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「もっと走り込め」より効く準備がありました…ランナー25人を3通りで走らせてわかった、1マイルが11秒縮む「12分」の正体


― ただし、同じ種類の課題を30分やらせた研究では、成績はむしろ落ちていました ―


走る前に3分の頭の課題を4回はさむと、1マイルが8〜11秒速くなりました。ただし同じ課題を30分続けると成績は落ちます。頭の疲れは味方にも敵にもなります。効くのは量ではなく置き場所です。


はじめに ― 準備運動の「もう半分」は、まだ空いています

準備運動と聞いて、思い浮かべるものを挙げてみてください。

  • 軽く走る

  • 動かしながら伸ばす

  • 少しだけ速く動いてみる

  • 使う道具にさわっておく

だいたい、この4つに収まると思います。どれも体の話です。

ところが、試合が始まった瞬間にいちばん最初に働くのは、体ではありません。目で見て、状況をつかんで、決めて、それから体が動きます。つまり、頭のほうは、まだ準備運動をしていないまま本番に入っていることになります。

2026年に発表された研究は、この「空いているもう半分」を、実際に埋めてみた実験でした。そして、結果はかなりはっきりしていました。

この記事では、その1本を出発点にして、次の3つをお伝えします。

  • 何が起きたのか(数字で確認します)

  • なぜ、そのまま鵜呑みにしてはいけないのか(弱点も正直に書きます)

  • それでも残るもの、そして明日からどう置くのか(ここがいちばん長くなります)


第1章 3分の課題を4回。それだけで、11秒でした

イギリスの研究チームが、走り慣れた市民ランナー25名(男性11名・女性14名)に協力してもらい、同じ人に3種類の準備運動を、順番を入れかえながら体験してもらいました(Mortimer, Dallaway, Díaz-García, & Ring, 2026)。

準備運動の3種類は、次のとおりです。

  • 体だけ:1200mの軽いジョグ、800mのジョグと流しの交互、3分間の動かしながらの体操

  • 体+軽い頭の課題:上の体の内容に、3分の頭の課題を4回はさむ

  • 体+重い頭の課題:内容は同じで、頭の課題の難しさだけを上げる

頭の課題というのは、スマートフォンのアプリでできる短いものです。色と形の切りかえ、覚えながら答える課題、まぎらわしい情報を無視して答える課題など、いくつかを組み合わせています。合計で12分、3分ずつに区切って、体を動かす前と後にはさむ形です。

準備運動が終わったら、すぐに400mトラックを4周。1マイルのタイムトライアルです。

結果です。

  • 体だけの準備運動に比べて、頭の課題をはさんだ2条件は、どちらもタイムが8〜11秒(2〜3%)短縮しました

  • 走る前の「準備できている感じ」が上がりました

  • 走っている最中のきつさ(主観的運動強度)が下がりました

  • 心拍数も下がりました

  • 走り終わったあとの頭の疲れの感じも下がりました

速く走ったのに、きつさも心拍も下がっている。ここが、この研究のいちばん妙なところです。

そして、もうひとつ大事なことがあります。軽い課題でも、重い課題でも、効き目にほとんど差がありませんでした。「難しいものを用意しなければ効かない」という心配は、少なくともこの実験では要りませんでした。


第2章 タイムが縮んだのは、体が変わったからではありません

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スポーツ心理学者でありメンタルコーチの笠原彰です。今すぐ使える心理学、スポーツ心理学、メンタルトレー…

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