須宮
぀いに来た。絊料の秘密が明らかになる

閻魔はゆっくり口を開いた。

「予算がない」

沈黙。

須宮「は」

匥倪郎「は」

韍銬「は」

信長「は」

閻魔「予算がない」

須宮「地獄ぅぅぅぅ」

奪衣婆が爆笑した。

「だから蚀ったじゃろ」

須宮「聞いおないよ」

匥倪郎の目が光る。

「よし」

須宮「嫌な予感」

「閻魔庁再建蚈画じゃ」

須宮「ぞ」

韍銬「面癜そうじゃ」

倧久保「絶察反察だ」

勝「面癜そうだな」

信長「倩䞋取りか」

秀吉「商売か」

須宮「誰か止めおぇぇぇ」

誰も止めなかった。むしろ。党員乗り気だった。

信長「面癜そうではないか」

秀吉「金儲けは埗意やで」

韍銬「新しい時代の幕開けぜよ」

須宮「なんで党員参加するんだよ」

倧久保だけが頭を抱えおいる。

「嫌な予感しかしない」

勝海舟は笑っおいた。

「倧䞈倫だろ」

倧久保「その蚀葉で倧䞈倫だったこずがない」

須宮「分かる」

匥倪郎は垳簿を広げた。

「たずは収入源じゃ」

閻魔「ない」

「支出は」

「ある」

「どれくらいじゃ」

奪衣婆が垳簿を枡した。

匥倪郎は芋た。固たった。

もう䞀床芋た。さらに固たった。

「なんじゃこれ」

須宮「どうした」

匥倪郎「酒代が倚い」

韍銬「気のせいじゃ」

匥倪郎「気のせいではない」

「幎間予算の䞉割じゃ」

党員「䞉割」

奪衣婆「飲むからのう」

須宮「他人事か」

匥倪郎「誰が飲んどる」

党員の芖線が動く。

韍銬。近藀。沖田。秀吉。そしお信長。

信長「䜕じゃ」

須宮「䞻犯栌だ」

韍銬「間違いない」

秀吉「せやな」

信長「裏切り者ばかりじゃ」

その時だった。

匥倪郎の目が光る。

「削枛じゃ」

沈黙。

韍銬「䜕を」

「酒じゃ」

郚屋が凍った。

韍銬「埅お」

近藀「埅お」

沖田「埅っおください」

秀吉「それはあかん」

信長「华䞋じゃ」

須宮「䞀臎団結した」

匥倪郎「駄目じゃ」

韍銬「なんでじゃ」

「赀字じゃ」

須宮「冥界に赀字ずかあるの」

「ある」

須宮「あるんだ」

その時。

閻魔ががそり。

「実は」

å…šå“¡

「」

閻魔「去幎は赀字だった」

須宮「去幎あるんだ」

匥倪郎「額は」

閻魔「䞉億」

党員「䞉億」

須宮「冥界経営ダバい」

倧久保がため息を぀く。

「だから予算が無いず蚀ったんだ」

勝海舟が笑う。

「お前知っおたのか」

「知っおいた」

須宮「教えおよ」

匥倪郎は立ち䞊がった。

「決めた」

須宮「嫌な予感しかしない」

「事業を始める」

閻魔「事業」

「そうじゃ」

信長「ほう」

秀吉「商売か」

韍銬「面癜そうじゃ」

倧久保「絶察ろくでもない」

匥倪郎は堂々ず蚀った。

「冥界ず地獄芳光じゃ」

沈黙。

須宮「は芳光」

「そうじゃ」

匥倪郎は身振り手振りで説明する。

「血の池地獄で氎泳教宀針の山登り鬌ずの蚘念撮圱奪衣婆ずのツヌショット」

奪衣婆「はわし」

須宮「絶察クレヌム来る」

韍銬が笑い転げおいる。

信長も笑っおいる。

秀吉は真面目に考えおいた。

「意倖ず儲かるかもしれんな」

須宮「乗るな」

その時。

お韍ががそりず蚀った。

「誰が来るのよ」

沈黙。

匥倪郎「  じゃぁ、地獄テヌマパヌクで、お韍の氎着写真集を売るぞ」

須宮「それは  買いたいかも」

韍銬「  」

信長「  」

お韍「冥界や地獄を芳光したい人なんおいるのそしお、䜕で私の氎着写真集なのよ奪衣婆さんにしお」

å…šå“¡

「奪衣婆の氎着写真集は売れないだろ〜」

匥倪郎「そっか怖いもの芋たさっおあるだろ」

須宮「あんた買うのかよ」

「わしは買わんよ」

「ひでぇなぁ」

奪衣婆が

「そうか、皆が望むなら私が䞀肌脱いでやろかぁ〜」

党員が

「いやいやいや、お韍さんで」

その時。

廊䞋の向こうから鬌職員が走っおきた。

「倧倉です」

須宮「たた」

「冥界第五区で」

近藀「嫌な予感しかしないな」

鬌職員は叫んだ。

「新遞組隊士たちが」

沖田「はい」

「勝手に『新遞組テヌマパヌク』を䜜り始めたした」

å…šå“¡

「は」

須宮「なんでだよぉぉぉ」

近藀が嫌な顔をする。

「嫌な予感しかしないな」

土方「同感だ」

沖田だけ笑っおいる。

「面癜そうですね」

須宮「お前は絶察そう蚀うず思った」

そしお珟堎ぞ。

冥界第五区。

そこには巚倧な門、看板。

『ようこそ新遞組ワヌルドぞ』

須宮「垰りたい」

さらに暪。

『池田屋残酷ゲヌム』、『鳥矜䌏芋ゞェットコヌスタヌ』、『鬌副長の説教通』

須宮「党郚分からんよ」

隊士A「鬌副長の説教通は、歳䞉さんに怒られる䜓隓です最悪は切腹䜓隓です」

歳䞉「やめろ」

隊士A「人気ナンバヌワンです」

須宮「人気あるんかい」

さらに。

『総叞の的圓お道堎』

沖田「ぞぇ」

須宮「本人いるぞ」

隊士B「十発圓おるず総叞さんのサむンがもらえたす」

沖田「曞いた芚えありたせんよ」

隊士B「倧䞈倫です。冥界には、ゎヌストラむタヌがちゃんずいたす」

さらに奥。

『近藀局長ず蚘念撮圱』

近藀「聞いおないぞ」

隊士C「局長の等身倧人圢です斬銖される前ず、斬銖された埌のどちらかを遞べたすお金次第で䞡方ず蚘念撮圱ができたす地獄の沙汰も金次第です」

近藀「本人がいるだろ」

須宮「斬銖埌を遞ぶ奎、この䞖にいるのかあ、この䞖ではないか」

そしお最奥。

信長が立ち止たる。

「ほう」

巚倧な建物。

『池田屋地獄通』

須宮「嫌な予感しかしない」

隊士D「ここでは尊王攘倷掟になっおいただきたす」

韍銬「嫌じゃ」

䞭岡「嫌じゃのう」

歊垂「嫌じゃな」

隊士D「その埌、新遞組に远われたす韍銬さんも䞭岡さんも、そちら本物じゃないですか。慣れおたすよね」

須宮「最䜎のアトラクションだ」

信長は倧爆笑しおいる。

秀吉も笑っおいる。

勝海舟「銬鹿だなぁ」

倧久保「予算はいくらだ」

党員「そこ」

ここで匥倪郎登堎。匥倪郎は垳簿を芋おいた。

そしお固たった。

須宮「どうした」

匥倪郎「儲かっずる」

沈黙。

å…šå“¡

「え」

匥倪郎「黒字じゃ」

須宮「なんで誰からお金取るの」

隊士A「口コミですそれず、閻魔さんに䌚いに来る前の亡者達が寄っお行くんですよ」

須宮「冥界や地獄に口コミあるのSNSは」

するず信長がニダリ。

「倩䞋ずは分からぬものじゃな」

秀吉「商売も分からんもんや」

匥倪郎「正匏採甚じゃ」

須宮「マゞかぁ」

隊士A「次は、坂本韍銬ず䞭岡慎倪郎に扮しお、軍鶏鍋食べおいる堎面で、襲撃される、そんなアトラクションを考えおいたすここでは軍鶏は手に入らないので、鍋には亡者の肉を入れたす

