#映画感想文428『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』(2025)
映画『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行(原題:A Big Bold Beautiful Journey)』を映画館で観てきた。
監督はコゴナダ、脚本はセス・リース、出演はマーゴット・ロビー、コリン・ファレル。
2025年製作、109分、アメリカ映画。
独身のデヴィッド(コリン・ファレル)は友人の結婚式で、独身のサラ(マーゴット・ロビー)と出会う。何気ない会話を交わしていたのだが、突然、デヴィッドはサラに「結婚しましょう」とプロポーズをされる。しかし、騙されているのではないかと警戒したデヴィッドは真面目に取り合わない。すると、サラはダンスホールに踊りに行ってしまう。
翌日、デヴィッドが帰るためにレンタカーに乗ると、ナビから「壮大で美しい旅をしませんか」と誘われる。退屈な独身生活に辟易していた彼は思わず、イエスと言ってしまう。ナビの指示に従い、バーガーキングでチーズバーガーを注文して食べていると、結婚式で出会ったサラと再会する。
そこから二人は不思議なレンタカーに乗り、それぞれにとって苦しかった出来事を今の自分の状態で再度経験できる不思議なドアを行く先々で開けていく。
デヴィッドは15歳で学校の文化祭のミュージカルの主演を務めていたが、ヒロイン役の女の子に告白をしてこっぴどく振られてしまい、ひどく落ち込んだ日に戻る。彼は両親から「あなたは特別だ」と言われ続けて育った。そんな親の育て方には問題があったのではないかと思っている。しかし、両親が彼を特別だと言い続けたのは理由があったことが明らかになっていく。
サラはシングルマザーの母親に育てられたのだが、大学生のときに死別をしている。母が亡くなりそうであることを知りながら病床へ行かず、大学教授と不倫をして寝ていたことを彼女は悔いていた。母親が最もつらいときにそばにいなかった自分を恥じていた。幼少時に父親に捨てられたことに傷ついていた。彼女は愛着障害を抱えており、関係性が深まるとそれを壊してしまったり、浮気をして恋人を裏切るということを繰り返していた。誰かに近づきたいのに近づけない。誰かとつながること、親しくなることはリスク。いずれ、裏切られ、傷つけられたら、立ち直れないと思っている。
デヴィッドは婚約破棄をされた経験を持つ。彼は夢中になって求愛したものの、あるとき関係性に飽きて醒めてしまい空虚さを感じ、それを婚約者に見透かされ、婚約は破談となった。しかし、デヴィッドは今の自分は当時の自分ではないからと、サラにプロポーズをする。しかし、サラはその告白を受け取ることができず、二人は旅の終わりに別れることを選ぶ。(もちろん、そのままでは終わらないのでご安心を)
本作は現実のカップルが親しくなっていく過程で過去の自分の思い出をシェアしていく、その過程を描いている。通常であれば語りでしか共有できないのだが、臨場感たっぷりの状況に入り込めるという舞台装置がある。お互いを理解してもらうための努力の過程を描いているとも言える。
現実では過去に戻って、中年のまま、中学生の同級生と話したりはできないし、中年のまま中年のお母さんと話すこともできない。ちょっと不思議な旅に出たから、二人はお互いの駄目さや純粋さを知ることができたのだ。
この映画は、大きな映画賞は取らないだろうし、傑作だと賞賛されることもないだろう。そうなのだけれど、個人的にはすごく好きな作品。わたしはソウルメイトを探している人たちを嫌いになることなんてできない。
旅行中の会話でデヴィッドが「人生は短いなんて言う人がいるけれど、嘘だ。人生はだらだら長い」と少しうんざりした口調で言うシーンがあるのだが、確かに人生はだらだら長いと心から共感してしまった。
そして、サラのお母さんが言う「幸せにはキリがない。だから今の自分に満足するの。満足して、そこから日々の幸せを探していくのよ」という箴言にもまいった。その通りだと思う。
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