スルメは、イカに戻りたいのだろうか
「スルメは、イカに戻りたいのだろうか。」
そんなことを考えた。
いや、スルメに聞いたわけではない。
聞いたところで答えてくれるとも思えない。
でも、よく考えてみればスルメにも、ピチピチだった時代があった。
ツヤツヤで、みずみずしくて、元気に海をスイスイ泳いでいた。
それが今では、すっかり水分を失い、シワシワになってスーパーやコンビニの棚に並んでいる。
……なんだか親近感が湧いてきた。
50代半ばの私である。
いやいや、まだスルメほど乾いてはいない。
そこは強く言っておきたい。
保湿もしている。
「戻る」という言葉
そういえば、以前の私は「戻る」という言葉をよく使っていた。
昔の体重に戻りたい。
昔の体型に戻したい。
肌のハリを取り戻したい。
更年期に入った頃は、
「昔はこんなんじゃなかった」
と思うことも増えた。
鏡を見て、
「げっ」
写真を見て、
「ひゃだっ!!」
肌も、髪も、体型も、疲れ方も。
一気に来なくてもいいのに、と思った。
昔はもう少し痩せていた。
昔はもっと動けた。
昔はこんなところにお肉はつかなかった。
でも、そんなことを考えているうちに、ふと思った。
そもそも私は、
いったい何に戻ろうとしていたんだろう。
イカには戻らない
スルメを見て、
「かわいそうに。昔はイカだったのに」
とは思わない。
食べながら、
「この子、イカに戻れたらいいのにね」
とも思わない。
スルメはスルメで、おいしい。
なのに人間は、年齢を重ねると、昔の自分と比べてしまうことがある。
私もそうだった。
もちろん、
「若さなんて、もういりません」
なんて言うつもりはない。
シワは少ないほうがうれしい。
肌にはハリが欲しい。
お腹も、もう少しどうにかなってほしい。
できることなら、朝起きた瞬間から動けた、あの謎の体力も返してほしい。
美容もするし、運動もする。
ただ、その理由は昔とは少し変わった。
若い頃の私に戻るためではなく、
この先も、この体でいろいろやりたいから。
減ったもの、増えたもの
50代になって、減ったものは確かにある。
体力。
記憶力。
回復力。
そして、肌の水分量。
残念ながら、このあたりは否定できない。
でも、増えたものもちゃんとある。
図太くなった。
人の目も、昔ほど気にならなくなった。
「まあ、いっか」と思えることも増えた。
失敗もしてきた。
だから、少しくらいのことでは人生は終わらないことも知った。
そして不思議なことに、
やってみたいことは若い頃より増えている。
だったら、そんなに昔に戻らなくてもいい。
スルメは、イカには戻らない。
私も20代には戻らない。
……というか、戻れない。
それなら、今の自分をもう少し面白がってみようと思う。
これからどんな味になるのか。
それはそれで、ちょっと楽しみだ。
とはいえ、できればもう少し、みずみずしくありたい。
そんなわけで、今日も保湿は念入りに。
この投稿は、マイキーさんが企画なさった #エッセイしりとりに、参加しております。
この#エッセイしりとり、小田なをさんから受け取りました。
なをさん🩵のエッセイは、人や日常を見つめる細やかなまなざしと、独特の言葉のセンスがあります。ふふふ🥰
ということで、なをさんからの「す」を受け取ったので、「す」から始まるタイトルのエッセイにチャレンジいたしました。
そして、バトンを渡したい方はこちら〜
ヴィオラさん💜です。
同じ50代、そして海外暮らし。ヴィオラさんはカナダ、私はアメリカ。そして実は、二人ともTESOL(外国人に英語を教えるための教授法)を学んだという共通点もあります。
ただし、ヴィオラさんはその学びをしっかりお仕事に活かされ、私は……😅
長年、英語・日本語教育、翻訳・通訳のお仕事をされてきた、まさに「ことば」のプロ。
noteでは、カナダでの日常や文化の違い、更年期、そして人生や幸せについてなど、幅広いテーマを綴られています。
そして先日、長年の翻訳・通訳の経験をまとめた『ことばにまみれて』を出版されました👏👏👏
海外生活や同世代ならではの視点に、私も共感しながらいつも読ませていただいています。
ヴィオラさん、予告もなしに、驚かれたことでしょう。
すみません🙇♀️
「スルメは、イカに戻りたいのだろうか」なので、「か」から始まるタイトルのエッセイを書いてください。
そして、ご無理のない範囲でお願いいたします。
誰にも回さず、そこで終了しても構いません。また、別ルートから二度目、三度目のバトンが飛んできた場合も参加OKです!
開催期間は2026年8月12日〜8月31日23時59分までということです。
マイキーさん、楽しい企画に参加させていただき、ありがとうございます。
夏ももうすぐ終わりに近づいていますが、こんなクリエイティブな企画で、みなさんと一緒に夏の終わりを楽しめるのもいいですね😊
さて、「か」からどんなエッセイが生まれるのでしょう。
楽しみにしています!