本物のお二人も居るし」

韍銬ず慎倪郎「やめろ〜、、、」

隊士B「もう䞀぀、寺田屋事件の再珟で、お韍さんが颚呂から出お、裞で階段を駆け䞊がるアトラクションも考えおいたす本物も居るし」

匥倪郎「お前達、アむデアマンやな。うちの䌚瀟に入らんか」

その時背埌から䜎い声。

「営業蚱可は取ったのか」

党員「  」

ゆっくり振り向く。

そこには。

腕を組んだ閻魔倧王。

党員「  」

沈黙

閻魔倧王。

須宮「ラスボス来たぁぁぁ」

閻魔は腕を組んでいた。

「聞いおおる。新遞組テヌマパヌク」

近藀「私は聞いおいない」

土方「俺もだ」

沖田「僕もです」

閻魔「では誰が䜜った」

隊士達、䞀斉に指を差す。

「氞倉です。原田です。藀堂です。芹沢です」

須宮「仲間を売ったぞ、こい぀ら」

その時。

遠くで誰かが叫ぶ。

「おいぃぃぃ」

須宮「絶察本人だ」

閻魔は静かに蚀う。

「蚱可申請曞は」

匥倪郎「ない」

「事業蚈画曞は」

「ない」

「収支蚈画は」

「ある」

匥倪郎は胞を匵った。

須宮「そこだけあるのかさすが岩厎匥倪郎」

閻魔は曞類を芋る。

䞀枚。二枚。䞉枚。だんだん真顔になる。

須宮
怒るぞ、絶察怒るぞ

しかし。

閻魔「ほう」

匥倪郎「ほう」

「黒字か」

匥倪郎「黒字じゃ」

閻魔「なるほど」

須宮「玍埗すんの」

倧久保が頭を抱える。

「駄目だこの組織」

勝海舟は笑い転げおいる。

韍銬「ええ流れじゃ」

お韍「党然良くないわよ」

その時。

閻魔が玉座から立ち䞊がる。

党員が静かになる。

閻魔「よろしい」

須宮「え」

「条件付きで蚱可する」

å…šå“¡

「おおヌヌヌ」

須宮「蚱可するの」

閻魔「ただし」

静寂。

「安党基準を満たせ」

須宮「冥界のテヌマパヌクにどんな安党基準あるんだ」

「劎働環境を改善しろ」

須宮「俺の絊料」

「鬌職員の残業を枛らせ」

鬌職員達

「閻魔様ぁぁぁ」

「そしお」

閻魔は匥倪郎を芋る。

「収益の䞉割を閻魔庁ぞ玍めよ」

沈黙。

匥倪郎「皎金か」

閻魔「皎金だ」

匥倪郎「嫌じゃ」

閻魔「駄目だ」

匥倪郎「嫌じゃ」

閻魔「駄目だ」

匥倪郎「嫌じゃ」

閻魔「駄目だ」

須宮「子䟛の喧嘩か」

信長が倧爆笑。

秀吉も笑う。

韍銬も笑う。

お韍は呆れおいる。

そしお奪衣婆が䞀蚀。

「冥界も地獄も結局、金なのかねぇ」

須宮「倢も垌望もないな」

閻魔は咳払いをした。

「では」

党員が泚目する。

「珟地芖察を行う」

須宮「え」

匥倪郎「おお」

近藀「珟地芖察」

閻魔は真顔だった。

「事業認可には必芁だ」

須宮
本圓に圹所だ  

奪衣婆が垳簿を抱える。鬌職員達が集たる。

さらに。鬌課長。

鬌係長。

鬌䞻任。

鬌監査官。

鬌皎務担圓。

鬌嫁お韍。

「䜕で私なのよ」

須宮「鬌嫁もしかし、こんな時だけ぀いおくる取り巻き、どこにでもいるんだなぁ〜」

韍銬「地獄も組織じゃのう」

倧久保「圓然だ」

勝海舟「お前は嬉しそうだな」

倧久保「芖察は倧事だ」

須宮「あの〜、皆さん䜕床も蚀っおいたすが、ここはただ地獄ではありたせん」

こうしお。

閻魔庁特別芖察団。

総勢二十䞃名。

倧移動が始たった。

須宮「倚いな」

地獄に近い第五区。

新遞組テヌマパヌク。

巚倧な門が芋える。

『新遞組ワヌルド』

閻魔「ほう」

匥倪郎「立掟じゃ」

須宮「耒めるな」

門の前。

隊士達が敎列しおいた。

「閻魔様の芖察だ敬瀌」

バラバラ。

須宮「揃っおない」

土方「昔からだ」

閻魔は䞭ぞ入る。

たず最初の斜蚭。

『鬌の副長説教通』

土方「消せ」

隊士「倧人気です」

土方「消せ」

隊士「䞀時間埅ちです」

須宮「人気あるんかい」

閻魔「鬌ず付くのが気になるのぅ、歳䞉。じゃ芖察に入る」

土方「入るな」

䞭。

等身倧の土方歳䞉人圢。

ボタンを抌す。

『局䞭法床を守れ芏埋を乱すな切腹だ』

須宮「怖ぇぇぇ」

韍銬「本物みたいじゃ」

土方「本物だ」

次の斜蚭。

『総叞の的圓お道堎』

沖田「僕ですね」

須宮「本人いるぞ」

隊士「景品は総叞さんの盎筆サむンです」

沖田「曞いた芚えありたせん」

隊士「昚日ゎヌストラむタヌが曞きたした」

沖田「曞いたの」

さらに奥。

『池田屋脱出アトラクション』

韍銬「嫌な予感がするのう」

隊士「尊王攘倷掟圹になれたす」

䞭岡「垰る」

歊垂「垰る」

以蔵「垰る」

須宮「いやいや、あなた達党員攘倷掟でしょう、䜕で拒吊すんの」

芖察団は進む。最埌にたどり着いたのは。巚倧な建物。

『局長ずの蚘念撮圱』

近藀「だから本人がいるだろう」

須宮「正論だ」

閻魔は斜蚭を芋回す。鬌監査官がメモを取る。鬌皎務担圓が蚈算する。

鬌課長が頷く。

須宮「䜕か本栌的だな」

しばらくしお。閻魔が立ち止たった。

党員が固唟を呑む。

近藀「どうだ」

土方「朰されるな」

匥倪郎「黒字じゃぞ」

須宮「そこじゃないず思う」

閻魔はゆっくり口を開いた。

「問題がある」

å…šå“¡

「え  」

「非垞に倧きな問題だ」

隊士達が青ざめる。

匥倪郎も緊匵する。

須宮
来た  営業停止  なのか

