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一人勝ちはできない

不思議な感覚がある。

自分が最大の利を得られるような動き方をすると絶対に一人勝ちできない。

囚人のジレンマを想起する人もいるだろうが、必ずしもそういう話ではない。

確かに、その土俵に当人ともう1人しか存在せず、彼らが必ず合理的な選択肢を選ぼうとする。そのような前提の時に、一人勝ちできないのは言うまでもない。

ここで話したいのはそういう話ではなく、周りのプレーヤーが非合理的な選択肢を取ることもあるような人だった時にも、利益追求者が勝利できないということなのだ。

分かりやすい例を話す。

社会人であれば、一度は目にした光景だろうが、同じ会社の中の従業員はそれぞれ仕事へのモチベーションが異なる。

ある従業員はできるだけ仕事はしたくない、定時で帰りたい、でも社内では威信を持ちたいし、給料も高い方が良いと考える。(A)

ある従業員は仕事はしたくないが、他の人から頼まれた仕事はつい引き受けてしまう。社内で昇進を争うことはせずに、皆仲良くしたいと考える。(B)

仮に、Aプレーヤーが利益追求者、Bプレーヤーが平和追求者であるとしよう。
イニシアチブを持てるAは自分の仕事量をコントロールできる。やりたくない仕事や残業が発生するような仕事はBに頼めばよい。
社内の立ち回りも狡猾に行い、自分が部長・本部長に信頼できるような環境をつくる。

傍から見れば、「完璧」な環境だろう。

しかし、なぜかわからないが、このような状況であっても、最終的にAは得をしない。

実際に信頼が集まるのはBの方だし、昇進が早く、収入が上がるのもBである。

思うに、一人勝ちをするためには、間接的にでも誰かを裏切るようなことをしなければならない。
しかも、それは1回きりではなく、複数回発生する。
おそらく、一人勝ちをするために支払う裏切りの総コストは、一人勝ちをして得られる総利益よりもはるかに高いのだろう。

1回1回のふるまいを実は誰かがちゃんと見ていて、細かい行動それぞれが実は結果に結びついているのだろう。

やはり誠実になるしかない。