設備BIMモデルをAIで実写化したら、「規模感がわからない」が「わかりやすい」に変わった
設備BIMのCGを見せたとき、「規模感がわからない」と言われたことがありました。
形状は正しい。必要な設備も入っている。それでも、相手が判断できなければ、説明としては足りません。
AIで実写に近い画像へ変えて見せると、反応は「わかりやすい」に変わりました。
今回はこの経験から、技術者にとっての「伝える仕事」について考えます。

1. 正しいCGでも、伝わらなかった
空調機械室の内容を説明するために、Rebroで作成したCGを見せたことがあります。
壁や鉄骨、機器、配管、ダクトの位置関係は確認でき、モデルとして必要な情報は入っていました。
私には、何がどこにあり、どの程度混み合っているのかが見えていました。普段から図面やモデルを見ているため、その表現に慣れていたからです。
しかし、相手から返ってきた言葉は「規模感がわからない」でした。
CGの中に情報がなかったわけではありません。問題は、情報があっても、相手が同じように読み取れるとは限らないことでした。
技術者にとって分かりやすい画面が、そのまま全員にとって分かりやすいとは限りません。
ここで私は、「正しく作ること」と「正しく伝わること」は別の仕事なのだと気づきました。

2. AI実写化で変わったのは、理解の入口
そこで、モデルの内容を変えるのではなく、見せ方を変えてみることにしました。
RebroのCGをもとに、壁や鉄骨、配管、ダクト、機器の質感を、AIで実物に近い表現へ変えました。
その画像を使って説明すると、反応は「わかりやすい」に変わりました。
設計内容や機器の配置を変えたわけではありません。同じ情報を、相手が現実の空間として想像しやすい形に置き換えただけです。
変わったのは、情報の量ではなく、理解の入口でした。
AIがすべてを解決したという話ではありません。
相手がどこで理解につまずいているのかを見つけ、そこにだけAIを使ったことが大きかったのだと思います。

3. 技術者の仕事は「翻訳」でもある
この経験から、私は自分の説明の仕方を見直しました。
私は無意識に、「図面やCGを見慣れている人の読み方」を相手にも求めていました。
けれど、相手が最初に知りたいのは、細かな座標や寸法ではなく、「どのような空間になるのか」「どの程度設備が密集しているのか」かもしれません。
設計や施工の判断には、正確な図面とBIMモデルが必要です。
一方で、その内容を共有して判断してもらうには、専門的な情報と相手の理解をつなぐ表現が必要になります。
技術者の仕事は、正しいモデルを作ることだけではありません。
専門的な情報を、相手が理解し、次の判断ができる形へ翻訳することも、技術者の役割だと感じました。
私にとってAI実写化は、モデルの代わりではなく、その翻訳を助ける道具です。

4. AIに任せる範囲、任せない範囲
ただし、実写のように見える画像ほど、使い方には注意が必要です。
生成された画像は、配管やダクトの形状、材質、位置関係を実際とは異なる形で表現することがあります。
そのため、私は説明用のAI画像を使うとき、次の四つを意識しています。
目的を「規模感や空間の理解補助」に限定する
設計・施工判断は、元の図面とBIMモデルを基準にする
機器、配管、ダクトの関係が誤解を生まないか確認する
AIで生成・加工した説明用画像であることを明示する
AIに任せるのは、相手が理解しやすい表現をつくるところまでです。
何が事実で、何を判断の根拠にできるのかを決めるのは、技術者の仕事として残ります。
AIを使うほど、技術者の判断が不要になるのではありません。
むしろ、どこまで任せ、どこから自分が責任を持つのかが、より重要になります。
まとめ
今回の経験で分かったのは、正しい情報を出すだけでは、相手に伝わらないことがあるということです。
AIは、専門的な情報を非技術者にも理解しやすい形へ変えるために使えます。
ただし、何でもAIに任せるのではなく、必要な部分だけに使う。そして、最終的な確認と判断は技術者が行う。
「作る力」だけでなく、「伝わる形に変える力」。
これからの技術者には、その両方が求められるのだと思います。
皆さんは、内容は正しいのに相手へ伝わらなかった経験がありますか。よければコメントで教えてください。