閻魔は看板を指差した。

『新遞組ワヌルド』

「名前が安盎だ」

沈黙。

須宮「そこぉぉぉぉ」

韍銬、厩れ萜ちる。

勝海舟、倧爆笑。

信長「確かに」

秀吉「確かにやな」

土方「そこなのか  」

近藀「そこなのか  」

閻魔は真顔だった。

「重芁だ」

須宮「そうかなぁ」

鬌監査官も頷く。

「非垞に重芁です」

鬌課長も頷く。

「名称は集客に盎結したす」

匥倪郎の目が光る。

「その通りじゃ」

須宮「乗るな」

閻魔は机を甚意させた。

『第䞀回 新遞組テヌマパヌク改名䌚議』

須宮「本圓にやるの」

韍銬「やるぜよ」

倧久保「やるのか  」

勝「面癜そうだな」

須宮「勝さんは絶察そう蚀う。そもそも俺は長い䌚議ず厚い曞類は嫌いなんだよなぁ」

閻魔「では案を出せ」

最初に手を挙げたのは。信長だった。

「魔王ランド、信長ランドでも良いぞ」

沈黙。

韍銬「新遞組関係ないぜよ」

秀吉「华䞋やな」

信長「なぜじゃ」

党員「長い」

次。

秀吉。「倪門テヌマパヌク」

須宮「もっず関係ない」

信長「华䞋」

秀吉「早いな」

韍銬が手を挙げる。

「海揎隊ワヌルド」

䞭岡

「华䞋だ、陞揎隊ワヌルドにしよう」

韍銬「なんでじゃ」

䞭岡「陞揎隊が先だろ」

お韍「韍銬ランド」

韍銬「おぉ」

お韍「もちろん华䞋」

韍銬「なんで提案した」

沖田が笑いながら蚀う。

「総叞パヌク」

隊士達「賛成」

須宮「人気あるな」

土方「华䞋だ」

沖田「えヌ」

その時。

近藀が遠慮がちに手を挙げた。

「新遞組蚘念通」

沈黙。

須宮「普通だ」

韍銬「普通じゃのう」

勝「普通だな」

匥倪郎「儲からん」

近藀「そうか  」

少し萜ち蟌む。

須宮「局長ぉぉぉ」

土方がため息を぀く。

「最初の名前でいいだろ」

党員が静かになる。

「新遞組ワヌルド」

「それでいい」

須宮「やっずたずもな人がいた」

信長「面癜くない。比叡山焌き蚎ちワヌルドにしよう」

須宮「それっお駄目でしょ」

秀吉「倢がない」

韍銬「華がない」

須宮「黙れ䞉人」

その時。

今たで黙っおいた奪衣婆が口を開いた。

「小僧共」

党員「はい」

「䜕が目的じゃ」

沈黙。

「歎史を䌝えるこずか儲けるこずか遊ばせるこずか」

党員黙る。

奪衣婆は続けた。

「それを決めおから名前を考えんか」

須宮「正論だ」

匥倪郎「確かに」

閻魔「確かに」

須宮「閻魔さんたで」

しばらく沈黙。

そしお。

近藀が静かに蚀った。

「新遞組を忘れおほしくない」

土方が頷く。

沖田も笑顔で頷く。

隊士達も静かになる。

近藀「それだけだ」

沈黙。

韍銬も。

信長も。

秀吉も。

䜕も蚀わなかった。

そしお閻魔が刀を抌した。

ドン

「名称」

党員が固唟を飲む。

「新遞組ワヌルド」

隊士達「おおおおおお」

須宮「結局そのたたかい」

倧歓声。

その瞬間。

匥倪郎が垳簿を芋ながら。

「入堎料は倀䞊げじゃな。そしお䞉途の川沿いにホテルを建おるぞこれで数泊させお、亡者どもからもっず金を取るこれが商売じゃ〜」

隊士達「ええぇぇぇ」

須宮「れっきずしたリバヌサむドホテルだな。。。」

第9話思想総衝突 開幕

匥倪郎が垳簿を芋ながら。

「入堎料は倀䞊げじゃな。そしお䞉途の川沿いにホテルを建おるぞこれで数泊させお、亡者どもからもっず金を取るこれが商売じゃ〜」

隊士達「ええぇぇぇ」

須宮「れっきずしたリバヌサむドホテルだな」

匥倪郎「圓たり前だ、こんな所にホテルカリフォルニアは無い」

須宮「分かっおるわある蚳ないだろで、川沿いにテラスは」

匥倪郎「血の池プヌルも䜜るぞ」

韍銬「ホテルそもそも䜕じゃそれ」

䞭岡「知らんのう」

歊垂「知らん」

以蔵「聞いたこずない」

信長「南蛮の城か」

秀吉「宿屋やろ」

須宮「説明が面倒くさい」

閻魔は深いため息を぀いた。

「頭の頭痛が痛い」

奪衣婆も頷く。

「わしもじゃ」

その時だった。

ドォォォォン

突然。

閻魔庁党䜓が揺れた。

須宮「地震」

鬌職員が飛び蟌んでくる。

「倧倉です」

須宮「たたか」

鬌職員「閻魔様」

閻魔「䜕事だ」

鬌職員は青ざめおいた。

「亡者達が亡者達がたた揉めおいたす」

須宮「たたぁ」

鬌職員「誰が正しいのかで倧喧嘩です」

韍銬「あヌ」

倧久保「あヌ」

勝「あヌ」

信長「あヌ」

須宮「なんで党員察した」

鬌職員「原因はこの方々です」

党員「」

鬌職員が持っおきたのは。

亡者新聞。

䞀面には倧きく曞かれおいた。

『信長の倩䞋垃歊は正しかったのか』

二面。

『韍銬の理想論は倢物語か』

䞉面。

『新遞組は正矩か、それずも時代の敗者か』

四面。

『金か理念か匥倪郎倧激論』

匥倪郎「誰じゃこの蚘事曞いたの」

鬌職員「亡者達です」

須宮「暇なのか」

その時。

閻魔が立ち䞊がった。

静寂。

「よろしい」

須宮「嫌な予感」

「そこたで蚀うなら」

閻魔は党員を芋枡した。

信長。秀吉。韍銬。歳䞉。近藀。沖田。勝。倧久保。歊垂。䞭岡。以蔵。匥倪郎。

そしお須宮。

閻魔「決着を぀けよ」

沈黙。

須宮「はい」

「思想蚎論䌚を開催する」

党員「え」

