古着映画「西部戦線異状なし」ネタバレ考察 古着 解説。原作 旧作 違い
古着は苦手
前の持ち主を感じるから。
別に臭いもしないし、シミとかもないんだけど、なんか感じる。
人の存在を意識してしまう。
戦争語る時によく使われる言葉
「戦争の悲惨を伝えてる」や「戦争が人間性を破壊する」は戦争映画の感想でよく見る。でも どう悲惨で人間性がどうなったかは書かれてない。
この映画と旧作はそれを分かりやすく描いてくれてる。
なので旧作と今作を比べてその悲惨さと壊れた証拠を探す。
元は小説
タイトル位は聞いた事ある作品、簡単にまとめる。
・原作は1929年のドイツ小説、作者も西部戦線に配属された。
小説はその後ナチス政権で禁書扱い。
・旧作は1930年、アメリカで制作。原作に忠実らしい。
・新作はnetflexで2022年に公開。脚色多め。
大人の唆されて志願した若者がみんな死ぬ話。
主人公パウルと先輩カットの友情。
この辺は一緒だ。
知らぬ間に死んでる友達。権力溺れる上官。
戦場に出ない大人のマヌケな発言。
でもそれだけが戦争の悲惨さで、これだけで人間性が破壊されたとは思えない。
フランツの靴とパクったガチョウ。
旧作にはフランツと言う同級生がいる。親からもらった上等のブーツを履いている。
負傷し入院したフランツを皆で見舞いに行くと彼の足は切断されていた。
落ち込むフランツを励ますパウルの横で別の仲間ミューラーがこう言う。
「なぁフランツ、お前のブーツを俺にくれよ。もう使わないだろ?」
……人の心とかないんか?
この後、一緒に居たがるフランツにパウルだけが残る。
励ましもむなしくフランツは弱っていく。
「ミューラーに靴をやってくれよ」と残し死ぬ。
パウルからフランツの死を聞かされてもミューラーは靴に夢中で
悲しみもしない。ミューラーはその後直ぐに死ぬ。靴は別の兵士に渡る。
それが繰り返される。これは靴が呪わてるって話じゃない。
友の死より良い靴が自分の物になったのを重視してるのが怖い。
それは旧作にはなかったパウルとカットが民家からガチョウや卵を盗むシーンでも分かる。
旧作はパウルの視点だけで物語が進む。停戦交渉のシーンもないし最初にコートが再利用されるシーンもない。
映されるのは兵士だけの戦場。
リメイク版のパウルは旧作に比べ、友達が死ぬと感情が揺らぐ。
彼が分かりやすく壊れるのはカットが死んでからだけど、その死因は子供に撃たれたせいだ。
旧作では飛行機にやられて死ぬ。
死因を変えたのは人の心が残ってそうなパウルですら、
同じく飢えてる民間人から食べ物を盗む事に何の呵責もないのが怖い。
ガチョウを盗まれた子供が恨みのこもった目で睨む。
顔のアップはそこに人が住んでるって当たり前の事を思い出させる。
僕らはついつい主人公を応援し盗みが成功する事を願ってしまう。
これも一種の人間性の喪失かもしれない。
誰かの食料を奪えば誰かが飢える。
これは戦いをやめない将軍にも言える。
自分は前線には行かない、家族は安全、近くに居るのは部下と犬だけ。
だから飢える兵士を想像せず、犬に肉を投げる。
冒頭のコートもそう。
誰かが来ていたコートは物資として再利用され、血は汚れとして処理される。人の存在を意識せず、痕跡は消す。要は命を物扱い。
これがいわゆる「人間性が破壊された」状態。
じゃあ「悲惨さ」は?
自分が人間性を喪失したのに気付く事だ。
微笑みデブだけが正常。
映画「フルメタル・ジャケット」のゴーマーパイル。日本語訳だと「微笑みデブ」と呼ばれる。
最終的に気が触れるんだけど、狂ってたのは他の生徒達だって話。
殺す技術に長けてて、殺しても気にしないのか優秀な証拠。
最後に歌うミッキーマウスが人でなしの証拠。
まともだから狂った。
言い換えれば、まともに戻れば狂い始める。
パウルが正気に戻ったのは、爆撃の穴で敵と過ごした時だ。
旧作でもリメイクでもあのシーンは長い。
中々死なない敵兵に自分のした事に恐怖する。
殺したのは人間、やったのは自分。
殺したのが人間だと気付いたから謝る。彼の存在や最後を家族に伝えようとする。でも戦争がそれを許さない。
再会した戦友は自殺し、カットも死ぬ。
正気に戻ったパウルは今度こそ壊れる。
茫然自失でバカげた命令に従う。
自分も死に、助けた少年兵も彼の死を見て、同じ道を歩み始める。
今だけ、金だけ、自分だけ。
社会性を欠き、刹那的に生きる事を言うらしい。
長引く不況が背景だともAIは言う。
要は希望がないからそうなる。
不況以上に戦争は世界から希望を奪う。
靴が欲しいから友達が死んでもいい。
自分の手柄の為に誰かが死んでもいい。
どうせ死ぬから何をしてもいい。
皆がこう考え始めると、一人だけ正気に戻っても苦しむだけ。
それが悲惨さ。
戦争も現代も人間性がない方がお得で、正気に戻ると損をするって悲惨な状態。
皆そう、ずっとそう。だから「異常なし」。
現場猫ってミームがある。
こんな世界でも「ヨシ!」なんだってさ。
備忘録
・旧作で兵士と現地の女性の逢瀬は食べ物があるか決まる。
兵士が食べ物があるから好きって言う。ない時は臭いって言う。
・セックスは誰かがいないとできない。だからある種の相互確認なのかもしれない。臭いを嗅ぐのは女性の臭いが人の存在を確認させる。
・停戦交渉を急ぐ男だけが人の存在を意識し続けてる。
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読んでくれてありがと、ジュースがコーラが好きです。