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地中海を越えて響き合う、二つのレシピ

台所の窓から差し込む光の中に
いつも義姉の背中があった。

モロッコからやってきた彼女が
不自由な身体を支えながらも
執念のように守り続けた食の記憶。

その象徴が、特別な日にオーブンから立ち上る
あの濃厚で芳醇な香りだった。

丸ごとの鳩。
その小さな腹の中に、炒めたひき肉
甘みを引き出した玉ねぎ

鮮やかなイタリアンパセリ
そして全体を優しくつなぐ
卵がぎっしりと詰め込まれていた。

じっくりと焼き上げられた鳩の肉を切り分けると
溢れ出る肉汁とともに
スパイスとハーブの香りが一気に部屋を満たす。

20年という歳月、私は義姉と同居し
その介護を続けた。

身体の自由が失われていく過酷な日々の中で
彼女が料理に向かう時の眼差しには
人間の尊厳と、自らのルーツに対する
絶対的な誇りがあった。

言葉少なに語る彼女の横顔を見ながら
私はいつも不思議に思っていた。

モロッコの家庭で受け継がれてきたこの
「鳩の詰め物焼き」は
どこからやってきたのだろうか?と。


リサーチを進める中で
私はある古いイタリアの郷土料理の資料に突き当たった。

そのレシピに目を落とした瞬間
鼓動が速くなるのを感じた。

次回は、義姉が作っていた
鳩のオーブン焼きのレシピの原点について
ご一緒に深堀りしていこう。

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