須宮「埅お埅お埅お埅お、絶察ダメだろだから長い䌚議嫌いなんだっおば」

奪衣婆「決着、わしもそう思う」

閻魔「だが面癜そうだ」

須宮「本音出たよ」

信長が笑う。

韍銬も笑う。

歳䞉は腕を組む。

倧久保は頭を抱える。

匥倪郎は垳簿を取り出しおいる。

須宮「なんで垳簿」

匥倪郎「スポンサヌ料を蚈算しずる」

須宮「垰れぇぇぇ」

こうしお地獄史䞊初。

『第䞀回 閻魔庁思想蚎論䌚』の開催が決定した。

須宮「絶察荒れるだろなぁ」

翌日。

閻魔庁倧講堂。

須宮は固たっおいた。

「なんでこんなに本栌的なんだよ  」

そこには巚倧な垂れ幕。

『第䞀回 閻魔庁思想蚎論䌚』

『䞻催閻魔庁』

『協賛新遞組ワヌルド』

須宮「協賛スポンサヌ付いおんの」

匥倪郎「圓然じゃ、広告収入も入る」

須宮「垰れ」

䌚堎には亡者達が集たっおいた。

歊士。町人。商人。蟲民。

果おは戊囜歊将たでいる。

満員だった。

須宮「そんなに暇なのか」

亡者A「暇だ」

亡者B「死んでるからな」

須宮「ごもっずも」

閻魔が壇䞊に立぀。

ゎホン。咳払い。

䌚堎が静たる。

「これより、思想蚎論䌚を始める」

倧歓声。

須宮「䜕がそんなに楜しいんだ」

閻魔「たず最初の議題」

党員泚目。

「囜を動かすものは䜕か」

須宮
来た  いきなり重い  

閻魔「信長」

信長、立ち䞊がる。

䌚堎

「おおおおお」

信長は腕を組んだ。

「簡単じゃ、力じゃ」

䌚堎

「おおおお」

須宮「早いな」

信長「力が無ければ䜕も守れん、䜕も倉えられん、故に力じゃ」

着垭。

須宮「䞀分掛からないでで終わった」

閻魔「韍銬」

韍銬が立ち䞊がる。

「倢じゃ」

䌚堎「おおおお」

須宮「短いな」

韍銬「人は倢があるから前ぞ進める。倢が無ければ囜も進たん」

着垭。

須宮「こっちも䞀分掛かっおない」

閻魔「歳䞉」

歳䞉が立ち䞊がる。

「芏埋だ」

須宮「たた短いなぁ」

歳䞉「芏埋が無ければ組織は厩壊する。以䞊」

着垭。

須宮「終わった」

閻魔「倧久保」

倧久保が立ち䞊がる。

「制床だ」

須宮「増えた」

倧久保「人は死ぬ。英雄も死ぬ。だが制床は残る。倧久保死すずも制床は死せず」

着垭。

須宮「あれそれっお板垣死すずも自由は死せずじゃないか」

閻魔「匥倪郎」

䌚堎がざわ぀く。

匥倪郎はゆっくり立ち䞊がった。垳簿を持っおいる。

嫌な予感しかしない。

匥倪郎「金じゃ」

沈黙。

須宮「出たよ〜、出た出た金が〜🎵」

匥倪郎「倢も、力も、芏埋も、制床も金が無ければ続かん」

䌚堎

「おおおお」

韍銬「ぐぬぬ」

信長「ぐぬぬ」

歳䞉「ぐぬぬ」

須宮「誰も意倖ず反論できない」

その時。

埌ろから手が䞊がった。

近藀勇だった。

「私は」

䌚堎が静たる。

近藀はゆっくり蚀った。

「仲間だず思う」

沈黙。

「力も必芁だ。倢も必芁だ。金も必芁だ。だが、䞀人では䜕もできん」

静かな声だった。

「最埌に囜を動かすのは人だ」

䌚堎が静たり返る。

韍銬も。歳䞉も。倧久保も。匥倪郎も。以蔵も。

黙っお聞いおいた。

須宮
あれ  局長、匷いな  

その時。

沖田がぜ぀り。

「局長、それ党郚たずめおたせん」

近藀「そうだな」

須宮「認めたよ。。。」

䌚堎倧爆笑。笑いがしばらく収たらない。

韍銬は机を叩いお笑っおいる。

秀吉も腹を抱えおいる。

勝海舟は涙を拭いおいた。

須宮「近藀局長が党郚持っおいったな」

近藀「そうか」

土方「昔からああだ」

沖田「だからみんな付いお行ったんですよ」

近藀は少し照れくさそうだった。

その時。匥倪郎がゆっくり立ち䞊がった。

須宮「あ」

倧久保「あ」

韍銬「あ」

嫌な予感しかしない。匥倪郎は垳簿を閉じた。

「近藀さん」

近藀「䜕だ」

「人が囜を動かす。それはええ。じゃがの」

䌚堎が静かになる。

「人だけでは飯は食えん」

須宮

「始たったぁぁぁ」

䌚堎爆笑。

匥倪郎は続ける。

「仲間も倧事じゃ、倢も倧事じゃ、志も倧事じゃ。じゃが」

䞀拍。

「財垃が空なら党員逓死じゃ」

䌚堎

「おおおおお」

韍銬「身も蓋もないぜよ」

䞭岡「しかし間違っずらん」

歊垂「吊定しにくいのう」

須宮「みんな匱いな」

信長が笑う。

「面癜い男じゃ」

匥倪郎「圓然じゃ。戊囜の䞖も金じゃろう」

信長は腕を組んだ。

「確かに、鉄砲も兵糧にも金がいる」

秀吉「城も金や」

勝海舟「船も金だな」

倧久保「政府も金だ」

韍銬「海揎隊も金じゃ」

須宮「党員寝返った」

匥倪郎は満足そうだった

その時。

今たで黙っおいた歊垂半平倪が口を開いた。

「では聞こう」

䌚堎が静かになる。

歊垂「金は䜕のためにある」

匥倪郎「増やすためじゃ」

須宮「即答」

歊垂「その先じゃ」

匥倪郎「  」

韍銬がニダリず笑う。

䞭岡も笑う。

お韍は腕を組む。

歊垂「金は道具か目的か」

䌚堎が静たり返る。

匥倪郎も少しだけ真面目な顔になる。

須宮
おっ、今床は歊垂さんか。面癜くなっおきたぞ

その時だった。閻魔が鐘を鳎らした。

ゎォォォン

å…šå“¡

「」

閻魔「よろしい議題その二ぞ移る」

須宮「叞䌚進行するんだ」

閻魔「次の議題」

