登呂遺跡、行ってきました
ええいっ!のんびり温泉にでも入ってやる!
忙しい毎日に心をすり減らしていた私は、発作的に思い立った。
だが、貧乏性のため宿でのんびりすることはできず、前々からいきたいと思っていた静岡・登呂遺跡へと旅立ったのであった。
なぜ登呂遺跡に?
登呂遺跡というと、一定の年齢以上の方は、「ああ、教科書に載ってたやつね…」と思い出すのではないだろうか。
しかし、近年はあまり話題になることもなく、忘れられているような…かく言う私も、出張で静岡に行った時、どこにあるかを知り、いつか行きたいなあと思っていたのだ。
登呂遺跡ってどんな遺跡?
さて、登呂遺跡とは、どんな遺跡だろうか。
何と今から約2000年前の弥生時代後期、安倍川と藁科川がつくった扇状地の、ちょっと高くなったところにあった集落の一つとのこと。
遺跡の北側は、住居や倉庫が建てられた「住まいの区域」があり、そこから、南東に広がる低い土地に「水田の区域」が広がっている。その地層には、水害に見舞われた跡も残っており、集落としては200年程度続いたと考えられているそうだ。

弥生時代後期の水田耕作土の上に洪水層が
現在、登呂遺跡は、復元された住居や水田がある歴史公園として整備されている。その一角に、静岡市立登呂博物館があり、出土品の展示や当時の生活を知ることができる体験型の展示室が設けられている。

当時は手前の草むらも水田だったのだろう
遺跡発見!その時日本は
登呂遺跡が発見されたのは、第二次世界大戦中の昭和18年(1943年)に軍需工場建設でと言うから驚きだ。
日本で、弥生時代の水田跡の遺構が確認されたのは初めてのことで注目を集めたが、当時の調査記録や出土品の多くを空襲で失った。本格的な発掘調査は、戦後のことになる。
1947年から本格的な調査が開始された。「この発掘調査は、それまでの神話を元にした日本の歴史『皇国史観』を、科学的な方法で書き換えることでもあった」という説明は、新しい憲法のもとで自分たちの歴史を、という希望に溢れていて…ジンときてしまう。
登呂遺跡は、1952年に、国の特別史跡に指定される。

当時の人々の生活は
発掘調査では、大量の土器・木製品などの出土品とともに、住居跡・倉庫跡などの居住域、水田域が一体となって確認された。水田域には、護岸の杭や水路など灌漑設備も見つかっている。
私が登呂遺跡っておもしろい遺跡だなあと思ったのは、水田と住居がある集落の遺跡としては、200年間という区切られた期間の遺跡だということだ。何千年と言われると、雲をもつかむ思いだが、200年という時間は、十数世代の人々が暮らしていた間のことだと、どうにか理解が及ぶように思う。さらに、住居跡が5つあることからおよそ100人くらい集落だろうと推測できることも、よりイメージがわきやすい理由ではないかと思う。
また、竪穴式式住居と同じように見えるが、掘り下げるのではなく、周りを土で盛り上げて、崩れないよう板で囲っている。柱が沈まないようにするための礎板も発見された。
水の出やすい扇状地にある登呂遺跡の住居には、様々な工夫がされていることも初めて知り、進歩は見えないところにもあるんだなあと感じ入った。

この写真の左側に、土留めがちょっと見えている

住居跡、倉庫跡とともに、祭殿跡も発見されている。さらには、琴の出土品を初めて見て驚いた。これは、登呂遺跡でしか発見されていないという。


確かに縄文時代とはまったく違う精神世界だなあ

今立っている場所をタテヨコでとらえる
同時代、北九州では、環壕、城柵、物見櫓等の防御施設を持つ吉野ヶ里遺跡が発見されている。王の墳墓もあり、支配層と非支配層に階級分化した社会と比べると、登呂遺跡は何とも牧歌的だ。ちなみに、登呂遺跡では墓域は発見されていない。
同じ弥生時代と言っても、長い日本列島には様々な社会があったということも、今回の旅の発見だ。
登呂遺跡は環濠はもちろん武器も出土しておらず、稲だけでなく様々な作物を耕作し、狩猟や採集によっても食べ物をえていたようだ。

大きさは、縄文時代のヤジリと同じくらい

奥は網につけたおもり
私が行った時、特別展示室ではちょうど、「しずおかタイムトラベル2026」が行われていた。(現在は終了)
縄文時代、弥生時代、古墳時代で、人々の暮らしと社会がどう移り変わってきたのかを、ザッと見通すことができる。
それぞれの時代の土器片を手にとることもできた。縄文土器の、手触り、重さ、キラキラしているところ、縄文人の精神世界が感じられて、やっぱり魅力的だなあ。
古墳からは刀も発掘されている。力が権力となる時代だ。


かなり無理をしての一人旅でしたが、気分転換になりました!
旅程は下に。MOA美術館や県立美術館もよかったです。そもうち吉野ヶ里遺跡にも行ってみたいなあ。
※登呂遺跡については、詳しくはホームページをご覧ください。
旅程
1日目
東京方面から新幹線
熱海駅着
バスでMOA美術館へ
東海道線で静岡駅 静岡で一泊
2日目
静岡駅南口よりバスで登呂遺跡へ
タクシーで静岡県立美術館へ
静岡駅に戻り、新幹線で東京方面へ