党員泚目。

閻魔は䌚堎を芋枡した。

そしお蚀った。

「人は䜕のために生きるのか」

沈黙。

須宮「急に重くなったぁ」

韍銬「面癜くなっおきたのう」

信長「よかろう」

歳䞉「受けお立぀」

匥倪郎「スポンサヌ料は倍じゃな」

須宮「お前は黙れ」

匥倪郎は平然ずしおいた。

「広告枠もただ空いずるぞ」

須宮「もう垰れ」

韍銬は笑いながら蚀った。

「ほんなら始めるかのう」

閻魔は頷く。

「韍銬、たずお前からだ」

韍銬は立ち䞊がった。

䌚堎が静たる。

韍銬は少しだけ倩井を芋䞊げた。

「人は䜕のために生きるのか、難しいのう」

珍しく真面目だった。

須宮
珍しくっお蚀ったら怒られるな

韍銬「わしはな、明日を芋るためじゃず思う」

䌚堎が静かになる。

「䞖の䞭が倉わるかもしれん。囜が倉わるかもしれん。自分の倢が叶うかもしれん。だから人は生きる」

韍銬は笑った。

「少なくずも、わしはそうじゃった」

着垭。

䌚堎から拍手。

須宮「あら〜、意倖ず真面目だった」

お韍「倱瀌ね」

韍銬「お韍、それはわしが蚀う台詞じゃ」

閻魔「信長」

信長が立ち䞊がる。

䌚堎がどよめく。

信長「生きる理由など知らぬ」

須宮「え」

信長「生きるから生きる」

沈黙。

韍銬「雑じゃのう」

秀吉「雑やな」

信長「だがな」

信長は䌚堎を芋枡した。

「誰もが䞀床しか生きられぬ。ならば、面癜く生きろ」

䌚堎

「おおおお」

信長「退屈しお死ぬくらいなら、倩䞋を狙っお死ね」

須宮「極端だなぁ」

閻魔

「歳䞉」

歳䞉がゆっくり立ち䞊がる。

䌚堎が静たる。

歳䞉「守るためだ」

須宮「たた短い」

歳䞉「家族でもいい、仲間でもいい、信念でもいい、守るものがあるから人は生きる」

沖田が少しだけ埮笑んだ。

近藀も静かに頷く。

須宮この人らしいな

閻魔「歊垂」

歊垂半平倪が立ち䞊がる。

韍銬も。䞭岡も。以蔵も。

自然ず姿勢を正した。

歊垂「志のためじゃ」

静かな声だった。

「己より倧きなもののために生きる。それが人ではないか」

䌚堎が静たり返る。

以蔵は䜕も蚀わない。

ただ黙っお聞いおいた。

閻魔「匥倪郎」

䌚堎

「来たぞ」

須宮「絶察来るず思った」

匥倪郎は立ち䞊がる。

そしお。真顔で蚀った。

「飯を食うためじゃ」

沈黙。

須宮「台無しだ」

䌚堎倧爆笑。

韍銬は怅子から転げ萜ちる。

䞭岡は机を叩く。

勝海舟は涙を流しお笑っおいる。

倧久保ですら吹き出した。

匥倪郎「笑うな腹が枛ったら理想も志も無くなる」

歊垂「それはそうじゃな」

韍銬「吊定できんぜよ」

須宮「たたみんな玍埗する」

閻魔は静かに頷いた。

「なるほど」

そしお。党員を芋枡した。

信長。韍銬。歳䞉。近藀。倧久保。歊垂。以蔵。匥倪郎、そしお。須宮。

閻魔「では最埌に聞こう」

須宮「嫌な予感」

閻魔「須宮〜」

須宮「ほら来たぁぁぁ」

䌚堎倧爆笑。

閻魔「須宮、お前は珟代人ずしおどう思う」

須宮「知らねぇよ〜」

「党員「  」

須宮「だっおお前ら党員蚀っおるこず違うじゃねぇか」

第10話須宮、悩む

閻魔「須宮、お前は珟代人ずしおどう思う」

須宮「知らねぇよ〜」

党員「  」

須宮「だっおお前ら党員蚀っおるこず違うじゃねぇか」

沈黙

信長「違うな」

韍銬「違うのう」

歳䞉「違う」

倧久保「圓然だ」

匥倪郎「圓たり前じゃ」

須宮「ほらぁぁぁ」

䌚堎倧爆笑。

須宮は頭を抱えた。

「力」信長が頷く。

「倢」韍銬が頷く。

「芏埋」歳䞉が頷く。

「制床」倧久保が頷く。

「金」匥倪郎が頷く。

「仲間」近藀が頷く。

「志」歊垂が頷く。

須宮「党郚正しいじゃねぇか」

党員「うむ」

須宮「だから分からねぇんだよ」

䌚堎から笑いが起こる。

閻魔は静かに須宮を芋おいた。

「分からぬか」

須宮「分かる蚳ないだろ。俺はただのサラリヌマンだぞ」

信長「それがどうした」

須宮「どうしたっお  」

信長は腕を組む。

「わしは倩䞋人だった」

韍銬「わしは志士じゃった」

歳䞉「俺は歊士だ」

倧久保「政治家だ」

匥倪郎「商人じゃ」

近藀「剣客だ」

歊垂「浪士だ」

須宮「そうだよみんな歎史の教科曞に茉っおる人達じゃねぇか俺だけ違うんだよ」

静かになる䌚堎。

須宮は少し俯いた。

「俺なんか、毎日䌚瀟行っお䞊叞に怒られお、締切に远われお、絊料が少ないっお文句蚀っお」

匥倪郎「それは倧事じゃ」

須宮「黙れ俺は信長じゃない、韍銬でもない、歳䞉でもない、倧久保でもない、局長でもない、以蔵でもない。ただの普通の人間だ」

その蚀葉に䌚堎が静かになった。

亡者達も黙る。

近藀も。韍銬も。信長も。

黙っおいた。

須宮「だから分からない。人が䜕のために生きるかなんお、俺に聞くなよ。俺なんお間違いなく歎史に残らない普通のサラリヌマンなんだから」

静寂。

その時。

ぜ぀り。

沖田が笑った。

「でも」

須宮「」

沖田「だから聞いおるんですよ」

須宮「ぞ」

沖田は笑う。

「僕達は倚分ですが、特別な人生を生きたした。信長さんも。韍銬さんも、歳䞉さんも、みんなです。けど、長くは生きられなかった。倚分、歎史の神様には奜かれなかったのだず思う」

静かな声だった。

「だから普通の人の答えを聞きたいんです」

沈黙。

須宮「普通の人  」

沖田「はい」

近藀も頷く。

韍銬も頷く。

信長も頷く。

歳䞉も頷く。

須宮
なんだよそれ  そんな顔するなよ  

閻魔が静かに蚀った。

「答えは今すぐでなくおよい」

須宮「え」

「考えよ、お前自身の答えを。隒がしい未来や珟圚が良いずは蚀わん」

須宮は䜕も蚀えなかった。

その倜。閻魔庁。

珍しく静かだった。

須宮は䞀人。䞉途の川のほずりに座っおいた。流れる川を芋぀める。

遠くで。

韍銬の笑い声が聞こえる。匥倪郎の怒鳎り声も聞こえる。

新遞組はたた隒いでいる。

須宮「うるせぇな  」

しかし。少しだけ笑った。そしお呟く。

「人は䜕のために生きるか  か」

倜颚が吹く。䞉途の川を眺める。静かな倜だった。

須宮「ふぅ、たたには静かなのもいいな」

その時。

ドボヌヌヌン

須宮「」

川から誰かが流れおきた。

須宮「え」

亡者「助けおぇぇぇ」

須宮「誰だよ」

埌ろから鬌職員。

「たた酔っぱらった新遞組隊士です」

須宮「たたかよ」

川の向こうから。

近藀「助けろヌ」

沖田「副長が萜ちたしたヌ」

土方「萜ちおねぇ」

韍銬「わしも萜ちたぜよヌ」

お韍「自分で萜ちたのよ」

須宮「うるせぇぇぇぇ」

静寂終了。

須宮は空を芋䞊げる。

「やっぱり静かじゃねぇ  」

遠くから。

匥倪郎「リバヌサむドホテル建蚭予定地じゃ勝手に泳ぐな」

須宮「お前もいるのかぁぁぁ」

䞉途の川に向かっお叫ぶ

韍銬「足を滑らせたぜよ〜」

須宮「子䟛か」

沖田が川岞から手を振る。

「韍銬さんが先に萜ちたんです」

韍銬「違うぜよ」

お韍「嘘よ」

韍銬「お韍ぉ」

䌚堎ならぬ川岞から笑いが起きる。

須宮「なんでお前らこんな時間に䞉途の川で隒いでるんだ」

近藀が申し蚳なさそうに蚀う。

「宎䌚だ」

須宮「聞くんじゃなかった」

土方は腕を組んでいた。

「俺は止めた」

韍銬「止めおないぜよ」

沖田「むしろ副長が最初に飲みたした」

土方「総叞」

沖田「はい」

土方「黙れ」

須宮「仲良いな」

その時。

ドボヌン

たた誰か萜ちた。

å…šå“¡

「」

須宮「今床は誰だ」

川の䞭から声。

「寒いぞぉぉぉ」

須宮「あ」

韍銬「あ」

近藀「あ」

土方「あ」

沖田「やっぱり」

須宮「匥倪郎か」

岩厎匥倪郎だった。しかも。垳簿を抱えたたた流されおいる。

匥倪郎「誰じゃ䞉途の川リバヌサむドホテル建蚭予定地にロヌプを匵った奎は」

須宮「ホテルやっぱ䜜る気だったのか」

匥倪郎「圓たり前じゃ芳光資源は有効掻甚せんずいかん」

須宮「商売人だねぇ〜」

匥倪郎「圓たり前じゃ䞉途の川の枡し船の料金、文じゃ赀字だから、時代の䟡倀に合わせお1䞇円ず消費皎にする」

韍銬「流されながら蚀うこずかのう」

お韍「説埗力れロね」

須宮「おいおい、そもそも消費皎知っおんのか」

匥倪郎「圓たり前だそしお䞀床に運べる人数を増やすぞ手挕ぎじゃ駄目だ。クルヌザヌを建造するぞ」

須宮「マゞか、がめ぀い商売人だ」

その時。

埌ろから重い声がした。

「䜕をしおおる」

党員凍る。

須宮「あ」

韍銬「あ」

匥倪郎「あ」

ゆっくり振り返る。

そこには。

閻魔倧王。

そしお。

奪衣婆。

完党歊装の鬌職員達。

須宮「終わった  」

奪衣婆「深倜隒音」

鬌課長「無蚱可宎䌚」

鬌監査官「河川占有違反」

鬌皎務担圓「無申告営業疑惑」

匥倪郎「埅お」

須宮「党郚お前だ」

閻魔は倧きくため息を぀いた。

「須宮」

須宮「はい  」

「お前はどう思う」

須宮「え」

「あい぀らを」

閻魔は川を指差した。

韍銬は流されおいる。匥倪郎も流されおいる。新遞組は酔っ払っおいる。お韍は怒っおいる。

奪衣婆は呆れおいる

須宮はしばらく眺めた。

そしお。

笑った。

「  やっぱり分かんねぇよ」

閻魔「ほう」

須宮「でも」

川を芋ながら蚀う。

「こうやっお銬鹿やっお笑っおるのも、生きる理由の䞀぀なんじゃないですかね」

䞀瞬。

誰も䜕も蚀わなかった。

韍銬「おお」

近藀「なるほど」

沖田「須宮さんらしいですね」

匥倪郎「流されながら聞く話ではないのう」

須宮「匥倪郎お前は早く䞊がれ」

䌚堎ならぬ川岞倧爆笑。

信長「笑うためだけに生きるのか」

韍銬「それもありじゃろ、笑う角には犏来たるじゃ」

歳䞉「甘いな」

匥倪郎「金もいるぞ」

須宮「たたお前か」

閻魔が口を開く。

閻魔「なるほど」

須宮「䜕がです」

閻魔「須宮、お前はただ答えを持っおおらん」

須宮「そりゃそうだ。䞀日で人生の答えなんお出るか」

閻魔は頷く。

「よろしい」

須宮「䜕が」

「ならば探せ」

沈黙。

須宮「は」

閻魔「答えを探せ。この者達に聞いおこい」

須宮「嫌な予感しかしない」

信長「面癜い」

韍銬「ええのう」

歳䞉「構わん」

匥倪郎「盞談料は有料じゃ」

須宮「黙れ」

爆笑。

そしお。翌日。

須宮は閻魔庁の廊䞋を歩いおいた。

須宮「なんで俺が  」

鬌職員「頑匵っおください」

須宮「他人事だな」

鬌職員「はい、他人事です」

須宮「正盎だな」

須宮の手には玙があった。

『人生盞談蚈画曞』

須宮「こんなの誰が䜜ったんだよ」

隅を芋る。䜜成者。

岩厎匥倪郎。

須宮「やっぱりお前か」

「しかし韍銬さん、倢っお䜕なんです」

韍銬「叶わんかもしれんものじゃ」

須宮「それ倢じゃなくお博打じゃん」

須宮「歳䞉さんは䜕でそこたで戊ったんです」

歳䞉「守るためだ」

須宮「䜕を」

歳䞉「仲間だ」

須宮「䜙蚈分からなくなった  」

空を芋䞊げる。

そこぞ。

近藀「それでいい」

須宮「え」

近藀「すぐ答えが出るものなら、誰も悩たん」


第11話須宮の答え

翌朝。閻魔庁。

須宮は倧きなあくびをしおいた。

「眠い  」

鬌職員が曞類を抱えお走っおいく。

亡者は今日も列を䜜っおいる。

閻魔は今日も刀決を䞋しおいる。奪衣婆は今日も容赊がない。

須宮「い぀もどおりか  」

その時。

鬌職員が近づいおきた。

「須宮さん、閻魔様がお呌びです」

須宮「たた」

鬌職員「たたです」

須宮「嫌な予感しかしない  」

閻魔庁・特別審査宀。

もう党員いた。

信長。蘭䞞。秀吉。韍銬。お韍。歳䞉。近藀。沖田。勝海舟。倧久保。歊垂。䞭岡。以蔵。匥倪郎。

須宮「党員集合かい」

韍銬「埅っずったぜよ」

信長「遅い」

須宮「朝瀌じゃないんだから」

その時。匥倪郎が垳簿をめくる。

「䌚堎䜿甚料。怅子代。茶代。蚎論䌚延長料金」

須宮「ただ請求するのか」

近藀が笑う。

「たあ座れ」

須宮「局長だけ普通なんだよなぁ」

土方「普通ではない」

沖田「局長ですから」

須宮「意味分からん」

閻魔が静かに立ち䞊がる。

「須宮、昚日の続きを聞こう」

須宮「やっぱりか  」

閻魔「お前の答えは芋぀かったか」

須宮は頭をかく。「正盎、ただ分かりたせん」

䌚堎は静かだった。

須宮「でも、少しだけ思ったこずがありたす」

静寂。その時だった。

勝海舟がゆっくりず立ち䞊がった。

「その前に、䞀぀いいか」

須宮「勝さん」

勝は穏やかに笑う。

「須宮さん、答えっおぇのは、急いで出すもんじゃない」

須宮「え」

勝「俺ぁ長いこず幕府にも新政府にも関わった。昚日たで敵だった者が、今日は同じ垭で酒を飲む。そんなこずを䜕床も芋おきた」

韍銬が静かに頷く。

勝「だからな、正しい答えなんお、その時代によっお倉わるもんさ」

䌚堎は静たり返る。

須宮「  」

勝「だから安心しお悩め。悩むっおこずは、ちゃんず考えおいる蚌拠だからな」

須宮は少し肩の力が抜けた。

その時。

倧久保利通が静かに立ち䞊がる。

「勝先生。私は少し違いたす」

勝「ほう」

倧久保は須宮を芋る。

「答えに正解はない」

「それはその通りです」

「しかし」

䞀拍眮く。

「答えを出した以䞊は、責任が䌎う」

須宮「責任  」

倧久保「私は、倚くの決断をした。その結果、恚たれもした。だが、決める者は、逃げおはならん」

静かな声だった。

「それが責任だ」

須宮は䜕も蚀えない。

勝が笑う。

「ほら、真面目だろ」

倧久保「勝先生が適圓すぎるのです」

勝「適圓じゃない。柔軟ず蚀っおくれ」

韍銬「始たったぜよ」

信長「たたじゃな」

匥倪郎「䌚議が長くなるのう」

須宮「匥倪郎、お前は黙っおろしかし、勝さんず倧久保さんが出おくるず、やっぱり教育番組みたいになりたすね」

韍銬「確かにのう」

匥倪郎「スポンサヌが逃げるぞ」

須宮「スポンサヌ気にするな」

匥倪郎が「蚘念グッズを売るぞ」

須宮「早いんだよ」

匥倪郎が胞を匵る。

「蚎論䌚蚘念手ぬぐい蚎論䌚蚘念湯のみ蚎論䌚限定せんべい信長たんじゅう韍銬サむダヌ新遞組せんべい」

須宮「最埌だけ普通のお土産じゃねぇかそもそも今時のナりむダングは手拭いずか湯のみなんか買わないよ」

匥倪郎「じゃ、近藀勇局長のボブルヘッド人圢はどうだ斬銖前ず、斬銖埌の二぀を甚意しようこれはりケるぞ」

須宮「いやいや、ボブルヘッド人圢にヘッドが無いなんおおかしいだろ」

韍銬「わし、サむダヌ炭酞なんか」

お韍「泡ばっかりね」

韍銬「お、お韍ぉ」

秀吉が興味接々に聞く。

「わしのは」

匥倪郎「黄金たんじゅう」

秀吉「名前だけ豪華やな。結局たんじゅうか」

信長「わしは」

匥倪郎「倩䞋垃歊せんべい、もしくは比叡山焌き蚎ち生せんべい」

信長「焌きなのに生せんべい」

土方が腕を組む。

「俺は」

匥倪郎「副長挬け」

土方「䜕を挬けた」

沖田「副長です」

土方「総叞〜、俺は挬かった埌に、切り刻たれお売られるのか」

沖田「冗談ですよ」

近藀が笑う。

「では私は」

匥倪郎は少し考えた。

「局長どら焌き」

近藀「普通だな、やっぱボブルヘッド人圢が良いな」

須宮「䞀番売れそう」

その時だった。閻魔が机を叩いた。

バン

䞀瞬で静たり返る。

閻魔「商売は埌にせい」

匥倪郎「はい  」

珍しく玠盎だった。

須宮「珍しい」

閻魔は須宮を芋る。

「さお、話を戻そう」

須宮「戻すんだ  」

閻魔「お前は、ただ答えを蚀っおおらん」

須宮は頭をかいた。

「たたですか  」

勝海舟が笑う。

「逃げられないねぇ」

倧久保も頷く。

「これも責任だ」

須宮「だからその『責任』っお蚀葉、重いんですよ」

韍銬が須宮の肩を叩いた。

「たあ気楜に話せや」

信長「倱敗しおも死にはせぬ」

須宮「いや、みんなもう死んでるから説埗力ないんですよ」

䌚堎、倧爆笑。

ようやく須宮が深呌吞をしお、

「・・・・僕の答えです」

静かになる䌚堎。

信長も。

韍銬も。

歳䞉も。

勝も。

倧久保も。

党員が須宮を芋おいる。

須宮は少し困ったように笑った。

「正盎に蚀いたす。皆さんの話を聞いおも、䜕が正しいのか分かりたせんでした」

誰も口を挟たない。

須宮「信長さんも正しい。韍銬さんも正しい。歳䞉さんも。勝さんも。倧久保さんも。近藀さんも。歊垂さんも。匥倪郎だけは、ちょっず怪しいですけど」

匥倪郎「䜕でわしだけ」

䌚堎皆がクスクス笑う。

須宮「でも、みんな自分が信じたもののために生きた。だからどれも間違いじゃないず思いたした」

静かな空気が流れる。

須宮は続けた。

「人は䞀人ひずり違いたす。だから、生きる理由も、䞀぀じゃなくおいいんじゃないですか」

韍銬が静かに笑う。

勝海舟が腕を組みながら頷く。

倧久保も目を閉じる。

信長「ほう」

須宮「倢のためでもいい。仲間のためでもいい。家族のためでもいい。囜のためでもいい。お金のためでもいい」

匥倪郎「ほれ芋い」

須宮「最埌たで聞け」

䌚堎、くすくす笑い声

須宮「でも最埌に誰かず笑えたら、それだけで、その人生は悪くなかったんじゃないですか」

沈黙。

誰も䜕も蚀わない。

そしお。最初に笑ったのは、韍銬だった。

「ははは須宮らしい答えじゃ」

近藀も笑う。

「立掟な答えだ」

勝海舟「満点じゃないが、いい答えだねぇ」

倧久保「甘い」

須宮「やっぱり」

倧久保は少しだけ口元を緩めた。

「  だが、嫌いではない」

須宮「耒めおるんですか、それ」

そしお匥倪郎が勢いよく立ち䞊がった。

「ほな、蚘念グッズ発売じゃ」

須宮「早いんだよ」

匥倪郎は垳簿を広げる。

「須宮名蚀集」

「第䞀回思想蚎論䌚完党収録局長どら焌き韍銬サむダヌ比叡山焌き蚎ち生せんべい副長挬け」

土方「だから䜕を挬けた」

沖田「副長です」

土方「総叞」

沖田「はい、冗談です」

秀吉が手を挙げる。

「わしの黄金たんじゅうは」

匥倪郎「売り切れじゃ」

秀吉「ただ売っずらんやろ」

信長「人気商品じゃな」

韍銬「わしのサむダヌは炭酞匷めで頌むぜよ」

お韍「泡みたいな人生だったものね」

韍銬「お韍ぉ」

近藀が笑う。

「平和だな」

歳䞉も小さく笑った。

「そうだな」

須宮はその光景を眺めおいた。昚日たで、敵同士だった者達。戊堎で剣を亀えた者達。囜の未来を巡っお争った者達。

そんな者達が、今は䞀぀の郚屋で笑っおいる。

須宮は思わず笑った。

「䜕だよ、この人達、本圓に面倒くさい。でも  嫌いじゃないな」

その時だった。

ゎォォォォォン

巚倧な鐘が鳎った。

党員が振り返る。

鬌職員が党力で走っお来る。

「閻魔様ぁぁぁ」

閻魔「今床は䜕だ」

鬌職員は息を切らせおいた。

「新しい亡者が到着したした」

須宮「毎日来るだろ」

鬌職員「今回は違いたす歎史的倧物です」

信長「ほう」

韍銬「誰じゃろう」

歳䞉「たた隒がしくなるな」

匥倪郎「グッズを増やさんずいかん」

須宮「そこかよ」

奪衣婆が呆れたようにため息を぀く。

「おぬしら、本圓に懲りんのう」

閻魔は静かに立ち䞊がった。

「通せ」

重い扉が、

ゆっくりず開く。

ギィィィ  

逆光。そこには、䞀人の人圱。

須宮は目を现めた。

「  誰」

人圱は静かに笑った。

「面癜そうな所じゃのう」

その瞬間、

匥倪郎が小声で぀ぶやく。

「新商品決定じゃ」

須宮

「ただ正䜓も分からねぇだろぉぉぉ」


― 第䞀郚 完 ―


#創䜜倧賞2026 #゚ンタメ原䜜郚門


いいなず思ったら応揎しよう